魔法少女リリカルなのは?ああ、転生者がホイホイ来るアレね 作:みすちー
防人≠ファンクラブ≠変身
「……私の名は風鳴翼…。剣(TSURUGI)だッ!!」
数日後、デンライナー食堂車にてキタエリの声で防人(SAKIMORI)の台詞を噛まずに真顔で言うという実に器用な事をしている奇妙な女の子がいた。
「よし完璧!これで転生者かどうかわかりにくくなる!」
実はこれ、翼が一生懸命考えた対転生者対策だったりする。
この容姿と声は派手過ぎる、どうあがいても転生者の目に留まってしまう。
そこに翼は目を付け、ある偉い人の言った通りにした。
『逆に考えるんだ、あげちゃってもいいさと』の通りに。
つまり、下手に容姿や声を隠したりするよりその人物になりきってしまえばいい。
それが“当たり前”となれば転生者達だって『あれ?翼さん似の子がいる』程度にしか思わない。
所詮ここはアニメだからーーという、翼の矛盾した理由もあるものだが。
「アニメ……か」
思う、たった一週間ちょっとしかこの世界に居てないが“変わらない”のだ。
自分が居た世界も、今の世界も。
ただ世界の“当たり前”が違うだけで他は同じ、三次元だろうが二次元だろうが等しく現実である。
周りの人も空気も、“きちんとそこにいる”、自分達の生活がある。
そして翼は考えた。
「(アニメとかの話は…、ただの“非日常”を世界から切り取っているだけに過ぎないんだ。詐欺の話とか戦争の話とか、そうゆうものに過ぎない…)」
そう考えると一昔前の自分、アニメの世界って良いよなーだとか考えていた自分が馬鹿馬鹿しくなった。
閑話休題
「とりあえず他の転生者をどうするか…。」
俺…じゃなかった私は他の転生者が“どんな感じか”ぐらいは流石に知っているが“誰か”も“どんな能力を持っているか”も知らない。
超能力系は勘弁して欲しい、サイコキネシスだとかを使われたら機体頼りの私では敵わないのだ。
「うーむ…。」
しばらくし、考えるのをやめた私はカード(電話)をスカートのポケットから取り出し、神へ連絡をしてみた。
ーとぅぅるるるるるるん、とぅぅるるるるるるん、ガチャッ
『おお、何か用かの?』
「神、少し聞く事がある。」
『お、おぉ…何を聞きたいんじゃ?(たった数日で随分変わったのう…)」
通話しながらカウンターに置いてあるペン立てからメモ帳とボールペンを取り出して…と
「この前転生者は三人、全員特典持ちって言ってたわよね?」
『そうじゃが…お主本当にどうしたんじゃ?まるで人が変わった様だぞい』
「気にするな、私自身が剣(TSURUGI)となり防人(SAKIMORI)となっただけだ。ところでその特典だが…どんなものか教えてくれないか?」
ハマってしまったというのは内緒だ。
『そ、そうか…。ゴッフン、三人の転生者のうち、よく言うニコポだとかナデポだとかいう呪いの類いを持っとる奴はおらんな、共通して全員莫大な魔力を持っちょる。』
「ほうほう。」
メモに“ニコポナデポは無しと書き留め、次を聞く。
『後は…と。一人が高性能デバイス、一人は王の財宝(ゲートオブバビロン)とか言う四次元ポケットみたいなものと法具じゃの、』
「成る程…と、最後の一人は?」
続けてメモに“デバイス”、“四次元ポケット”、とペンを走らせる。
『最後の一人は…なんじゃったかのう?確か仮面なんちゃらだったような気がするぞい。』
「“仮面ライダー”ね。」
仮面ライダー……か。
俺…じゃなかった私は趣味の中でも仮面ライダーが大好きだ、今でも自転車をサイクロン号に見たてて変身ポーズをとったりしたのは覚えている。
正直に言うと特典が仮面ライダーでも良かったぐらいだ、性転換だったから諦めたが。
『そうそう、その仮面ライダーじゃよ。他に聞きたい事はあるかの?』
「転生者の容姿と特徴よ」
メモにペンを走らせながら、ふと思いだした言葉がある。
《“力”はあくまでそれ単体では正義でも悪でもないただのエネルギーに過ぎない。要は使い方だ。》
という言葉だ。私の叔父がよく使っていた言葉で、叔父は自衛隊員だった。
“転生特典”もそう。
悪用する人もいれば何かを守ったり、あくまで自衛にしか使わない人もいる。
様々な形へと変わり、使われているのだ。
「(…いや、私の場合はただのエゴか、良い人ぶっているに過ぎない。)」
私は既に自身の趣味の領域で“力”を手にしている。
……いや、もうこれについて考えるのはよそう。
『〜〜〜じゃよ、わかったかの?』
「へっ?」
考えごとにふけりすぎていて神の言う事を聞いていなかった俺ーーじゃなかった私は、もう一度聞き直すのであった。
「(何故だ?一体どういう事だ?)」
理解が出来なかった
何故?
何故こうもーーー
「(なのは達に避けられている?)」
天辻がその意味に気づくのには大して時間は掛からなかった。
自分以外にも転生者が二人もいるのだ、それもよくある“踏み台転生者”なタイプで自己中心的、女子にフラグを乱立、なのは達原作組にちょっかいをかけたりしている。
実際天辻は自分の眼で、耳で確認した。
授業中、休み時間、昼食時。
ありとあらゆる時間の内、30分…いや、下手したら20分に一回は二人が原作組の誰かにちょっかいをかけているのだ。
しかもその度に拒否られているというのに『ツンデレ』『恥ずかしがり屋』『嫉妬』辺りで片付けている。
何故その努力を他に向けないのか。
そして、“気味悪いぐらいのイケメン”、“金髪”、“オッドアイ”という点で原作組に二人と同じ様な存在だと考えられ、天辻はそのとばっちりを喰らったのだ。
お陰でまだ一回も原作組と話してもいないのにただ近づいただけで『こっちくんな』『死ぬがよい』『次来たら口を縫い合わすぞ』と罵倒される。
まぁ天辻も原作組ハーレム狙いなのでしょうがないとしか言いようがないが。
「くそぅ…くそぅ…!」
それだけならまだ良かった。
彼女達のみに嫌われるだけだったのならまだ良かった。
彼女達原作組は学校では超人気、超有名人。
今度は彼女達のファンクラブや一部の女子達の恨みと怒りを買い、執拗な嫌がらせを受けたのだ。
主に靴を隠される、常に殺気をぶつけられる等。
天辻は流石に『俺は何もしてないだろ!』と正論をぶつけて静まらせたものの、また何時嫌がらせを受けるか心配だった。
「……慣れない事なんてするんじゃなかったな…。」
そしてこの真っ白な天辻である。
「(あいつら二人が周りに対してモブモブうっせえ理由がわかったよ。それにしても転校一日目からこれか……。)」
放課後、誰もいない教室にて天辻はドクターペッパー片手に一人、孤独に思案に耽っていた。
さて、これからどうするかなと天辻は考える。
クラスメイトの約半分が天辻を敵視している、転生者達二人もそうだ。いがみ合いながらも考えている事がほとんど同じなので最悪2対1になるケースになるだろう。
まさにお先真っ暗。
どうあがいても絶望。
「……あーあ、どうするかな…。
この際学校やめて好きに生きるか………いや、第三者として原作に介入して…」
先生に追い出されるまで、30分じっくりと悩みつくした天辻だった。
これにて既存のものは移しました。
次の更新は来週…かな?です