超次元ゲイムネプテューヌ 夢のヒーローを目指して   作:ホタチ丸

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はい、皆さんこんばんわ!
まさか女神通信でこんな時間までかかるとは思いませんでした。
それでは、 きりひらけ! 女神通信(ネプテューヌ編) はじまります


きりひらけ! 女神通信(ネプテューヌ編)

 ある時は、プラネテューヌの女神パープルハート……

 

 またある時は、突如としてリーンボックスの遊園地に現れた謎の眼鏡美少女ネプリン……

 

 しかしてその実態は……じゃんじゃじゃーん! 今回の女神通信を担当するネプテューヌだよ! あなたの人生、変わっちゃう?

 

 って、そんなことやってる場合じゃないよね!?

 

 いやあ、まあ、ノリノリでやっちゃったんだけど、プラネテューヌの教会で大変なことが起きちゃったんだよ!?

 

 詳しくはWebで……あ、フェル君が今から映像流すの?

 

 だったら、今回わたしはおやつのプリンを食べながらゆっくり話すだけで……駄目?

 

 ほ、ほら、わたしシリアスに向いてないって言うか、なんて言うか……そうだ! 今回も『変身』してお送りすればいいんだ!

 

 そうと決まれば早速……って、あいちゃんを呼ぼうとしないで!? ちゃんとやるから!?

 

 そ、それじゃ、時間も押してきたみたいだし、本編に入ろうか。

 

 それじゃ、 きりひらけ! 女神通信 ネプテューヌ編 はっじまるよー!

 

 

*     *     *

 

 

「お、お姉ちゃん、ちょっといいかな?」

 

「うん? どうかしたの?」

 

 リーンボックスからプラネテューヌに帰って来た日の夜、わたしが自分の部屋に戻ろうとした時、急にネプギアに呼び止められた。

 

 その顔は恥ずかしいのか、ほんのりと頬が染まっている。

 

 でも、どうしたんだろう?

 

 勝手にいなくなったことは帰ってくる前にちゃんと謝ったから許してあげたし、帰って来てからはいーすんやあいちゃん、コンパも困ったように笑いながら許してたから、特に話すようなことはないと思うんだけどな。

 

 ……まあ、わたしもいーすんから勝手にリーンボックスに行ったことについてお説教を受けたんだけどね。

 

 しかも、ネプギアよりも長く説教されるなんて思わなかったよ。

 

「こ、ここじゃ、ちょっと……」

 

「あ、じゃあ、わたしの部屋に行こうか?」

 

「う、うん」

 

 わたしはもじもじするネプギアを連れて自分の部屋に戻った。

 

 そして、2人で並んでベッドの上に座って、ネプギアが話し始めるのを待つんだけど、なんか妙に落ち着いてないんだよね。

 

 別に初めてわたしの部屋に入るわけでもないのに、遠慮しているような雰囲気を出している。

 

 ……え、えっと、もしかして言い辛いことなのかな?

 

 これって、わたしから話を振った方がいいパターン?

 

「あ、あの……」

 

「うん、何?」

 

 わたしが話を振ろうとしたら、ようやくネプギアが遠慮がちに口を開いた。

 

 でも、顔はわたしのほうに向けているけど、視線があちこちをさまよっていることから、相当言い辛いことみたい。

 

 も、もしかして、わたしにどこかおかしいところがあるの!?

 

 だから、ネプギアはわたしに恥をかかせないように言葉を選びながら言い辛そうにしているのかも!?

 

 え、えっと、寝癖とかついてなかったよね?

 

「お、お姉ちゃんは、夢人さんがす、好きな人って誰だかわかる?」

 

「……へ? ゆっくんの好きな人?」

 

「う、うん」

 

 いや、まあネプギアの質問が予想外のことだったから、思わずポカンとしちゃったよ。

 

 ネプギアの方は顔がさっきよりも赤く染まってるし、もう目なんかぐるぐると回しちゃってるよ。

 

「え、えっと、その……ごめん、わかんないや」

 

「そっか……急に変なこと聞いちゃってごめんね」

 

「いや、それはいいんだけど、どうして急に?」

 

 わたしの返答を聞いて、ネプギアは少しだけ冷静になったみたいで、困ったように笑顔を作った。

 

 でも、本当にどうしてわたしに聞いたんだろう?

