Fate/Grand Order -RE:BUILD-   作:(TWT)

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初回の投稿から僅かに数日で何件も感想を頂けたり、閲覧数、評価も自分の想像以上に伸びて読者の皆様本当にありがとうございます!

まだ文章量や投稿ペースなどを把握できていないため、不定期な投稿になるかもしれませんが、これからもよろしくお願いいたします!


新世界へ Bパート

前回の出来事を戦兎君、三行で説明して下さい。

 

「新世界……創………」

「そうだ、天才はうろたえない」

「ねぇ君。ここは俺が創造した新世界?」

 

 

 

 

―・-

 

 

 

 

「最悪だ……」

 

戦兎は誰もいない廊下の真ん中で深いため息をついた。思いだされるのはつい先程のやり取り。

 

 

 

 

『新世界……ですか?』

『そう! スカイウォールは!?』

『え、えっと……その……』

『消滅した月は!? 死んだ人たちは!?』

『あー桐生戦兎くん?』

 

まくしたてる戦兎とその勢いにたじろぐマシュ。それを見かねたのか、レフが二人の間に割って入った。

 

『申し訳ないが私とマシュはこれからブリーフィングに出席しなければならないのだよ。君は……とりあえず割り当てられた個室で待機していてくれ。後で医務室に連れて行ってあげるから。ほら、この端末の指示通りにいけば辿りつくから。それでは失礼。行くよマシュ、ほら』

 

そう言ってマシュを引き剥がし、代わりに端末らしき機械を押し付けたレフはマシュを連れて足早に去っていった。

 

逃げるように去っていく二人の背中を呆然と見送った戦兎はそこでようやく自分の言動を振り返ったのだった。

 

 

 

 

「あの質問の仕方はないでしょ……完全に頭のおかしい人を見るような目つきだったよ、あの子……」

 

スカイウォールだの月が消滅しただのと、いくら何でも初対面の人間にする質問ではなかった。マシュと呼ばれていた少女にとっての第一印象は変人で確定だろうなと、再び大きなため息をつく。

 

一人取り残された戦兎は手の中の端末に目を落とした。

 

「とりあえず、言われた通りにしておくか……」

 

これ以上余計な真似をしたら右も左もわからない状態のままどこかわからない場所に放り出されてしまうかもしれない。それは避けたい。

 

戦兎は端末のナビゲーションが示す通りに歩き始めた。

 

 

 

 

「しかしこのウェアラブル端末……凄いな。小さいのにこんなにくっきりした立体投影が出来るなんて……どこの技術だ?」

 

 

 

 

―・-

 

 

 

 

「はーい、入ってまー……って、うぇえええええ!?」

 

見知らぬ施設で戦兎が出会った3人目の人物はナビゲーションの指示した個室にいた先客だった。

 

「な、なんだ君は! ここは空き部屋だぞ、僕のさぼり場だぞ!? 誰の断りがあって入ってくるんだい!?」

 

白衣を纏い、跳ね返った長髪を後ろで一纏めにした男性は食べかけのケーキを手にしたまま戸口に現れた戦兎を指さして驚いている。

 

驚きたいのは戦兎も同じだったがこの先客はなにやら制服のようなものを着ている上、この施設の勝手も知っている様子だ。この施設の関係者であることは容易に想像できた。

 

「あの、レフという人にこの部屋で待機してろと言われましてですね……」

「レフがこの部屋を? ってことは君が最後の適正者? あぁぁぁ……ついにこの隠れ家ともお別れかぁ……」

 

何やら勝手に納得して勝手に落ち込んでいるこの男性。

 

「あの……ところで、あなたは?」

「ああ。僕はここの医療部門のトップ、ロマニ・アーキマン。それで君は……」

「桐生戦兎です」

「戦兎君か。僕のことは是非Dr.ロマンと呼んでくれ。皆その愛称で呼ぶんだけど、僕も気に入っていてね。格好いいし、どことなく甘くていい加減な感じがするし。あと敬語もいらないよ」

 

柔和な笑みを浮かべる医療部門のトップは自分とさほど歳は変わらないように戦兎には見えた。

 

「じゃあ俺のことも戦兎で」

「オーケー戦兎。これからよろしく」

「フォウ」

 

その時、戦兎の足元からひょっこりとフォウが顔を出した。どうやらマシュではなく戦兎についてきていたらしい。

 

「あれ? 君の足元にいるの、もしかして噂の怪生物? うわあ、初めて見た! マシュから聞いてはいたけど、本当にいたんだねぇ……ほら、お菓子食べるかい?」

「……フウ」

「あ、あれ……今何か凄く哀れなものを見るような目で無視されたような…」

 

差し出されたケーキ(とロマニ)を無視してフォウは戦兎の背中に飛びつき、そのまま背中をよじ登って最終的に戦兎の肩に落ち着いた。

 

