超次元ゲイムネプテューヌ 夢のヒーローを目指して   作:ホタチ丸

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ハイサーイ読者の皆さま
いつもよりも投稿が遅れてごめんなさい
なんか作ってる途中からどんどん話が続いちゃって、結構文量多めの内容になっています
どうしてこうなった?
あと、今回あるキャラが原作よりもあくどく見えるかもしれませんが、
彼女のファンには申し訳ありません
でも、ラステイション編が最後まで行けば…
ということで、さっそく本編行きましょう!
それでは 勇者、奴隷になる はじまります


勇者、奴隷になる

 どうしてこうなった?

 

 夢人は現在自分の置かれている状況を整理してみた。

 

 ラステイションに到着。

 

 ギルドにてモンスターと間違うほどの漢乙(おとめ)と遭遇。

 

 ギルドにやってきたユニと言う少女の護衛としてリビートリゾートへモンスター退治。

 

 ネプギアと話した後、ユニが泣きながら走り去っていくのを見て放っておけなくなり追いかける。

 

 何とか追い付き、俺の話を聞いてもらおうとするが、ユニはそれを許さず、俺を奴隷にする宣言。

 

 もう一度言おう、どうしてこうなった……

 

 

*     *     *

 

 

 夢人はユニに奴隷宣言されたことにより一緒に行動することを義務付けられた。

 

「アタシの奴隷なのに他の所に行くなんて許さないわ!」

 

 お前は違う世界のピンク髪の爆発女か?

 

 2週間前に勇者になった夢人にとっても、まさか奴隷に転職するとは思わなかった。

 

 労働条件についてもっと詳しくユニと話し合わなくてはと、意を決してユニに話しかける。

 

「なあ、ユニ……」

 

「気安く話しかけないで」

 

 ユニはこちらを振り向かず、夢人が後ろをついてくるのが当たり前と言ったように歩き続ける。

 

 俺には発言の自由すらないのか?

 

 チクショウ……

 

 ネプギア、ごめんよ……

 

 彼女を頼まれたけど、無理かもしれないよ……

 

 

*     *     *

 

 

 夢人とユニはラステイションを歩きながら、一際大きな建物に近づいた。

 

 夢人はプラネテューヌの教会と似ている建物を見てここがもしかするとラステイションの教会なのかもと思った。

 

「ここは?」

 

「ラステイションの教会よ」

 

 ユニは勝手知ったる自分の家と言った風に教会の扉を開け、入っていく。

 

 それに続いて夢人は教会に入る。

 

「おや、今日はずいぶんと早い帰宅だね」

 

 そんなユニに対して髪を短くそろえてスーツを着た女性とも男性ともとれる人物が話しかけた。

 

「ちなみに、僕は女性だよ」

 

 夢人が男性か、女性か考えていたのだが、彼女は夢人の考えを読んだかのように応える。

 

 そのことに夢人が驚いているにもかかわらず、女性は話を続ける。

 

「君は考えが顔に出やすいね。とてもわかりやすいよ」

 

 夢人に対して苦笑しながら言う。

 

「え? そんなに?」

 

「そうだね。僕が接してきた人物の中で5本の指に入る位にわかりやすいかな」

 

 夢人は信じられないと思っていたが、トップファイブに入っていることを知ると複雑な気持ちになった。

 

「ところで君は一体誰だい? ラステイションでは見かけない顔だけど……」

 

 夢人がそんなことを思っていると、女性は名前を尋ねてきた。

 

「ああ、俺の名前は……」

 

「いいや、待った」

 

 夢人は自己紹介をしようとするが、女性はそれを遮った。

 

 そのことに疑問を持ったが、女性はユニを見ながら話し始めた。

 

「せっかくだからユニに紹介してもらおうかな……ユニがせっかく彼氏を連れて来たのだしね」

 

「「はああああ!?」」

 

 女性のその一言に夢人とユニは声をそろえて叫んでしまった。

 

「そ、そ、そ、そ、そ、そんなわけあ、あ、あるわけないじゃない!?」

 

 どもりながら女性に反論するユニ。

 

「そうだって!? それに俺とユニは今日初めて会ったばかりなんだから……」

 

「なんだって!? ユニの一目ぼれなのかい!? いや、めでたいこともあったものだね」

 

「「人の話を聞けえ!!」」

 

 教会に夢人とユニの叫び声がこだました。

 

 

*     *     *

 

 

「いや、失礼したよ」

 

 まったく悪びれた表情を見せずに夢人に謝る女性。

 

 先ほど名前を聞いたのだが、この女性こそ、ラステイションの教祖である神宮司ケイであった。

 

「ホントよ、まったく……」

 

