ゲームの世界に転生のライトノベルの世界に転生   作:ビョン

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DL・HEROその2

高井戸先輩の依頼も終わり俺らは原たち別動隊がいるグラウンドへ向かっていた。

 

「やけに外が騒がしいな。」 

 

小田が言う通り、グラウンドの方から黄色い声援が聞こえてくる。

 

「芸能人とか来てるのかな?」

 

「その様な情報聞いてないが………。」

 

ゲームの方だとこんな黄色い声援に囲まれるキャラはいないはずだ。

となると、漫画世界の方のキャラか?

そこまで考えて以前原が言っていた事を思い出す。

 

「たまに俺が何やっても周りから聖人の如く崇められる事があるんだよな。お前ある?」

 

なるほど今日に限ってこんなことになってるなら、そういう事なんだろう。あと俺は原のような経験はないから羨ましい。

 

グラウンドに出ると予想通りの光景が広がっていた。

 

「原さん!もう一球お願いします!」

 

「師匠!次はこれでいきましょう!」

 

「よし行くぞ!」

 

スパーン!

キャアアアアア!

 

「神田さん!そんなんじゃ甲子園なんて夢のまた夢ですわ!!」

 

「は、はい!!よっしゃ次お願いします!」

 

 

「何これ?」

 

「何だろうね……」

 

相模とリカちゃんが目の前の状況を飲み込めずにいる。

 

「何やってんだか……。」

 

思わず頭を抱える。

あいつはいつもそうだ。

口では「異常に褒められるのが嫌だ」と言いながらすぐ調子に乗る。

そろそろその悪い癖を俺が打ち砕いてやる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スパーン!

 

「原さんやっぱり球が早い……。こんな打てないんじゃ部員集めて甲子園なんて夢のまた夢……。」

 

「一年生。一打席だけ俺にくれ。」

 

「あなたは……。」

 

「小田か。」

 

 

原が呟く。

呆然としていた俺やリカを置いて、小田が打席でバッドを構えた。

 

「どうした小田。依頼は終わったのか?」

 

「あぁ、終わったさ。次はすぐ天狗になる奴の鼻でもへし折ってやろうと思ってさ。」

 

「……ハッ、上等。俺の球にビビって小便漏らすなよ?」

 

「言ってろ。お前こそご自慢のヘロヘロボール打たれて大泣きすんじゃねえぞ?」

 

二人の視線がぶつかる。

さっきまで大騒ぎしていたアサヒも花園も依頼者も周りで見ていたオーディエンスも固唾を飲み込む。

 

「何やってんのこれ?」

 

部室の方から桐谷とセリカが歩いてくるなり、周りの異常な雰囲気に気付き質問してくる。

 

「わからない……。しかし、二人の意地のぶつかり合いの様な物を感じる……。」

 

今まで静観を貫いてきたアヤノがポツリと呟いた。

 

 

 

原が振りかぶり第一球を投げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スパーン!

 

くっ!やはり早い。

口だけでは無いということか。

手元で早くなるようなそんな感じだ。

 

「おいおい。そこに立ってるだけが野球じゃないぜ?」

 

「普通は第一球は球を見るんだよ。」

 

「じゃあこんな球も見せてやるぜ。」

 

 

原が投げる。

さっきよりも遅い球。

しかしその軌道は大きく曲がる。

 

「おっと。曲がりすぎてボールだな。」

 

「そんな計算もできないなんてアホだな。」

 

「お前にアホと言われるなんて心外だな。次いくぜ!」

 

 

 

次の球は一球目と同じ速球。

だがここは!

 

金属バッドが弱い高音を上げる。

打球は力無く大きく横にそれる。

 

 

 

「まさか、反応されるとはな。」

 

「ここからがリベンジだ。」

 

 

その後数球奴が投げる速球とカーブを尽くファールゾーンに打っていく。

そしてあるときから体力が切れたのか急に球が遅くなり変化球もコントロールが上手くいってないようだ。

ボールが積まれていく。

 

そして3ボール2ストライクになった。

 

「打てない球ってボールだからか?」

 

「うるせえ……。次で決めてやる……。」

 

原が大きく肩で息をしながら投球モーションに入る。

 

「しまっ…………!?避けろ!!」

 

原が投げた球が一直線にヘルメットを着けていない俺の頭に向かってくる。

だがこんなところで死ぬわけにも、避けるわけにもいかない。

 

体を反らせながらバットを思いっきり振る。

 

「ランディーバース!!!!」

 

金属の甲高い音が響き渡る。

バットに当たった球は弧を描きフェンスを抜けていく。

 

 

 

 

 

「大丈夫か!?」

 

原が俺に駆け寄ってくる。

 

「お前は野球なんか今までやってこなかったんだから、変化球も上手く投げれないしペース配分も出来ないし殺人ボールも投げる。だから、何でも上手くいったからってすぐ調子に乗るなよ。」

 

「……あぁ、悪かった。」

 

「いいのさ、相棒!」

 

俺らは熱い握手を交わしお互いの健闘を称えあう。

 

「お二人とも!!ナイスプレー!!僕はもう涙が止まりません!!うおおおおおおお!!」

 

「僕もだよ神田くん!!青春最高!!うおおおおおおお!!」

 

「素晴らしい友情ですわ!!この汗と涙こそが青春ですのね!!」

 

走りよってきた三人を含め熱く包容しあう。

そうこれこそが青春!これこそが野球!

 

 

 

 

 

 

数分後

グランド裏

 

「なんだよ。」

 

「あれ見てまた投げたくなったんでしょう?顔にそう書いてるよ。」

 

「でも……。」

 

「えっちゃんがリハビリ頑張って肩は完治したんでしょ!?それなのにどうして……。」

 

「俺は怖いんだ……。またあんな事になるのが……。誰も俺を必要になんてしてないよ。」

 

「それは……どうかな?」

 

「え?」

 

「……西宮英雄(ひいろ)君。僕は野球部の神田。頼む!今の野球部には君の力が必要なんだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後

「いや報告書読んでもあの時何があったのか、一向にわからないわ。」

 

相模が俺と小田が書き上げた報告書を見ながら頭を抱える。

 

「まあまあ、私もよくわからなかったけどあの騒ぎを見て野球部には大量の入部希望者がきて、今では部員があの時の30倍だって。噂によると怪我から復帰した天才ピッチャーも入ったみたいだよ。」

 

「天才ピッチャーなんて本当にいるのか……。ま、部活が出来てるようならそれでいいんだけどさ。」

 

相模は椅子の背にもたれ掛かるとリカちゃんが入れてくれたお茶を一啜りした。

 

「じゃあ俺はこれで帰るよ。」

 

「おう、原お疲れ。」

 

「また明日ね。」

 

 

部室を出ると、あらゆる音が放課後を伝えてくれる。

吹奏楽の練習の音。女子生徒達の掛け声。男子生徒の力強い声。

そういえば古河に新しい友達が出来たらしい。

顔は合わせていないがどんな奴なんだろう。

 

 

そんな学生としてはたぶん当たり前の。俺としては新鮮なことを考えながらとりあえずは、小田が待つ昇降口へ向かった。

 

 

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