ゲームの世界に転生のライトノベルの世界に転生   作:ビョン

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夏休み合宿2日目 その3

桐谷ちゃんの部屋の前に行くと、中から音が聞こえる。

耳を澄ますと波音と共に男の声……原の声が聞こえる。

 

『俺はこの世界の人間じゃない。』

 

 

 

「桐谷ちゃん!俺!小田!ちょっと今のなに!?」

 

「小田!?何でここに!?」

 

桐谷ちゃんがビックリした顔でドアを開ける。

 

「今の聞いてた……?」

 

彼女が持っている機械から先程の音声がリピートされている。

あいつ、気づかず喋ったな。

 

「あぁ、聞いてた。これは?」

 

俺が機械を指差すと、桐谷ちゃんは涙に濡れた目で

 

「わからないの……この言葉の意味も!昨日あったことも!もうわからないの!」

 

錯乱したように俺に不安をぶつけた。

 

とりあえずあいつに一人ですぐ帰ってくるようにラインを送り、彼女から昨日起きた不思議な出来事の話を聞いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今すぐ一人で別荘に帰ってこい。」

 

何だ?

小田からのラインに頭を捻る。

 

「おーい!そっちの木はどうだ!?」

 

「えーっと、カブトオス一匹にコクワオス一匹だー!!」

 

相模の問いかけに返事をしながら、アヤノに持っている虫かごの中に見つけた虫を入れてもらっていた。

おじさんになると昔触れてた虫が触れなくなって困るね。

 

「アヤノ、ごめん。俺一回別荘戻るわ。」

 

「どうした?何かあったか?」

 

「いや、ちょっとトイレ。」

 

そう告げると俺は山を降りていき、別荘に向かった。

 

 

 

 

 

別荘に着くと、小田が玄関で待ち構えていた。

 

「どうしたの?……とりあえず手を洗わせてくれ。」

 

「あぁ……。お前昨日ユウに会ったのか?」

 

「会ったなぁ、カナデも一緒だった。朝、カナデにも説明したよ。」

 

「桐谷ちゃんが寝た後に、ユウに自分の正体言っただろう?」

 

「確か言ったなぁ……。でもなんで知ってるの?お前もユウに会った?」

 

「……バカが。その会話カナデちゃんが録音してたんだよ。」

 

濡れた手から滴がゆっくり落ちていくのがわかった。

大体こういう時は俺がやらかした時だ。

 

「え……何で。」

 

「自分の弾いた曲聞き直そうとしたら聞いたらしいぜ。」

 

「……カナデは?」

 

「部屋にいる。………言うのか?」

 

「……すまん。そうなりそうだ。」

 

「わかったよ。ま、隠す意味も元々無かったんだけどな。とりあえず手と汗拭いたら桐谷ちゃんのところ行ってやれ。」

 

「悪い。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「カナデ、入っていいか?」

 

「……何でさ。」

 

「え?」

 

「何で別の世界から来てそんな平然としてられるのさ。」

 

涙で震える声が聞こえる。

俺は部屋に入り、ベッドで頭までシーツを被ってるカナデの横に腰を下ろした。

 

「今から言うことは全部本当の事だ。今まで黙っててごめん。俺……いや俺と小田ってさ、別の世界から来たんだ。今年の冬に気付いたらこの世界に来てたんだ。」

 

「……」

 

「元の世界ではさ、俺って20台後半でさ、もう仕事もしててさ、独身でさ、友達何て一人もいないような奴だったんだよ。」

 

「……」

 

「この世界に来てから、最初は塞ぎ混んだりもしたけど、小田とか相模とかお前みたいな友達も出来てさ。凄い楽しくて、それを無くしちゃうかもしれないから、大事なことをずっと黙ってて。何度も言おうとしたけど今日まで言えなかった。ごめん。」

 

「……いつかは元の世界に戻るの?また私の前からいなくなるの……?」

 

「……」

 

何も言えなかった。

俺は小田とは違い、何故この世界に来たのかも何かをすれば元の世界に戻れるのかすらも何もわかっていなかった。

 

 

「だけど今、ここにいる。それじゃダメかな?」

 

「そんなのいいわけないじゃん!」

 

カナデが突然立ち上がると俺の両肩を手で掴み床へと押し付けた。

 

「何勝手な事を言ってるの!?もうみんなあなた達がいないと穴が開くような日常を送っているんだよ!?あなた達がいる未来を思い描いているんだよ!?今だけじゃなくて明日も明後日もその次も!そんな日常をそんな未来を………気付いてよ!バカ!」

 

カナデの大きな目から出る大粒の涙が俺の顔に降り注ぐ。涙で震えた声がいやに頭に響き渡る。

 

そうか。

誰かの日常の背景だった俺はいつの間にか誰かの日常の登場人物になっていたんだ。

そんな俺が突然消えたら、話なんて続けていけないんだ。

 

 

「ごめん……ごめん…。」

いつの間にか俺も泣いていた。

俺もこんな大好きな人や友人を置いてあの退屈な日々に戻るなんて…心のそこからそう思ったのだ。

 

「俺も……ずっとみんなと、お前といたいよ……。」

 

 

 

 

 

「もういいのか?」

 

「みんな帰ってきたら集めよう。俺らの事を話すか。」

 

 

 

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