Fate/Grand Order -RE:BUILD- 作:(TWT)
なるべくどちらの世界観も崩さず、引き立て合えるように頑張って話を構成していきたいです。
見切り発車のため、不定期連載になりがちだとは思いますが、よろしくお付き合いください。
「愛と平和を胸に生きていける世界を創る……そのために俺は戦う!」
緋色の装甲を纏った戦士が叫ぶ。
「破壊こそ力だ! お前の正義など俺が壊してやる!」
相対する星喰の化物が応えるように吠える。
星を護るため。星を喰らうため。
破滅が約束された地で、二人の死闘は続く。
そしてついに決着の時が―
「これで最後だッ!」
赤と青の装甲にその身を変えた戦士が渾身のキックを上空から化物に叩き込み、そのまま戦士と化物は一直線に地面へと落下していく。
「この俺が、滅びるだと……そんなことがあってたまるか!」
化物は自らに纏まり付く滅びの気配を振り払い、自身の腹に打ち込まれた戦士の足を掴み直す。
「消滅こそ宇宙の真理! 破壊こそ究極の力だ! 破壊の化身たる俺が滅びるわけがあるものかッ!」
掴んだ戦士の足を僅かに押し戻し、化物はそのまま足を外そうとする。そうはさせまいと戦士は残る力の全てを足に込める。
既に二人のいるその地は崩壊寸前だった。
星ならざるその場所は、地面も空もあちこちがまるでひび割れて剥がれたペンキのようにボロボロと崩れ去っては虚空に消える。そしてその後には何もない真っ暗な空間だけが残る。
そんな中を両者は勢いを増しながら空中を流れ落ちていく。
そして二人が地面に落下したその瞬間、その空間は崩壊を迎えた。
赤と青の光が溢れ出し、全てが閃光に塗りつぶされる。
目も開けていられない程の閃光の中、戦士の意識もまた光に飲み込まれた。
暗転していく戦士の脳裏に大切な仲間たちが浮かぶ。
(万丈…美空…紗羽さん…カズミン…幻さん…………父さん)
何も見えず、何も感じなくなっていく。手放しそうになる意識を手繰り寄せる様に戦士は手を伸ばす。見えない何かをつかみ取ろうとして。
「新世界……創………」
それを最後に戦士の意識は途切れた。
―・―
「フォウ……」
何かが聞こえた。
それを切欠に男の意識が泥のように重たい倦怠感から少しだけ持ち上がる。
しかし、疲れ切った体は鉛のように重く、瞼も開く気配がない。男の意識は覚醒することなく、再び倦怠という泥の中へと―
「キュウ?」
また聞こえた。
今度は先ほどよりもはっきりと。何か、動物の鳴き声のような―
そして再び男の意識が少しだけ持ち上がる。
だがそれは聞こえてくる鳴き声のためじゃない。
それは切欠に過ぎず、もっと他の何か。とても大切な何かが自分の中で反響し続けているからだ。しかしそれが何だったのか、頭の中に靄がかかって思い出せない。
もう少し意識がはっきりすれば、他に何か刺激があれば。
「フォ」
三度の鳴き声と共に、今度は頬を舐められたような生暖かい感触を感じた。そしてそれが触覚というセンサーに新たな情報を入力することとなる。男の意識はスイッチを入れたパソコンのように急速に立ち上がる。
そうだ、思い出した。
眠りこけている場合ではなかった!
「ッ!」
「わわッ!」
ガバッと身を起こした男の、いや青年の目の前には眼鏡をかけた小柄な少女の驚いた顔があった。
整った顔立ち、淡色の髪とそれに見え隠れする瞳。儚げな印象の少女をほとんどの人間は美少女だと称えるだろう。傍らには犬ともリスともにつかない小動物が同じく驚いた様子で男を見上げている。
だが、青年はそれどころではないといった様子でしきりにあたりを観察していた。
床、天井、壁と見回し、次いで壁に埋め込まれた大型の窓の外の景色に目が留まる。はじける様に窓にへばり付くとマジマジと外を見て呟いた。
「……雪だ」
窓の外には見たことのない程の吹雪が吹き荒れている。それが青年の混乱を一層激しいものにした。
「(冬でもないのに吹雪? ここは北都か? いやそれよりもここはどこだ? 何の施設だ? いやいやそれよりもここは新世界なのか? 上手くいったのか? いやいやいや」
途中から口から独り言が零れていることに気が付かないまま青年は頭を掻き毟る。常日頃から天才と自負する頭脳も情報不足ではただ空回るだけであった。
「……あの人は一体どうしてしまったのでしょうかフォウさん?」
「フォウ……」
そんな男の様子に困惑する少女。彼女は足元のフォウと呼んだ小動物を追いかけて来たところで倒れていた青年とその隣に寄り添うフォウを見つけたのだった。
「マシュ。ようやく見つけたよ」
「レフ教授」
「あまり一人で出歩かないようにと……どうかしたかい?」
そこへ通路の向こうから緑色のスーツにシルクハットを被ったレフ教授と呼ばれた男がやって来た。レフは少女、マシュに何かを伝えようとしたところで窓に張り付いている青年に気がついた。
頭を掻き毟っている青年を見つめるレフは固まったように微動だにしない。
「……クッ」
レフの様子を背中越しに見ていたマシュはレフが微かに笑ったように感じた。
「……レフ教授?」
「ん? ああ、マシュ。彼は誰だい? 見たところ制服も来ていないようだし、部外者がここにいるはずがないのだけどね」
振り向いたレフはマシュが知っている、絶えず微笑んでいるいつものレフ・ライノールだった。レフに感じた僅かな違和感も元々そこまで親密でもないマシュにとってはわざわざ追及するものでもなかった。
「いえ、私も知らないのです。ここに倒れていたのを見つけただけですので」
「ふむ……」
レフが手元の端末を操作すると目の前の青年の顔写真と共に名前が検索された。
桐生戦兎。
マスターNo.48。
出身地:
経歴:
家系:
「名前……きりゅうせんと……漢字か。アジア圏の人間かな? しかしこれは名前と役職以外白紙のままだ。よほど急いでいたのか、人事部の怠慢か……いずれにせよ所長にバレたら大目玉だな」
自分には関係ないからいいかといった様子のレフの隣で、マシュは小さく呟いた。
「桐生、戦兎……」
それが自分以外にフォウが懐いた二人目の名前。
「いやいやいやいやいやいや。まずは落ち着こう」
一方の戦兎当人はというとようやく少し落ち着いた様子だった。
「そうだ、天才はうろたえない」
いや、落ち着いたつもりになっているだけかもしれない。
「まずは状況確認だ。俺以外の人間の意見を聞く。第三者の視点による評価、実験の基本だ」
戦兎はここでようやくマシュのほうへと向き直った。少女の傍らにはいつのまにか緑のシルクハットを被ったレフが増えていたが、戦兎はそんなことはお構いなしにツカツカとマシュの目の前へと進み出る。レフが何か言いたそうにしていたが一切無視。そのままマシュの肩に手をおき、瞳を覗き込むように顔を近づけて。
「ねぇ君。ここは俺が創造した新世界?」
ハーメルンでは初投稿のため、勝手が分からず色々と探り探りの状態です。
今回はテストも兼ねているのですが、ちょっと短すぎたかもしれませんね。
何か気になる点、誤字脱字、感想などがありましたらどんどんお願いします!