「なぁ、古河。」
「………どうした?」
「お前何で弁当でこんな旨くなるの?」
「確かに弁当って基本味落ちるのに、これはプロ級だな。」
「この卵焼きとか本当に美味しいよ!。」
「本当か……。それならよかった……。」
穏やかな陽気が校舎屋上を包むなか、俺ら野郎部員四人は先日仲良くなった古河が作ってきた弁当を頬張っていた。
「あれ?そういえば何で料理とか裁縫とか得意なんだっけ?」
「あぁ……。両親共働きで、弟妹も多いから何でもやってたら得意になったな…………。」
あぁそうかそうか。
そんな理由で、こいつは料理は一流。裁縫や工作とかも昔から修理とかしてたから得意らしい。
こんな家庭的な奴だが顔が怖い、というより目付きが凄く悪い。体格も高身長でがっしりと筋肉質である。
そして、話下手。ついでにドスが効いてる声だが小さい。
こんな調子だから、こいつは何もしてないのに周りから怖がられて敬遠され常に一人だった。
ま、こういう漫画の主人公設定的にはあるあるだな。
ちなみにこのままあるあるを突き進むと、こいつを怖がらないヒロインとこいつの本性を知った男友達と女友達が一人ずつ。ついでに単行本1巻の最終ページに仲良くなってきた主人公とヒロインの仲を引き裂こうとする新キャラも友達入りだな。
「そういえば、古河くんの悩みって何?」
一息着いたところで、本来の目的である古河の悩み相談をアサヒが切り出す。
「ああ、そうだったそうだった。」
完璧に悩み相談を忘れて寝ようとしてた小田も身体を起こす。
「……異性からやっぱりまだ怖がられている。」
「まあ、そんな顔してるからな。」
「バカ!直接的過ぎるぞ。」
俺の失言に小田が反応する。やべえやべえ。
「でも、うちの女性陣はお前の事怖がって無いじゃん。」
「……それは、お前らの紹介あったからだ。」
いや、あいつらが夢見るオタク向けに作られたキャラで、オタクコンプレックスの外見から入らない性格なだけだ。
「いやー食った食った。」
「あぁ、あんな旨い弁当初めてかもな。」
腹を膨らませた俺らは屋上から校内に入り階段を降りていく。
しかし、この学校の生徒は実にお行儀がいいのか、昼休みになっても廊下で走り回る奴がいない。
というか、昼休みに学生のほとんどが食堂に行っているのが原因だと思われる。
だから、廊下や階段は静かだしあまり人を見ない。
しかし、今日は少し違った。
「ねーねー良いじゃん。本なんか読んでるより俺らと遊んだ方が楽しいよ~。」
「い、いえ……その……」
「境さん…だっけ?よく見たら凄い美人さんじゃん。一人でいるのなんて勿体無いよ!今日カラオケ行こうよ~。」
「ええっと……」
「あれ?あれってお前のクラスの子だよね?」
「……そうだな。」
相模の確認にこくりと古河が頷く。
相模はしばらく顎に手をやり考えた後に頭の上に豆電球が現れたかと思うとにこにこしながら呟いた。
「あの子迷惑してるっぽいから、お前ちょっと助けてきてやれ」
「……………俺が?」