 ユニは不機嫌そうに顔をそらしながらケイに向かって言う。

 

「それにしてもプラネテューヌからよく来たね、御波夢人君」

 

 そんなユニの様子に苦笑しつつ、夢人に話しかけるケイ。

 

「本当ならプラネテューヌの女神候補生であるネプギア達と来る予定だったんですけどね」

 

 夢人もケイに向かってジト目になりながらも話しをする。

 

「……ふむ、ゲイムギョウ界を救うためにゲイムキャラの協力が必要だと、プラネテューヌは判断したのだね」

 

 ケイはどうして夢人達がラステイションに来たのかを聞いて考え込む。

 

「そうです。ですから、ラステイションのゲイムキャラの場所を教えてもらえないでしょうか?」

 

 夢人は先ほどまでは愉快な人であったが、教祖であるケイに敬語でお願いをした。

 

「……そうだね、君は僕が君にその情報を与える『価値』がある対価を用意できるのかな?」

 

 ケイはにやりと笑いながら夢人に向かって話しかけた。

 

「情報の『価値』?」

 

 ケイの言葉の意味がわからず、聞き返す夢人。

 

「そう『価値』だよ……つまり、君に情報をタダでは提供することができないのだよ」

 

 ケイは察しが悪い夢人に向かって苦笑しながら話す。

 

「な!?」

 

 ゲイムギョウ界を救うためなら協力してもらえると思っていた夢人にとってケイの発言は驚きのものであった。

 

「ゲイムギョウ界が壊れるかもしれないんだぞ!? そんなときでも金商売の方が大切なのかよ!?」

 

 夢人はケイに詰めよりながら叫んだ。

 

「……君は社会人ではないようだし、わからないのも無理はないかもしれないね」

 

 ケイは興奮する夢人を見ても冷静に告げる。

 

「人は何かの犠牲なしには対価を得られないんだよ……等価交換って言葉くらい聞いたことがあるだろう? それと同じさ」

 

 ケイはやれやれと大げさに手を振って見せる。

 

「それに、ラステイションでは独自の手段でゲイムギョウ界を救うための計画を実行中なんだよ」

 

「ゲイムギョウ界を救う計画?」

 

 夢人はケイの言葉が信じられず聞き返した。

 

「そう、君達の言っているゲイムキャラの力を借りる方法以外にもゲイムギョウ界を救うための方法はあるのだよ」

 

「じゃあ、なんで他の大陸には……」

 

「ラステイションのためさ」

 

 ケイは夢人が言おうとしていることを先読みし応える。

 

「君はこう言うつもりだろ? どうして他の大陸には教えないのかって……当たり前さ、今は普通に交流のある4大陸だが、実際は違う、少し前まで女神同士が争う女神戦争なんてものもあったくらいだ」

 

 ケイは薄く笑いながら夢人に告げる。

 

「敵に塩を送るわけないだろ?」

 

 夢人はその言葉を聞いてケイに掴みかかろうとするが、ユニに押さえられる。

 

「離せ! ユニ! こいつは絶対に許さない!」

 

「……」

 

 ユニは無言のまま夢人を押さえる。

 

「その男を抑えると言うことはユニも僕の考えに同意してくれたのかな? いつもは僕のこの考えに反発するのに」

 

 ケイはその姿を見て面白そうに笑いながら言う。

 

「そんなわけないわ!」

 

 ユニはケイを睨みながら言う。

 

「お姉ちゃんだったら……お姉ちゃんだったら! 絶対にそんなことを考えるわけがないもの!」

 

 ユニの叫びを聞いてケイはつまらなそうにため息をついた。

 

「君はいつもそうだね、ユニ」

 

 ケイはユニを指さしながら言葉を続ける。

 

「ノワールならこうする、ノワールならこう考える……正直、うんざりだよ」

 

 ユニはそんなケイの視線に恐怖を感じて震えてしまう。

 

「そんなことだから君はいつまで経っても一人前になれないんだよ、この……」

 

 ……できそこない。

 

 

*     *     *

 

 

 逃げた。

 

 アタシはまた逃げ出した……

 

 ケイがアタシにできそこないって言うのは初めてではない。

 

 でも、あそこには奴隷がいた。

 

 彼に知られたくなかった。

 

 アタシができそこないだなんて……

 

 アタシは教会の自分の部屋に飛び込むと急いで部屋のカギを掛けた。

 

 もう、今日は誰とも会わない。

 

 会いたくない。

 

 これ以上、アタシを傷つけないでよ……

 

 助けてよぉ……お姉ちゃん……

 

 

*     *     *

 

 

「……やれやれ、今日もまたか……」

 

