はぐはぐオズぼんとの軌跡   作:鳩と飲むコーラ

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なんだか説明が多くなった気がする回。
読みづらかったらすみません。

また、誤字報告ありがとうございます。


フフフ、息子よ。西ゼムリア通商会議の開催だ②

 時は戻り前日のこと。

 リベール王家が所有する飛行艇、アルセイユに招待された特務支援課が、リベールとエレボニアの皇族との会合を行っている頃まで戻る。

 ティオと合流し、特務支援課が集結となったフルメンバー。

 そしてレクター達との行動後、再合流を果たすリィン。

 アルセイユを集合場所にして集まった彼らは、そこに警察側として呼ばれたダドリーと合わせて皇族への挨拶もそこそこに信頼出来るメンバーと共に今後の予定を立てていた。

 当然、ダドリーから特務支援課が警備に参加する了承も取り付けて、だ。

 まず、代表として特務支援課のリーダーであるロイドが口を開く。

 

「さて、懸念されている通商会議へのテロリストの襲撃ですが、これは確実かと思われます」

「第八制御端末で発見した、オルキスタワーの見取り図だな?」

 

 補足するように、ランディが今日の成果の一つである第八制御端末での出来事を語る。

 再突入した彼らを待っていたのは、画面に移されていたオルキスタワーの見取り図、そして謎の声の歓迎。

 出口を施錠され、部屋が炎上するという状況に追い込まれる特務支援課だったが、駆けつけたティオの介入により難を逃れることが出来た。

 

「ハッキングを仕掛けてきたのは、彼らということでしょうか」

「いえ、アストラルコードなるものを使うとすれば、それはリベールでも暗躍したという結社《身喰らう蛇》だと思います。

 彼らは帝国解放戦線に協力……あるいは結社そのものがそういった思想を隠れ蓑に国家転覆を企んでいるのかもしれません」

「いや、結社は基本的に至宝に関する事件に介入する。そういう意味では《帝国解放戦線》に協力する理由が思い当たらないが……」

「ですがオリビエさん、彼らはいわゆる《遊び》もします。あの怪盗辺りが破壊の美、と称して手を貸している、ということも考えられるのでは?」

「王女様も結社に詳しいのでしょうか?」

「はい、かつてのリベールでの事件は私もオリビエさん共々その渦中に身を置いておりましたので」

「す、すごいです」

 

 クローディアの経験に思わず息を呑むセドリック。

 叶うなら兄とは違う視点でのリベールでの出来事を聞いてみたいが、今はそんな状況ではないと質問を飲み込んだ。

 

「また、本日レクターさんと共に《黒月》と接触して、《反移民政策主義》というテロリストもまた、通商会議でロックスミス大総統を狙っていることが判明しました」

「となれば、彼らはきっと足並みを揃えて襲撃してくると考えたほうが自然だな」

 

 ロイドがそう結論付ける。

 リィンがもたらした《帝国解放戦線》の元幹部からの情報ということもあり、襲撃は確実。

 ならばその機会を逃さぬよう、協調や連携をしてくるのは自明の理と言える。

 

「問題は襲撃方法だが……」

「少なくとも、《帝国解放戦線》はラインフォルト社が開発した高速艇を所有していることが判明しているね。

 リィン君が所属するⅦ組がノルドへ赴いたさい、アリサ君からそういったタレコミがあったと聞いている」

 

 実際はシャロンがアリサに流した情報なのだが、結果的に伝わるなら同じであるとして彼女はシャロンの名前を出していなかった。

 というより、はぐらかされて聞くことが出来なかったとも言うが。

 

