時は少し巻き戻る。
ヴァリマールからゴライアスを引き離していたユーシスだったが、そのヴァリマールが人馬となって生まれ変わったことにはリィン耐性を得ていた彼も呆然とせざるを得なかった。
搭載された通信音が鳴ることで我に返り、ユーシスは応答する。
相手はまさかのシュミットだった。
「シュミット博士……?」
「お前は確かⅦ組だったな。ラインフォルトの娘には鬼の力、あるいはミルスティンの魔術のような、身に抱えた秘密のようなものはあるか?」
「……? いや、そんな話は聞いたことがない」
ユーシスが答えると、シュミットはもう興味をなくしたように自らの思考に没頭する。
「……あやつの娘だから、か? しかしこの反応、ブリオニア島の焔の騎神の残骸から抽出したデータに類似している……ならばノルドにある大地の騎神の抜け殻が関係している……?
いや、焔の再現さえ膨大な事前準備が必要だった。今まで放置されていたアレに注ぐエネルギーが足りぬ。
だが仮にその条件をクリアしたのならば、デウスアーツとしての駆動が……
ロア・アークルージュは精神への干渉……あの時は劫炎の記憶を刺激することで……
ならばロア・ロストゼウムは肉体への干渉……肉体とはすなわち物質、ならば騎神の設計そのものに手を入れることが……
焔の精神……魔女……大地は肉体……だが表舞台に出ておらず、それでいて私の知る限り魔女に比肩しうる技術を持った存在など早々……………………黒の、工房…………?」
ぶつぶつと、ユーシスにはわからない言葉の羅列を続けるシュミット。
彼が黙々とデータに打ち込まず、単語を口にして思考をまとめるのは非常に珍しい光景だった。
あるいはそれほどに動揺をしている、とも取れる。
「博士……?」
何度目かの呼びかけで、ようやくシュミットが画面越しのユーシスに気づく。
今の自分を誤魔化すようにフン、と息をつくシュミットはさっさとユーシスに戻るよう言った。
「ノルドでの戦いは終わる。さっさと兄の元へ戻るがいい」
「一体、何を」
「灰がここにあるということは、乗り手が違えど
あの現象についてフランツの娘に詳しく調査を行いたいところだが、騎神が元の性能、いやゴライアスを押しているのを見ればさらなる向上を確認出来る。ならばもう不可能だ。
あやつの前でそれを行おうものなら、手痛すぎるしっぺ返しが待っている。ならば、傷が浅いうちに撤退するほうがよかろう」
それは貴族連合側に立つ者としては異端の、しかしリィンを知る者ならば当然と捉える意見だった。
シュミットならばそんなものを無視してアリサを捕らえるべく要請を出す……という印象はある意味間違っていない。
が、そこにリィンが居るなら話は変わる。
何故ならば、シュミットもまた
あやふやな不確定要素による勝利ではなく、確かな事前準備による勝つべくして勝った劫炎との戦い。
仮にシュミットの知らぬ
すなわち、どんなことをしても目的を達成するという意志の擬人化との敵対は、不利益しかもたらさないと知っていた。
「それとも、このままあやつの元へ向かうか? 私はどちらでも構わんがな。お前の代わりに撤退の伝言くらいはしておいてやる」
それだけ言って、ユーシスの返事を待たずにシュミットは通信を切る。
ユーシスが本当にリィンの元へ向かおうが、貴族連合に戻ろうがどちらでも構わないという意図が見える。
ただ、この場で言及されなかったことはユーシスにとっては好都合だった。
「俺は…………」
つぶやくも、当然のことながら返事はない。
とにかく監視塔へ戻り、少なくともアリサの無事だけは確認しておきたい。
あるいは。
自分が監視塔に戻れば、導力波妨害装置を停止させた
そう、考えていたからか。
期待は向こうからやってきた。
ドン、と機体に何かがぶつかる感触にユーシスはカメラに目を向け――絶句した。
ドライケルス広場で心臓を撃たれ、死亡したとされる黒髪の少年がアップで映っていたからだ。
