ハイスクールS×D 聖剣番犬のダイヤモンド   作:ヤギ3

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 リハビリ的な意味も込めての投稿です。
 一応、エクスカリバー編で終わるつもりです。


第1話

「お、おのれェェェエエエエ! こんな、こんなガキにこの俺様が、こ、この、この俺様が……負けるなんてことがァァァアアアア!」

「騒がしいな」

 

 小さな十二歳の子供としては平均的な左手に持った、鞘に収まった小太刀こと【聖剣・雷切】をカチリという音と共に握り直す。

 俺の傍らには、ゴールデンレトリーバー程の大きさの金属質な灰色の竜がいた。……いや、俺の神器(セイクリッド・ギア)である【竜の人形】(ドラゴン・ドール)がいた。

 

「そのガキに負けておいて、ピィピィと騒ぐモノではないぞ、はぐれ悪魔。貴様は、主を殺した。お前は、我が主に殺される。因果応報というやつだ。受け入れろ。それこそ貴様がやらなければならないことだろうよ」

 

 竜が発する声もはぐれ悪魔には、届かない。

 

「ウ、ウルセェエエ! ま、負けてねェ。ああ、そうさ! ま、負け、負けているわけがェエエエエだろォォオオオオオガァァアアアアア! 俺、お、俺は十三人のエクソシストと上級悪魔のクソ主とその眷属を殺したこ、この、この、こここここここのメルデー様がァ負けたわけがねェエエエだろうがァァァアアアア!」

 

 吠える。

 眼の前にいる異形の怪物は人に吠える。

 主を殺し狂った『野良犬』は教会の『番犬』に吠える。

 その姿は、滑稽で、無様で、悪辣で、――どこか哀れに思えた。

 

「エリアル……介錯をしてやって」

「……了解した。これ以上、コイツが無様な真似をしないよう一思いに殺してやろう」

「や、やめ、や……」

「やめない。『ファイバーランス』……やっちゃって」

 

 竜――エリアルの体にある線と口内が白く光り、白く小さな光の槍がはぐれ悪魔に突き刺さる。

 そのまま、悪魔は泡が消え去るようにこの世から消失していく。

 

「終わったのか……?」

「う、嘘……たった一人であのA級はぐれ悪魔を倒したの?」

 

 後ろから少女たちの声が聞こえる。

 一人は、栗色の髪の毛をツインテールにした少女。もう一人は、青い髪に緑のメッシュを入れた少女。

 確か、どちらも新入りの聖剣使いで俺と同い年だったはずだ。

 教会の老害どもは、自分達で無くこんなに幼い少女たちを投入しやがったのか。そのことを考えると、頭に血が上る。

 

「あり得ない……」

「これが教会の『番犬』か……」

 

 ☆

 

「……い。おい。おい、銀七(ギンナ)

「むぅ」

 

 目を開けると、目の前には緑のメッシュを入れた少女、ゼノヴィアがいた。

 少し視線を外してみると、栗色の髪の毛をツインテールにした少女、紫藤イリナがいた。場所は飛行機の中。通路側から俺、ゼノヴィア、イリナだ。

 

「もうすぐ着くぞ」

「もうそんな時間か」

「久しぶりの日本! 楽しみね~」

 

 俺が元々居たのは、ヴァチカンのお隣さんであるイタリアだ。もっとも、俺は日本出身だが。

 その故郷へ遠路はるばる何故帰っているのか、理由は実家に帰るため――じゃない。第一、親はもう両方とも死んでいる。

 

「それにしても、懐かしい夢を見たな」

「懐かしい夢? なにそれ」

「初めての悪魔殺し」

「ああ、私達と初めてであった日でもあったな」

 

 A級はぐれ悪魔メルデーの討伐。

 大体、A級のはぐれ悪魔の討伐というのは、一流のエクソシストが受けるランクの仕事である。

 当時の俺のような子供のエクソシストは、E級かD級の仕事をするだけだ。大人のエクソシストだってBかCが一般的だ。

 当時十二歳だったガキに受けさせるような仕事じゃない。全く、上は何を考えているんだか。

 

「あの時は、ビックリしたわね。殉教する覚悟で挑んだ悪魔が既に事切れていたんだもん」

「そうだな。しかも倒したのが私達と歳も変わらない少年とあっては、尚更だ。ふふっ、そのおかげで当面の目標が出来て実力を上げることが出来た。感謝しているぞ、銀七」

「そいつはどうも」

 

 今では、俺もゼノヴィアたちも一流と呼んでも差し支えない実力を持っている。

 メルデー程度の相手なら三体相手でも、討滅できる自信が彼女たちにはあるだろう。

 今回の獲物は、メルデーなど比べ物にならないほど強力で強大だけど。正直、勝てる気がしない。

 

「ハァ。貧乏くじを引いたな」

「そう落ち込むな。これも主の与えて下さった試練だ。私達エクソシストは、その期待に答えるべきだろう」

「そうよ。この任務を乗り越えた時こそ、神への信仰は本物になるのよ」

「そーですか。頑張って。俺は宗教家じゃないからな」

「そんなんだから『番犬』なんて蔑称で呼ばれるのよ」

「そのあだ名、結構気に入っているんだがな」

 

 教会の『番犬』

 俺のあだ名だ。

 神を信仰する信者でないにも関わらず、悪魔を殺すことに長けている。祝福を受けていないのに聖剣を扱える。更には、天使が操る光を扱える神器を持つ。

 俺は、およそエクソシストが憧れる全てを持って産まれてきたと言って良い。

 そのため、教会は俺をエクソシストとして迎え入れた。

 その結果ついた蔑称が『番犬』

 卑しい犬。神を信仰することを知らない哀れな犬。という意味らしい。俺としては、このあだ名を気に入っている。

 プライドだけで実力のないやつとは違い、実力があるとヴァチカンの正教会からのお墨付きである事と同義なのだから。

 

 機内アナウンスが流れる。

 

「そろそろ日本だ。二人共、降りる準備をしろ」

「はいよ」

「はーい」

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