「ここは……?」
立ち上がり周りを見渡すが青空がただただ広がっている。
足下には高密度の雲が素足を優しく包む。
寝ぼけた頭を回転させ今の状況を考える。
相模の夏休みの宿題を終わらせ疲れ果てた俺は、皆が帰るとそのままベッドで寝てしまったはずだ。
何だこれは……どういう事だ……?
「あなたがイレギュラーだったのですね。遂に見つけましたよ。」
その声は温かく、そしてどこまでも綺麗な。
そんな印象を感じた。
「誰だ?」
「私は、女神アストラ。小田君をこの世界に転生させた張本人で、この世界を監理している神です。」
「あぁ、あなたが。」
小田がこの世界に転生するときに一度、漫画の世界とこの世界が結合するときに一度姿を表した女神様。
「イレギュラー?」
今更になって何故かその言葉が引っ掛かった。
「えぇ。今まであなたを私は感知できませんでした。私の管理の外にいるもの。それがあなたなのです。」
「確かにこの世界に転生……いや転移?した時、俺はあなたとあってませんもんね。」
一呼吸おいて、小田には言っても無駄だった事をこの女神様に伝えようとした。
「実は俺、あなたを含めて全てがこの世界が本の物語と認識していた世界から来たんです。実際は途中までしか書かれていない謎の本でしたけどね。それで……」
「そんな……いや…なるほど……となると彼は……。」
女神様は俺の言葉を止め、考え込んでいる。
そして、ある程度は咀嚼してくれたようだ。
「で、何故俺は呼ばれたのですか?やっぱり、この世界に俺は迷惑な存在だったのですか?」
神の管轄外の男だ。迷惑に決まっている。
「いえ、あなたは上手くこの世界に溶け込んでくれました。そんな善良なイレギュラーのあなたを、私は管理せずに放っていました。この世界に新たな発展とちょっとの刺激を与えてくれると思いましてね。」
「発展と刺激……。」
「そう。事実、あなたはこの世界の主人公である相模君や、転生者の小田君と共にあらゆる人々を助け、繋げ、世界に彩りをくれました。何故かあなたにも相模君と同じ主人公の力がありました。」
「そんな力があったのか…。」
確かにそう考えると、たまに俺が異常に上げられてる時もあった。
ふと女神様の顔を見るととても焦った様な、苦しいような、そんな穏やかじゃない顔をしていた。
「聞いてください……。この世界にまた新たな転生者が現れた…いえ、無理矢理入ってきました……。その転生者は…別の世界からの再転生…強大な主人公としての力を持っています。」
「主人公の力……。」
「そうです。はっきり言ってこの世界を食らいつくすほどの……。お願いします。先程も言った……ようにあなたはイレギュラー…。そんな強大な転生者……に対抗できる切り札なのです。彼から主人公…としての力を取り上げてください。」
「そんな……。何をすればいいのかすら分からないですよ!」
「お願いします……。この世界をあなたの物語にするのです……。誰よりも主人公になれば…あるいは…。」
「と言っても……。」
「大丈夫です。今まであなたが見てきた物語を思い浮かべて……。すいません……とても辛い思いをたくさんするでしょうが……お願いします……。」
「それに………………」
目を覚まし、時計を見ると6時半を指していた。
どうやらあのまま寝てしまったようだ。
さて、どうしたものか。