ゲームの世界に転生のライトノベルの世界に転生   作:ビョン

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僕が僕であるために

「今日で1-Cともお別れか」

 

「二年生になっても兄ちゃんと一緒のクラスなら良いな……なんて。」

 

「だな。俺もお前と一緒のクラスがいいな。」

 

「兄ちゃん……」

 

「あと、小田だろ?原だろ?アサヒにセリカ、花園も同じクラスなら良いな。」

 

「……そんなことだと思ってたよ……。」

 

 

 

 

「そういえばクラス替えってどうなんだ?」

 

相模とリカちゃんの話を聞いて気付く。ゲームの世界だから何か法則とかあるのだろうか?

 

「一年時のクラスメイトは三年間一緒だな。それに好感度が高いヒロインが上から三人増えていく。」

 

「なるほどなぁ……俺達は?」

 

「俺は女神の力で一緒だろうけど、お前はどうだか……。」

 

「こわ!」

 

 

 

 

 

 

 

「何かあんたたち今日ずっとソワソワしてるわね。」

 

朝教室に来てからゲリラライブでソワソワしている俺らに気付いたのかセリカが近付いてくる。

 

「し、してねえよ?」

 

「声震えてるじゃない。しかも唇真っ青だし。」

 

「僕はロックだ。僕はロックだ。僕はロックだ。僕はロックだ。僕はロックだ。僕はロックだ。僕はロックだ。僕はロックだ。僕はロックだ。」

 

「アサヒも何かぶつぶつ言ってるし。」

 

相模とアサヒもソワソワ……もとい調子がおかしくなってる。

 

「何かあるの?」

 

「んー。面白い事ならあるぜ。今日お前のために頑張るぜ。」

 

小田も変なキャラになってるし。

 

「な、なにいってるのよ!ちょっと原!みんなどうしたのよ!」

 

「ががががががががががが」

 

「原が一番バグってる!?」

 

もう足はがくがく顎もがくがく、何も言えない。

 

「セリカ様、私知っていますわよ男四人でこんなに緊張してるってことは今日は夜の町に一発繰り出すんですわ!」

 

「何言ってるの!?」

 

「へえー兄ちゃんそうなんだ……。」

 

「ちげえよ!?」

 

「小田もそんなとこ行くんだー……。最低。」

 

「ぐはっ!?勘違いで暴言やめて!?行かないから!」

 

「……クズ」

 

「ちょっと待て桐谷!お前は知ってるだろ!?」

 

「え?桐谷さん何か知ってるの!?」

 

不意に近付いてきた桐谷が俺をゴミを見るような目で見てきた。

そんなことを言われたので、ついゲリラライブを知っている桐谷に変なこと言っちまった。

しかしここ最近学校に来て、クラスにも溶け込めてきた桐谷はリカちゃんの質問を受け流す。

 

「私はなにも知らないよ。こいつらの事だから適当なこと言って誤魔化してるんでしょ。」

 

……予想以上に悪い方向に。

 

「えぇ……原くんそこまで必死に……キモ。」

 

「ちげえって!つうか花園!!変なこと言うな!!」

 

「変なこととは失礼な!男が集まって緊張してるときはそうだと執事の本庄が……」

 

「そんな執事クビにしちまえ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では、これで今学期の終業式を終わります。」

 

「お前らしけた面してんじゃねえぞ!!!今年もこの場をゲリラしちまうぜええええええ!!!」

 

「「「イエーイ!!」」」

 

 

退屈な終業式が終わると同時に軽音楽部の部長がマイクのハウリングお構いなしでライブの開始を告げる。

二年生はノリ良く反応するが一年生は狼狽えている。

ゲリラスプリングライブとは終業式が終わるとそのままライブに移行する。そしてそれは、基本的に下級生には言わないようにと暗黙のルールがある。

唯一ゲリラライブを知る一年数人が席から抜け出し、ステージの裏手へ回る。

 

「よし、全員集まったな。お前ら!今日は楽しもうぜ!」

 

「「おう!!」」

 