 

 わたしよりもゆっくんとの付き合いが長いあいちゃんやコンパの方が知ってる可能性が高いんじゃないのかな?

 

「……リーンボックスにいた時、ナナハちゃんから聞いたの。夢人さんには好きな人がいるって」

 

「そうなんだ……あのさ、ネプギア」

 

「何、お姉ちゃん?」

 

「確認のために聞いておくけど、ネプギアはゆっくんのことが好きなんだよね?」

 

「……うん、好きだよ」

 

 はにかむように笑って告白するネプギアを見て、わたしは安心した。

 

 ネプギアがそんな子じゃないことはわかっているけど、もしかして興味本位で聞いているのではないかと疑ってしまった。

 

 まあ、何となくネプギアはゆっくんのことが好きだってことはわかってたんだよね。

 

 ギョウカイ墓場で再会した時から、何となくネプギアの気持ちは察しがついていた。

 

 ネプギアにとって、ゆっくんは特別なんだって。

 

「でも、夢人さんには好きな人がいて、皆も知ってるみたいなんだ」

 

「だから、知りたくなったの?」

 

「ううん、違うよ……どちらかと言えば、知りたくないよ」

 

 ネプギアの矛盾する言葉に、わたしは首を傾げてしまう。

 

 ゆっくんの好きな人を知るために、わたしに質問したんだよね?

 

 でも、本当は知りたくないってどう言う意味なんだろう?

 

「私、ナナハちゃんに言われるまで夢人さんに好きな人がいるなんて知らなかったんだ。そのことで喧嘩しちゃって、友達じゃないとまで言われちゃった……そのことがすごいショックだったんだ」

 

「ネプギアは、ナナハちゃんのことをどう思ってるの?」

 

「大切な友達だよ……でも、だからこそ、自信がなくなっちゃったんだ。私は夢人さんのことを好きでいていいのかって」

 

 悲しそうに目を伏せて話すネプギアは、今にも泣き出しそうに見える。

 

「私はナナハちゃんよりもずっと一緒にいたはずなのに、夢人さんの気持ちが全然わからないんだ」

 

「で、でも、それはナナハちゃんが察しがよかっただけじゃ……」

 

「ううん、そうじゃないの……前にも似たようなことがあったの。アイエフさんに言われるまで、私は夜に夢人さんが木刀で素振りをしていたり魔法の練習をしていたことを知らなかった……ぐすっ……それだけじゃない。ギョウカイ墓場で、私は夢人さんのことを一緒に戦う仲間だって思えなかった。私達女神が守るべき人間としか見れなかった……ぐすっ……私、夢人さんを傷つけてばっかりで……ぐすっ……約束も、守れなくて……」

 

「お、落ち着いて!?」

 

 泣きそうって思ってたら、本当に泣きだしちゃったよ!?

 

 しかも、すごいネガティブになってるし!?

 

「でも……ぐすっ……ナナハちゃんも、ユニちゃんも……ぐすっ……夢人さんのことが好きで……ぐすっ……私よりも夢人さんのこと、知ってって……ぐすっ……私なんか……ぐすっ……」

 

「ああ、泣き止んで!? わかった!? 無理に話さないでいいから!? わたしが1つずつ聞いていくよ!? いいね!?」

 

「……うん」

 

 泣きじゃくるネプギアに代わって、わたしが少しずつ話を進めていこうと思った。

 

 だって、もうネプギアの目と鼻のあたりが真っ赤になってて酷いんだもん。

 

「まず、ネプギアはゆっくんのことを好きでいたいんだよね?」

 