 ケイはユニが部屋を飛び出したのを見て悲しそうにつぶやいた。

 

「ケイさん、アンタもしかして……」

 

「ストップだ」

 

 ケイは夢人が言おうとする言葉を遮り、苦笑いをしながら夢人に言った。

 

「これは彼女が自分で気づかなければいけないことなんだ……ここで口に出すのはやめてくれ」

 

 ケイの目は親が子どもの成長を期待する目と同じであった。

 

 

*     *     *

 

 

 その日は結局夢人は教会で休むことになった。

 

 その際、Nギアを使ってネプギアとユニのことを話した。

 

〔……そんなことがあったんですね〕

 

 ネプギアはユニのことを思い悲しそうな表情をする。

 

〔でも、これは確かにケイさんの言うとおり、ユニちゃん自身が気づかなきゃいけないことだと思います〕

 

 それでもネプギアはユニを擁護せず、ケイの意見を尊重する。

 

「ああ、俺もそう思うよ」

 

 夢人も顔をしかめながら応える。

 

〔……おせっかい長引きそうですね?〕

 

 そんな夢人の顔を見ておかしそうに笑うネプギア。

 

「そうだな、合流するのはもうちょっと先になるけど……」

 

〔わかっています。私達も一度教会へ行く予定でしたのでゲイムキャラについては任せてください〕

 

 ネプギアは自信満々に応える。

 

〔だから、夢人さんはユニちゃんことよろしくお願いします〕

 

 ネプギアは通信機越しに頭を下げる。

 

「そんなに頭下げなくても、俺自身放っておけないしな」

 

 そんな律儀なネプギアの反応が面白くて笑ってしまう。

 

〔笑うなんてひどいですよ!〕

 

 頬を膨らませ夢人に対して、私怒ってます、とアピールするネプギアを見て夢人は可愛いと思ってしまう。

 

「ごめんごめん……それじゃ、また何かあったら連絡するよ」

 

〔……はい、お休みなさい、夢人さん〕

 

「お休み」

 

 そんな会話をして夢人は通信を終えた。

 

 そして、先ほどまでの会話を思い出してにやけてしまう。

 

「今、恋人っぽかったかな? かな?」

 

 にやけながら夢人はネプギアと恋人同士になったかのような妄想を始める。

 

 

*     *     *

 

 

〔……ユニちゃんのことよろしくお願いしますね〕

 

「ああ、任せておけよ」

 

 そう言うと、ネプギアは少し頬を赤らめて上目遣いのまま夢人に言った。

 

〔本当はずっとそばに居てほしいんですよ……そんな軽々しく他の女の子の側に居るだなんて言わないでほしいです〕

 

 可愛くすねるネプギアに対して夢人は大人の余裕を感じさせる笑みを浮かべながら言う。

 

「馬鹿だなあ……俺の一番はいつだってお前だよ、ネプギア」

 

 現実なら絶対に言わない言葉を軽々しく言う。

 

 そう、妄想の中なら夢人は自分の理想を形にできる。

 

 まさにパーフェクト夢人の誕生である。

 

〔嬉しいです……私の一番もいつだって夢人さんなんですよ〕

 

 そんなパーフェクト夢人の言葉に嬉しそうにネプギアは応える。

 

「ネプギア……」

 

〔夢人さん……〕

 

 Nギアのスクリーン画面越しに2人の顔が近づいていき、唇が触れ合いそうになった時……

 

 

*     *     *

 

 

「ネプギア……」

 

 現実で枕を抱きしめながらネプギアの名前を呼ぶ夢人。

 

 しかし、突然、休んでいた部屋に来訪者が来た。

 

「……えっ?」

 

 その人物は、ユニであった。

 

 ユニは目の前で枕に向かって愛をささやいているようにしか見えない男を前にして呆然と立ち尽くしてしまう。

 

「ゆ、ユニさん……これは……その違うんですよ……」

 

 夢人は冷や汗をかきながらユニに弁解しようとするが、ユニは静かに部屋のドアを閉めながら言った。

 

「……死ね、変態」

 

 その際、ユニは絶対零度の視線で夢人を見ていた。

 

 その夜、夢人は一晩中ベットの上で身悶えていた。

 

 

*     *     *

 

 

 アタシは愛用の銃でモンスターの急所に弾丸を直撃させた。

 

 弾丸を食らったモンスターは光となり消える。

 

 また一体モンスターを倒した。

 

 アタシはいつも通りアヤからクエストを受け、モンスター退治に出かけている。

 

 いつも通りだ。

 

 いつも通りに集中すればいい……

 

 でも……

 

「ちょ!? やめ! 痛い! 痛い! って、助けてくれ!?」

 

 後ろでモンスターにやられている奴隷がいること以外は……

 

 なんで、そんなモンスターも倒せないのよ!?