「となると、空からの襲撃ということですね」

「ですが、オルキスタワーの見取り図が流れているということは地下のほうも警戒したほうがいいですね。警察や警備隊の人員だけでは網羅するのが厳しそうです」

「エリィ。市長になんとかコンタクトを取って、地下の見取り図を譲ってもらうことは出来ないのかな?」

「状況が状況だから可能だと思うわ。マリアベルにちょっと連絡してみる」

「……パターンをいくつか想定すべきだな。まず空から高速艇による襲撃の場合は、必ずタングラム門やベルガード門の付近に設置されたレーダー施設の破壊が行われるはずだ。

 それを契機に、判断してみるのがいいと思うぜ」

「なら地下の場合は――」

 

 リィンやオリヴァルトがもたらす情報に対して、特務支援課はすぐさま作戦を立てていく。

 渡された点と点を線で結ぶ作業が得意というか、リィンが口を挟む間もなく進められる警備の案に特務支援課というクロスベルの誇りを目の当たりにした。

 

(ユウナが尊敬するのもわかるな)

 

 特務支援課と合流したことでユウナの道案内は昨日で済んでしまったが、昨日のお詫びも兼ねて《モルジュ》と呼ばれる、クロスベルでも評判のパンをお土産にクロフォード家へ訪問した。

 店員のオスカーという青年はロイドの幼馴染のようで、何やら縁を感じたものである。

 

 ユウナはリィンのことが心配で付いて行きたいようだったが、特務支援課と行動を共にするということでなんとか納得してくれた。

 道案内に後ろ髪を引かれる想いだったのか、と思ったものの、一日目だけでも十分な成果はあった。

 そんな風にユウナのことを考えていると、ティオがふと漏らすように危惧の声を告げる。

 

「先ほどリィンさんに送ってもらったアストラルコードですが、あれが第八制御端末のシステムをハッキングしたものであることは間違いないと思います。

 となれば、やはり導力で管理されるシステムが逆に利用されることも考えるべきではないでしょうか?」

「確かに、エレベーターやシャッターとかを封鎖されたらテロリストに有利な状況しか生まれないな。

 けど、やり方がわかったからって防げるものなのか?」

「……無理です。アストラルコードというのも解析が出来てませんし、そもそも単純にスペックが足りません。

 IBC総裁の設計ともなれば、クロスベル最高の端末はそれこそオルキスタワーのものになると思います」

「逆に言えば、スペックさえ足りていればティオの技術でハッキングは可能ってことでいいのか?」

 

 消沈するティオにリィンが割り込む。

 全員の視線が集まる中、リィン・シュバルツァーを知る皇族兄弟とクルトは何かしでかしそうな予感を覚えた。

 ちなみにティオにも最初は敬語を使っていたリィンだったが、むずかゆいという理由で断られ、妥協案として普通に接している。

 

 感応力が高いと聞いていたのでオズぼんが見えるかも、と期待したリィンだったが、残念ながら姿と声を認めることは出来なかった。

 リィンは気づいていないが、何やら小さな違和感があることをティオは言っていない。そこまで突っ込むことではない、という判断である。

 

「導力ネットに関して、私を出し抜くレベルというのはそういないと自負しています。ですから、スペック差で押し切ることができれば、アストラルコードというチートコードを使われてもある程度対処が可能かもしれません。

 なにせ、ホームを荒らされたヨナのサポートもありますので」

「なら、そのスペックの高い端末に心当たりがある。ようは情報処理力の高い機械ってことだろう?

 オリヴァルト殿下、ヴァリマールを彼らに紹介したいと思うのですが」

「リィン君、それはつまり……」

「はい。ティオを乗せて、ヴァリマールを導力端末として使えばオルキスタワーのシステムにも介入出来ると思うんです。出来るよな、ヴァリマール」

「ウム、問題アルマイ」

 

 ヴァリマールの声が響くと同時に、その存在を知らない特務支援課やダドリーにクローディア、ユリアが周囲に首を巡らせる。

 中でもエリィは幽霊っ、と小さく悲鳴を漏らしロイドにしがみついていた。

 ミリアムと仲良くなれそうだな、と思いつつ一応幽霊でないことは言っておく。

 だがエリィはあまり信じていないようだった。

 