「…………………」
「やっぱりユーシスか、まさか機甲兵に乗ってたなんてな!」
「…………………」
「ん? 聞こえてないのか? ユーシスだよな、おーい! 俺だよ、俺!」
だというのに、別れる前――いつもの教室で浮かべるものとなんら変わりない顔が、そこにあった。
「大馬鹿者が……!」
ゴライアスからの逃走劇で離れていたことが幸いし、貴族連合の部隊が周囲にいないことに安堵しながら
生身で機甲兵に張り付くのもそうだが、誰かに見られでもすれば拘束を受けることは間違いない。
すぐにハッチを開いて、リィンをコクピットに入れるユーシス。
通信やカメラは故障したというていで機能をオフ、これでなんとか安心だ。
「狭い」
「我慢するがいい、というより誰のせいだと思っている」
「ユーシスのせいか?」
「貴様のせいだろう!」
冗談だよ、と笑うリィンに
「さて、再会の喜びを分かち合うのは『貴様だけだ阿呆』この辺にして単刀直入に言う。助けてくれないか?」
「…………単刀直入すぎる」
相変わらず答えにくいことをさらりと言うリィン。
この自由奔放さに言いたいことはあるが、羨ましくもある。
詳しく聞けば、あの人馬と化したヴァリマールは性能こそ上がっているが、複座というシステムに変化したために実力と連携がある程度揃っていなければ真価を発揮出来ないそうだ。
その上で馬上戦闘が得意な誰かに騎神に乗ってもらう必要があると語る。
「ガイウスも馬の扱いは得意だろうけど、馬上戦闘って意味ではシュトラールを飼いならすユーシスが適任だ。だからガイウスと組んで、あのゴライアスを打倒する。そのために――」
「……あれは貴族連合の戦力で、俺は総参謀の弟。今、この機甲兵に乗っているのがその証左だ」
「でも、アリサを助けるために割って入ってくれたそうじゃないか」
反論はない。出来ない。
ゴライアスによって潰されそうなヴァリマールを見たら動いていたのだから、その行動こそがユーシスの心情を言葉以上に語っていた。
「どうしてもダメっていうなら、俺にこの機体を奪われたってことにすればいい」
「何?」
「ユーシスがヴァリマールに乗れば、少なくとも相手にはバレないだろう? それで俺がこの機体に乗っていれば、貴族連合は俺に奪われたって認識する。
当然ユーシスの捜索はされるかもだけど、そんなもの戦闘が終わってから誤魔化せばいい」
「軽く言ってくれる……」
こちらの気持ちなどお構いなしのリィンに嘆息する。
それが出来ればどれだけ楽なことか。
自分は貴族連合で、リィン達Ⅶ組は第三機甲師団に協力している。
ならば敵対は避けられ――
「友人に遠慮なんていらないだろう?」
「いつからそんな認定を受けていた?」
「会話すればだいたい友達ってことで」
「阿呆を通り越してただの狂人だろう」
四月の特別実習までエマを除くⅦ組と距離を置いていたとは思えないふてぶてしさだ。
それも冗談か、と言えば冗談と答えるリィン。
ただし友人という言葉に関しては否定しなかった。
ユーシスも、否定しなかった。
「……アリサの容態はどうなんだ?」
「重傷を負ってたけど、エリオット達がなんとかしてくれるはずだ」
これがカイエン公ならば、この戦いに参加したのは学生個人の責任である等を追求したことだろう。
だがユーシスにはわかる。
Ⅶ組はノルドの民の平穏を守るために、この監視塔の戦いへ介入しているのだと。
無関係の外国人を内戦に巻き込んでいる時点で、ユーシスの答えは決まっているようなものだ。
「そうか」
一瞬の間。
沈黙の打破。
「学生や無関係の者に危害を加えたとなれば、示しをつけなければならんな」
「流石、ノブレス・オブリージュ」
茶化すな、と言いながら機体の変更はしなくていいと言う。
仮にもこのシュピーゲルは兄から譲られたものだ。
それに――
「俺は金の騎神の準起動者だ。そんな俺が灰に乗り込むわけにはいかんだろう」
