何故こんなゲームに伊勢が乗って来たか。
それは伊勢の傲慢だ。
普通は、俺のような何の力も持たない奴が勝負を挑んできたら何か作戦があると疑うはずだ。
しかしあいつはかつて剣を振るい、無敗のまま世界を救った幼稚な男だ。
自分の得意分野でわざわざ戦いを挑んできた無謀な奴と考えてくれるだろう。
そして、この戦いに勝利して邪魔物を一掃して全校生徒を手中に納めようとか考えてくれるだろう。
先程も言ったが、奴は人から貰った力を振り回し、自分を愛してくれる奴だけを作り、すぐに感情的になり嫌いな相手に平気で惨いことをしようとする……。
奴の実年齢は知らないが、頭の中はまるでお子様のようだ。
そういう奴を釣るために出会い系のサクラがいるように、こちらも好条件ばかり出していれば釣られてくれるだろう。
ここまで読んだ結果が、このゲームというわけだ。
ダメだったら、また隠れて何か考えていたさ。
戦いの火蓋が切られると同時に、突如として各地から現れた……というより透明になれるマントで隠れていた大剣持ちの相模、片手剣と盾の小田、くノ一のアヤノの3人が生徒に対して無双をし始めた。
「安心しな。倒れた生徒達は別室に移動されるだけだ。本当に死んだり、殺したりなんてお前らが考えそうなことしない。」
「おい!たった3人であんな無双するなんてチー…!」
「チートじゃないぜ。」
伊勢の言葉を先取りし、ノーと答える。
「この世界は、主人公がどうとでも出来る世界にお前がしたんだ。主人公である俺にとってあいつらは重要人物、一方今やられてる奴等はお前にとっても俺にとってもモブ達。つまり雑兵。認識の違いって奴だよ。ゲーム的には公平なステータスだよ。」
「お前それがわかってて……!」
「じゃなきゃこんな戦い起こさないよ。」
「にんしき……?意味わかんねえ事ばっか言ってるんじゃねえ!」
憎しみを噛み潰してる伊勢に、余裕ぶる俺。
そんな2人の空気が読めず、話にもついていけず相棒君は後ろで憤慨している。
「……原は俺が倒す、お前はあいつらを止めてこい。」
「でも!」
「こいつは強い!……戦力差を見誤ると死ぬぞ?」
「くっ……!わかったよ!」
相棒君が、戦いの渦中へと走っていく。
伊瀬も相棒君は邪魔だと思ったんだな……。
「敵うと思ってるのか?前にも言ったよな、俺はかつて剣ひとつで勇者になったって。そんな俺と、モブのお前じゃ勝負にならねえだろ?」
「どうかな?やってみなきゃわからないよ?」
「じゃあ……死にな!」
伊勢は剣を構え、一直線に俺に襲いかかってくる。
応撃出来るように両手に握られたナイフを強く握り締める。
これからが、この戦争の本番だ。