六式使いの自称ヒーロー   作:ライトハウス

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若干過激な思想。


六道式:オリジン

 

 

 

六道(りくどう) (しき)。15歳。現在中学三年生。無個性。

 

六式を身につけようと思い立ってから約12年、ひたすら身体を鍛え続けた結果、俺はある程度なら使いこなせるようになっていた。

 

特に、(ヴィラン)相手に実戦の経験を積んだことがかなりでかいだろう。

 

中学生になるまではひたすらトレーニングだったのだが、両親に頼み込んで一人暮らしを始めてからは夜に外出しても何の問題もなかった。

 

一人暮らしをすることに説得力を持たせるため東京の名門校に通うことになったのだが、どうせ雄英を目指すのでまあいいだろうと割り切った。

 

その結果、対人の経験を積むことで相手にダメージを負わせすぎない加減やらも覚えていった。

 

だが、実際のところこれはかなり危険な行為だ。

 

もちろん、怪我なんかの危険もあるが、一番はそこではない。単純にヒーローの資格やらなんやらを持たずに(ヴィラン)と戦うことは禁止されているのだ。

 

つまりバレたらヤバい。雄英を受験することすら出来なくなる可能性があるのだ。

 

だがまあ、今のところ大丈夫だろう。そこまで凶悪な(ヴィラン)には手を出していないし、ひったくりや強盗を起こそうとしている(ヴィラン)を事前にボコしているだけだ。

 

流石に事件を起こした後の奴なんかを相手にするとヒーローや警察と鉢合わせる可能性があるからな。

 

それに覆面もつけているし、中学生にしては高めの身長、低めの声によって相手は俺を大人だと思っているはずだ。

 

今のところバレたことはないし、バレたとしても犯罪者になるわけでもない。

 

それに大抵そこらへんのチンピラは大した個性も持っていないのだ。俺自身に危険が及ぶこともなかなかないだろう。

 

だからそこらへんは大丈夫だ。問題は、最近になって気づいたことなのだが、(ヴィラン)の再犯率の高さである。

 

ここ最近、以前に倒したチンピラとまた遭遇することが多いのだ。散々こらしめたと思ったのだが、再び悪事に手を染める輩が一定数いるという事実に驚く。

 

ニュースでも(ヴィラン)の再犯率は問題となっており、一度殺人を犯した(ヴィラン)が出所してから再び人を殺すことはそこまで珍しい事件でもないのだ。

 

死刑を訴える遺族なんかも多いという。なかなか世知辛い話だ。日本では(ヴィラン)の命も大切に扱われるのである。

 

実際、(ヴィラン)との戦闘でヒーローが死亡するのはヒーローが(ヴィラン)を殺さないよう気をつかっているからだと言われている。

 

アメリカなんかではヒーローによる(ヴィラン)の殺害が認められているのだが、日本では認められていない。そのため、(ヴィラン)は気軽に犯罪行為に手を染め、ヒーローは世間体やら(ヴィラン)の命を気にしながら戦うこととなるのだ。

 

うーん、俺がどうこうできるわけじゃないけどなあ、少々甘すぎる気もするんだよな。たしかに日本は他の国と比べれば犯罪率は低いが再犯率は高めなのだ。

 

時折、ヒーローが酷く無力に思える。ヒーローは(ヴィラン)を捕まえるだけで、広い目で見た場合はたして本当に市民を守れているのかと。

 

もちろん、災害救助なんかもヒーローの仕事なのだが、もっと大事なことがあるんじゃないかと思えて仕方ない。

 

……よくない考えだなあ。(ヴィラン)ばっかを見てきたせいで擦れているのかもしれない。

 

さて、今日も深夜の街を徘徊しようか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そろそろ受験が近づいてきたこともあって俺は深夜のパトロールの数を減らしていた。

 

ぶっちゃけそこまでしなくても中学までの内容なんて余裕なのだが念には念を入れ勉強はしておこうと思う。筆記で落ちるなんてシャレにならないからな。

 

……にしても、人通りが少ないな。

 

現在、放課後。俺は家に帰る途中なのだが普段は多い人通りが今は少ない。というのも警察署から脱走した(ヴィラン)がいるらしいのだ。なんでも強盗、殺人、強姦など数々の犯罪を犯した凶悪な(ヴィラン)らしい。

 

今回で逮捕されたのは二回目なのだがどうやら懲りずに逃げ出したそうだ。まったく、クズはどこまでいってもクズということなのだろうか。

 

今日は久しぶりにパトロールをしよう。もしかしたら例の(ヴィラン)が見つかるかもしれないしな。

 

 

 

 

 

夜になると暗めの服に着替え外にでる。しばらく歩いてから路地裏へと足を運んだ。大抵の(ヴィラン)は路地裏など人目につかない場所に現れるもんだ。

 

