ゲームの世界に転生のライトノベルの世界に転生   作:ビョン

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一年生 二月第四週目 その1

「2月ももう終わりだなー。」

 

ここに来て一月以上が経ち、徐々に前の世界での振る舞い方を、話し方を忘れてるのに気付いていた。

しかし暇なときの話の振り方は変わってはいない、そんなことにも気づいてた。

つまり何が言いたいか。俺は今スマホのカレンダーを見て何も考えずに話してたというだけである。

 

「そうだなー」

 

小田も何も考えず返事してるな。

 

「来週から3月かー」

 

「そうだなー」

 

「小田ってほんとバカだなー」

 

「そうだなー……ん?」

 

「どうした?」

 

「いや……何でも……」

 

こんな下らない会話を永遠としている。

……目の前に何か黒くて小さいものが降ってくる。

 

「うお!あぶねえ!!」

 

俺と小田は思わず後ろに倒れこむ。

 

「ぬ……貴様達か」

 

目の前にシュビッとした感じで現れたのは、属性くノ一のヒロイン、伊賀アヤノである。

 

「何だって朝から俺達殺しかけてんだよ!!」

 

「あれを見てくれ。」

 

ビシッと俺達の進行方向。つまり前方を指差す。

そこには長い黒髪に周りにどよんとした雰囲気を漂わせた来栖学園の制服を着た少女が歩いていた。

 

「おい。」

 

俺が小田にヒロインかどうか(ほぼ確実にヒロインだが)、名前や属性は何なのか、説明を求めた。

 

「あれは、同い年の裾野ヤヨイさんだね。属性は卑屈。」

 

小田の分かりやすい説明により俺は理解したが、伊賀は先ほど俺らの前に投げた手裏剣を地面から抜きながら首をかしげている。

 

「属性?よくわからんが知っているのなら話が早い。彼女から『1週間ほど前からストーカー被害に合っている』と相談があってな。今彼女の周りに危険な輩がいないか索敵していたところだ。」

 

「そりゃお忙しいですな。……もう言っていいか?」

 

「あぁ、すまなかったな。あとこれは一応他言無用で頼む……。」

 

「OK。つうかこれ他誰か知ってるのか?」

 

「一応相模殿は事情を知ってるな。」

 

だろうな。

この世界の主人公が知らない訳がない。

俺らは伊賀と別れ、とりあえず周りに怪しい人物がいないか見渡しながら歩いていた。

 

「どうした?さっきから静かだが?」

 

そういえば裾野の説明をした辺りから、小田はずっと黙っていた。

 

「こんなイベント……いや事件はゲームでは起きなかった…。何だこれ?」

 

「あぁ……。なるほど。やっぱ俺らが来たことに遠巻き遠巻きで変わった事やリアルになったから肉付けされてること何かもあるんじゃないか?」

 

「そっか……。それならいいんだが……。」

 

そういってまた小田は静かに考え事を始めた。

これに関しては俺も少し持論がある。

と、言うのも俺から見たら簡単な話なのだ。

小田はこの世界その物を「ゲームの世界」と認識している。しかも何度もプレイしてイベント等を熟知している。少しでもゲームと違う部分が出てくると気になるのは当然である。

しかしここは、序盤しか書かれていない「ラノベの世界」なのだ。シナリオ何てどうとでもなる。

また、ゲームのノベライズではよく取られる別解釈によるシナリオ進行や、ストーリーの肉付けや単純なシナリオ追加、ストーリーの整合性等がある。

これは「プレイヤーが介入する余地」が多数あるゲームでは楽しめていた部分も、「ただ読むだけ」のノベライズにおいてはプレイヤーの操作による努力やクリアの達成感が無いので、ドラマチックさも無く退屈になってしまう事が多々あるのでそういう「ゲームとの違い」により世界観を広げているのだ。

今回もゲームのノベライズでは無いがその手法が取られているのだ。

恐らく、ヒロイン同士の横の繋がりが出来たことにより俺らが考えてるよりも多彩な出来事がゲームより増えたのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

昼休み

寒空の下、相模に俺と小田は呼び出され、屋上に来ていた。

「いやこんなところに呼び出してすまねえな。ここなら人いないだろ。お前らも伊賀から裾野がストーカー被害にあってるのは聞いたと思うが、犯人を探しだす手伝いしてくれねえか?」

 

「わざわざ呼び出されなくても俺も原も探してるさ。ま、今朝から始めたばかりだけどな。お前何か情報あるか?」

 

「いや、俺も何も分からないんだ。」

 

「そっか…なら、これからは俺ら三人で張っていくか。」

 

「そうだな。」

 

そんな少しの問答で話は終わり、外は寒いのでさっさと中に入ることにした。

俺以外は。

 

「ひぃーさみい!原も早く入れよ!」

 

「あぁ、ごめん。今日は空気澄んでて街の遠くまで見えるからもう少し見回してから戻るわ。先帰ってくれ。」

 

「了解」

さみいさみいといいながら小田も相模も足早に撤収していった。

 

「いるんだろ?」

 

「気づいてたのかよ。」

 

俺の問いかけに陰から出てきたのは、桐谷だった。

まさか本当にいるとは……。

前に小田から「桐谷は昼休みになると屋上にいる。」って聞いてたからいるだろうとは思ってたが…。

 

「今の話聞いてたろ?何か知ってることないか?」

 

「私が知ってるはずないだろ?」

 

当然である。

 

「だよなー。すまんありがとな。お前もこんな所いると風邪引いて綺麗な声出なくなるぞ。早く学校の中入れよ?」

 

何も情報を得られなかった……もとい有名人と少しでも話せて満足な俺は屋上を後にした。

 

 

 

「………綺麗な声?」

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