 

 アンタ、ゲイムギョウ界を救うための旅をしているんでしょ!?

 

 なのに、そんなモンスターぐらい楽に倒しなさいよ!

 

 アタシは仕方なく、彼に群がるモンスターを倒すために銃を構えた。

 

「消し飛びなさい!」

 

 そして、弾丸を放つが……

 

「あうち!?」

 

 奴隷ごと吹き飛ばしてしまった。

 

 い、今のはノーカンよ!?

 

 ノーカウント!

 

 アタシは今までパーティー組んだことないし、仕方のないことだったのよ!?

 

 吹き飛ばされた奴隷は起き上がると、アタシに文句を言ってきた。

 

「何一緒に吹き飛ばしてんだよ!? おかげでモンスターじゃなくて、お前にとどめさされそうだったよ!?」

 

 うるさいわね!? わかってんのよ!?

 

 でも、モンスターにやられてたアンタが悪いんじゃない!?

 

 そうよ、全部奴隷が悪いんじゃない!

 

「文句があるんならモンスターの一匹でも倒してみなさいよ!? この変態奴隷!」

 

「変態じゃねええええ!!」

 

 強く否定するところが怪しいのよ!

 

 そして、奴隷はモンスターに対して腕を伸ばしながら魔力を集中していた。

 

 へぇ、魔法が使えるのなら少しは役に立つのかもね。

 

 アタシは彼が魔法を使えることを意外に思いながらも彼の評価を少しは上げてみようかと考えた。

 

 ……実際は、考えただけだった。

 

 彼は確かに魔法を使ったのだが、実際に彼の魔法がモンスターに炸裂することはなく、彼自身の腕が燃えていた。

 

「熱いいいいいい!!」

 

 何やってんのよ!?

 

 あれか!? わざとなのか!?

 

 そう思ってしまうくらい見事に魔法を失敗させた奴隷は地面を転がりながら痛みを訴えていた。

 

 正直、鬱陶しいと思ったアタシは奴隷を蹴り飛ばして、海に落とした。

 

「ちょ!?」

 

 海に落とせば腕の火も消えて、アタシも戦闘に集中できるというナイスな機転を利かせたアタシはアタシをほめたくなった。

 

 そして、モンスターをすべて倒した後に、アタシはいつまで経っても海から出てこない奴隷が気になり海面を見た。

 

 そこには、うつぶせのまま海に浮かんでいる奴隷の姿があった。

 

 もしかして、泳げないの!?

 

 

*     *     *

 

 

 夢人達がラステイションに来てから1週間が過ぎた。

 

 ラステイションギルドでは、ここ数日で恒例になったやりとりが繰り広げられていた。

 

「……だから、なんであんなモンスターにやられるのよ!? おかげでこっちはいい迷惑なのよ、この変態バカ奴隷!」

 

「さりげなくバカを付け加えてんじゃねえよ!」

 

 ユニと夢人はクエストを終え、ギルドに報告に来る際、毎回このような口論をしているのである。

 

「あんた達、本当に仲良しさんねぇん……アヤ、妬けちゃうわ~」

 

「「誰が仲良しだ!?」」

 

 ギルドの管理人のアヤも目の前の2人のやり取りを見て、ハンカチを噛みながら言う。

 

 そんなアヤに対して2人は口をそろえて反論する。

 

「ほら、仲良しさんじゃないの」

 

「「うっ!」」

 

 アヤに指摘され、2人はお互いに顔をそむける。

 

「と、ところでクエストの完了の報告に来たわ」

 

 ユニは慌ててアヤに報告をした。

 

「ハイハイ、ちょっと待ってねぇん」

 

 アヤはそう言うと、カウンターの奥へと戻る。

 

 そして、その場に残されたユニと夢人はどちらともなく悪態をつき合う。

 

「……まったく、本当に役立たない奴隷ね」

 

「……んだよ、毎回モンスターごと俺を吹き飛ばしやがって」

 

「わ、わざとじゃないって言ってるじゃない!?」

 

 ユニは夢人がモンスターにやられそうになった時に毎回モンスターごと夢人を吹き飛ばしていたのである。

 

「いつまでも小さいこと気にし過ぎなのよ、この変態」

 

「だから! 変態じゃないって言ってるだろ!? この力づく女!」

 

「力づく女!? そっちこそ、何よ魔法(笑)の使い手のくせに!?」

 

「言うんじゃねぇよ!?」

 

 次第に顔を近づかせて、最終的に額と額をつき合わせて互いに睨みあう。

 