「……うん」

 

「でも、ゆっくんのことがよくわからない。だから、ゆっくんのことを理解しているナナハちゃんやユニちゃんに劣等感を感じてる、違う?」

 

「……違わないよ」

 

 うーん、これはちょっと難しいかもしれない。

 

 ネプギアは付き合いの長さと言うアドバンテージがあるのに、ナナハちゃんやユニちゃんよりもゆっくんのことを理解できなかったことを後悔しているんだと思う。

 

 自分がもっとゆっくんのことをしっかり見ていれば……なんて思ってるんだろうけど、正直どうアドバイスしていいのかわからない。

 

 わたしはネプギアみたいに長い付き合いをしているわけでもないし、ナナハちゃんやユニちゃんのように理解しているわけでもない。

 

 ましてや、恋をしたこともないため、単純に諦めるなとか、他の恋を探した方がいいなんて無責任なこと言えないよ。

 

 これはゆっくんを中心にしたネプギア達の問題なんだ。

 

 わたしが軽々しく首を突っ込んでいいわけがない。

 

「実は、ナナハちゃんには偉そうに私も夢人さんのことが好きって言ったんだけど、本当は自信がないんだ……夢人さんのことがよくわからないのに、私は本当に恋をしているの? 本当に夢人さんのことが好きなのかって……私、また自分勝手な思いを押し付けて、夢人さんを傷つけてしまうんじゃないかって思うと怖いんだよ」

 

 わたしが言葉に詰まっていると、泣き止んで幾分か落ち着いたネプギアが不安を口にしだした。

 

 ……大切な人を傷つけるかもしれない、か。

 

「だから、傷つけないように知らなくちゃいけないんだけど、それも怖いの。知っちゃったら、自分の気持ちが嘘になっちゃうんじゃないかって……」

 

「ネプギア、それは違うよ」

 

「お姉ちゃん?」

 

「傷ついたり、傷つけるってことは悪いことじゃないんだよ」

 

 きょとんとして上目遣いで見つめるネプギアに、わたしは柔らかく頬を緩めた。

 

「3年前、わたしはマジックに負けて捕まっちゃった。そのせいで、ネプギアやいーすん、あいちゃんにコンパ、わたしの大好きな人達をすごく傷つけた」

 

「そ、それはお姉ちゃんのせいじゃないよ!?」

 

「ううん、わたしが弱かったせいだよ……それでも、わたしはネプギアや皆のことが大好きだよ。ネプギアはどう?」

 

「……私もお姉ちゃんのこと、大好きだよ」

 

「うん、上手く言えないけど、そう言うことでいいんじゃないのかな? 大事なことは、相手のことをどう思っているのかだと思うよ」

 

 まったく同じ気持ちや考えを持っているわけじゃないんだから、ぶつかり合ってお互いに傷つくことは当たり前のことなんだと思う。

 

 わたしだってノワールやブラン、ベールと最初からずっと仲良しだったわけじゃない。

 

 シェアを競うために直接剣を交えて戦ったこともある。

 

 でも、そう言うことがあったからこそ、わたしは3人のことをよく知ることができた。

 

 ぶっちゃけると、大好きになってたんだよね。

 

「ネプギアはゆっくんことがわからないって言ってたけど、本当にそうなの? よく思いだしてみなよ。ネプギアが傷つけたと思っているゆっくんは、ネプギアのことを許していない? 約束を破ったことを怒ってる?」

 

「……ううん、怒ってない。笑って、また約束してくれた」

 

「それはナナハちゃんもユニちゃんも知らない、ネプギアだけが知ってるゆっくんの姿でしょ?」

 

「……私だけが知ってる夢人さん」

 

「うん、ネプギアが好きになったゆっくんって、そんなゆっくんじゃないのかな?」

 

「……うん、そうだった」

 

 ネプギアは瞳に大粒の涙を浮かべて泣きそうだが、それでも嬉しそうにほほ笑みながら口を開いた。

 

