小田「夏休みも半分過ぎちまったな。」
原「だな~。」
小田「やり残したことがある気がするよな。」
原「だな~。」
小田「……この間行った夏祭り以降どこにも行ってないぞ。」
原「だな~。」
小田「いや他の奴等今から遊び誘えよ。」
原「んなもん今盆だぞ?大体みんな親と旅行か、ばあちゃん家に行ってて誰も捕まらねえんだよ。」
小田「だよなぁ……。」
ガチャ
相模「お疲れっす~。アイス買ってきたぞ~。」
原「あいつを除けばな。」
小田「あいつ家族の絡みとか全く無さそうだもんな……。」
相模「うわ、完全にだらけきってるな。何かやることないの?宿題とか?お前ら終わった?」
原「終わった~。」
小田「それ写した~。」
相模「いや、写したらダメだろ。原も、こいつの為にならないだろ?」
原「どうせ夏休みやった宿題の内容なんて秋のテストの時には消え去ってるんだよ。一番大事なのは必要な時に必要な復習が出来る事。つまり、写した答えをコピーしてそれを繰り返し復習することが大事。」
相模「本当は?」
小田「5回パシリで手を打って貰いました。」
相模「なるほどな。俺はしっかり一人の力でやろうっと。」
「って言ってたよな?」
8月31日。夏休み最終日。
俺の前で相模が正座をして縮こまってる。
いつものように、朝早く起きた俺はストレッチをしているとチャイムが鳴った。
ドアを開けるとそこには相模が半泣きになりながら大量の宿題を抱えていた。
「ごめんなさい……。手伝って下さい……。」
「とりあえずテキストの答え一式だ。これ写しとけ。」
「ありがとう……これで何とか宿題終わりそうだ……。」
「いや、他にも読書感想文と論文と音楽感想文あるからな?」
「嘘だろ!?」
「宿題の内容ぐらい把握しとけよ……」
相模の安堵から急転直下絶望するのをみて頭が痛くなる。
「とりあえずテキスト写せ。他のはこっちで下地を考えておいてやる。」
相模がそそくさと机に向かい写しを始めた。
さて……読書感想文はあらかたどうすればいいか見えている。となると論文と音楽感想文か……。
どうしたもんかいと考えていると、スマホからラインの通知音が聞こえた。
画面を開くとリカちゃんからだ。
『そちらのお宅にバカいっておりませんか?』
「相模ー。何でお前俺んちに来たのー!?」
「リカが怖くて。お前テキスト写させてくれるし。」
「そっかー。」
『奴なら今うちにおります。』
10分後リカちゃんがうちのチャイムを鳴らす。
俺がドアを開け招き入れると、礼儀正しく家に入り土産を俺に渡し相模にガミガミ怒りにいった。
怒られながら必死に宿題を写してる相模の後ろ姿を見ると、生前の上司にぐちぐち言われながら作業している俺を重なった。
あまりにも可哀想になったんで、小田も呼びつけ相模のテキスト以外の宿題を俺とリカちゃんと小田の三人で考えることにした。
「テキスト全部写し終わったー!」
「はいお疲れ。」
時計は11時を指す。
7時過ぎから始めたから4時間程度やった事になる。
写すだけでこれってマジでどんだけ多いんだよ……。残業確定だな。
「じゃあ明日から兄ちゃんはこの宿題と同じ内容をもう一周やるとして…」
「え?マジで?」
「まずは読書感想文だね。」
「え?リカ無視?」
そう、まずは読書感想文。
時間帯的にも丁度いい。
「でも、今から本読むの?漫画とかラノベじゃダメ?」
「ダメだけど、本は読まなくていいわ。」
「どういう事?」
「借りてきたよ。」
小田が汗を滴ながら黒い小さなバッグを持ってきた。
黒いバッグの中から2枚のDVDを出すと相模の前に並べた。
「この二枚は原作が小説または小説版もある物語だ。これを昼飯食いながら見たら本読まなくても書けるだろ?」
「アザっす!」
「『君の名は』と『君の膵臓食べたい』どっちがいい?どっちも若者に大人気だぞ?……って小田。お前これキミスイ実写の方じゃねえか。」
「え?違うの?」
「キミスイは実写だと目線が違うんだよなぁ……。まあ小栗旬がカッコいいけどな。」
「マジかよ。小栗旬カッコいいんだったら見よ。」
「じゃあ『君の名は』だな。ちなみに観たことは?」
「無いです。」
「あっそ……。」
こうしてキミスイは後日観ることにして、今回は『君の名は』の読書感想文を書くことにした。
ちなみに俺とリカちゃんは観ないでも書けるほど内容を覚えていたので、ある程度ワードを考えておくことにした。