ルーファスも同じように考えているかわからないが、少なくともユーシスはそう思っている。
「レグラムの時にマキアスと一緒に乗らなかったか?」
「俺が言っているのはそういうことではない、たわけ」
軽口を切り捨てたユーシスは、シュピーゲル越しの視界にヴァリマールとゴライアスの逃走劇が映る。
最初はゴライアスを圧倒していたヴァリマールだったが、リィンの言葉通りならば灰に乗っているのはガイウスだ。
一切の攻撃を行わず、その四足でゴライアスの攻撃を避け続けているのは初の騎神戦とは思えないほどに使いこなしているように見えた。
「よし、そのまますれ違ってくれ」
「一体何を……」
と、ユーシスはリィンの体が光に包まれるのを見る。
何度か見た、騎神に乗り込む前準備の光景だ。
「騎神は機甲兵と違って、ハッチを開けてコクピットに乗り込むわけじゃないからな。移動中でも問題ない」
そこは騎神の面目躍如と言ったところか。
宣言通り、リィンはシュピーゲルからヴァリマールの中へ転移していく。
起動者を包む光の球体は、物理的な壁をものともしなかった。
その搭乗の光を見たのか、ゴライアスも足を止める。
「……戻って来やがったか。それに坊っちゃんまで連れて来ているとは。なあおい、まさか裏切りの相談か?」
「シュミット博士から通信はないのか? 導力波妨害装置は停止、同じくハッキングは無効化され、何より監視塔が第三機甲師団の手に落ちた。その証拠に、部隊の大半は引いている」
移動中に気づいたことだが、シュミットの伝言はノルド方面の担当を納得させたらしい。
正確には、シュミット本人はさっさと帰り、ゴライアスはユーシスが
当然、アルバレア家の御曹司にそんなことはさせられないと一部奮起した兵も居たようだが、圧倒的な
彼らにとって不幸中の幸いだったのは、ヴァルカンは一応貴族連合所属ということを意識しているのか、機体が大破するほどの被害はなかったということだろうか。
どちらにせよ、力も権力も通用しない相手に右往左往するよりも、この件に関してはユーシスの責任問題へと移ったことによる安堵と保身が生まれたのかもしれない。
貴族としては嘆かわしいことだが、邪魔が入らないのはユーシスとしても好都合だった。
戦術リンクが展開する。
先程までヴァリマールの中、リィンとガイウスにしか繋がることのなかったリンクは一体何が起きたのかユーシスのシュピーゲルとの間に発生する。
いや、何が起きたのかは明白だ。
直接戦場へ介入する緊張、騎神が変化したことによる驚愕、リィンとの実力差による無念、故郷が蹂躙されているという恐怖……
いかにガイウスと言えど、不安を感じる要素は多々あった。
けれど、そこに己の気持ちを十二分に理解を示してくれる
ならば、戦術リンクに陰りなどあるはずもない。
「待たせたな、ガイウス」
「ユーシス……来てくれたんだな」
言葉を交わすのは一言。
けれどそれだけで十分と、二人は態度で物語る。
「なんか俺の時と態度違わないか?」
無視された。
まあいいか、とリィンはゼクスへ通信を繋ぐ。
「ゼクス将軍。あの機体は俺達がなんとかします。将軍は今のうちに部隊をまとめておいていただけたら」
「……わかった。子供に押し付けてしまうのは無念極まりないが、よろしく頼む」
「いえ、餅は餅屋。騎神が出張るのが一番被害が少ないやり方ですからね」
そう言ってゼクス達はリィン達から離れていく。
大破した戦車や機甲兵の残骸があるが、すでに搭乗員は脱出しているので問題ない。
脱出出来なかった者は、文字通り鉄の棺桶としてその場に佇んでいる。
そのことに思うことがないわけではないが、彼らの弔いをしたいのであれば、一刻も早くゴライアスを撃破するべきだ。
リィンはゼムリアストーンの槍をユーシスに渡す。
Ⅶ組用に起動式は打ち込んでいるため、ゼムリアストーンの武装はユーシス専用の騎士剣へと変化する。