「私ね、何度も夢人さんのことを傷つけて、その度に泣いて自分も傷ついた……でも、そんな私を何度も夢人さんは助けてくれて、ゲイムギョウ界に帰ってきた時にようやく好きって気付いたんだ……何もしてない私は貰ってばかりだけど、夢人さんのことを傷つけた分だけ癒してあげたい……私にできるかな?」

 

「ネプギアならできるよ。例え、ネプギアが知らないゆっくんを知ることで傷ついて傷つけたとしても、お互いに優しい気持ちがあるなら大丈夫だよ」

 

 ゆっくんが優しいことはもうわかりきってることだから、問題ないよね。

 

 まあ、多分そのせいでナナハちゃんやユニちゃんも恋しちゃったんじゃないのかな?

 

「……ふふ、前に夢人さんも似たようなことを言ってたな」

 

「ゆっくんが?」

 

「うん。誰かを思う気持ちはただ優しいだけじゃない、優しい思いだからこそ相手を傷つけてしまうこともあるって……お姉ちゃん、私またここから少しずつ始めるよ。もっと夢人さんのことを知って、もっと好きになりたい。そして、夢人さんにも私のことをもっと知ってもらいたい」

 

 そう言って、晴れやかに笑うネプギアの顔には不安はもう感じられない。

 

 悩みが解決したみたいでよかったよ。

 

「だから、まずは私も夢人さんの好きな人が誰かを自分で考えてみようと思う……それを知れば、ようやく私もナナハちゃん達に並べると思うから」

 

 うんうん、ネプギアなりのペースで進んで行くのが1番いいと思うよ。

 

 そうやって、ゆっくりでもいいからお互いに理解し合っていけばいいんだからね。

 

 ……でも、ゆっくんの好きな人か。

 

 まず、ネプギアに話を振ってきたナナハちゃんは除外されるよね。

 

 ナナハちゃんが告白したのに付き合ってないってことは、それ以前に知り合った人だと範囲が絞れる。

 

 となると、わたしやノワール達も除外される。

 

 次に、ユニちゃんだけど……うーん、ラステイションの教会で見た感じだと、なーんかゆっくんの態度がわたし達と接する時と同じで普通だった気がするんだよね。

 

 だったら、ロムちゃんやラムちゃん? ……それはちょっと犯罪臭がするよ。

 

 え、えーっと、後はあいちゃんやコンパ、日本一にがすと、5pb.やケイブにファルコム……皆似たり寄ったりだった気がするな。

 

 じゃあ、いーすん達教祖は……それもないかな? どちらかと言うとあいちゃんがいーすんに対する態度と同じで、敬ってるとかそんな感じだと思う。

 

 じゃあ、もしかしてフェル君かワンダー!? ……いや、これはさすがにないよね。

 

 うーん、他に誰がいたっけ?

 

 わたしが知らない人だとわかりようも……って、あれ?

 

 そう言えば、ネプギアはどうなんだろう?

 

 ん? あれ? ゆっくん、ネプギアのこと特別扱いしてない?

 

「どうかしたの?」

 

「あ、ううん、何でもないよ」

 

 思わずネプギアを凝視してしまったけど、もしそうなら気付いてもおかしくないよね?

 

 でも、他に考えられる人がいないし……

 

「ねえ、もしかしてゆっくんの好きな人ってネプギアなんじゃないの?」

 

「え、ええええええ!? ないないない!? 絶対にないよ!? わ、私が夢人さんの好きな人なわけ絶対にない!?」

 

「え、そうかな?」

 

「そうだよ!? それに、そんな風な態度を取られたら、さすがに私もわかるよ」

 

「いや、まあ、そうだろうけど……」

 

 なーんか、これが正解っぽいんだけど、気のせいなのかな?