「変態!」

 

「わがまま娘!」

 

「地味男!!」

 

「暴力女!!」

 

「奴隷のくせに!!」

 

「ボッチだったくせに!!」

 

 お互い最後の言葉を言うと、頭の中で何かが切れた音がした。

 

「「やんのか、こら!!」」

 

 2人は同時に叫びながら、お互いに武器を構えだす。

 

「……まったく、そこまでよ」

 

 カウンターの奥から呆れた表情で手を叩きながらアヤがやって来て仲裁を始めた。

 

「ギルドの中で暴れないの……食べちゃうわよ」

 

「「……ハイ」」

 

 アヤの最後の言葉が本気のトーンで言われたことに気付いたので、2人は冷や汗をかきながら武器をしまう。

 

「ところで、おふたりさんに緊急でクエストを受けてもらいたいのよ」

 

 先ほどまでの表情から一変して真剣な表情でアヤは2人に話し始める。

 

「……どんなクエストなの?」

 

 その雰囲気を感じ取ったユニが真剣な表情でアヤに尋ねる。

 

「どうにもセプテントリゾートに何度も怪しい人物が出入りしているらしいのよ」

 

「怪しい人物?」

 

 夢人がアヤに質問する。

 

「そう、容姿とかは詳しくわかっていないんだけど、ダンジョンに理由もなく何度も行くなんて冒険者以外はそういないのよ」

 

「そいつが冒険者ってことはないの?」

 

 ユニのその質問にアヤは苦笑を浮かべながら応える。

 

「それならそれでいいのよ……でも、ギルドとしてはもしかして犯罪者かもしれない人物のいるダンジョンに冒険者を活かせるわけには行かないのよ」

 

 アヤがそう言うと、夢人とユニは互いに顔を見合わせてうなづいた。

 

「……わかったわ」

 

「まあ、任せときな」

 

 2人がクエストを受けることを了承したことでアヤは笑顔を浮かべて言う。

 

「も~う、2人ったら……帰ってきたらサービスしてあげるわ」

 

「「いらない!!」」

 

 

*     *     *

 

 

 セプテントリゾート

 

 そこでは怪しい人物、犯罪組織マジェコンヌの下っ端、リンダがいた。

 

「ったく、なんだってプラネテューヌの女神候補生がラステイションにいんだよ」

 

 リンダはそんなことをつぶやきながら目的の場所を目指して歩いていた。

 

 実はリンダは1週間前にユニが逃げ出した後にネプギア達に遭遇し、コテンパンにされたばかりなのである。

 

「……ラステイションはシェアがうまく獲得できなくてやばいってのによ」

 

 リンダの言うとおり、ラステイションは他の大陸に比べてマジェコンヌのシェアが低いのだ。

 

 そのことを危惧したリンダの上司がシェアの獲得をリンダに命じたのである。

 

「なんでこんな仕事やってんだか……もっとでかい山当てねぇといけねぇのによ……」

 

 親指を噛みながらリンダは悔しそうな顔をする。

 

 そして、リンダは目的の場所に辿り着く。

 

 そこには危険種であるモンスター、ドルフィンがいた。

 

「……よーし、ようやく見つけたぜ」

 

 その姿を確認してリンダは笑いながらポケットからCDのようなディスクを取り出してモンスターに向ける。

 

 すると、ドルフィンはリンダの手にあるディスクの中に光となって吸い込まれてしまった。

 

「よーし、これでモンスターを確保したぜ」

 

 リンダはディスクを見ながら笑う。

 

「後はこいつを街で暴れさせれば、一気にシェアが落ちるだろうよ」

 

 リンダはこれから起こそうとしていることを想像して顔がにやけていた。

 

「そして、下っ端から上にのし上がってやるぜ」

 

 リンダはディスクをポケットにしまってラステイションへと向かおうとするが、自分に向かってくる2人の人物に気付いた。

 

「ん? あいつは……」

 

 リンダは見覚えのある男がいたことで足を止めた。

 

 そして、2人組もリンダの姿を確認してお互いに足を止めて向き合う。

 

「お前は!? マジェコンヌの!?」

 

「テメェこそ!? あの時の勇者気取り!?」

 

 夢人とリンダは互いに指を指し合いながら驚いてしまう。

 

「……マジェコンヌって、本当なの?」

 

 ユニは夢人が先ほど言ったことを確認するために聞いた。

 

「……ああ、そうだ……あいつはマジェコンヌの……」

 

 夢人も真剣な顔でリンダのことを言おうとしたが、途中で眉をひそめた。

 

「……どうしたの?」

 

