ゲームの世界に転生のライトノベルの世界に転生   作:ビョン

39 / 80
二年生 五月第三週目 その2

「まず俺の睡眠方法だが………」

 

俺がサラリーマン時代、次の日の仕事が嫌でしょうがなくそればかり考えて目が覚めてしまった時によくやった技を披露する。

 

「まず適当に自分がスポーツをしている場面を思い浮かべるんだ。そうだな……例えばサッカーのドリブルで相手チームの選手を抜いていく姿を想像するんだ。」

 

「ゴール入れることは考えなくていい。たまに左右にトラップかけたり、ジャンプして相手の頭の上越えたりありえないことでもいい。それを考えている内に段々と、ドリブルじゃなく別の事を勝手にやりだすようになる。」

 

「そうしたら成功だ。あとは、その流れに乗っていけば寝れる。」

 

俺の長い説明を理解したのか、持参したアイマスクと耳栓を付け毛布をかけ駿河はソファーに横になった。

 

 

 

 

「お前の寝方こええよ。」

 

「え?普通この寝方か、動画見ながら寝落ちのどちらかだろ?」

 

「なんか、その寝方寂しいな……。」

 

相模の本当に哀れむ顔に恥ずかしくなった俺は逆に聞き返した。

 

「じゃあお前寝れないときどうやって寝てんだよ!」

 

「俺か?俺は、寝れないとき思いきってエロゲーをするんだよ。」

 

「おう。」

 

「プレイして右下の時間を見るとまだ1時。まだ出来るな眠くないし。」

 

「またプレイして右下の時間を見ると3時。そろそろ寝たいな。いい具合に眠いし。」

 

「もう少しプレイして右下の時間を見ると5時。もう眠いし寝たいけど今いいところ。」

 

「最後に右下の時間を見ると7時。だめだこりゃ。」

 

「寝てねえじゃねえか!!だめだこりゃ。じゃねえよ!3時の時点で寝ろよ!」

 

「俺を寝かしてくれないのさ。レディ達が。」

 

そういえばこいつ並々ならぬエロゲへの愛がある奴だったな。忘れていた。

だが、こいつのこの行為はあの子にとっては許せない行為だ?

 

「おいもうこいつダメだろ。ねえ?リカちゃん?」

 

「兄ちゃんいつもそんなことやってたんだ……。」

 

「え?あ、その、嘘だよーん……」

 

「正座。」

 

「え?」

 

「正座。」

 

「いや、今みんないるし後で家に帰ってから……」

 

「正座」

 

「は、はい。」

 

教室の隅で綺麗に小さくまとまって正座した相模と、その前に行き普通に説教したリカちゃんを俺らが見ているとアイマスクを上げながら駿河が呟いた。

 

「どこまでもドリブルしてるけど寝れないです……。」

 

あ、ダメだったのね。

 

 

「寝れないときは腕立てをして疲れるようにしてます!!」

 

アサヒの提案通り駿河も腕立てしようとするが、

 

「……出来ないです。」

 

まず腕立てが出来なかった。

 

「……あともう今死ぬほど疲れています。」

 

まず、この寝方ではなかったようだ。

 

 

 

「やっぱりリラックスして寝ないと。」

 

セリカの提案通り心が落ち着く匂いが出るアロマと草原の風の音や海の波の音が流れるCDを流したが……。

 

「……なんか寝れないです。」

 

ようは、単純な音に気を取られてしまうらしい。

 

「なら歌がいいね。歌詞をなんとなく追っていけば段々眠くなるし。」

 

カナデの提案でカナデ所有の音楽再生機器から高いイヤホンを通して最高にクリアな曲を聞いて寝る作戦に移ったが……。

 

「なんか、シャンシャンなってね?」

 

「そう?」

 

「なんかすげえ寝ずらそうだけど?」

 

「私のお気に入りの曲なんだけどな。」

 

「……ちょっと失礼。」

 

駿河のイヤホンを外し耳に付けてみると、ごりっごりのロックが大音量で流れていた。

 

「お前は寝れても普通の人間は寝れねえからこれ!」

 

「うそ……。それで寝れない人がいるなんて……。私もメイもそれで寝てるよ……?」

 

「お前とあいつがそういう人なだけだから!」

 

 

 

「じゃあこちらの曲ですわ!」

 

花園が差し出したイヤホンを付けた駿河がまた寝苦しそうにしていたので、またイヤホンを借りて耳に付けてみると今度は大音量のクラシック。

 

「なにこれ!?品のいい拷問!?お前らなんでまともな音量で音楽聞けないんだよ!」

 

「本物はこの数倍の迫力ですわ!」

 

「寝る前に本物の迫力いらねえだろ!」

 

 

 

 

「じゃあ次は俺か…。」

 

「いや、お前はいいや。手にボックスティッシュ持ってる時点でその睡眠導入方使えるの俺らだけだし。」 

 

「あ、はい。」

 

 

 

 

「みんな不甲斐ないな。私の奥義を見せてやろう。」

 

ラストバッターアヤノが駿河の前に座る。

 

「私の方法は他の人達とは違う。強制的に眠る方法だ。」

 

「……はい。」

 

アヤノは首筋を出しそこを指差す。

 

「大体ここら辺に強い衝撃を与えると眠れる。」

 

「……え?」

 

「そうだな。こんな感じだ。」

 

そういうとアヤノは、首に思いっきり自分で手刀を当てた。

ばたりと白目を剥きながら倒れるアヤノを俺らは無視することにした。

 

 

 

 

 

 

 

「すまん。全然力になれなかった。」

 

小田が頭を下げる。

 

「うぅん。みんなの話を聞いても私が寝れないのが行けないんだよ。」

 

「そんな……」

 

「……あ、そうだったスマホスマホ。」

 

駿河がいそいそとスマホを出して画面をタッチし始める。

 

「あれ?駿河ちゃんってスマホだったけ?」

 

「先週買ってもらったんだ。」

 

ん?

 

「これあるだけで凄い生活が変わるんだね。」

 

んん?

 

「最近はツイッターとユーチューブずっと見てるよ。」

 

これ寝れてないの単純にスマホのいじりすぎじゃね?

 

「授業中も隠れて見てたり、何が来てるか考えたりしてるのが楽しいんだ。」

 

「今すぐスマホやめろ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、スマホとある程度距離を置いてみた彼女は、その日の夜久方ぶりの熟睡に付き眠り続け一週間姿を表すことはなかった。

日暮かよ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。