魔法少女リリカルなのは?ああ、転生者がホイホイ来るアレね   作:みすちー

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第10話

 

 

 

 

ーービュウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ………

 

 

真夜中、春のまだ肌寒い風を鳴らしながら空を駆け抜けてゆく白い翼が一つ。

 

 

「やれやれ……緊急事態とは何だ?一体何があった?」

 

 

ウィングゼロを起動し、エピオンとは違い白を基調としたメカメカしい姿となっている翼だ。

ブースターからのバーニア全開で暗闇の空を切り裂いてゆく

 

 

『原作が綻び始めておる!この世界の中心、主人公がキーパーソンと出会っていないんじゃ!!その御蔭で本来倒される筈の敵が暴走しとるそい!!』

 

 

カードから聞こえた狼狽している神の言葉の一部に引っかかりを感じた翼は眉をひそめた

 

 

「……原作?」

 

『お主も知っとるじゃろ?魔法少女リリカルなのはじゃよ』

 

「………あっ!」

 

 

転生してからというものの、ずっとノーマルライフを満喫していた翼はそこでやっと思い出した。

魔法少女リリカルなのはというこの世界のこと

他の転生者を叩く事

そして自分自身も転生者であるということ

 

喉につっかえた物が取れたかのような清々しい気分が翼に広がる。

 

 

「そういえばそういうものだったな、ところでーーーー」

 

『なんじゃ?』

 

「ーーーー私、リリカルなのははA'Sの最後しか見ていないのだけど?」

 

『』

 

 

翼の発言に絶句する神

恐らく通信の先では口をあんぐりと開けて顎を外しそうになっている神がいるのだろうか

 

 

「………。どうした?故障したかな?」

 

『そういえばそうじゃったな……何か忘れてとかと思ったらそうじゃった。

お主魔法少女リリカルなのははほとんど知らんじゃろ、どうするかのう…』

 

「別に私にこれからどうなるかを話すとかすればいいのではないのか?」

 

『無理じゃ』

 

 

簡単な事じゃないかと疑問に思った翼だが、しかし神はそれを不可能だと言った。

それに対し翼は更に眉をひそめる

 

 

「何故だ?むしろこれから何が起きるか私が把握しておけばやり易いし対策が練れるのではないのか?」

 

『お主は既に“この世界の住人”として生を受けておる。世界の住人にその世界の未来を儂が教える事は出来んのじゃお主も既に世界の修正を受けてる様だしの。』

 

「私が…修正を受けているだと?」

 

 

世界の修正、この言葉が翼の中に響く。

自身が既に修正されている?何を?

私は私ではないか、何も変わってなどいない。

 

 

『その様子だと自覚は無いようじゃのう。とにかく儂から出来るのはヒントとアドバイスぐらいじゃ、それで我慢せい。』

 

「…ハァ、わかった。とにかく今私は何をすればいい?」

 

 

修正がどうだとかは後にするとして今は緊急事態、早る気持を抑え実際何をするかを翼は聞き出す。

 

 

『とにかく化物がこの町の何処かで暴れとる、被害が出る前に迅速に叩くんじゃ!』

 

「承ったッ!」

 

 

ピッ

 

 

通信を切り更に加速。

全身で夜風を浴びながら町に変わったものがないかを探しだす。

 

 

ーーーアレか!!

 

 

町からちょっぴり離れた所にある道路。

そこには明らかに異常な黒いウジャウジャとした大きな塊が在った、おまけにその道路も辺り一面抉られていたり割れていたりしている。

 

どう見てもアレで確定だろう。

 

「それにしてもあんなものがか……。どれ」

 

 

翼はまだ気付かれてはいない事を悟ると腰に装着されている鳥の様なシールドがついたビームライフル銃、バスターライフルを二丁の内一丁を取り出し適当に構え、黒い塊を狙う。

 

 

「攻撃開始」

 

 

ーバキューンッ!!

 

 

バスターライフルから飛び出した凝縮された光弾状の魔力の塊は大体狙ったポイントーーー黒い塊にぶち当たった。

 

 

ードゴォンッッ!!!

