一〇〇式戦記『失楽園《Paradise Lost》 』   作:カール・ロビンソン

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Spinoff 美食不孤單

 一〇〇式は胸の前で拳をぎゅっとして、キッチンに向かう。手には烏賊の入った水袋とその他手に入れてきた調味料など。

 どれもそう簡単に手に入るものではないが、日頃ろくな食生活を送っていない指揮官のために、一〇〇式は貯蓄をはたいて購入したのだ。特に生きているヤリイカは、以前助けた海洋研究所の職員が好意でくれたものであり、売り捌けば指揮官のボーナスを上回る値段になる。

 しかし、一〇〇式はそれらを消費することに躊躇はない。指揮官が喜んでくれることが、一〇〇式の最大の願いなのだから。

 

 さて料理開始である。スキルワイヤー起動。イカ墨スパゲッティの作り方をライブラリィからダウンロードする。

 まずは烏賊を捌くところから始めます。最初に、胴体に指を入れ、内臓と胴の接合部分をはがします。これによって、内臓を引き出しやすくします。

 次に、片手で胴体を押さえ、もう一方の手で目の部分を持ち、ゆっくりと内臓を引き出します。そして、軟骨と白い内臓を取り除き、硬い部分をナイフで削ぎ切ります。

 そして、皮と身の間に指を入れて皮を向きます。ちょっと失敗して皮を取りきれなかったので、キッチンタオルで拭って取りました。

 その後、縦に切込みを入れて胴を開き、中の薄皮をキッチンタオルで拭い取ります。ちょっと、手がべとべとしたりして気持ち悪いですが、水洗いすると味が落ちるのでここは我慢です。

 

 この後も淡々と烏賊を捌いていきます。ゲソは細かく切って、内臓の墨袋は大事にとっておきます。小さくて量が少ないので不安ですが、のばせば大丈夫だと思います。また、胴は輪切りにしておきます。

 また、ニンニクと唐辛子、それに玉ねぎもみじん切りにしておきます。彼らも重要な脇役なので、あだやおろそかにはできません。

 

 次に、パスタを茹でます。この世界では水も貴重な資源なので、無駄は省きたいです。そこで、シリコンスチーマーと電子レンジを使ってパスタを茹でたいと思います。

 まず、シリコンスチーマーに水200ccを入れて、パスタを入れ、そして大豆油をかけて和えます。こうすると、パスタ同士がくっつかないで綺麗に仕上がるそうです。別途に100ccの水を用意しておくことも忘れてはいけません。

 そして、すぐに電子レンジにかけます。600Wで3分30秒です。ここから時間との戦いが始まります。

 

 すぐにフライパンに大豆油と刻んだニンニクと唐辛子を入れて中火で熱し始めます。こうして油に香りをつけます。油を熱したら、玉ねぎを加えてそれが狐色になるまで炒めます。そして、その後烏賊の身を投入。その後少しかき混ぜて弱火にして、蓋をします。

 

 そのぐらいで鳴った電子レンジからスチーマーを取り出し、水100ccを加えて再度2分加熱します。

 

 そして、フライパンの蓋を取り、墨袋を潰しながら加え、酒と醤油、そしてバターを加えます。そして、隠し味のめんつゆ大匙一杯と山椒と生姜をほんの少しだけ投入します。

 最後に、茹で上がった麺をフライパンに加えて和えた後、仕上げに三つ葉を乗せて完成。一〇〇式風純和風パスタの完成です。

 

 一〇〇式はさっそく指揮官の下へ行きます。パスタが冷めない内に召し上がって欲しいのです。

 指揮官は案の定お腹を空かせて待っていました。お皿とお箸、それにお茶を彼の前に配膳します。

 

 指揮官が最初の一口を食します。おいしくなかったらどうしよう。一〇〇式は手に汗を握りながら(注:戦術人形は汗をかきませんので、あくまで比喩です)彼の反応を待ちます。

 

「う…!?」

 

 指揮官が言いました。一〇〇式は口元に手を当てて悲鳴をかみ殺します。もしかして美味しくなかったのでしょうか。それとも、有毒な成分が混じっていたのでしょうか。一〇〇式は胸をドキドキさせながら(注:戦術人形に心臓はないので、あくまで比喩です)彼の反応を待ちます。

 

「美味い…」

 

 指揮官はなんだか感極まった表情でしみじみと言いました。一〇〇式は一瞬きょとんとしていましたが、次の瞬間花が開いたかのような満面の笑顔を浮かべました。

 

「俺、こんな美味いもの食ったの初めてだよ…ありがとうな、一〇〇式(モモ)。俺はお前の指揮官で本当に幸せだよ」

 

 パスタをゆっくりと食べながら、賞賛の声を聞かせてくれました。一〇〇式はとても幸せでした。お金を大分使ってしまいましたが、その甲斐があったと思いました。

 

「はい、指揮官! 一〇〇式はもっともっと頑張ります! ここで立ち止まらないですからね!!」

 

 一〇〇式は決意を秘めた口調で言う。もっと頑張って、上手に料理を作って、指揮官に喜んで貰おうと誓う。

 次は、もう少し安めのメニューを考えよう、と一〇〇式は思う。流石に今の食事を短期間で出すのは無理だ。もっとコンスタントに楽しめるメニューを考えたい。そして、指揮官の誕生日には憧れのスキヤキをご馳走して差し上げたい。一〇〇式は新たな願いを胸に、これからも精進して行こうと誓った。

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