「くそ……どんだけいるんだ……?」
片手剣を何度も振り、何人もゲームオーバーにしてきたが流石に数が多すぎて疲れてきた。
同じく雑魚狩りを任された相模とアヤノにも疲れが見える。
「相模ー!もう辛いんだけどー!」
「私もだ!」
「よし、二人とも頼んだ!」
相模は着けていた腕時計に叫ぶと、どこからともなく花園印のヘリコプターが飛んできた。
操縦者は高井戸先輩だ。
「さぁ!GOサインが出た!
「……」
「すまない。君の望む大きさにはなれないけど、君自身が望む姿になれるんだ!」
「俺が……ゼロに?」
「そうだ!だから、頼んだぞ!」
「俺はゼロで行く……。」
ヘリコプターから飛び降りたプラモ部部長の周りにフレームのようなものが浮かび上がる。
みるみる内に出来上がっていき、白い翼を生やしたロボットの外観の鎧が部長の体を覆っていた。
「ターゲット確認。これより破壊する……!」
部長のウッキウキな声が相模の腕時計から聞こえてくる。よほどゼロになれて嬉しいんだな……。
部長は羽をはためかせ、宙に浮かびながら手に持っていた大型のライフルを構える。
「確認する…シェルターシールドは張っているな?……む?返答がない、これでは撃てないな。」
「何でだよ!良いから撃て!」
「了解した……」
そういうと大型のライフルから太いビームのようなものが1発、2発……3発と発射される。
発射の度に多くの生徒がゲームオーバーになっていく。
…命って儚いんだね。
ビームの衝撃に耐えられなかったのか、ボロボロの鎧の部長はまっ逆さまに落下して、そのまま不時着した。
周りには大量の砂煙が立ち上る。
「おいあれゲームどうこうの前に大丈夫なのか!?」
「大丈夫…だよな?」
俺と相模は思わず不安になる。
砂煙の中から光が見える。何かヒーローのようなものの輪郭をなぞっている。
砂煙が晴れる直前、校内中のスピーカーから一斉に音楽がなり始める。
目を覚ませ!僕らの世界が何者かに侵略されてるぞ!
現状にピッタリの歌詞を歌う桐谷ちゃんの声が響き渡ると同時に、ヒーローの姿が現れた。
この歌は主人公奪還作戦のひとつ「BGM」だ。
主人公側が有利な時はBGMが流れるもの……だとか何とか原が言っていた。
今回の作戦には、こういう裏方の仕事もたくさんある。
これを主に桐谷ちゃん、リカちゃん、セリカちゃんの3人が基本やってくれる。こちらの要請に応じて戦いに参加もしてもらう予定だ。
落下した部長が変身したヒーローはしばらく上を向いた後、目の前に刺さっていた大きい剣を構える。
「一人で10人ぐらい倒せば行けるか…?」
「ここまで来たら、やるしかないでしょう!」
「俺たちなら……いや、10人以上倒さないとダメですね。」
危うく流されるところだった。
とにかく、部長が大幅に人数を減らしてくれたがそれでもまだかなりの人数がいる。
しかし、相模が言う通り俺らはやるしかない。
原は伊勢に喧嘩を一人で売ろうとしていた。
それに着いてきたのは俺達の意思だ。
この戦いに負けたらこの世界はあいつの思いのままになる。
それだけは絶対に嫌だ。
だから、勝つしかない。
自分たちのためにも、世界のためにも、友達のためにも。