ユーシスは逆に己が持っていた機甲兵ブレードをリィンに渡し、周囲に首を巡らせながら軽く跳躍。魔煌騎神ヴァリマールの上にシュピーゲルが騎乗する。
「ユーシス、足はこちらに任せろ。シュトラールとまでは行かないが、違和感のない程度に足並みを揃えてみせる」
今まで逃げ回っていたというのに、ガイウスはそう言い切る。
決して浅くない息切れをしているが、それ以上に気力が十二分に満ちて疲労を感じていない様子だ。
ならば止める理由はない。
「俺はガイウスが避けきれない防御を担当する。だから被弾を気にせず攻撃してくれ」
「……フッ、まさかこんな共闘をすることになるとはな」
貴族連合へ身を置いてから、Ⅶ組の皆と敵対することばかり考えていた。
彼らは士官学院の生徒であり、貴族なのはユーシスとラウラとリィンの三人のみ。
だがラウラ、つまりアルゼイドは中立の立場、いわゆる皇族派でありシュバルツァーもまた同様。
ならば、内戦を引き起こした貴族側につくことはありえない。
自分以外は全て敵に回るとすら思っていたはずだが、実際はこうしてⅦ組と一緒に戦っている。
それが、たまらなく心地よいと無責任に感じてしまう。
「征くぞ……!」
ユーシスの咆哮と共にヴァリマールが駆ける。
リィンがメインだった時よりも速さはないが、地に足を付けた力強さはそれに劣ることなく乗り手の意志を汲む。
ゴライアスから見れば小人が突進してきたようなもの。
踏み潰してやらんと機体を動かすゴライアスだが、ガイウスの馬捌きは八葉の動きでなくともそれを避けるのは余裕だった。
「斬!」
騎士剣に導力が集い、威力と射程を伸ばした斬撃となってゴライアスを切り裂く。
機甲兵ブレードをものともしなかった攻撃はしかし、ゼムリアストーンの武装と騎神の援護が裂傷を生んだ。
「しゃらくせぇ!」
機銃が唸りを上げて砲火を吹く。
歴戦の偏差射撃と大きすぎる弾丸はしかし、リィンの機甲兵ブレードがその全てを切り落とす。
ならば、と繰り出された大戦斧の大質量も、惚れ惚れするほどの技で受け流す。
何もおかしなことはない。
リィンにとってこの程度の攻撃、ただ武器が大きいだけだ。
「なんだと!?」
「流石……リィン?」
「…………」
リィンは応えない。
伍の型・残月の発展、
斬撃に意識全てを集中させ、それ以外への思考を破棄することで絶技を生む絆の一刀。
機甲兵ブレードという慣れない獲物だが、ここで活きてくるのはルトガーとの特訓だ。
猟兵が使う様々な獲物を使いこなせるよう訓練を受けたが、その中でもブレードに関しての吸収力が高く、太刀との違和感を埋めていたことが役立っている。
それを防御に注ぎ込むことで、ガイウスが避けきれない攻撃の全てを防ぐことに集中していた。
その集中力を察し、ユーシスとガイウスは互いに役割に専念する。
「アスティオン……ナイツ!」
巧みな操作でヴァリマールに振り落とされぬよう攻撃を続けるシュピーゲル。
時に剣、時にアーツ、時に足。
あらゆるものを駆使したそれは、鐙がなくとも培った経験と信頼が騎神による馬上戦闘を成立させていた。
ゼムリアストーンの武器とヴァリマールの援護を手に入れたユーシスとガイウスの連携はヴァルカンを上回っている。
ユーシスの洗練された機動はガイウスの消耗を抑え、ゴライアスの武装の数々も、リィンの前では届かない。
しかし、ゴライアスもまた有り余る大きさに恥じぬ耐久力の持ち主。
ユーシスの攻撃の数々を受けきってなお、余裕が見て取れた。
その結果、戦闘は膠着状態に陥っていた。
このままでは埒が明かない、と判断したのか、ヴァルカンは攻め手を変える。
「おらあ!」
たとえどんな攻撃が来ようと、三位一体の連携の前に全ては無意味――リィン達はそう思っていたし、事実そうなるはずだろう。
向けられるのが、リィン達であれば、だ。
