「このクラスにいるヒロインを把握しよう。」
昼休みに席で飯を食っていると、小田の完璧な思い付きが始まった。
「なんで?」
「いやそんなキレ気味に質問されても……。というか学生なんだからクラスの人間位覚えろよ。」
「あ、そっか。」
確かにヒロインを知るというなら面倒だが、クラスの人間を覚えるとなると面倒だがやらなきゃいけないことだ。
「じゃあ理解してくれた所で、まずはあの子」
小田が机に突っ伏しクッションを枕にして寝ている栗毛の女子生徒を指差す。
「あの子は属性天然の駿河ハルカだね。」
「ふーん天然ねえ……あれ?」
「気付いたか?」
小田が目で確認してきたので気づいた矛盾点を上げた。
「セリカも実は天然って設定だよな?かぶってねえか?」
「そうなんだよ。かぶってんだよ。」
この手のゲームでの属性かぶりは致命的だ。
それにセリカはツンデレという王道的な属性ヒロインだ。
これに被るのはヒロインとしては致命的だ。
「で?属性はわかったけどどんな人なの?」
「話してみた方が分かるだろ?丁度起きたぜ。」
目が覚め伸びをする駿河に俺ら二人は話しかけることにした。
「やあ、駿河さんおはよう。」
「おはよーう。あれ?小田くんと~原くん~どうしたの~?」
キョトンとした顔で俺らに質問をする駿河。
「いや、原が駿河さんとお話したいってさ。」
「うわここで裏切るのかよ。」
ヘタレて最初から裏切るとか、ほんとにこいつは陰キャの塊のような人間だ。
「原くんなーに?」
「あぁ、えーっと…。そのクッションは……?」
「ああこれー?私のお気に入りのクッションだよー。」
「へー。……えっと……。」
「そういえば~小田くんと~原くんの~ライブ~カッコ良かったよ~。」
「ありがとう。でもそれもう一月も前の話……」
「そうだっけー?」
「はいちょっと小田集合!」
駿河が後ろであれー?と考えてるなか俺は小田と共に背を向ける。
「これ天然じゃなくね?」
「あ?気付いた?」
「だよな?俺考えてた天然ってドジっ子イメージしてたんだけど!これ名前つけるならおっとりとかじゃない?度が過ぎてるけど。」
「ちなみに元の世界でもこのキャラ付けは違うだろと、炎上してたよ。」
「なるほど……。あとこれ個人的な意見だけどこいつに萌えは感じないぞ。一つの文章間延びし過ぎだろ。芸人がやってる関取の子供の時の真似みたいだぞ。」
「まぁまぁ、そんなこと言わずに……」
「どうしたの~?原くん~小田くん~?」
「今なんでもないよ…あはは。」
「そういえばね~こないだね~。駅前にいったときね~。」
駿河はニコニコしながら自分のエピソードをしだした。
そして10分後………
「なんとね~、私が欲しかったね~色だけがね~無かったんだ~。だから私は~」
俺と小田はこの山無し落ち無しのつまらなーい話を聞き続けてた。流石に話が長すぎて思考がまとまらなくなってきた。
「そういえば駿河ちゃんはお話好きだったんだ…。いつもテキストスキップで飛ばしてたから忘れてた…。このままだと昼休み残りあと10分はこのままだ。」
小田のあまりに残酷な呟きが俺の阿玉の中で響き渡る。
「それでね~、そのお店出たあとにね~ちょっとね~疲れちゃったからね~。」
キーンコーンカーンコーン
「お、二人とも昼休み中駿河殿と話してた様だがいつの間に仲良くなったんだ?」
「う~んとね~。このクラスのね~人をね~知ろうとね~」
「ちょっと待て。小田、お前そんな間延びした話し方だったか?」
「あのね~。僕ね~。」
「原のそれはもう日村だな。」