 

 

すると黒い塊はまるで豆腐の様に爆裂四散してしまったではないか。

衝撃を受け流すだとか、スライムっぽい性質もない。

砂場に建てられた砂城を壊すかの様に四散してしまった。

 

 

「…?」

 

 

あまりにも脆い黒い塊。翼は訝しげにそれを見つめているとーーー

 

 

 

 

 

 

 

「成る程、再生するという訳か。」

 

 

ーーー急速的に四散した破片が集まり、再び大きな黒い塊となった。

こちらに気づいたらしく、“よくも出会い頭に撃ってきやがったなこの野郎”と言わんばかりに激しくグネグネした動きをしている。

 

 

「面白い…。だが防人として、剣(TSURUGI)として悪いが倒させてもらおうか!」

 

 

背部のウィングバインダーを折りたたみ、鷲や隼の如く落下しながらの急降下。

その間にバスターライフルを仕舞い新たな武装、ビームサーベルを取り出し起動する。

 

撃っといて剣(TSURUGI)はどうかと思うが大丈夫、今から剣を使います。

 

 

 

 

「とぅっ!」

 

 

地面スレスレでウィングバインダーを開き、黒い塊へ向けて速度を保ったまま低空で真っ直ぐに突撃。

 

 

ーードバババババババッッ!!

 

すると黒い塊が自ら分裂し、ソフトボールぐらいの大きさとなった黒い破片が弾丸のように飛び出してきた。

迎撃のつもりだろうか

 

 

「いざ、推して参るッ!」

 

 

翼は破片の弾幕をいとも容易く回避してゆく。

元々弾幕と言ってもその速度は十分鈍いし追尾性がるわけでもない。

 

あっという間に間合いを詰めた翼はビームサーベルを振りかぶりーーーー

 

 

ーー斬ッ!

 

 

一文字、黄緑色の光が黒い塊を横真っ二つに斬り裂いた。

 

しかし塊はグネグネグニャグニャと動き、執念深く再び再生ーーーーーー

 

 

 

 

 

「再生はさせないぞ」

 

 

ーーブゥゥォォォゥン!!!

 

 

ーーーしようとした所、既にバスターライフルを構えていた翼の近距離バスターライフル照射が直撃した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし再び再生する

 

斬ッ!

 

再び再生する

 

轟ッ!!

 

再び再生する

 

刺ッ!!!

 

再び再生する

 

撃ッ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ……ハァ…!ここまで執念深い事がこうもやりにくいとは…!!」

 

 

あれから10数分、ずっとこれの繰り返しだ。

バスターライフルは照射しようが連射しようが全く効いていない

ビームサーベルでいくら斬ろうがすぐに斬面がくっついてしまう

 

まるで自分の影か何かを相手にしている気分だ、全く手応えがない

 

 

対して翼は窮地に立たされていた。

 

ビームサーベルもビームバスターライフルも、飛行にも反動や制御に体力と魔力を消費する。

ウィングゼロ、エピオンは共に燃費が非常に良く魔力値が低い翼でも十二分に扱えるものだが限度はある。

そして限度がーー体力、魔力切れだ。

そうなったら最後、翼は戦う術を失う事になる。

 

 

「防人が後ずさればそれだけ戦線は後退する………。此処で何とか打開をせねばな…」

 

 

後方には町。黒い塊による町への侵攻を許せば被害は間逃れない事は火を見るより明らかだ。

だが打開する策は思いつかない。

 

 

「(一か八か、ツインバスターライフルを撃つか…?だがそれをした場合私の魔力切れは不可避ッ!仕留めきらなければならないな………)」

 

 

こうして思考を張り巡らしてる度に黒い塊は再生し終わってしまった。

先程と同じく、破片を弾幕として翼へ攻撃を始めた。

 

 

「くっ……」

 

 

先程と同じ攻撃方だが今は疲労で余裕も無い、ギリギリで回避に成功する。

 

 

 

 

「(………打開策は……打開策は………いや、アレは何だ?)」

 

 

飛ばされていく破片に重なりほぼ一瞬しか確認出来なかったが翼は回避中、確かに見ていた

光り輝く水色の宝石らしき物が黒い塊に埋まっていたのを。

 

 

 

 

 

 

いくら攻撃しても効いていない

執念深いというより作業にも見えてきた再生能力

そして今確認出来た水色の光り輝く宝石ーーーーーー!!!!