 むしろエリィにしがみつかれたことで、ロイドへの羨望を隠さないランディや口を引き結んだティオのジト目などが炸裂し、騒ぎが大きくなる始末。

 その騒動を見て苦笑するオリヴァルト、仕方ないと乾いた笑いのセドリック、ああもう、と頭痛をこらえるクルト。

 その三人を見てミュラーはひそかな疎外感を覚えていたが、代表してリィンに言った。

 

「シュバルツァー。今のは一体……」

「えーっと……」

 

 ちらりとオリヴァルトに目を向けると、彼は仕方ないと言わんばかりに頷く。

 許可を得たことで、リィンはヴァリマールを紹介した。

 

「オ初ニオ目ニカカル。灰ノ騎神、ゔぁりまーるダ」

「ど、どこから声が……」

「ここです」

 

 そう言って、リィンは己の心臓を差す。

 お前は何を言ってるんだ、と言わんばかりの視線がリィンに集まるが、そこでオリヴァルトが口を挟んだ。

 

「ヴァリマールと言うのは、暗黒時代に生まれたロボットのことでね。いわゆる人格……思考システムを持つ機械なんだ。

 それが、リィン君の心臓の中に宿っている」

「やっぱり幽霊じゃない! リィン君大丈夫なの!?」

「大丈夫です、大丈夫ですから……」

 

 エリィの悲鳴をよそに、一同はやはり首を傾げる。

 というより、言っている意味がわからないようで言葉が脳に伝わっていないようだった。

 そもそも機械が人格を持つということが驚きなのに、その人格が人間に宿るという例外中の例外を最初に出されても理解が難しいのは当然だった。

 まあそうなるよね、とつぶやくオリヴァルトにリィンが提案する。

 

「実物を見てもらうのが一番では?」

「やっぱりそれが手っ取り早いか。クローゼ君、アルセイユの一角をお借りしてもいいかな? あまり人目につかない区画があればいいのだが」

「あ、はい。では手配します」

 

 クローディアがユリアに目配せすると、動揺を隠しきれない様子ながらしっかりと命令を遂行する。

 やがてアルセイユの一角に移動したリィン達。

 オリヴァルトが各々に、驚くが決して害はないと念を押して説明する。

 セドリックも含めたアルノール兄弟の後押しもあり、ひとまず納得する一同。

 それらを見届けたリィンは、改めて彼の名を叫んだ。

 

「来い、灰の騎神……ヴァリマール!」

「応」

 

 召喚に応じて、ヴァリマールが転移して現れる。

 呼びかけこそあれど、何の前触れもなく突如アルセイユに現れた、七アージュを超える灰色の騎士人形の出現。

 当然のことながら、初見のロイド達はそのありえない光景に言葉を失っていた。

 

「トロイメライでもドラギオンでもない、もっとより人に近い形に洗練されたロボット……?」

「レンのパテル=マテルよりは随分スリムだけど……」

 

 それでもロボット自体は初見ではないのか、各々が今まで見た知識を元に推測していくが、当然ながら正解にたどり着く者はいない。

 動揺が収まりきらぬ中、ヴァリマールが改めて挨拶を告げた。

 

「一応、コレガ我ノ本体トイウコトニナル。意識コソりぃんノ中ニアルガ、対外的ニ灰ノ騎神ヲ差スノデアレバ、コレガソウダ」

「意識がこっちに映った経緯とか、説明欲しいですか?」

「い、いや。頭がパンクしそうだから落ち着いた時でいい。今は、これがティオの能力を活かす、ということがわかれば」

 

 そういうものだ、と割り切ったロイドがそれ以上の入力を避ける。

 その切替の速さにワジが口笛を吹き、ランディが腕を組んで納得したように頷いていた。

 頼れるリーダーの信頼が現れているようだ。

 

「この少年は拘束するべきでは……」

 