戦兎は驚きつつ肩に止まったフォウをマジマジと見つめた。

 

「それにしても……犬科…いやリス科? 見たことのない生き物だ。装飾品もつけているし、毛並みも良い。誰かのペット?」

 

そう言いつつ撫でようと伸ばした戦兎の指をフォウが前足で叩き落とした。それなりに気位が高いらしいが、それでも逃げないところを見るとやはり戦兎は気に入られているのかもしれない。

 

「マシュが世話をしているとは聞いているけど飼っているわけじゃないらしいよ? 気がついたらこのカルデアにいたらしい」

 

ロマニの言葉をフォウを見つめながらなんともなしに聞いていた戦兎だが、その中に気になる単語を見つけた。

 

「カルデア……?」

 

話の流れからするとこの施設の名前のようだが、戦兎は聞いたことのない名前だった。

 

「あれ、もしかしてカルデアのこと知らない? 戦兎は一般枠のマスターとしてここに来たんだよね? スカウトされた時に説明されなかった?」

「それが……その、記憶が曖昧で……」

 

なぜここにいるか、それはむしろこっちが聞きたいくらいだ。その言葉を飲み込むのが精一杯だった戦兎は辛うじてそう答えた。

 

「うーん……一時的な記憶障害かな? レイシフト適正を検査する霊子ダイブシミュレーションで脳に負荷がかかったのかも」

 

ロマニの言葉の意味は理解できなかったが、何やら一人で納得してくれたようだった。

 

戦兎の事情は説明することが難しい、というよりもまず信じて貰えないだろう。頭のおかしい人間としていきなり医療のトップの前で医務室に放り込まれるのは御免だ。

 

「今はレイシフトの実験でゴタゴタしているから、ひと段落して落ち着いたら医務室でしっかり検査しよう」

「ああ。ありがとう」

 

ここはロマニの言う通り、一時的な記憶喪失ということにしておくことにした。こんなところで二度目の記憶喪失扱いされることになるとは思いもしなかった戦兎だった。

 

「せっかくだからカルデアについて教えようか? これからしばらく過ごすことになる場所だから知っておいたほうがいいだろうし」

 

それは戦兎にとって願ってもないことだ。戦兎は迷わず首を縦に振る。

 

「あーでもそれならまずカルデアの紹介ホームページを見たほうが早いかも」

 

そう言ってロマニは戦兎の持つ端末を操作する。投影された立体映像のページが数回切り替わり、「人理継続保障機関フィニス・カルデア」と書かれたページが現れた。

 

「変な表現だけど、対外向けに作った身内用のホームページ……みたいなものでね。大した情報は掲載されていないけれどカルデアの概要を知る分には十分なはずだ」

 

ロマニの言葉を待たずに戦兎は食い入るようにページを読み込んでいた。

 

 

 

最初に目に飛び込んできたのはこの施設の正式名称。

 

人理継続保障機関フィニス・カルデア。

 

魔術だけでは見えない世界、科学だけでは計れない世界を観測し、人類の決定的な絶滅を防ぐため、人類史を何より強く存続させる尊命の下に魔術・科学の区別なく研究者が集められた特務機関。

 

 

 

「(魔術って……漫画やアニメで出てくる魔法のことか? それが科学と並んで現実で学問として認知されている……?)」

 

これだけの情報で戦兎の頭は既に許容値ギリギリだった。しかしページの内容はまだ続いている。戦兎はクラクラする頭を押さえながら読み進める。

 

 

 

西暦1950年、事象記録電脳魔・ラプラス成功。

西暦1990年、疑似地球環境モデル・カルデアス完成。

西暦1999年、近未来観測レンズ・シバ完成。

西暦2004年、守護英霊召喚システム・フェイト完成。

西暦2015年、霊子演算装置・トリスメギストス完成。

 

 

 

ここでついに戦兎は耐えられなくなり画面から顔を離した。

 

「(魔術の存在も大問題だが……2007年に起きたはずのスカイウォールの惨劇について何も触れていないことも気になる……カルデアの目的がここにあるように人類滅亡を回避することなら何かしらのアクションを起こしそうなものだが……)」

 

戦兎は意を決してロマニに話しかける。

 

「なあドクター……2007年に日本で何が起きたか知っているか?」

「2007年に日本で? いや、特にこれと言って何も起きてないと思うけど……地震か何か?」

「(日本国内に限った事象とはいえ、あれだけの惨劇について何も知らないなんて考え辛い……やはりスカイウォールそのものがないとしか……)」

 

戦兎の表情が一層険しくなる。

 

やはりここは自分の元いた世界ではない可能性が極めて高い。しかしそうだとしたら今いるこの世界は……

 