そうやって歩き始めてから約一時間、今日は何も起きなさそうだと少し気を緩めたとき、女性の悲鳴のような声がかろうじて聞こえた。

 

「……これは」

 

そんなに大きな声ではなかった上に遠い。建物の上に登りなんとか聞こえてきた方角に向けて走っていると、追いかけられている女性とそれを追う人影を見つけた。

 

急いで覆面を被り人影の前に降り立つ。女性には先に逃げるよう告げ相手の顔を見ると、そこにはテレビで連日報道されている例の脱走した(ヴィラン)の姿があった。

 

「……あぁ?んだよ、ヒーローか?せっかくお楽しみ中だったっていうのによぉ……」

 

目の前の男が下卑た笑みを顔に浮かべこちらを見てくる。気持ちわりぃ。……たしか個性は単純な身体強化系とのことだったな。さっさと終わらせるか。

 

「おい、だんまりか?つーかお前、ヒーローっぽくねえなあ、その見た目。どっちかっつーと(ヴィラン)だぜ?」

 

「黙れ。お前にはもう一度捕まってもらう。ペラペラ喋ってる余裕はないぞ」

 

「あ?なんだてめ……」

 

(ソル)

 

隙だらけの(ヴィラン)に一瞬で近づき、鳩尾に重い一撃を入れる。肉と肉がぶつかる鈍い音が響いた。

 

「ぐ、ぅええぇぇ……!おぇっ」

 

モロにくらった男は崩れ落ち、気色の悪い声を出す。さて、こんなもんか。

 

ちなみに、(ソル)というのは地面を一瞬で何度も蹴ることによって高速で移動する技だ。六式の中でも一番カッコいい技だと個人的に思っている。

 

まあ、さっさと警察に突き出そう。そう思い意識を失わせようとした瞬間、蹲っていた(ヴィラン)が急に俺に向かって拳を繰り出してきた。個性によって強化されてはいるが俺には関係ない。余裕をもって躱すとその拳は壁にぶち当たった。ヒビが入ったのを見るに威力はあるらしいが動きが単純すぎる。まるで相手にならないな。

 

体勢が整っていない(ヴィラン)の背中に今度は蹴りを食らわせ、再び崩れ落ちるとすかさず腕を極め身動きをとれないようにした。

 

「ぐぅっ、くそっ!ぶっ殺してやる……!」

 

「よくこの状況でそんなことが言えるな。もうじきお前は刑務所の中だ。殺せないさ」

 

「……くひっ、ひひ、ひひひひひひ」

 

すると、突然(ヴィラン)が笑いだした。……なんだこいつ。気色悪い。

 

「たしかに今はそうかもなあ。でもよぉ、ムショを出たら真っ先にお前を殺しに行くぜ。何年後かは知らねえが、必ずな。お前の大切な人間だって殺してやる……!どれだけ時間がかかろうとなぁ…………」

 

……なんだ、こいつは…!背筋にぞっとしたものが走る。こいつは、ダメだ。この社会に、いてはいけない存在だ。

 

こいつは一度逮捕され、それでも刑期を終えた後に再び人を殺している。それで捕まったのに逃げ出し、そしてまた今日人を襲っていた。

 

こいつは、必ずまた誰かを殺す。俺に辿り着けなくとも、誰かを。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……!

 

「ぐ、ぅ、ああああああああああああ!!!」

 

俺は、大きく腕を振りかぶり、人差し指を立てる。

 

これは、指を硬化させ銃のような速さで突く危険な技だ。だから今までは人に向けて使わなかった。

 

だが……だが!!

 

「お前は、ここで消す……!指銃(シガン)!!!」

 

俺はこちらを笑いながら見る(ヴィラン)の額に、指を突き立てた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日、例の脱走した(ヴィラン)が死体で見つかったというニュースが流れていた。

 

頭を銃のようなもので撃ち抜かれていたらしいが、弾丸などは見つかっていないらしい。

 

目撃者の証言などから、ここ最近出没しているヒーローを名乗る黒ずくめの男による犯行だとされている。

 

ネットなどでは『ヒーロー殺し』ならぬ『(ヴィラン)殺し』なんて呼ばれているらしいが、その名前が定着するのはもう少し後の話となる。

 

 

 

 

 

 

……これが、俺が、俺だけができることだ。

 

俺がなりたいのは職業としての『ヒーロー』ではない。現代の、富や名声のために動くのではなく。

 

正義を執行し、悪を滅する、俺は……!

 

 

「サイファーポールNo.9……!」

 

 

たとえ犯罪者と罵られようと、俺はやる。理不尽な(ヴィラン)から、守りたいものを守るために。

 

これが、俺の『ヒーロー』の道だ。

 

 

 

 

 




スパイダーマンやキャプテン・アメリカなんかも意外と敵は殺してますよね。CP9も海賊は殺したりするのでそういった過激すぎないステイン的なダークヒーローがいてもいいかなと。
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