 と、ぶつぶつとおっかないことをつぶやいているのはダドリー。

 警察官として、この現状を見逃せないのかもしれないが今は許して欲しい、とオリヴァルトに言われることで一応の納得を示した。

 

「戦闘はもちろんですが、通信や情報処理の機能なんかも搭載されています。

 帝国最高の技術者であるシュミット博士によって色々導力技術に関しても理解と知識も増えて、補助面でもお役に立てると思いますよ」

 

 まるで友人を誇るような物言いに、ヴァリマールが軽く身じろぎする。

 機械が照れるという、その豊かな感情ぶりに本当に思考があるのだな、と再確認する一同。

 ノエルなどは、技術が発達すれば私達の導力車にもいずれ……と、先の未来を想像して笑みを浮かべていた。

 初見にして凄まじい胆力である。あるいは愛車が好きなだけか。

 

「リィンさんが一番テロリストしてる、って言ってはいけないことでしょうか」

「ティオちゃん! 思ってても口にしちゃ駄目よ!」

 

 エリィがすぐさまティオの口を塞ごうとする。

 逆に言えばエリィも同じことを思っていたようだ。

 リィンがリベール側に目を向ければ、クローディアから困ったような笑みを向けられ、ユリアからは未知なる者を見る警戒。

 オリヴァルトの言葉がなければ、抜剣されていてもおかしくない雰囲気だった。

 

「いや、ティオすけの言葉もわからんでもない。お偉いさんが居る中でノータイムで巨大兵器を呼び出すなんざ、護衛って立場がなければ拘束されていてもおかしくない」

「武器の持ち込み、荷物検査を鼻で笑うレベルですからね……」

「その懸念はもっともだが、エレボニアの皇族たるオリヴァルト・ライゼ・アルノールの名の元にリィン君の立場は保証するよ」

「同じくセドリック・ライゼ・アルノールが証明します。リィンさんは決して貴方達に危害を加える方ではありません」

「皇族の皆さんがそこまで言うなら……」

 

 やや危険な自己紹介も終わり、ようやく話を元に戻したリィンは早速ティオにこの中に一緒に搭乗するよう言う。

 警戒しか覚えない少年と共に、兵器の中に入れと言われたティオはジト目を向けてくるが、ロイド達の説得により渋々了承する。

 

「ヴァリマール、《リアクターオーブ》の準備はばっちりか?」

「ウム、調子ハ問題ナイ」

「よし、ならティオ。リンク……いや、思念波を受け取りやすい形を取ってくれ」

「は、はあ。それならエイオンシステム、ですね」

 

 言われて、ティオは魔導杖(オーバルスタッフ)を取り出す。

 エマやエリオットが使うものの原点とも言うべきものがそこにあった。

 

「エイオンシステム、起動」

 

 ティオが宣言すると、魔導杖と共に彼女の水色の髪に付いていた、猫耳のようなアクセサリーが輝きを帯びる。

 胸の装甲にも何やら仕込みがあるようで、彼女のまとう全てがエイオンシステムという力を補助するものとして使われているようだ。

 

「戦術リンクはシステムが違うから厳しいけど、準起動者としての契約は……ヴァリマール、いけるか?」

「問題ナイ。てぃお、今カラ受ケルモノニ害ハナイガ、驚クヤモシレン。少シ構エテオケ」

「は、はい」

 

 ダウナー気味に対応していたティオだったが、ヴァリマールからの言葉には流石に恐縮を隠しきれない。

 やがて体をびくりと震わせるティオ。

 その姿にロイド達が駆け寄ろうとするが、本人から問題ないと言われて足を止める。

 

「デハ、二人ヲ入レルゾ」

 

 契約を了承したところで、ヴァリマールがリィンとティオを騎乗させる。

 光に包まれた二人が、ヴァリマールの中に吸い込まれるように入っていく光景はやはり驚きの声をもたらした。

 

「相変わらず灰の騎神だけは起動者って言葉を鼻で笑うような機体だね……」

「まあ、乗り手が乗り手だからな」

 