軽音楽部副部長の発破に俺らも気合いを入れる。

ライブは軽音楽部の一年生から始まり、その後一般参加の俺ら最後に二年生の先輩へと繋ぐ。

 

一年生が二組位終わると会場の熱気はもうハンパないって。

 

俺らの番が近付いてくる。

 

緊張で震える俺らの後ろから声がかけられた。

 

「先に行ってるぜ。」

 

悠々とステージに向かっていくのは、メイ率いる「エンチャントガールズ」の面々。

 

 

 

「~♪~♪」

 

「やっぱすげえなあいつらは。」

 

相模の漏らす声に俺らは頷く。

熱い演奏なのは分かっていたが全ての音がまとまり、ボーカルの美声を際立たさせる。

 

「僕もあんな風に出来るかな……。」

 

「出来るさ、俺らなら。だろ?原。」

 

「そうだな。よし、そろそろ出番だ。リーダー気合い入れてくれ!」

 

「よっしゃ、小田!アサヒ!原!俺らの力見せつけるぞ!」

 

「「「おう!!」」」

 

「原、お前の歌あの子に届かせてやれよ。」

 

「師匠!ファイトです!」

 

「俺らは一心同体。お前の気持ち俺らもぶつけるぜ!」

 

「お前ら……よし!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「エンチャントガールズの皆さんありがとうございました。それでは、次は一般参加枠に参ります。1-Cにお騒がせ四人の演奏がクロスする。『Xover』の皆さんよろしくお願いします。」

 

リカ、セリカ、花園はステージの上に上がってきた四人を見て思わず立ち上がる。

つい先程ソワソワしていた四人が輝くステージの上に立っているのだ。

桐谷は思わず笑ってしまいそうになる。あのステージに立っている男は私がギターを教えたのだと誇らしくなる。

 

「じゃあみんな、カバーばかりだけどとりあえず聞いてくれ。『オーバーワールド』」

 

原の歌から始まるこの曲は、この世界で流行っているバンドが初期の方に作った隠れた名曲である。

 

 

 

 世界を越えた先、君達と出会えたよ。

 こんな奇跡本当にあるんだな。

 あの日はきっと、どこにも転がってない

 一番 幸せな出来事――――

 

 

 

 

会場が沸き立つ。

リカもセリカも花園も大興奮だ。その横で桐谷は既に泣きそうになっていた。

「あいつ、あんな上手くなって……」

 

 

「みんな、次がラストなんだけどよ。この曲は俺がある人に送りたいから選んだんだ。」

 

「多分みんな辛いことや嫌なこと、上手く伝えられないことがあったりして死んでしまいたいと思うこともあるかもしれない。」

 

「でも、俺らは俺らなんだ。この世界を愛して何より自分自身を愛してこれからも生きていこうぜ!」

 

「じゃあ小田!!」

 

ギターを掻き鳴らす。

 

「アサヒ!!」

 

ドラムを響かせる。

 

「相模!!」

 

ベースのスラップを披露する。

 

ニコリと満足そうに笑った原は自分のギター持ち直すと静かに呟いた。

「聴いてくれ、『My world』」

 

 

 

 

小田のギターがどこまでも続く長く暗いトンネルの中を走っているようなメロディーを流す。

 

 壁にもたれて一晩中考えていたんだ自分の事―――

 

「あいつ……」

この曲は一緒に練習していない。

だからこそ、歌詞のワンフレーズで自分に向けてだと桐谷は理解した。

 

 僕が僕であるために……失っちゃいけないモノはなに?

 

 たった一度のMissを何度もクヨクヨしないで――

 

 

自分の一度のMiss、失言を思い出す。

あの時何で私はあんなことを………

 

 大事にしたいと思うほど、どうして離れていくんだろう?

