人形の暗殺教室   作:-甘夏-

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とりあえず週一を目標に更新します。
あまり書くことに慣れないので誤字があるかもしれませんが、その時は御指摘お願いします。


初対面の時間

教室に入ると一斉に視線が集中してくる。それは好奇心がほとんどだが、1人だけ驚きを含んだ目でこちらを見てくる人間がいる。

(茅野カエデ。雪村さんの妹か)

あの日、死神を救った雪村あぐりの妹。そして私の……

「瑠海さん。自己紹介を」

「…っはい! 九重瑠海です。色々な事情で今日 からE組に参加することになりました。暗殺も頑張るのでよろしくお願いします」

「それでは瑠海さんは、業君の隣に座って下さい」

つい考え込んでしまった。なぜ彼女が私達に優しく接してくれたのか。その答えを知るためにも、この1年を暗殺教室で過ごそう。

「九重さんってさ。何か集合体みたいだよね」

にしても、この男は何なんだろう……。開口一番に人を集合体呼ばわりとは。

「私は集合体じゃないよ。れっきとした人型の個体です。それはそうと、これからよろしくね。カルマ」

「ふーん、そっか。……まぁよろしく」

そんな友人第1号との会話を終え、1時限目の鐘が鳴る。

授業はタコ……もとい殺せんせーの工夫の詰まった授業だった。一人一人に分かりやすく教え、躓いた箇所は分身で補っている。

「瑠海さんは理系が苦手ですねぇ。放課後に基礎からやってみましょうか」

「よろしくお願いします。暗殺もやってみたいですし」

「それは楽しみです。しかし、個性的な工夫も必要ですよ?」

そう言いながら先生の分身が解けていく。1時限目が終わったのだ。

それと同時に、

「私の名前は片岡メグ。でこっちが」

「磯貝悠馬。これからよろしくな」

自己紹介タイムの始まりだ。この学校ではエンドのE組と呼ばれる彼らの目には、熱意が宿っているように見える。

そんな級友と会話を交わし、最後にやって来たのは、

「茅野カエデって言います。これからよろしくね、瑠海…ちゃん?」

「好きな呼び方で良いよ、カエデ。何だか似てる気分がするし、これからよろしく」

授業の鐘が鳴る。それを聞いて、カエデ達は席に着いて言った。

このクラスは最底辺にあるが、居心地の良さは今までのどこよりも良い。そんな嬉しさを噛み締めながら、授業は始まっていく。

 

「それでは皆さん、気をつけて帰ってください」

そう言って学校が終わり放課後を迎えた。先生が毒で状態変化?すること以外は特に事件も無かった。

そしてここから先は生徒と先生ではなく、暗殺者と目標の時間だ。

今日は1人で頑張りたいと皆に言い、校舎にいるのは私と先生達だけだ。なら誰の目にも触れることなく、暴れられる。

「先生。暗殺しに来ました」

「ええ。あなたの殺る気を見せてください」

校庭の真ん中に立つのは私と殺せんせーのみ。教員室に烏間先生がいるが、防衛省との電話中のようだ。

「まず、私がここに来た理由を教えますね。それは、人形から人間になる為です」

 

 

「触手のプロトタイプ?」

『ああ。奴の触手にはプロトタイプがある。そのプロトタイプの素材が九重瑠海だ』

放課後、見知らぬ電話番号から連絡がかかってきた。それは転校生である九重瑠海に関する情報だという。

「どういうことだ。彼女が化け物だとでも言う気か?」

『いや違う。彼女は人形だ。泥棒に盗られた物を取り返そうとするね。

……質問に答える気もないからひとつだけ言っておこう。彼女を殺そうとしない方がいい。今殺そうとすれば地球が爆ぜる』

「なんだとっ!?」

電話は切れていた。こんな事を言える人間だ。上層部と繋がりがあるだろうし、今は探るだけにした方が良さそうだ。

(確か2人は校庭か)

今の連絡が本当かどうかだけでも確かめるべき。そう判断して俺は校庭へ走った。

 

 

「人形……ですか。先生にはとてもそうは思えませんが?」

「それはそうです。何たって……盗人が犯罪を認める訳ないですからねぇ!」

服は邪魔だ。制服を脱ぎ捨てながら、ポケットのアルコールを私達を囲むようにぶちまけ火をつける。そして、

「逃げないで下さいね」

「逃げるつもりはありません。ですが火の取扱いには気をつけて」

 

九重瑠海。今日からクラスに加わった転校生は私への興味を非常に示していた。暗殺や行動でそれを表に出すことは無かったが、一日中触手に意識を向けていた。

最初は触手の観察かと思ったがその正体に今気づいた。何かを奪おうとする意識。

つまるところ、触手を狙っている。彼女が何故そんな事をするのか分からない。だが教師として生徒に寄り添うのは絶対だ。

ならば、ここで退く訳にはいかない。

 

殺せんせーは油断している。本人は気づかないだろうし、人間にそれを突くことは不可能だが私には出来る。

そして油断している目標に向かって、ソレを放った。

 

「何故……ソレを持っている。その触手

を……!!」

「何を言ってるんですか? もともとそれは私のモノよ。盗人」

体に力を入れ、触手(このサイズでは尻尾か)を1本だけ解放する。人ひとりは叩き潰せる程のサイズを誇る尾を細かく枝分かれさせながら距離を詰める。

おそらく殺せんせーはテンパっている。何しろ転校生に突然盗人呼ばわりだ。教師であろうとするヤツにこれは効く。

「盗人とはどういうことですか。私の触手はあなたのモノだと?」

「だからそう言ってるでしょう。その触手は私の脳を核にしている。そんな触手を持つお前は私を殺したも同然よ。しかもお前は触手を受け入れた上で人に物を教えている。すぐに触手を拒絶すれば、私の脳がこんなガラクタになることは無かった。私の記憶も感情も消え去る事は無かったのよ。だからこそ殺す。殺して人間に戻るんだ。たとえあの人がお前を許そうと私は許さない。私を人形にしたお前はなぁ!」

「…………」

 

私は知らぬ間に罪を犯していたのか。だが知らなかったでは済まされない。これが真実かどうかなど関係ない。

ならばその罪の償いとして彼女を人にしてみせる。それがこの触手を手に入れた私の使命なのかもしれない。

 

「私はもう間違えないと決めたんです。例え、それが私の死に繋がろうともね。

ですがここで死ぬ訳にはいきません。貴女を人に戻した上で、暖かい人生を送れるようにする。それが私の使命です。なので、ここで1度止めにしましょう」

 

ヤツが動きを止めた。本来の持ち主に引き寄せられる触手についていけず、ついに諦めたのだろう。

この機会を逃せば、ヤツは絶対に逃げるだろう。ここで死んでしまえば教師を続けられないのだから。細かく分けた触手を元に戻し、巨大な槍を形成する。

「罪深さを知りながら」

死ね。

 

その言葉が口から出ることは無かった。

 

「これ以上暴れるのはよしてくれ。お前が誘導してくれたおかげで止められたが、次に同じことが起きれば我々だけでは抑えきれんぞ」

 

そう言って銃口を向けるのは、対先生BB弾を放った烏間惟臣だった。

 

「お前達ぃ……!!」

「とりあえず休みなさい。次目が覚めた時にしっかりと話し合いましょう。今の戦闘で私と九重さんの妥協点の手がかりを考えました。ですから、今は休んでください」

 

そんな標的の声と自らの怒りを頭に留めたまま、私の意識は途切れていった。

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