 英雄譚に憧れるセドリックとしては、金の騎神のこともあり選ばれし乗り手という存在には憧れを抱いていた。

 伝承にうたわれる巨いなる騎士の一角。

 試練を突破し、その果てに手に入れる力と栄誉。

 これに憧れない男はいない、と断言したいくらいに魅力的な言葉だ。

 

 そんな少年の心は、出会って一日も経っておらず、試練すら受けていない少女を同乗させるという行為によって砕かれそうだった。

 クルトはそんな主を慰めながらも、自身もそれに覚えがないわけなく静かに目を伏せた。

 

 一応資格はあれど正式な起動者であるリィンや、本体であるヴァリマールが許可しない限り準起動者は搭乗することが出来ない。

 という事実もあるのだが、それを説明しても今は頭に入らないだろう。

 そんないたいけな少年達の精神に傷を負わせていることなど露知らず、リィンはメインカメラを起動させる。

 前面に映し出されるロイド達の姿に、ティオはようやく己が騎神の中に居ることを実感した。

 

「ここが、あの騎士人形の中ですか……まさか、エイオンシステムに介入してくるなんて」

「《リアクターオーブ》って言うものが搭載されてるんだ。

 元は導力とかをマナに変換してヴァリマールのエネルギーに使うためのものなんだけど、何の偶然か思念波とか導力波にも干渉出来てな。

 逆説的にマナを導力に変える、なんてことも出来ることにシュミット博士が気づいたんだ」

 

 これは、準起動者であるエマやロジーヌがサポートに使うアーツから着想を得たと言っていた。

 騎神を介しているといえ、明らかに身の丈にあわぬ威力のアーツに、オーブメントの導力をマナに変え、威力を増大させて出力しているのでは、と考えたのだ。

 その応用で、準起動者以外のもの……例えば霊脈に満ちるマナをエネルギーに変えたりと、基本的なことから始まり様々な改良が加えられた新たなEXオーブである。

 

「じゃあひとまず、特務支援課にでも通信を送ってみてくれ」

「出来るんですか?」

「ちょっと大きい通信機だ。今はな」

「こんな通信機が世の中にあってたまりますか!」

「結果的にはそうなるの!」

 

 そんなやり取りを経て、ティオは特務支援課を始めエプスタイン財団への通信から始まり、ロイド達が一度アルセイユを離れ、導力端末のある場所へ赴いた先からの遠隔操作などを実演してみせた。

 検証を経た結果、これが大きな力になると騎神端末が作戦に加わった瞬間である。

 

 その後、特務支援課に場所を移し作戦会議が再開される。

 翌日にディーター市長にもその件を相談して許可を得たリィン達は、オルキスタワーの屋上よりも遥か空高い場所で待機していた。

 

 ディーターとしては帝国人であるリィンの協力にはあまり良い感情がなかったようだが、ロイド達の説得に加えて、特務支援課を筆頭としたクロスベルの人員が主導であり、あくまでリィンは手伝い。

 必要なら名前を出さなくていい、など様々な密約も交わされ、オリヴァルトからの許可も得て互いに譲歩した上でリィンは特務支援課への協力を取り付けた。

 

「私が居る時だけといえ、レーダーのシステムにすら介入してヴァリマールの存在を感知されない……うん、絶対私達の行動ってテロリストですよ」

「まだ言ってるのか」

「言わずにいられません……」

 

 オルキスタワーの存在すら驚いたというのに、その遥か上空を浮いているともなればその感想は当然だった。

 だがロイド達が立てた作戦立案において、これらが効果的なことはティオにもわかっている。

 ようは納得出来ない気持ちを愚痴っているだけだ。

 捜査一課が指揮する場所にある導力端末から会議の様子を見守っていたリィン達だったが、それより早くティオがダングラム、ベルガード両門より飛来する飛行艇の存在に気づいた。

 

