魔女集会で会いましょう   作:Kcl_g3

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忌子と悪魔

 ……それは、とある国で『悪魔』と呼ばれた魔女と、その生贄となった『忌子』の少年の物語。

 

 

「あ、あああああああ悪魔だぁぁ!!殺される殺される殺される!!!」

「あらぁ~?あんまり逃げると痛いわよ~?」

 逃げ惑う人々、燃え行く家々、そのさなかに光る悪魔の微笑。

 それは国の年に一度行われる奉納の儀の最中に突然起こった悲劇であった。

 

 この国の信ずる豊穣の神に今年の豊作を祈り、北の果ての祭壇に生贄を捧げる奉納の儀。これはその年の実りを決めると言われるほど重要な儀だった。そしてそれをぶち壊しに舞い降りた魔女。人はそれを『悪魔』と呼んだ。

 

 そして悪魔がその日に行った事は二つだった。一つは儀式を破壊し、人々の苦しむ顔を嘲笑う事。そしてもう一つは、生贄として差し出される子供。『忌子』と呼ばれる鬼と人間の間にできた子供を実験材料として連れ去る事だった。

 

 結果的にどちらも成功し、実験も順調に進むと思われたのだが、鬼の子は連れ去った段階で衰弱しきっており、そのままでは実験に使用するにも不完全だったため一度回復を待つことにしなければなかった。

 

 魔法で回復させればいい話なのだが、この魔女はこれまで使い捨てばかりで回復魔法などと言うものは傷を癒す程度しか扱えず、衰弱した身体を癒すなんて高等魔法は使えなかった。されどもこの魔女、面白そうな事には目がないので、これに乗じて回復魔法を極めることにしたのだ。

 

 鬼の子と言うだけあって回復は早く、いつ死んでもおかしくないような程に衰弱していたあの日から三日程で回復した。

 

「………ここは……どこですか」

「私の研究所兼家兼書庫ってとこかしら。今日からあなたもここで暮らすのよ。あなた名前は?」

「…………『忌子』」

「呼びにくいわ。そうね……あなたは今日から『リク』よ。いい?」

「リク……わかりました」

 

 魔女は鬼の子をただ殺すだけでは面白くないし、勿体ないので、できるだけ有効利用しようと思い、育ててみることにした。そのうえで様々な実験の材料になってもらう事にもした。

 

 魔女は、『悪魔』の異名の通り、様々な国にふらりと訪れては壊滅させたり、王族に呪いをかけたりして遊んでいる。

 ある日、魔女がとある王族に三代後の王が不眠症になる呪いをかけて帰って来た時だった。

 

 森の奥にある川の傍、そこに立つそこそこの大きさの紫を基調とした家のドアを開け、奥の研究施設に入ろうとした時だった。

 少し違和感を覚えたのだ。

 今朝遊びに出るときには感じなかった違和感。

 そして電気をつけて驚いた。

 それまで魔法の書物や道具、その他さまざまなものが入り乱れ、ゴミ屋敷と言っても過言ではないような状態だった部屋が、チリ一つなく、ピカピカになっていたのだ。

 その時だった。

 

「よいしょっと……あれ?魔女様?お早いお帰りで」

 

 鬼の子……リクが二匹のウサギを片手に帰って来たのだ。

 

「……リク?お前そのウサギって……」

「はい。魔女様が帰ってくるまでにウサギのシチューでも作ってあげたいなーなんて……ご迷惑でしたでしょうか?」

 

 魔女が驚いたのはそこではない。この家のある森には魔獣クラスのモノしかおらず、リクが持ってきたウサギも通常の人間ならば王国の近衛兵団で対処するレベルの代物だったのだ。

 そんな魔獣をリクは傷一つなく、普通のウサギと勘違いしてしまうほどに無自覚に待ってきた。しかもよく見ると生け捕り。

 

「魔女様は研究室に居て貰って構いませんよ。ウサギシチューが出来たら呼びに行きますので」

「え、えぇ。わかったわ……」

 

 リクに言われるがままに研究室に入った魔女はまずは状況の整理に努めた。

 

「えーっと……まずは……鬼の子にリク。遊んで帰ってきたら片付いてる私の家。次は個人的美味しい魔獣Top10の三位の夜兎を二匹片手にリクがシチューを作ってくれる……しかも私の好物。天国かな?あ、私は魔女だから堕ちるのは確定か。じゃあ幻想よね。うんきっとそう。そう。あの子もまだ人間換算では十歳くらいだし。うん。きっとそうd」

「魔女様ー食器の位置直したんですが使いにくかったら言ってくださーい。直しますからー」

「…………マジですか。そうですか」

 

 口調が狂うほどに錯乱はしていた。

 

 

 まぁそんなこんなで少年、リクは魔女を驚かせながらも、最初のインパクトで実験の事をすっかり忘れた魔女のもとですくすくと成長していった。

 そしてそんなある日の朝。

 

「魔女様ー起きてくださーい。朝ですよー」

「……何時?」

「八時です」

「あと五時間……」

「一時間後にもう一度起こしに来ますよ」

 

 もともと夜型だった魔女だが、リクの生活リズムに合わせるうちに夜型から昼(に起きる)型になってきていた。後々は正しい生活リズムに戻すことをリクは目論んでいる。

 

 魔女を一時間後に起こすまでに朝ご飯を作り、その後は森の麓にある村に買い物に行く。通常の人間ならば半日かかる道のりをリクは魔法と己が脚力で往復三分まで縮めたことを知った魔女は今まででも一、二を争うほど驚いていた。

 

「あれ?起きてる。面白くない」

「起きてないと怖いからね。そうやって起きること習慣づけさせたのアンタじゃないの」

「……寝癖が直されてない。多分歯も磨いてない。顔も洗ってない。やり直し」

「えぇ……男のくせに細かいのよ!」

「立派な女性なのに雑ですね」

「そこは人それぞれじゃない!」

「じゃあ僕が細かいのもいいはずですね。さぁ、今日はしっかりしないと。示しがつきませんよ」

「すでに名の知れた魔女だからいいでしょ……」

「名の知れた魔女ならその名を汚さないためにもしっかりとした立ち居振る舞いを身に着けてほしいものですがね」

「あぁ言えばこう言う……」

 

 その日の境、零時。より少し前。

 

「さぁ、準備はできましたか?忘れ物はありませんか?やることは覚えてますよね?」

「だ、大丈夫だが……なにゆえにこんな……」

「大丈夫ですよ。綺麗です」

「そ、そういうのではなくて……」

「さぁ時間もないのでもう行きますよ」

「あ、待って!速い!」

 

 魔女集会まであと少し。




ピクシブで書けばいいとか思った人。
自分も思います。
こっちで書きたかった。

では今回も読んでいただきありがとうございました。また次も読んで頂けると幸いです。ではではー。
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