 

 

*     *     *

 

 

 『勇者への道』の第3競技が始まってすぐにトラブルが発生した。

 

「レイヴィス!? どうしてここにいるの!?」

 

 ギョウカイ墓場で姿を消して以来、わたし達の前に姿を現さなかったレイヴィスがゆっくんと戦っているのだ。

 

 ゆっくんが持ってる模造刀が簡単に切断されたことから、レイヴィスが真剣を使っていることはすぐにわかった。

 

「す、すぐに止めないと!?」

 

「ええ、早く競技を中止させ……」

 

「それは駄目だ」

 

 わたし達が観覧室から飛び出そうとした時、マジェコンヌが通せんぼをするように扉の前で浮いていた。

 

「あの2人の戦いを邪魔はしないでもらおう」

 

「ど、どうしてですか!?」

 

「この戦いは、2人にとって必要なものだからだ……舞台の方を見てみろ」

 

 マジェコンヌの言う通り、わたし達がモニターの方を見ると、ゆっくんはいつの間にかブレイブソードを使っていて、レイヴィスの剣を破壊していた。

 

「よし、後もう1本も破壊すれば……って、なんだありゃ!?」

 

「嘘っ!?」

 

 案外すんなりと事態が収束するかと思ったけど、レイヴィスがそれを許してくれなかった。

 

 何と壊された剣と同じ剣が出現したのだ。

 

 って、何あれ!? わたし聞いてない!?

 

「あれは奴の『特典』の力、『創生』と言うものだ」

 

「それってどんな能力なの?」

 

「簡単に言ってしまえば、物を作り出す能力のことだな。奴は自分の知っている物を能力が使える限り、何度でも作り出すことができる」

 

 何そのチート!?

 

 そんなものがあったら、いくら武器を壊してもきりがないじゃん!?

 

 それに、もしかするともっと強力な武器が作られたら……

 

「だが、欠点として自分の知らない物を作り出すことはできない」

 

「……つまり、レイヴィスがまったく同じ剣を作りだしたのは、それ以外に使える武器がない可能性があると?」

 

「そうだろうな。もっと強力な武器を知っていたのなら、最初からそれを使っていただろう」

 

 ふー、どうやらゆっくんのブレイブソードよりも強い武器は作れないみたいだね。

 

 今もレイヴィスが激しくゆっくんを攻めるんだけど、何度もブレイブソードに剣を砕かれてしまっている。

 

 その度に新しい剣を作り出して、このまま持久戦みたいになるかなと思っていた。

 

 ……でも、それは間違いだった。

 

 1度ゆっくんが自分から攻撃を仕掛けた時、レイヴィスがおかしな行動を取った。

 

 まるで自分からブレイブソードに貫かれに行くような……

 

〔貴様は俺を救うって言ってくれただろ? ……なら、その剣を止めるな!! その剣で俺を今すぐ殺してくれ!!〕

 

 実際にはゆっくんだけど、レイヴィスはわたしの疑問に答えるように殺してくれと叫んだ。

 

 眉間にしわを寄せてゆっくんのことを睨んでいるはずなのに、わたしにはどうしても泣いているように見えてしまう。

 

 だから、わたしはモニターから視線を外して、すぐに観覧室を出ていこうとした。

 

 そして、扉の前にいるマジェコンヌを睨むように見つめて口を開いた

 

「退いて」

 

「駄目だ」

 

「いいから退いて!! あのままじゃ、ゆっくんもレイヴィスも大変なことになっちゃうよ!!」

 

 優しいゆっくんはレイヴィスを殺せないだろう。

 

 でも、さっきみたいにレイヴィスがわざとブレイブソードに斬られようとするかもしれない。

 

 そうなってしまえば、ゆっくんの意思とは関係なく、レイヴィスは死んでしまう。

 

「貴様が危惧していることは充分理解している。しかし、これは勇者が『再誕』の力の本質を引き出すために必要なことでもある」

 

「……どう言うこと?」

 

「真逆の性質を持つ力がぶつかり合うことで、より強い力を引き出せるはずだ」

 

 ゆっくんの『再誕』とレイヴィスの『創生』が真逆の力?