「ど、どうかしたのかい? 怖い顔をして」

「……あ、ああ。この説明の前提である魔術って何なのかと思って……」

 

本当のことは言えず、とっさに戦兎はそう答えたのだが、かえってロマニは納得した表情を浮かべる。

 

「ああそうか……戦兎は今まで魔術に縁のない生活を送っていたんだね。いきなり魔術とか言われても混乱するか」

 

そう言ってロマニは魔術についてかいつまんで説明してくれた。

 

 

 

曰く。

 

魔術は科学では解明できない過去の人間の技術を司るもの。

反対に科学は魔術では到達できない未来の人類の技術を積み重ねるもの。

 

曰く。

 

魔術とは人為的に神秘・奇蹟を再現する行為の総称であり、魔力を用いて「既に世界に定められたルール」を起動・安定させ、神秘を起こす術式である。

 

また魔術はその現象を知っている者が増えれば増えるほど「知名度」が上がり威力を増すが、逆に現象の原因を知っている者が増えれば増えるほど「神秘性」が失われて威力が減るため、魔術師は機密主義で一般人に知られることを禁忌とする。

 

曰く。

曰く。

曰く。

 

 

 

 

「ざっくり説明するとこんな感じなんだけど……大丈夫?」

「ちょっと、ちょっと待った……頭を整理するから」

 

戦兎は眩暈がした。

 

桐生戦兎は物理学者、つまりは科学者だ。科学者にとって魔術、魔法だのはフィクションや創作の中だけのものであり、非現実的で到底信じられるものではない。

 

それでも戦兎が魔術を頭ごなしに否定しないのは彼自身が超科学的なものと縁深く、様々な体験をしてきたからだ。平衡世界、ゲームによる病、欲望の具現であるメダル、宇宙人、中には霊魂の関係者もいた。しかしその戦兎をしても今のこの状況は容易に飲み込めるものではなかった。

 

頭を抱える戦兎を見たロマニは励ますように言った。

 

「そんなに深刻にならなくても大丈夫だよ。ここのスタッフはみんな優秀だし、君の先輩にあたるマスターたちも他に47人もいるんだ。仮にミッションでミスを犯しても周りがいくらでもフォローしてくれるよ、きっと!」

 

どうやらロマニは戦兎がここでの生活を心配していると思ったらしい。そこまで言ったところで言った本人であるロマニがはたと気がついた。

 

「そういえば戦兎……きみ、ファーストミッションはどうしたの? 何でレイシフトから外されたんだい?」

「ファーストミッション? レイシフト? 何だそれ?」

「何って……カルデアの最重要任務だよ。そのためにここに来たんだろう?」

 

聞いたこともない単語に疑問符を浮かべる戦兎。

てっきりわかっているものだと思っていたロマニ。

 

「「えっ?」」

 

二人は揃って間の抜けた声を上げた。

 

「僕はてっきり、僕と同じで所長にカミナリを受けてミッションから外されたからレフに自室待機を言い渡されたものだと……」

「だからちょっと待てって。そもそも俺はその所長に会ったこともないし、マスターが何なのかも分かってないんだが?」

 

二人の認識には決定的なズレがある。そのことに気がついたロマニは瞬時に顔を青ざめた。

 

「レフに言われて来たって言うから気にしなかったけどひょっとして無断欠席なんじゃ……まずいぞ! 所長は怒りっぽいし、根に持つし、目をつけられたらしばらく何かにつけていびられるかも……」

 

ロマニが顔を真っ青にしながらそういった瞬間、ロマニのウェアラブル端末から呼び出し音が鳴り響いた。

 

『ロマニ』

「うわぁぁぁぁ!? って何だレフか。所長かと思った……」

 

端末から聞こえてくる声には戦兎も聞き覚えがあった。マシュと一緒にいた緑のシルク鳩を被ったレフ・ライノールという男のものだ。

 

『何を驚いているのかはしらないが、あと少しでレイシフト開始だ。万が一に備えてこちらに来てくれないか?』

「何かあったのかい?」

『Aチームは問題ないがBチーム以下若干の変調がみられる。これは不安だな』

「それは気の毒に。軽い麻酔をかけたほうがいいかな」

『ああ、急いでくれ。今医務室だろ? そこからなら二分で到着できるはずだ』

「え!? あ、ああ……そうだね……」

『遅れるなよ』

 

そう言って通信は切れ、あとには気まずそうなロマニが残される。

 

「ここ、医務室じゃないけど……二分でつくのか?」

「……それを言わないで欲しい……ここからじゃどうやっても五分はかかるぞ……」

 

レフもまさかロマニが仕事をサボって医務室を離れているとは思わなかったらしい。どうやらロマニの遅刻は免れないようだ。しかし、ロマニ本人はさほど気にしていない様子だった。

 

