ゲームの世界に転生のライトノベルの世界に転生   作:ビョン

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夏祭り

「これがお祭りですわね!」

 

「そうだぞ!花園殿!これが祭だ!!」

 

花園とアヤノがまるで子供のようにテンションが上がりまくっている。

 

今日は夏といったらこれぞな大イベント、夏祭り。

 

近くの大きな神社の参道に沿って出店がところ狭しと並んでいるこの夏祭りはこの辺では一番大きな祭らしい。

 

昼には神輿が出て地元のパフォーマーの演劇が数本あって、夜になると盆踊りがあって…と、元の世界ではあまり見たことがない規模の祭だそうだ。

 

夕暮れ時にいつもの部員達が徐々に集まっていく。

 

「皆ちゃんとしたの着てくるんだなぁ。」

 

思わず呟く。

今集まってる花園もアヤノもアサヒも、向こうから歩いてきている相模もリカちゃんも全員甚平なり浴衣なりを来ている。

周りを見回すとほぼ全員そんな格好だ。

少なくとも俺みたいに、Tシャツに半パンにサンダルといういつものスタイルの奴は数えるほどしかいない。

 

「師匠は甚平着ないんですか?きっと似合いますよ?」

 

「あいにく、一枚も持ってないんだよなぁ。」

 

「あ、そうなんですか……。」

 

ちょっと残念そうな顔をするアサヒ。

すると、俺らの方に軽いステップで花園が寄ってきた。

 

「聞きましたわよ!そんなことでしたら!」パチン

 

「は?ちょ!ええ!?」

 

花園が指パッチンをすると同時にスーツを来た男数人に囲まれ、いつの間にかあった早着替えするのに使う丸いカーテンみたいなのの中に押し込まれ、あっという間に……。

 

「師匠!似合ってます!!」

 

「どうですの?」

 

「うわぁ!甚平に変わってる!ポケットの中に入れてたスマホとか財布もいつの間にか巾着の中にある!?」

 

「凄い驚きですわね……。」

 

いや、口に出した通り全ていつの間にかなので本当にびっくりしている。

 

「……花園、ありがとう!」

 

「いいってことよ、ですわ。」

 

何この子凄いイケメン……。

 

はわわ、としているとまた向こうからカナデが小走りで来た。

 

「ごめん、待った?あ、みんな浴衣……。」

 

「大丈夫ですわ。」パチン

 

「え!?何これ!?えぇえええ!」

 

普通の服装のカナデは、今度はメイドに囲まれてカーテンの中に押し込まれ一息つく間に鮮やかな浴衣姿に編み込まれた髪と完全装備になっていた。

 

 

 

 

「よし、これで全員だな。」

 

「あら?セリカ様と奴は?」

 

苦笑いの相模の呼び掛けに先程から大活躍の花園が問いかける。

 

「え……と、二人とも風邪じゃないのかな……あはははは。なあ?原?」

 

「俺!?」

 

 

一昨日の昼頃小田から俺と相模の元にラインが来ていた。

『俺、セリカちゃん、二人で行動、する、花園、注意引き付け、よろしく。』

 

「………何故カタコト?」

 

 

 

頼まれたからには、今は花園に何か言い訳をしなければいけない。

しかし、花園に今借りを作ったばかりだ。

むむむ。どうしよう。

 

「ええと……そうだよね兄ちゃん!」

 

リカちゃんが横から参戦する。

セリカから同じ根回しライン来てたな……。

 

しかし、あの二人だけがいないなんてどんな言い訳も通るわけがない。

恐る恐る花園の顔を見る。

 

「あら、そうなんですの?……って、騙されるかぁ!?あの二人だけ丁度風邪引いたなんておかしいでしょ!?」

 

あら、やっぱり。

慌ててリカちゃんがフォローをいれる。

 

「えっと、そう言うのじゃなくてね……。」

 

「……って以前までは怒っていましたわ。」

 

急に冷静な声で花園が喋る。

 

「え?」

 

「私だってあの二人がどんな関係なのかわかっております。確かにセリカ様を取られるのは凄く寂しいですが、私には大切なお友達が沢山出来ました。……それにアイツなら……小田なら預けられますわ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「花園も大人になったな…。」

 

先程の花園の言葉を噛み締めながら祭場を歩いていると、思わず涙が出そうになる。

結局知ってる奴としか仲良くしようとしない、引っ込み思案だった花園がこの部活のメンバーを信頼してくれたことが本当に嬉しい。

 

相模も部活のリーダーとして感極まっているのか、少し上を向いている。

他の奴等に気づかれるのが何か恥ずかしくって、お互い泣きそうなのを感づいていた俺らはフラッと参道を外れ細い小道を進んでいく。

 

 

そこにはあまり管理されてなさそうな小さな神社が設置されていた。

こんなの鼻緒が切れたヒロインをおんぶして連れてくる為だけの場所じゃん。とか、何であんなデカイ参道の近くにこんな小さな神社が手付かずの状態であるのか。とか、そんな小さなこと関係無しに俺らは二人で鼻を啜っていた。

 

ある程度泣き終わり、参道に戻ろうと振り向くといつの間にかそこですすり泣きしている男と相模がぶつかった。周りを見回すと、何人かしっかり足の生えている人間達がまるで街頭に集まった虫のように群がってすすり泣いている。ここは鼻緒の場所じゃなくてすすり泣きの場所なの?

 

普通に不気味なのでそそくさ参道に戻り先を歩いているメンバーと合流した。

 

 

 

 

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