ゲームの世界に転生のライトノベルの世界に転生   作:ビョン

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バレンタイン・デイ

「おい目の下隈だらけだぞ?」

 

いつもの集合場所に来るやそんなことを小田が言ってきた。

 

「昨日ギターずっと弾いてて寝れなくてさ。」

 

土曜日にギターを買ってから練習をしていたのだが、努力が短時間で身に付くこの世界では、今まで弾け無かったコードがすぐ弾けるようになりそれが面白くて仕方なかった。気付けば時計の針は1時を回っていた。

 

「そういうお前も目の下隈だらけだぞ?」

 

「お前どうせこれの意味が分からないんだろうなぁ。」

 

「分かってるよ。今日はバレンタインだもんな。緊張してたんだろ?」

 

「お前、こういうの覚えてないんじゃないのかよ!!」

 

小田は嬉しそうに背中をバンバンと叩いてくる。

俺も照れながらスマホを見せた。

 

「だってスマホのカレンダー見たらそう書いてただけだぞ。」

 

「結局覚えてはいないのかよ。」

 

小田は呆れたように吐き捨てた。

興味無い訳では無いんだがなぁ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「師匠!おはようございます!僕からのバレンタインのチョコをお納めください!!」

 

教室に入るやいなやアサヒが俺にチョコを、まるでラブレターを渡すように渡してきた。

 

「いや、おま、これ、ええ!?」

 

俺も流石に言葉が出なくなる。

もう一度説明しよう。顔立ちは可憐な乙女の様な顔をしてるが八王子アサヒは男である。決して、男だと言い張るように命令されていたり、自分を男と勘違いしてる女ではなく、確実に男である。これは、この世界(ゲーム)の製作陣が「アサヒ君は男ですね。」と言うように明確なのである。

 

「どうされました?師匠?これだけではご不満でしたか!?」

 

「いや、貰えて嬉しいけどさ……」

 

「ひゅーひゅーお熱いねえ!!」

 

「小田くんのも!はい!」

 

「あれ!?俺も!?」

 

俺と小田が驚きでフリーズしていると教室の端からチョコを持った相模が出てきた。

 

「お前らもアサヒから貰ったの?」

 

「お前も……みたいだなぁ。」

 

俺ら三人は頭の上にはてなを浮かべていた。

 

「何アホみたいな顔して突っ立ってんのよ。」

 

セリカが朝から機嫌悪そうに声を出した。

 

「どうせアサヒからの友チョコでしょ?ねぇ?」

 

「そうだけど、もしかして僕はみんなから友達と思われてなかったのかな………?」

 

アサヒが悲しそうにその大きな瞳を潤ませながら呟いた。

 

「な、何だよ~そういうことかよ~!」

 

小田が声を上擦らせながら俺らの背中をバンバン叩いてきた。

 

「俺ら友チョコなんてしたこと無かったから嬉しくて止まっちゃたぜ~!なあ!?」

 

「勿論だな!アサヒ!俺は師匠として本当に嬉しいぞ!!」

 

「ごめんな~気付かなくてさ~!でも俺ら持ってきてねえぜ?」

 

「それなら、いつもみんなに凄いお世話になってるから貰おうなんて思ってないよ!」

 

「う!」

 

アサヒは天使のような笑顔で、かなりキツい事を言ってきた。

 

「「「ホワイトデーに友クッキー返すね?」」」

 

俺ら三人の息がここまで揃うことも二度と無いだろう。

 

「ほんと!?やったー!三人から貰えるなんて一月後が楽しみだなー!!」

 

「頑張っちゃうぞー!あはははは」

 

ここまでの罪悪感ははじめてだった。

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