「まぁ、ちょっと位の遅刻は大目に見てもらえるよね。Aチームは問題ないようだし」

 

それよりも、と戦兎を指す。

 

「戦兎こそ後々やってくる所長の特大カミナリを覚悟しておくことだね。所長は怖いぞー。毎日毎日目を合わせるたびに説教されるんだ。目を合わせないようにしていても向こうから説教しにくるんだぞ。ソースは僕の実体験」

「何それ凄い怖い。パワハラじゃないの?」

 

戦兎の言葉に否定も肯定もせず、ただ、ハハハと乾いた笑みを浮かべるロマニ。

 

「魔術社会の技術の粋が集められたこのミッションで、平凡な医者の僕に何が出来るわけでもないけれど、お呼びとあらば行かないとね。話の途中で申し訳ないけど、僕はこれで失礼するよ」

「ああ。色々教えてくれて助かった」

「どういたしまして。この後どうなるかわからないけれど、落ち着いたら医務室を訪ねに来てくれ。今度はお茶とお菓子くらいご馳走するよ」

 

そう言ってロマニが扉の前に立った瞬間、唐突に部屋の明かりが落ちた。窓のない部屋は瞬時に暗闇に閉ざされる。

 

「何だ? 明かりが消えるなんて何が―」

 

ロマニの声を遮るように暗闇に重低音が響いた。音からして戦兎達の足元、地下から響いてきたようだ。

 

戦兎はその音に聞き覚えがあった。これは爆発物による爆音だ。かつて嫌という程聞いた破壊の音だ。

 

『緊急事態発生。 緊急事態発生。 中央発電所、および中央管制室で火災が派生しました』

『中央区画の隔壁は90秒後に閉鎖されます。職員は速やかに第二ゲートから退避してください』

『繰り返します。中央発電所、及び―』

 

「今のは爆発音か!? モニター、管制室を映してくれ! 皆は無事なのか!?」

 

ロマニの要請を受けたカルデア中のモニターを統制する近未来観測レンズ・シバが管制室の映像を映し出す。

 

映像には燃え盛る施設と瓦礫の山が映し出されていた。唯一無事が確認できるのは宙に浮かんでいる巨大な地球儀のような球体だけだ。

 

「……戦兎、すぐに避難してくれ。僕は管制室に行く。もうじき隔壁が閉鎖される。その前に君だけでもゲートから外に出るんだ!」

 

それまでのふわふわした雰囲気を一変させ、毅然とした様子のロマニはそう告げてすぐに部屋から駆け出して行った。

 

 

 

 

「……最悪だ」

 

部屋に取り残された戦兎は呟いた。

 

“ここ”で目を覚ましてからというもの混乱続き。何も分からないままここまで来て、ようやく少しばかり情報を得られたと思えば“魔術”などという予想の斜め上どころか明後日の方向へ吹っ飛んでしまいそうな情報が飛び出してきた。判明した事実以上の謎が発生し、かえって疑問は深まるばかりだ。そんな中、極めつけにこの爆発である。

 

戦兎のカンが告げている。この爆発はまだ始まりに過ぎない。これ以上首を突っ込めば更に大きな事件に巻き込まれ戻ってこられなくなると。

 

誰かが戦兎の頭の中で警鐘を鳴らす。

 

ここはロマニの言う通り避難するべきだ。

 

何も知らないことがどれだけ危険なことが身を持って知っているはずだ。

 

自分の置かれている状況が何一つ理解できないまま足を踏み入れるのは自殺行為。

かつて勝手な思い込みだけで動いた自分が何を引き起こしたのかを思い出せ。

 

それに対して戦兎の心が叫ぶ。

 

お前は知っているはずだ。

 

爆音が何を意味するのか。爆発が何をもたらすのか。

 

何も知らない、何も分からない、そんな自分が行っても何もできないかもしれない。

でもそこにはきっと助けを求める人がいる。

 

それだけで行く意味はきっとある。

 

 

「フォウ……」

 

戦兎の足元でフォウが小さく鳴いた。どうするのかと、そう問いかけている気がした。

 

「……正義の味方は辛いよってか」

 

心は決まった。

 

戦兎は足元のフォウを拾い上げると部屋を飛び出した。

 




初回の投稿ではまだ話がほとんど進んでいないにも関わらず、大勢の方がこの作品を見てくれて、更に評価もしてくれました。

大人気コンテンツ”仮面ライダー”の宿命とでも言うべきか、やはりビルドにも多くのアンチやら批判やらがあります。そんな中でもこんな拙い作品を見てくれる位にビルドが好きな人がいることが、同じビルドファンとしてとても嬉しいです。

まだ全然話が進んでいませんが、これからもよろしくお願いします!

感想や誤字脱字の指摘など何でもお待ちしております!
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