 そんな夢人の様子にユニはリンダを睨みながら聞く。

 

「……下っ端の……」

 

 夢人は腕を組みながら唸り始めた。

 

「……名前忘れた」

 

 夢人はリンダの名前を思い出せず、ユニに言った。

 

 その様子にリンダは転びそうになった。

 

「リンダだ! リンダ様だよ!? この、バカにしやがって!」

 

 リンダは顔を赤くしながら夢人とユニに言う。

 

「そんなこと関係ないわ……あんたがマジェコンヌならここで倒すだけよ」

 

 ユニはリンダに銃を向けながら言う。

 

「へっ! この前はクソチビ女神候補生にやられたが、テメェらなんか雑魚、こいつでやっつけてやるぜ」

 

 リンダは先ほどポケットにしまったディスクを取り出しながら言う。

 

「なんだそれ?」

 

 リンダの持っている物がわからず夢人は疑問に思った。

 

「見て驚きやがれ!」

 

 リンダは2人に向かってディスクを投げる。

 

 ディスクは空中で光を放ちながら消えていく。

 

 その代わり、先ほど吸収されたドルフィンが現れたのである。

 

「な!?」

 

「モンスターが!?」

 

 その現象に驚きを隠せない夢人とユニ。

 

 その姿を見て愉快そうにリンダは笑いながら言った。

 

「テメェらなんか、このドルフィンにやられちまいな!」

 

 すると、リンダの声に反応してドルフィンは夢人達に襲いかかった。

 

「危ない!」

 

「ちょ!?」

 

 ユニは華麗に、夢人は必死になってその攻撃を避ける。

 

「どうして!? モンスターならアンタにも攻撃をするんじゃ!?」

 

 ユニはリンダの指示で動き始めたドルフィンに向かって銃で攻撃しながら言う。

 

「こいつはマジェコンヌで特別に開発されたディスクで捕まえた奴なんだよ。だから、私の命令通りに動くのさ!」

 

 リンダは得意げにユニに向かって説明しながら、ドルフィンに次々と攻撃するように命令する。

 

「くっ!」

 

「やばいぞ! ユニ!」

 

 夢人はここは撤退するように提案しようとするが、ユニはドルフィンを睨みながら言う。

 

「逃げない……お姉ちゃんだったら、絶対に逃げない!!」

 

 ユニがそう叫ぶと同時に、ユニを中心に光の柱が発生した。

 

「な!? まさかあのクソガキが女神候補生だったのか!?」

 

 

*     *     *

 

 

 光が収まるとそこには『変身』を完了させたユニの姿があった。

 

 黒かった髪の色は白くそまり、顔の横でくるくると巻かれている。

 

 ネプギアと違い、黒いプロセッサ【クレイドル型】であり露出も多い。

 

 そして、手には《クロスマルチブラスター(XMB)》を油断なくドルフィンへと構えて言う。

 

「……アタシがアンタ達を倒してやる!」

 

 ドルフィンを睨みながらユニは攻撃を開始する。

 

 XMBからビームを放ちながら、ドルフィンを近づけさせないように何度も攻撃をする。

 

「なんだって女神候補生が!? くそ!?」

 

 リンダはユニが『変身』したことで不利になったと判断して逃げ出そうとダンジョンの出口へと走り出した。

 

「あ!? 待て!?」

 

 リンダを追おうとするが、ドルフィンが足止めをするために夢人の目の前へとやってくる。

 

「おわ!?」

 

 目の前に急にやってきたドルフィンに驚き、後ろに跳ねる。

 

 すると、目の前のドルフィンにビームが着弾する。

 

「戦えない奴は下がってなさい! こいつはアタシが!」

 

 ユニは夢人に構わず、攻撃を再開する。

 

 ドルフィンもユニに近づこうとビームによる攻撃を回避しながら機会をうかがっている。

 

「こんな奴、簡単に……!?」

 

 ユニが攻撃を続けようとした瞬間、突然動きを止めた。

 

 その隙を逃がさず、ドルフィンはユニに近づき攻撃をした。

 

「しま!? キャアアアア!!」

 

 その攻撃によってユニは夢人の近くに飛ばされてしまった。

 

「ユニ!?」

 

 そんなユニの様子に驚いて駆け寄る。

 

「ユニ!? 急にどうしたんだ!?」

 

 夢人は慌ててユニを抱き起した。

 

 すると、ユニは眉をひそめながら悔しそうに顔を歪めながら言う。

 

「……アタシは……完全な『変身』が……できないの……」

 

 そう言うと、ユニは肩を震わせて泣き始めた。

 

 

*     *     *

 

 

 アタシは女神の力を完全に使えるわけではない。

 