ゴライアスが距離を取ったかと思えば、近くにある岩場を殴りつけ、即席の石礫を作り出す。
騎神や機甲兵を超える巨人機によって生み出されたそれは、一つの岩の大きさが五アージュに迫る大きさとなった、礫の規模を超えた自然の弾丸だった。
ヴァルカンはそれを、監視塔へ向けて振りかぶる。
狙いは、監視塔そのものだった。
ユーシスとガイウスがそうはさせじとその行動を防がんと突っ込む。
リィンはセリーヌによって友月への集中状態を解除されたが、我に帰る一瞬が対応への手を止める。
岩が監視塔へ投げられると思われた瞬間、ゴライアスは体を反転させ、投げる先を急変更。
それは仮にも猟兵団の長として培った経験によるフェイントだった。
すなわち巨岩は、無防備なユーシス達へと向けられる。
「――だと思った」
戦術リンクが一際大きな輝きを帯びる。
リィンは、友月と観の目の合わせ技によってヴァルカンの敵意を細かく察していた。
意図、とでも呼ぶべきか。
常に敵意とも呼べるそれがリィン達に向けられているのに、監視塔を狙おうとしても微塵も変わることがなかったのだ。
そのため、リィンはその行動がフェイントと判断出来た。
感情を隠して攻撃出来る存在が居ることも知っているが、帝国解放戦線という怒りの感情を抑えられない集団にそんなことは不可能だ。
そして、リィンが呼んでいたということはその意図は二人にも伝わっており――
「風よ、力を貸してくれ!」
巨岩を投げられる前にリィンから伝えられた意図を察したガイウスは、跳んでいた。
「眩く光よ……我が剣に力を!」
同時にユーシスが、騎神によって増幅されたアーツの力を剣に乗せる。
それは、かつてレグラムにてマキアスとの連携によって得た疑似聖剣。
組む相手が変わったとしても、再現された輝きは決して劣りはしない。
「受けるがいい!」
ヴァリマールという足場から跳躍したシュピーゲルの手から、アイオロスセイバーが放たれる。
だが諦めの悪さは今こうして生きている悪運に繋がっているのか、ヴァルカンはさらにゴライアスの体を旋回させた。
体への負担を一切考慮しないそれは、巨岩をアイオロスセイバーへの迎撃へと投げ込まれる。
少なくとも相殺ないし威力の減衰を狙った目論見はしかし、さらなる第三者によって壊された。
天空と地上、それぞれ放たれた聖剣と巨岩の間に光が差し込まれ――巨岩にそれが命中し、破砕された。
驚愕に目を剥くヴァルカンは、見た。
ゴライアスの拳一つで破壊されてしかるべき戦車、そのさらに旧型の砲弾が己の投擲した巨岩を砕く姿を。
それに気を取られたのも一瞬。
その間にユーシスが放った聖剣は、ゴライアスに突き刺さっていた。
「ぐ……おああああああああああああ!」
ヴァルカンの咆哮。
ゴライアスから黒い闘気が迸る。
黒いウォークライと呼ばれる、限られた猟兵にしか扱えないそれを全身に満たし、アイオロスセイバーの攻撃に耐える。
ゴライアスの防御力とヴァルカンの技術が合わさったそれは、ダメージを負いながらもアイオロスセイバーの攻撃力を受け止めた。
「行くぞ、リィン」
「任せてくれ!」
が、ヴァルカンの抵抗はそこで終わる。
ガイウスが跳躍した時に集めていた風の力が、空を蹴って疾駆するヴァリマールの持つ
リィンの意図を察した時点で、ユーシスは武器を元に戻していたのだ。
つまり、ユーシスの攻撃はフェイント。
本命は、リィンの……リィン達の連携だった。
「連ノ太刀……龍王剣・箒星!」
振り下ろされた太刀が、龍を形作る流星群となって降り注ぐ。
ノルドを汚した報復とばかりに放たれたそれは、巨人機すら矮小に思わせる
ユーシス参戦した割に、心情メインで馬上戦闘をうまく書けなかった気がするのは反省点。
その辺細かく描写するとがっつり書くことになり、戦闘を分かりやすくしようと思ったら、あっさり目になってしまうのでアルティナ達の行動も結果だけで過程がバッサリカットしてしまいました。
要精進。