TS転生未来レトロゲーム実況配信のびる   作:おかひじき

9 / 45
クソゲーではないという微妙な思い入れ


ドンキーコング3〈(本当に)忘れられた戦い〉

 

「はい今日も始めていきます、のびるです」

 

流石に慣れてきた冒頭挨拶。来場者はいつの間にか急増して236人。

何かあったのか知りたい気もするが……そんな暇があったら古典ゲームするか、

実況配信のあれこれを考えるかしていたい。

 

「今日は癒されるゲームやります!」

 

『クソゲーかな?』『嘘つけ絶対激しいゲームだゾ』

『のびのびとイキりたいですね……(本当の私)』

 

……何か私に対する風評が広がっている気もするが、まあいい。

 

「今日のタイトルは、ドンキーコング3です!」

 

『来たあああああ』『やった神ゲーだああああ』『ディクシーをすこれ』

 

「あんのじょう誤解しているようですね……このドンキーはスーパーじゃない!」

 

『!?』『なん……だと!?』『ま、まさかファミコンの……』

 

「そうです、1画面の画面固定、花を守り殺虫剤でハチとドンキーコング連合軍と戦う

1画面シューティングゲーム……ファミコンのドンキーコング3です!」

 

『???』『あーあれかぁ……』『クソゲー』『むしろクソゲーをすこれ』

 

「だんじてクソゲーではない!……ないかな?クソゲーではない……」

 

『なんか不安しかないんだが』『お?拷問配信か?(震え声)』

『のびるちゃんタッチのこともなんか楽しいって言ってたよね?(不穏)』

『こいついつもだんだん自信なくなってくな』

 

「違います!これは、クソゲーというほどでもないゲームの方です!」

 

『解散!』『ハァ……』『失望しました、のびちゃんのファンやめます』

 

「もー、今日はこのゲームやります、私、癒されたいから!はい、よーいスタート!」

 

『お、おう』『いかにもファミコンですね……』

『何でこれで癒されるんですかね……』『さすのび……』

 

フィールドには、妙にリアルに作りこまれたドンキーコングが胸を叩く、

オープニング入力画面が再現されている。

 

「ここは別にそんな気合入れて再現しなくても……」

 

そして購入者特典のアバター選択では、デフォルトの「ドット絵作業服(白)」

に加えて「パッケージオーバーオール」が選べるようだ。

……帽子も手袋もない偽マリオにしか見えないが。

 

「どちらかというと、白かな……」

 

白だけの作業着を選択したが、本当にただの殺虫剤をまく作業員にしか見えない。

 

『あ、お疲れっす』『蜂の巣はあっちなんで……』『刺されないようにオナシャス!』

『すげえ、こんなに萌えないのびちゃん見たことない』『これは普段着以下ですね……』

 

散々である。もう仕方ない、さっさと始めて、

俺の華麗なハチ・コング両方退治テクを見せ付けるしかないな!

 

ゲームが始まった。

 

このゲームのステージクリア条件は2つ、

・縄だか棒だかを伝って降りてくるドンキーコングを

 殺虫剤噴霧(申し訳程度のシューティング要素)で押し上げる

・殺虫剤噴霧(申し訳程度のシューティング要素)でハチを全滅させる

 

『のびちゃん、ハチが花を持って行ってるけどいいの?』

 

「花は、得点には関係するけど、クリアに関係ありません。

気を散らすので花に対処してると危険です」

 

『は?』『わけがわからないよ』『やはりクソ……』

『スコア>>>クリアだった時代ですね……わかります』

 

「花を守る、よりハチを殺す結果花を守るを意識したほうがよいと思います。

危険な存在は、このステージは一つだけ……」

 

脇の木の葉を伝ってステージに下りてこようとする芋虫を、

殺虫剤噴霧(申し訳程度のシューティング要素)で反転させて帰らせる。

 

「芋虫は降りてしまうとステージ上に残る上に基本不死身なので、

最速対処がいりますね。あ、クリアです」

 

ステージを縦横無尽に走り回り、

ジャンプしながらの殺虫剤噴霧(申し訳程度のシューティング要素)を

続けたかいがあって、ドンキーコングを押し上げ、無事1面クリアできた。

 

『あっハイ』『おめ』『……』

 

「……どうやらまだこのゲームの繊細な面白さが理解できないようですね……」

 

2面は様子が変わり、画面端の木々からツタが伸びて繋がり、そこを芋虫が延々と往復して、

不死身の芋虫がドンキーコングを守るようなステージになっている。

実はドンキーコングの挙動も変わるのだが……。

 

「さっさとクリアしちゃいます」

 

ドンキーコングの移動する箇所が短く、的確に殺虫剤を当てれば実はクリア時間は短い。

それにはいかに芋虫に当てずにドンキーコングに殺虫剤噴霧(申し訳程度のシューティング要素)