 アタシは姉のように自然に『変身』できるようになったわけではない。

 

 『変身』していられる時間や使える力には制限があった。

 

 アタシも姉のように戦いたかった。

 

 しかし、『変身』できるようになってもアタシは弱いままであった。

 

 アタシはそれが悔しかった……

 

 アタシがいくら努力しても限界は超えられない……

 

 アタシ自身がどれだけモンスターを倒してシェアを獲得しても変わらない。

 

 アタシは弱いことが悔しい……

 

 天才である姉の妹であるアタシが……

 

 できそこないなのが一番悔しい……

 

 今回もそうだ。

 

 肝心な時にいつもアタシは無力だ……

 

 アタシから姉を奪ったマジェコンヌを倒すことすらできずに……

 

 アタシは泣くことしかできない……

 

 いやだよ……誰か……助けてよぉ……

 

 瞳から涙が出ていることを感じながら目をつぶっていることしかできない。

 

 もう、アタシにできることなんて……

 

 そんな時、ぎゅっと誰かがアタシの手を握った。

 

 アタシは目を開いて目の前の人物である男を呼んだ。

 

「奴隷?」

 

 

*     *     *

 

 

 夢人は抱きしめているユニの手を握った。

 

 すると、ユニは目を開いて言った。

 

「奴隷?」

 

 そんなユニの反応に夢人は苦笑しながら言葉を続ける。

 

「ユニ、まだ戦えるか?」

 

 夢人のその言葉に俯きながら応える。

 

「無理……よ……もう、アタシなんて……」

 

 ユニがそう言った時、ドルフィンが夢人達に攻撃を仕掛けてきた。

 

「あぶね!?」

 

 夢人は慌ててユニを抱えてその場を転がった。

 

「キャ!」

 

 抱きしめられたことに驚いて軽く悲鳴をあげるユニ。

 

 ドルフィンは攻撃の勢いにより、夢人達の後ろの壁にぶつかって埋まってしまっていた。

 

「……ちょっとは時間ができたな」

 

 夢人はそんなドルフィンの姿に安堵してユニへと向き直る。

 

「ユニ、もう一度聞くぞ……まだ戦えるか?」

 

 そんな夢人の真剣な表情にユニは涙を流しながら叫ぶ。

 

「……無理って言ってるでしょ!? アタシは!? もう戦えないのよ!?」

 

 ユニが叫ぶのを聞いて、夢人は笑いながら応える。

 

「なんだ、叫ぶくらいは元気があるじゃねえか?」

 

 そんなことを言う夢人を睨みながらユニは言う。

 

「『変身』もまともにできないアタシをバカにしているの!? もう、ほとんど力なんか……」

 

 ユニは叫びながら、力なく俯いていく。

 

 そんなユニをゆっくりと地面に下ろしながら夢人は言う。

 

「ほとんど、だろ? なら、最後の一撃くらい根性見せてみろよ、ご主人様ってな!」

 

 夢人は自分の新しい武器である《竹刀》を構える。

 

「な!? アンタ、それで戦う気なの!?」

 

 ユニは夢人が竹刀を構えたことに驚いて叫ぶ。

 

 その叫びを気にした様子もなく、夢人はユニに笑いかける。

 

「なーに、一瞬だけでも隙は造ってやるさ……その隙にでかい一発入れてくれよ」

 

 ユニはその言葉を聞いて言う。

 

「……それでも無理よ……アタシなんか……」

 

 ユニが再び俯こうとした時に夢人は叫ぶ。

 

「ユニ!」

 

「は、はい!」

 

 急に名前を呼ばれて驚いて返事をする。

 

「自分を信じるな! お前を信じる俺を信じろ!」

 

 夢人はそう叫んでから、ユニに向かってほほ笑む。

 

「……お前が自分を信じられないなら、お前を信じている俺を信じてくれ」

 

 ユニはその言葉を聞いた時、胸の中が温かくなるのを感じた。

 

 彼の言っている言葉の意味はよくわからない。

 

 しかし、彼が命を掛けて自分を信じていることがわかると力がわいてきた。

 

 ユニは不敵に笑いながらXMBを構えだした。

 

「……フン、奴隷のくせいに生意気よ」

 

 そんなユニの様子を見てから夢人はドルフィンへと向き直った。

 

 同時にドルフィンが瓦礫から体を抜け出してこちらを視認したことを確認した。

 

「行くぞ!!」

 

 夢人はドルフィンに対して竹刀を構えながら突撃する。

 

 ドルフィンもそんな夢人の姿を見て迎撃しようとする。

 

