ゲームの世界に転生のライトノベルの世界に転生   作:ビョン

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一年生 一月第四週目  その4

「ん………あぁ?」

 

俺は窓から差し込む夕日が眩しくて目を覚ました。

ここ最近見る白い天井………。ああそうか。またセリカの弁当食べて倒れたのか。

ふとベッドの横に人影が見えたのでそちらを見ると、涙ぐんだセリカが小さい体を更に小さくして座っていた。

 

「ごめんなさい……。」

 

「ああ。気にしてないよ。」

 

「違うの……。」

 

そういうとセリカは息を大きく吐き出してから泣かないように力を込めながらポツリポツリと語りだした。

 

「あの後、小田君も弁当食べて…倒れちゃって……。でもその前にあんた……君が大袈裟とか言っちゃって……。料理も特に味見しないで持ってきて……。そしたら、原君に『料理下手な奴が味見もしないで持ってきたものを、文句の一つも言わずに食べてくれる奴に大袈裟とか調子乗ってるんじゃねえ』って怒られて………。それで私今まで君に酷いことしてきたなって気付いて……。それで、それで……。」

 

「もういいよ。」

 

セリカは涙をこらえながらも言葉を紡いでくれた。

かなり滅入ってるらしく、言ってる事もぐちゃぐちゃだが大体理解した。俺は子供をあやすように頭を撫でた。

 

「確かに原の言うことは、最もだ。今度はきちんと味見して料理作ってくれよ?楽しみに待ってるからよ。」

 

「うう、うわぁああああん!!」

 

白とオレンジの部屋に、青が混じった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「原君凄い漢らしかったなぁ………。」

 

放課後、夕日が差し込む教室に疲れきり机に突っ伏す原と憧れの眼差しを向けるアサヒ。それに幼馴染みが心配なのかソワソワしながら待つリカちゃんとまだ全身ピクピクする俺の四人がいた。

 

「漢とかどうでもいいよぉ。これ確実に筋肉痛だよ。もう全身ダルいよぉ。身体が若いから既に始まってるよぉ。」

 

原は昼休み終わり、俺と相模を保険室に連れていきセリカちゃんに怒鳴ってからずっとこう……らしい。

 

「大体お前が倒れなきゃここまでじゃ無いんだが?」

 

原は顔をこちらに向けギロリと睨んだ。

 

「悪かったって。俺もタコさんウインナーでぶっ倒れるとは思わなかったからさ。今度何か奢るからさ。」

 

「当たり前だわ。モルツ1ダースだな。」

 

「あんまお酒は良くないと思うけど……。」

 

「じょ、冗談だよ。」

 

リカちゃんの優しい注意に原は、慌てて訂正する。

こいつは転生前はオッサンだったな。失言も少なくなる分俺は転生前から高校生でよかった~。

 

「八王子も………。もっと筋肉つけような?」

 

「はい!師匠!僕も鍛練に励みます!!」

 

「師匠?まあなんでもいいや……。」

 

「しかし師匠の対応は大人ですね!!」

 

「確かに、あんなに兄ちゃんの為に怒ったりも凄い大人っぽかったよ~。」

 

「リカちゃん、原は相模の為じゃない。セリカちゃんの為に怒ったんだよ。」

 

リカちゃんの言葉を俺が訂正すると、原は恥ずかしそうに窓の外に目をやり静かに呟いた。

 

「子供が間違えたら大人が指摘してやるのさ。」

 

「大人?」

 

「いや……周りが正してあげるのいい間違い。それにしてもセリカちゃんいい子だね~。俺の言葉に機嫌悪くならずに謝りに行くなんて。」

 

「原、爺くさい」

 

「おっとこれは失敬。」

 

そう言うと原はまた照れ臭そうに外を眺めた。

 

「すまねえ、待たせた。」

 

その声と共にがらがらと教室のドアが開く。

 

いつも通りの相模と目を真っ赤に腫らしたセリカちゃんが立っていた。

 

「あ!相模君!もう大丈夫?」

 

「あぁ、この通りピンピンしてるぜ。」

 

アサヒの不安そうな顔にも歯をキラリと覗かせて爽やかに答えた。

 

「んじゃ帰るか。マジで疲れたぜ。」

 

「原、悪かったな。ありがとう。」

 

相模は原の前で感謝と謝罪が含まれた声で頭を下げた

恐らくその言葉は、保険室に連れてってもらった事だけじゃない。

いくらギャルゲー主人公でもプレイヤーの俺らからはわからない気持ちもたくさんあるに決まってる。

相模はセリカに料理の事で言い出せない事もあるだろう。

それを汚れ役という形で原は引き受けた。本人にその気があるのかわからないが。

 

「いや、いいさ。自分から地雷踏みに行ったやつよりマシさ。」

 

「だから悪かったって。ごめんごめん。」

 

原は相当根にもってるらしい。

 

「今度モルツでも、何でもお納めしますから……。」

 

「忘れんなよ。俺はつまみ買って待ってるからな。」

 

「師匠お供してもよろしいでしょうか!?」

 

「あぁ、ビールの旨さを教えてやる」

 

 

そんな原とアサヒのアホな会話をリカちゃんが止めた。

 

「いや、だからお酒はダメだからね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜―――。

 

原は一人ベッドでもがき苦しんでいた。迸る冷や汗と鳥肌が止まらず寝るのは至難の技となっていた。彼はこの世界特有の症状に苦しんでいた。

 

 

 

 

 

何で全て俺が聖人っぽい事になってるんだ!?

 

あの二人を保険室に一人で連れて行ったのは普通乃ことだし、セリカに怒ったのはその疲れによる八つ当たりが8割だった。

なのに、周りからは「セリカの為に怒った。」と思われるし、帰り道でセリカに「気付かせてくれてありがとう。」とか言われるし、何か師匠とか言われるし。

 

何か全て恥ずかしくなってくる。アイツら俺のなんなんだ。何でそんな俺を評価しようとするんだ!?小田も何わかってる風気取ってんだ!?

 

 

 

 

 

 

そして夜が更けていく。

 

「よし!今日は集合時間ピッタリだな!」

テンローン

「ライン?原からだ?えっと………」

 

 

 

 

 

『筋肉痛と寝不足で起き上がれません。タステケ』

 

 

 

 

 

 

 

 

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