を当てるか、という技術が必要になってくる。

 

「はい、クリアです。どうですか私、ちょっと上手くないですか?」

 

『はい』『あっハイ』『そうなんか?』『このゲーム知らんので……』

『イキってるのか本当に上手いのか判断できない……』

 

むぅ、おかしい。知らんゲームでも、流石にここまでやればウケるかと思ったのだが。

 

そして3面。一見1面と同じに見えるが、サイズが大きめの新しいハチが出現するようになる。

 

「このハチは2発打ち込まないと倒せない上に、

やられると4つの破片になって自爆攻撃してきます。

おそらくプレーヤーの死因第1位じゃないですかね?」

 

しっかりと真下で処理し、真下を取れない時は無理に対処しようとせずに離れる。

これが出来れば、事故死の確率も格段に減る。

 

それ以外は結局1面と同じなので、さくっとクリア。

次いで4面は、周囲の木の葉が赤く、中央ステージ中段が繋がっていない、

一見独自性の高いステージに見えるが……。

 

「ぶっちゃけその……中央に穴があって殺虫剤をドンキーコングに届かせにくい以外、

1面と同じですね」

 

これだけで結構難易度が高まってはいるが……それだけの話ではある。

このゲーム時間制限が(これいる?)と思うほど長いので、

焦らず駆除作業とドンキーコング押上げを続けていれば負けることはない。

何ならハチを全滅させるのもいい。

 

「さて、5面ですが、ここで背景ステージのパターンは出尽くして、以後ループします。

というか3面から既にループの最初が始まりますね。3面、4面、5面の背景でループですね」

 

『そうなのかー』『これってトリビアになりませんか?』『はい、いかにもそうですね』

 

……

 

6面からは「アタッカー」が現れる。プレーヤーがアタッカーの横軸と合わさると、

横軸から突進してくるのだ。

まるで蚊みたいな外見をしているが……ハチよりも何倍も厄介である。

 

「横軸の合わせ場所を誘導すれば……!」

 

かれいなテクニックである。

 

これが現れ始めたあたりで、今まで放置していた「パワースプレー」に手を出す。

芋虫がステージに下りて難儀しても、これなら芋虫だって殺せる高性能。

噴射性能も高いし、制限時間がステージをまたぐので2ステージクリアに利用できる場合もある。

基本ミスの後にしか補充されないし取ったら即使用モードなので、

取りどころは考える必要はあるが。

 

12面で、アタッカーの色と姿が変わる。

茶色くずんぐりしているので俺はクマンバチなどと呼んでいたが……

こいつも正式名称アタッカーらしい。

キャラ数少ないのになぜこいつだけ別名がついてないのかはよく分からない。

 

『もうクマンバチでいいよ』『然り然り』『ブゥーーーンンン!!??』

 

15面では、ようやく最後を飾るキャラの「蛾」が登場。新規敵パターンの終了、

すなわちゲームクリアまであと一息だ。

 

『蛾って』『蝶でええやん』『それな』『何で(名前を)汚くする必要があるんですか!?』

『害虫なんやなぁ……』

 

何かがあるかとも思ったが、特に無かった。

 

ドンキーコング3、17面クリアで背景ステージに加えて新規敵パターンの終了、

ゲームクリアだ。

 

『おめ』『おめ』『クリアおめでと』『のびちゃんが嬉しそうで何より』

 

むー……結局最後まで盛り上がることは無かった。

このくらいのゲームの盛り上げ力を過大評価しすぎただろうか。

……仕方ない。切り替えて行こう。

 

「はい、それでは、私は十分癒されましたので、

次回は対戦ゲームなんかやろうかなーと思ってます」

 

『対戦キター』『なになに、何やるの?』『テトリスかな?』『おい馬鹿やめろ』

 

「えーと……頼れるオタにぃにより、

格ゲー対戦ツール『ドールマスター2888』が入手できましたので。

ダイブ内立体空間投影による格ゲー対戦!やってみようと思います。

これで小学生の私でも合法!合法ですよ!」

 

『格ゲー来たああああ』『のびちゃんがそんな最新ツールを……』『オタにぃって誰?』

『小学生の直接ダイブ対戦とか真っ黒だしね……』『それクライアント側も出せるの?』

 

「はい、クライアント側もダイブフィールド内ならどこでも出力できます、最新ですから!

あ、あとオタにぃはリアル兄です。お下がりとその逆、貸し借りでも共有してるんで、

私はゲームライフ的には有利ですね……」

 

『オタ兄裏山』『やっぱ身内で共有できると違うよな』

『むしろのびちゃんの兄という立場が羨ましい……』

 

「あはは……じゃあ今日も、見てくださってありがとうございました。

ドンキーコング3実況配信、のびるでした!」

 

 

 

 




シューティングゲームであるという事実は今更知った(無知)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。