「リィンさん!」

「了解、出るぞ!」

 

 その後、疾風怒濤の勢いでテロリストの飛行艇を落としたリィン達は、ティオのエイオンシステムによって支配された飛行艇から特務支援課や警察、警備隊が突入して鎮圧するところをフォローしていく。

 システムが掌握されている以上、地の利も完全に奪われたテロリストに為す術はなかった。

 

 切り札として残された導力爆弾も、ティオの介入により無効化される。

 元より飛行艇に積まれた導力爆弾を使うことで、オルキスタワーごと両国首脳を吹き飛ばそうとしていたようだが、それは叶わぬ願いとなった。

 オルキスタワーのシステムにもハッキングが仕掛けられたようだが、復讐に燃えるヨナの奮闘もあり、ハッカーは引いていった。

 それらを眺め、任務完了とつぶやき同意するティオのエニグマが通信音を響かせた。

 

「はい、こちらティオ・プラトー」

「ティオ! こちらロイド!」

「ロイドさん、終わったんですね」

「なら、今そちらに降り――」

「時間がない、手短に話す。捕縛したテロリストから、《帝国解放戦線》がガレリア要塞の《列車砲》を制圧して、こちらに主砲を向けているという情報を得た!」

 

 それは、勝利に冷水を浴びせられる残酷な事実だった。

 

「配備された帝国軍が奮戦しているそうだが、話に聞く機甲兵の存在もあって発射は避けられない! 狙いは首脳達がいるこのオルキスタワー、でももう時間がない。今すぐ避難を――」

「ヴァリマール」

「応」

「え?」

「ロイドさん、ティオを降ろすので保護お願いします」

 

 そのことを聞いたリィンは、ヴァリマールを屋上近くに飛行させて強引にティオを降ろす。

 ティオの呆然としたつぶやきにも応えず、リィンはヴァリマールが持つ変化した魔導杖を太刀に戻しながらあるアプリを起動させた。

 オリヴァルトが持つアーティファクト、《響きの貝殻》。

 それをシュミットが解析、それらを参考に新たに開発して搭載された機能を開く。

 クロスベル行きが決まったさい、オリヴァルトがリィンとは常に連絡を可能にして欲しい、ということでヴァリマールに取り付けられた機能。

 リィンのARCUSと相互関係にあり、これを通じてどんなに導力が届かない地域でも交信を可能とする。

 

 リィンは、Ⅶ組のことを思い返す。

 彼らはクロスベルへ赴いたリィンと同じ頃に、ガレリア要塞へ向かっていたはずだ。

 ならば、そこに彼女も居る。

 おそらく、今も戦っているのだろう。

 

「エマ!」

 

 だからこそ、彼は信頼する友に叫ぶ。

 

「列車砲の弾着予測地点を教えてくれ!」

 

 全開で解放された鬼気をヴァリマールに浸しながら誓う。

 ユウナが誇り、ロイド達が守ったクロスベルを蹂躙させないために刃を振るうと。

 

「俺達が、それを斬る」




その頃のガレリア要塞
《C》
「行くぞ、《S》、《V》(よっしゃあアイツいねえ!)」
《S》
「ええ(ほんと良かった……!)」
《V》
「《G》の仇は取るぜ(制圧が早い、これが本来の機甲兵なんだ!)」
自称G(結社から派遣された強化猟兵)
「ボクまだ死んでないんだけど!?」

基本的に作戦立案はクロスベル側なので、リィンがしたことは情報と戦力提供です。
クロスベルでは彼らが本来の主役といえ、騎神が出ると流石にそちらにインパクトが持っていかれるのが悩みでもありますね。
というかキャラが多いと必然的に会話するキャラが限られてしまうため、リベール側との主要な絡みはまた機会があれば、ですね。

もうちょっとティオと個別のやり取り(オズぼん関係)しても良かったかな、と思いましたがストーリー進展を優先しました。
期待していた方がいたらすみません。
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