 

 

 

 

「(成る程、この敵には“実体”が無いッ!ならば攻めるべきは………アレか!!!)」

 

 

黒い塊は破片を回収し、元に戻る。

 

 

ーー駆ッ!翔ッ!!!

 

 

 

黒い塊が元に戻ったと同時に翼は駆け出し、低空飛行にて超加速。

ウィングゼロの装甲が風を受け、白い線を描き出す。

 

 

「私は防人としてッ!!」

 

 

ーー斬ッ!斬斬斬ッ!!!

 

 

滅多斬り

 

残線も何も考えず、ただ中心を剥き出しにさせるため斬り続ける。

 

 

見えた、剥き出しになった。

水色な光り輝く、瞳にも似た宝石がやはりそこには在った。

が、その周囲が直ぐにそれを包み込んでしまう。

 

 

「剣として!!」

 

 

ーー残ッ!突刺ッッ!!!

 

 

躊躇う事なく翼はその心臓部と確信した破片をビームサーベルで突き刺す。

まだ終わらない。

 

 

「貴様を!!」

 

 

ーー飛轟ッッ!!!!!裟ッッ!!!

 

 

 

今度はビームサーベルを破片に突き刺したまま急上昇、ある程度の高度に到達したらビームサーベルを振り回し遠心力で破片を上空へ投げ飛ばす

 

 

そしてバスターライフルを両腰から一丁ずつ、合計二丁を取り出し合体させ、完成したツインバスターライフルを両手で構えーーーーーー

 

 

「討たせてもらうッ!!」

 

 

ーーバブゥゥォォォゥゥゥゥゥンンン!!!!!!

 

 

滞空したまま宙返りし狙いをつけ、破片へツインバスターライフルを照射した。

超極太のビームがツインバスターライフルから飛び出す。

 

 

「ぐぅ…ぅ…っ…」

 

 

激しい反動が翼を襲う、しかしその体制を崩す事なく、真っ直ぐにビームは破片に照射された。

 

 

黒い破片はそのビームに包まれ………完全に消滅していた。

 

 

 

「ふぅ……やったな。」

 

 

消滅を確認した翼はツインバスターライフルを仕舞い、安堵の息をつく。

その額にはびっしりと汗が付着していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、場所は違えど同じ海鳴市の郊外。やや古びた屋敷。

 

 

「やれやれ………」

 

 

金髪にややタレ目のオッドアイが特徴的な少年、天辻はそこに住んでいた。

 

その瞳にはーーーーー

 

 

「キュ…ゥゥゥゥ…」

 

 

布団の上で弱々しくふるえているフェレットらしき動物が写っていた。

 

 

 

 

 

 

 






みすちー「じゃ、あとがき祭り始めますかっ!」
翼「で、今回は何をするんだ?」
みすちー「読者の皆様が不思議に思う事の解説に決まってるじゃないか」
翼「はぁ…」


みすちー「まずは“世界の修正”についてかな」
翼「つまり私の設定を簡単にしたかったから使ったのか、その設定を」
みすちー「何故何も言ってないのにばれたし。まぁそんな感じだよ、翼のTS的なのはこれで万事解決!
読者の皆様は翼の事を『転生者だけど心も乙女』って考えてくれればいいのだよ。」
翼「つまり私のこんがらがった設定を面倒だから変えたのか。」
みすちー「だまらっしゃい」


翼「で、次は?」
みすちー「ない」
翼「?」
みすちー「いや、だからさぁ、全くあとがきのネタがないんだよ。」
翼「はぁ…」
みすちー「そんな訳で読者の皆様、また次回をお楽しみ……に?」
翼「何故そこで疑問符!?」





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