ゲームの世界に転生のライトノベルの世界に転生   作:ビョン

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一年生 三月第二週目  その1

2週間前………

 

「へー色んな楽器あるんだなぁ。」

 

「まあ軽音楽部だからな!」

 

俺の感心に声高らかに答えるは、軽音楽部所属「エンチャントガールズ」のボーカル岩槻メイだ。 

 

「にしても、相模が遂に軽音部に入ってくれるなんて………燃えるぜ!」

 

「わりいな、軽音部入る気はねえんだ。」

 

「なんだよー。白けるな……。じゃあ何だってんだよ。」

 

「原につられて小田とアサヒも楽器やりたいってさ……」

 

「何だそういうことか…」

 

俺が指を指した方を見て岩槻はニヤリと笑う。

原は既に自分のギターをアンプに繋げてじゃかじゃか弾き始めた。

小田はそれを真似て一緒にギターを弾く……もとい音を出してる。

アサヒはいつの間にかサラシを巻いてドラムをどんどこ叩いている。

 

「原は最初私に見せに来た時からメキメキと上手くなってるし、小田も八王子も筋はいいんじゃないか?」

 

「珍しいな。お前が音楽の事で褒めるなんて。」

 

「私もビックリしてるよ。…まあ、お前もベース弾けるし案外お前ら良いバンドになるんじゃないか?」

 

「だな。」

 

俺と岩槻は三人が奏でる音を聴きながら、静かに語らった。

 

 

 

 

 

 

そして今日。

 

「素晴らしい!!」

 

俺と小田がツインギターを相模がベースをアサヒがドラムを鳴らし四重奏を響かせ汗をかきながら演奏を終わらせるとパチパチと手を叩き感嘆の声を上げるメイちゃんが立っていた。

 

「僅か一週間でここまでなるなんて驚いた!!」

 

そりゃ当たり前だ。本気出せばこの世界では短時間で何でも出来る。それが極まったのだろう。

 

「師匠!やりましたね!」

 

「おう!!お前もすげえよ!」

 

「小田暴れすぎだろ!」

 

「相模も暴れてみろよ?楽しいぜ?」

 

お互いに俺らは意見を述べあっていると、嬉しくも懐かしそうな顔をしながらメイちゃんはポツリと呟いた。

 

「桐谷もこんな風に気の会う奴らとやってたらな……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桐谷はかつてこの部活に所属していた。

入部と同時に中学から仲の良かった友人達とバンドを組んだ。

それからは、バンドのみんなと部室に集まっては音楽の事を語らい、下らない事を話し合いこんな日々が卒業まで永遠に続くと思っていた。

しかし……

 

「このパート今日合わせるって約束だったじゃん!」

 

「ごめん~彼氏が会いたいって凄い言ってきて自主トレ出来なかった~」

 

夏休みに入ると、桐谷を除いた他のメンバーが彼氏やバイトを言い訳に練習をまともにやらなくなり徐々に全員のスキルが落ちていった。それより深刻なのは、バンド内の空気が最悪だった事が一番だ。

このままではマズイと感じた桐谷は一度メンバー全員を集め文化祭へ向けての全員の意識統一を図った。

だが桐谷を除いた全員のあまりにも低すぎるハードルに思わず桐谷は失言をしてしまった。

 

「みんなの低いハードルに私が合わせるから!」

 

この一言で桐谷と他のメンバーは大喧嘩。

メンバーもいなくなり、ひとりぼっちになった桐谷は徐々に部活に来なくなり、元メンバー達のおかげで根も葉もない嘘が出回り、遂には学校にもたまにしか来なくなってしまった。

 

「ま、裏設定だな。本編じゃそんなの関係なしに歌詞作るからな。」

 

先程の演奏のあと自主練で各々がイヤホンを付け音楽に合わせて楽器を奏でてる中、メイちゃんの独り言が気になった俺は小田のチートパワーを使い桐谷の過去を聞き出していた。

 

「なるほどなぁ……」

 

「気になるなら、たまに空き教室で練習してるから行ってみたら?確か……ゲームの表記上は『D棟2階』だったな。」

 

この学校は主にA~E棟の5つの校舎に分かれている。

A棟は一年生の教室、B棟が二年生の教室、C棟が三年生の教室、D棟が実習等で使う教室があり、今いるE棟は部室棟だ。

確かにこの間ばったり桐谷に会ったバレンタインの時、教室棟はチョコ貰えない奴らがうろうろしてるのが鬱陶しいからほぼ人のいないD棟に言ってたんだっけ。

 

「確か今日学校来てたよな?ちょっと見てくるわ。」

 

俺は小田にそう告げた。しかし既にイヤホンを付け自分の世界に入り込んでるこいつの耳には届いてないらしい。

 

とりあえずギターを持って単身D棟へ向かうことにした。

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