 

 わたしには同じような力に思えるんだけど……

 

〔これが俺の返答だ……俺はお前を殺さない〕

 

 考えに没頭していると、モニターからはゆっくんの力強い宣言が聞こえてきた。

 

 ゆっくんは自分の力だけで何とかするみたいだ。

 

「……もし、2人が危なくなったら、窓からでも舞台の方に飛んで行くからね」

 

「ああ、それは構わん……むしろ、その時は頼む」

 

「うん」

 

 何だかんだ言って、マジェコンヌも心配だったみたい。

 

 犯罪組織の元ボスなのに、どうしてそんなにゆっくんのことを気にかけているのだろう?

 

 それだけ『再誕』の力には秘密があるのかな?

 

 そんなことを考えながら、わたしはモニターに映る鍔迫り合いを繰り広げている2人の姿を見て、もしもの時はいつでも『変身』できるように準備した。

 

 ……どうか無事に2人の戦いが終わりますように。

 

 

*     *     *

 

 

「ねぷっ!? 今の何!?」

 

 その日の夜、わたしは突然の振動と爆発音によって跳び起きてしまった。

 

 慌てて廊下に出ると、プラネテューヌの教会に泊まったノワール達も同時に部屋を出てきたらしく、全員で爆発音がした方へと駆けだした。

 

 そして、とある扉の隙間から黒い煙が漏れ出しているのを発見した。

 

 そこは転送装置のある部屋である。

 

 わたし達は扉を蹴破って中に入ると、そこにはスーツを着た細身の男性が壊れた転送装置の前に立っていた。

 

「遅かったな、女神ども」

 

「あなたは……誰?」

 

 わたしが代表して声をかけたんだけど、本当に誰だかわからない。

 

 ここに来て新キャラとかやめてよ。

 

「お姉ちゃん、あの人はジャッジ・ザ・ハードだよ」

 

「……え、嘘?」

 

「本当ですよ。だから、油断しないでください」

 

 ネプギアとナナハちゃんはスーツ姿の男性、ジャッジ・ザ・ハードを警戒してその手に武器を構えだした。

 

 って、本当にあの人がジャッジ・ザ・ハード!?

 

 いつもの黒い3本角はどうしたの!?

 

 ……あ、そう言えば、あれってパワードスーツなんだっけ?

 

 へぇ、素の姿はこんな感じなんだ。

 

「あなたはいつまで敵の前で呆けているつもりなの? シャキッとしなさいよ!」

 

「あ、ごめん」

 

 ノワールに怒鳴られてわかったけど、わたし以外は皆いつの間にか武器を構えてたんだね。

 

 っと、わたしも武器を構えてっと。

 

「それでは、こほんっ! 貴様は完全に包囲されている! 大人しく投降しなさい!」

 

「……何を言っているの」

 

「ふざけている場合ではございませんわよ」

 

 わたしが警察官張りにジャッジ・ザ・ハードに自首するように呼び掛けたのだが、どうやら不評みたい。

 

「まあ、ネプテューヌのことは放っておいて……あなたも随分と大胆なことをしてくれたじゃない。まさか教会に乗り込んでくるなんて思わなかったわ」

 

「だけど、あまりにも無謀過ぎたわね。いくらあなたが強くなったとしても、自慢のパワードスーツなしでわたし達に勝てると思ってるの?」

 

「大方、その転送装置を破壊することが目的だったようですけど、大きな音をたてすぎましたわね。覚悟はよろしいかしら?」

 

 な、なんかわたしを置いてけぼりにして盛り上がってきちゃったんだけど、このままじゃ駄目だよね。

 

 わたしもこの流れに乗って何か言わないと……

 

「そ……」

 

「お生憎様。私達の目的は転送装置だけじゃないのよ」

 

 一言しか言えなかった!?