 そして、夢人の攻撃がドルフィンに当たる瞬間、夢人の構えていた竹刀の先端が破裂して色とりどりの紙やテープが舞う。

 

 夢人が持っていた竹刀はパーティー用に造られた大型のクラッカーであった。

 

 夢人はそれをアヤからもらっていたのである。

 

 アヤがそれを夢人に渡した理由は……

 

【これは私が冒険者だった頃の一発芸で使っていたものなのよ…あなたに合いそうで持ってきちゃったわ】

 

 その言葉を一緒に聞いていたユニはそれを受け取った夢人を指さしながら大笑いをした。

 

 そして、そんな物を渡された夢人はアヤに殴りかかるがあっけなく返り討ちにあい、そのまま夢人がもらうことになったのである。

 

【だって、あなた戦うよりもそっちの方が向いているんじゃない?】

 

 ユニはその言葉でついに涙を流しながらお腹を抱えて笑いだした。

 

 夢人はアヤにやられたことによって地面で倒れながらもそれを聞いて言った。

 

【俺は……芸人じゃ……ない】

 

 そして、いつの間にか呪いのアイテムのごとく何度捨ててもアヤから渡されるので諦めて持っていたのである。

 

 そんなパーティー用竹刀の中に内蔵されていた紙やテープがドルフィンの顔に当たり、ドルフィンは目の前が見えなくなり暴れ出す。

 

 その姿を見た夢人はユニに向かって叫ぶ。

 

「ユニ! 今だ!」

 

「狙い撃つわ!!」

 

 ユニは全力でビームをドルフィンへと叩きこむ。

 

 ビームの直撃を受けたドルフィンは横向きに倒れた。

 

 その姿を見た瞬間、ユニの『変身』が解けて地面に横になってしまう。

 

「ユニ!」

 

 そんなユニの姿を見て慌てて夢人はユニに駆け寄る。

 

「ユニ! 大丈夫なのか!?」

 

 ユニの上半身を抱きながら夢人は尋ねた。

 

「……少し、疲れただけよ……」

 

 ユニはほほ笑みながらも少しつらそうに夢人に応えた。

 

「よかった」

 

 ユニのその言葉に夢人は安堵してユニを背負おうとした。

 

その時、ドルフィンは再び動き出して夢人達へと突撃してくる。

 

「な!?」

 

 夢人はその姿を見て驚き、動けないでいた。

 

 ただユニだけは守ろうと強く抱きしめて目をつぶる。

 

 ……

 

 しかし、いつまで経っても衝撃が来ず、目を開ける。

 

 そして、目の前の光景に驚いた。

 

 目の前でドルフィンが同じ危険種であるフェンリルに攻撃されていたのである。

 

「モンスター同士で!?」

 

 夢人がモンスター同士で戦っていることに驚いていると、後ろから声を掛けられた。

 

「大丈夫かい?」

 

 夢人は後ろを振り向くと、そこには2人の人物がいた。

 

「あたしはファルコム、冒険家だよ」

 

 ファルコムと名乗った女性は夢人達を安心させようとして笑いかける。

 

 しかし、ファルコムの隣に居る中学生程度の少年はムスッとした顔をして夢人とユニ、特に夢人を睨んでいた。

 

「そんなのんきな!? モンスターがいるんだから逃げないと……」

 

 夢人はファルコムのどこかのんびりしている雰囲気に流されそうになるが、現状が危険であったことを思いだして注意する。

 

 しかし、その言葉を聞いてもファルコムは苦笑しながら応える。

 

「大丈夫、あのフェンリルは味方だよ」

 

 ファルコムはフェンリルを指さしながら言う。

 

「味方?モンスターが?」

 

 その言葉が信じられず、フェンリルを見る夢人。

 

 その姿を見てファルコムは言葉を続ける。

 

「そう、あのフェンリルはこの子、モンスターマスターの『フェル』の仲間なのよ」

 

 フェルと呼ばれた少年はそれでも変わらず、夢人を睨み続けていた。




はい、今回は以上です
いや、今回はどこで切っていいのか分からず過去最長の話となりました
これもユニちゃんに対する愛なのか?
そして、今回のMVPは夢人君に竹刀を渡したアヤさんでした!
ちょっと無理やり気味でしたが、夢人君には絶対に似合う武器として考えていたので使わせてしまいました
そして、最後に登場した2人組、
少年の正体はいったい?
といっても、転生者なんですけどね…
私はストックを作らず、この作品を作っているので今日は連続投稿は出来まっせん!
振りじゃねぇぞ?!
その代わり明日は2話投稿予定なのでこうご期待!
それでは、次回 「魔物使い」 をお楽しみに!
ネプギアをもっと出したかったよ…
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