中間テストが終わり過度な緊張感が無くなったE組には新しい話題が出てくるようになっていた。
その話題とは……何だっけ? 確か片岡さんが「班を決めといてね」とか言っていた気がするが。
「瑠美さん、修学旅行の班が決まったら私に教えてね」
「……そんなのあったかしら」
「目が泳いでるよー」
結局片岡さんに教えて貰ったが、もうすぐE組に訪れるものは、修学旅行。それもただの修学旅行ではなく、古都京都を巡る暗殺修学旅行。各班が考えたルートに暗殺を織り交ぜるという物で、国が雇ったプロの殺し屋も参加するらしい。
この学校の風紀乱れないのかが心配だが、あの理事長の事だから予防線は張っているだろう。
「ねえ、瑠美ちゃんも私達の班に入らない?」
「私で良いの? もっと他にも人はいるのに」
「良いの良いの。それに個人的に瑠美ちゃんと話がしたいの」
そう言ってくれると悪い気はしなかった。今までとは違う生活なのだと、何度目か分からない程思い知ったが、こうして嬉しく感じられるのは良いことなんだろう。
そうして私はカエデの班へと加わることになった。そのメンバーはカエデ、渚、カルマ、奥田さん、杉野と
「クラスのマドンナ、神崎さんでどうでしょう?」
クラスでも上位に入る美人の神崎さんだった。彼女の第一印象は『清楚』だ。とても落ち着いていて、他人と優しく接する彼女に悪い印象を持つことはないだろう。
そんな彼女の加入もあり、修学旅行の計画は順調に進んでいった。
◆
そうして一日が過ぎていき、放課後になった教室に残るのは私と先生の二人。今までならシリアスな空気が漂うのだろうが、今は違う。その元凶は私の視線の先にいる殺せんせーだった。
「何してるの」
「いやぁ~、実はこの前拾ったエロ本が良いものでしてねぇーーーっにゅやっ!?」
凄い。今まで私に気づかなかったのもそうだが、焦った時の先生は動きが単調だ。
おそらく思考と触手の連動に差が出るのだろう。私の触手も緊張で様子が変わることもあるが、殺せんせーのそれは顕著だ。
「い、いつからそこに居たんですか!?」
「教室に先生が入ってからずっとです。いつも以上に鈍感ですね」
「まさか……見られるとは……そんな」
うわ。凄い凹んでる。何か顔のシルエットがあやふやになってる。何だか触手を変に活用している気がするが、私もあれができるのだろうか?
それはそうと、一つ分かったことがある。
「先生。もしかして私に、どちらかというと触手への反応が遅いですね」
「ーーーそれは、」
「触手が私を一部と認識しかけているのでしょう。それによって先生は反応が遅くなっているんでしょうね」
これは致命的な弱点だ。タダでさえ早い触手の動きを先生が瞬時に捉えられないという事は、一瞬の隙をつくことが出来るのだから。
しかし先生もそこまで甘くはないだろう。
「では瑠美さん。今なら私を殺せますか?」
「いいえ。私一人では到底不可能です。いくら技術を磨こうと科学の産物である触手を攻略するには科学の力が必要不可欠です」
「ええ。それは正しい。その科学の力もこれからの授業で学んでいきましょう」
そう言ってエロ本をしまう容疑者(年齢不詳)は修学旅行の準備を始めていく。
人生で初めての修学旅行だ。もしかしたら、この教室の中でも一二を争う位にはテンションが上がっているのではないだろうか? ちなみに次点は私だろう。
その期待を抱きながら、先生の自宅(最近は富士樹海)へと二人で帰って行った。
◆
そうして迎えた修学旅行当日。晴天の下でE組の面々は大きな荷物を携えながら、電車に揺られていた。
「いや~、瑠美さんのおかげで乗り遅れずに済みましたよ」
「先生、何かあったの?」
「良いカエデ? あのタコは売店でスイーツに目が眩んでいたの。私が忠告していなかったら今頃電車に並走しているところだったわ」
無論、先生も楽しんでいる。ビッチ先生のナイフを避けながらだが。
そんな先生も数分前には乗り遅れそうになっていて、私がナイフを投擲しなければその場で固まっていただろう。そうなれば、修学旅行のスタートが台無しだ。
まぁ先生は枕を取りに一度帰宅していたが。
「E組いじめが無いのは気が楽ね」
「確かに。電車に乗ってる間はゆったりできるのが嬉しいよ」
カエデが言うように、E組と他クラスでは号車が違う。曰く、E組にグリーン車は不要らしい。だがそれが上手く働いたのか、乗車前にE組いびりはあったが、号車が違うということは他のクラスの人間も居らず快適だ。その影響か皆も大分くつろいでいる。
これから向かう古都において、私達の暗殺修学旅行が始まるのだ。
最近、境界線上のホライゾンも書き始めたので、どちらも応援よろしくお願いします
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