 

 だ、誰なの!? わたしのセリフにかぶせてきたのは!?

 

 わたし達が声のした方を向くと、そこには黒いひらひらした服を着た女の子が壁に寄り掛かっていた。

 

 ……その顔は、ネプギアによく似ていた。

 

 多分、ずっと部屋にいたのだろうけど、わたし達はジャッジ・ザ・ハードにしか注意がいってなくて気付くことができなかったんだと思う。

 

 わたし達が声もなく驚き固まっていると、ネプギア似の女の子はにこっと笑みを浮かべた。

 

「初めまして皆さん。私は犯罪組織のボスをしてます『再誕』の女神フィーナと申します」

 

 フィーナはゆっくりと優雅な動作でジャッジ・ザ・ハードの前に立ち、スカートのすそを指で持ちながら一礼した。

 

 この子がアカリちゃん以外の『再誕』の女神。

 

「せっかく集まってもらったのですが、私の用事はもう終わっていますので、これで失礼させていただきます」

 

「っ、夢人さん!?」

 

「っ、いーすん!?」

 

 フィーナが目を細めて指を鳴らすと、後ろに控えていたジャッジ・ザ・ハードがぐったりとしているゆっくんといーすんを肩に担ぎだした。

 

「この2人は私が連れて行きますね」

 

「そんなことさせるわけが……」

 

「ああ、そうだったわ。あれはあなた達に返しておきますね」

 

「っ、アカリちゃん!?」

 

 わたし達が2人を救出しようとした時、フィーナは先ほどまで立っていた壁際を指さした。

 

 そこには、アカリちゃんが転がっていた。

 

「それでは失礼しますね」

 

「ま、待ちな……っ!?」

 

 わたし達の注意がアカリちゃんに向いた瞬間、フィーナは逃亡を図った。

 

 フィーナ達を包むように赤黒い霧が発生して姿が見えなくなると、次の瞬間には霧が晴れるのと同時に消えてしまった。

 

 いーすんとゆっくんを連れて……

 

「アカリちゃん!? しっかりして、アカリちゃん!?」

 

「……ま……ま……」

 

「アカリちゃん!?」

 

 2人が連れ去られたことを苦々しく思いながらも、わたし達はすぐに倒れているアカリちゃんに駆け寄った。

 

 そして、ネプギアが倒れていたアカリちゃんを抱き上げて必死に呼びかけるけど、かろうじて開いていた瞼がどんどんと閉じていってしまう。

 

 顔色も色がなくなったようにやけに白く見える。

 

 言葉もまともに喋れないようで口をパクパクとしか動かせていない。

 

「っ、アカリちゃんの体が!?」

 

 もうすぐ完全に瞼が閉じきってしまいそうになった時、急にアカリちゃんの体が透け始めた。

 

 段々と透明になっていくアカリちゃんの姿を見て、ネプギアは大粒の涙をこぼしながら必死に声を上げた。

 

「しっかりしてアカリちゃん!? ……またあの時と同じ……いや、いやあああああああああああ!?」

 

 ネプギアの悲鳴が部屋にこだまする中、アカリちゃんの体はさらに透明になっていき、ついには……

 

 

 …………

 

 

 って、ここで終わりなの!?

 

 いや、まあゆっくりのんびりしている暇がないことはわかってるけど……

 

 と、とりあえず、今回はここまでみたいだね。

 

 フィーナとジャッジ・ザ・ハードに連れ去られたゆっくんといーすんの運命は如何に!?

 

 そして、消えるアカリちゃんを救うことができるのか!?

 

 次回を刮目して待て!! ……で、いいんだよね?

 

 ……と言うより、本当にわたし達どうなっちゃうんだろう?




という訳で、今回はここまで!
……とうとう、ここまで来ました。
ようやく次話からmk2編の最終章が始まると思うと、感慨深いものです。
私、よくここまで書いてこれたなあ……
それでは、 次回 「切り札を探せ」 をお楽しみに!
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