 「もうこれ以上はない」と言いながらまた求めるけど

 

そうだ、私は友達がいらないと孤独でいいと思いながらも原の優しさが皆の暖かさが嬉しかったんだ。

 

 簡単に出ない答えは辛くて苦しいよ

 

あぁ、私はずっと苦しかった。もがいていたんだ。

 

 

曲も終盤。

徐々に盛り上がっていく演奏に、皆が引き込まれていく。

そして、桐谷は息が止まるような歌詞を聴く。

 

 

 

 

 伝わらなくて投げ出した、全部壊れてしまえばいいと思っていたでも違う

悲しみさえ優しさに変えていければ少しずつだけど世界を好きになれる

 

 

 

桐谷はとうとう泣き出してしまった。

私は伝わらないと他のものに目を向けず全て投げたして逃げたしたのだ。そんな悲しさも優しさにすれば世界を愛せる。自分の悩みを全て答えてくれたその力強い歌詞に歌声に、彼女は全てを持ってかれたのである。

いつの間にか、横にいたメイが優しく抱き締める。彼らの演奏に、優しさに桐谷の過去を知るメイも思わず目から涙が零れる。

 

 僕が僕であるために それがナニかを探して

 傷付き立ち止まり辛くて苦しいよ

 

「あいつらいい曲選んでくるな。」

 

「うん……」

 

 だけど一度きりだ自分をクヨクヨ責めずに

 歩けば 愛せるさ My world

 

「お前を支えてくれる奴はこんなにいるんだな。」

 

「うん………うん……………」

 

 

 光は進む先にある―――

 

 

 

「Xoverの皆さんありがとうございました。」

 

会場は今日一番の歓声に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「兄ちゃん最高の演奏だったよー!」

 

「おう!!聴いてくれてサンキューな!」

 

 

「八王子さん!力強い素晴らしいドラムでしたわ!」

 

「えへへ~。ありがとう!」

 

 

「ちょっとカッコ良かったわよ。」

 

「え?何だって?」

 

「聞いてなさいよ!」

 

「ごふ!!お、俺はセリカちゃんの為に演奏したのに…うぐ」

 

「ば、馬鹿!」

 

 

 

「あいつら元気だな~。」

 

教室のいつもの場所でいつものように馬鹿やっているあいつらを見ると現実に戻ってきたとほっとする。

あのまばゆいステージは最高の場所だったけど、こっちの方が好きかな。

 

教室を見回すが俺が一番話したかった奴は見当たらない。

そうするとリカちゃんが俺の方に近付いてくる。

 

「桐谷ちゃんなら、いつもの空き教室にいるって。ライン送られて来たよ。」

 

「おう、ありがとうな!」

 

あいつはこの歌を送らなくても一人で立ててたのかも知れない。

俺はD棟へ走っていった。

 

 

 

 

 

 

教室に入ると目を真っ赤にした桐谷が座っていた。

 

「俺の歌、どうだった。」

 

「え?フフ、最高だった。」

 

「そりゃ良かった。隠すの大変だったぜ。」

 

「そう……ねえ?何であの歌を?」

 

「お前の過去聞いてすげえ悲しくなっちゃってさ。お節介でお前のためにと思ってだけど、そんなことしなくても意外と強かったんだな。」

 

「そんなわけないじゃん……」

 

そういうと俺の胸に頭を預け抱き締めて来た。

ヤバい、捕まる!捕まる!

 

「ちょっと、これは……」

 

「お願い、今だけでいい。こうしてたいの……。」

 

「あぁ分かったよ。」

 

俺は子供をあやす母親のように優しく抱きしめた。

 

 

 

 

 

 

 

「私がディーヴァって気付いてるんでしょ?」

 

「あぁ、何でわかった?」

 

「毎週演奏聴きに来てくれてるし、そんな話したこと無い時に『綺麗な声』って言ってたしさ。お世辞かも知れないけど。」

 

「お世辞じゃないさ。お前の演奏を聞いて俺はギター始めたんだよ。」

 

「そうなんだ……、ンフフ。僕が僕であるために~♪」

 

「何だハマったのか桐谷?」

 

「今度からは下の名前で呼んで。」

 

「良いのか?……じゃあカナデ、その歌ハマったのか?」

 

「うん!大好き!」

 

 

 

 

この世界に来て3ヶ月。

季節は変わり春になる。

最初は戸惑うこともたくさんあったけどこの世界の俺が俺であるために、最高の仲間達と楽しく学園生活を送っています。




歌詞の部分に問題があれば添削、編集致します。

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