はぐはぐオズぼんとの軌跡   作:鳩と飲むコーラ

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シャングリラ・フロンティアがマガジンでコミカライズってマジですか!?
しかも来週から!?
書籍化してないのに週刊少年漫画雑誌になろう作品が掲載されるとか、流石シャンフロっすわぁ。
どこまで連載するかわかりませんが、オールスターなジークヴルム戦までやって欲しいですね。

シャンフロ知らない方は申し訳ありません。
誤字報告いつもありがとうございます。


フフフ、息子よ。Ⅶ組と再会しよう④

 ミントからの切羽詰まった連絡が気になり、ラインフォルトへ向かうのを中断し彼女の家に向かったリィン達。

 フィーのことも心配だが、すぐわかる範囲での救援に加え彼女なら多少遅れても待ってくれる、あるいは無事でいるはずというリィンの言葉からそうなった。

 

 最初はアリサとアッシュ、護衛にアルティナを一足先にラインフォルトへ向かってもらおうとしたが、リィンを放置しておくわけにはいかないと全員で向かうこととなった。

 ロジーヌだけでは心配、というより彼女の身を案じての発言なのは言うまでもない。

 

「ミント、無事で良かった」

「うん。リィン君も! それと、改めていらっしゃーい! ごめんね、わざわざ……」

「友達の家に行くのに理由はいらないさ」

「あはは、そう言ってもらえると嬉しいかな。あとね……じゃじゃーん、サプラーイズ!」

 

 ミントとの再会を果たし、元気にはしゃぐミントがリィンの両手を振り回しながら客室へ案内される。その先には、士官学院から避難してきたメアリーの姿があった。

 

「メアリー教官!?」

「Ⅶ組の……! ロジーヌさんに、見ないお方もいらっしゃいますが……それに子供まで」

「こちらはアッシュ。ラクウェル出身で、今はちょっと手伝ってもらってまして。アルティナはその……色々事情はあるのですが、ミリアムの妹のようなもので」

「まあ、ミリアムさんの! それにラクウェルの方と知り合いなんて、シュバルツァー君は相変わらずお顔が広いのですね」

 

 ベッドに腰掛けてくつろぐ、というより緊張していたメアリーはリィン達の姿を見て安堵の息を漏らす。

 アルティナがジト目で見上げてくるが、努めて流した。

 

 メアリーはと言えば、何やらミントの母であるバニラに、マカロフの婚約者と誤解されたままお世話になっているそうだ。

 何度も訂正しているのだが、ミントの母だけあって一筋縄ではいかないと苦労していた。

 

「シュバルツァー、俺達は急いでるんじゃないか? さっさと伝言とやらを受け取れや」

「っと、悪いな。ミント。ARCUSじゃ言えないことってのは?」

「あ、ごめんね。アッシュ君も。……実はジョルジュ先輩から秘密裏に連絡が回って来てさ。ちょっと助けが欲しいそうなの」

「……詳しく聞こう」

 

 今は塩化して消失してしまったが、ゼムリアストーンの太刀の制作やシュミット教室、特別実習などで世話になった先輩だ。

 恩返しという意味でも無視するわけにはいかない。

 

「導力端末に暗号化されたメールが来てね。知らないアドレスだったし、最初は消しちゃおうかと思ったけど、中身を見てみたらシュミット教室のプログラムが使われてたんだ」

「シュミット博士が……ってないか。仮にあの人だとしても、暗号化する必要ないだろうし」

 

 でしょ、とミントは問題の通信端末を持ってくる。

 シュミット教室の中でも特に優秀だったジョルジュとミントにだけ与えられたカスタム機である。

 メンバーであるリィンとロジーヌはミントの横に並び、開いたファイルの中身を解読する。

 これは自由時間にミントが遊びで作ったプログラムをジョルジュが手直ししたもので、シュミットには認めてもらえなかったが教室内のメンバーの手で色々遊ばれたアプリだった。

 

 内容はそう難しいものでなく、自由に問題を作って答えを用意するというクイズ形式のものだ。

 簡易の学習装置も取り付けており、編集こそ手間であるが資料が充実すれば良い教科書として使える面もある。

 休憩時間にわざと解釈が分かれる問題を作って、色んな答えを各自で楽しむという遊びが主だった。

 

 その中で各種問題に特定のキーワードを隠したものを提示し、後に空白の問いに答えを出す、なんてものも作った。

 今まさに、それが提示されている。

 

「アンとトワが追われている。自分は動けない。二人を助けて欲しい」

「連絡先はルーレ大聖堂。祈りを捧げるシスターが仲介役」

 

 まさかの伝言に沈黙するリィン。

 フィーを助けに来たというのに、ここにきて要救助者が増えるとは思っていなかった。

 救出に異論はない。

 ロジーヌを見れば、彼女もまた無言で頷いている。

 

 ジョルジュからの伝言をメンバーで共有すれば、救出に異論はないがどういう作戦で行くか、という悩みへシフトする。

 リィンはどう行動すべきか少し考え、アルティナに話しかける。

 

「アルティナ、頼みがある」

「何なりと」

「まず話を聞いてから頷くのが基本だぞ?」

「基本は貴方のサポートですから」

 

 頼もしいやら何やら。

 かつてのリィンも友人からの頼みなら内容を聞かなくても頷いていたが、それはあくまで自分であってアルティナではない。

 自分と他人の対比。

 鬼の力を失い、オズぼんやヴァリマールとも相談出来ない状況でようやくリィンもその境地に辿ったのかもしれない。

 だから今は頼もしいとさせてもらおう、とリィンはアルティナへ言う。

 

「要請だ。戦闘は極力回避して、黒竜関の様子を伺って欲しい。正確にはフィーの現状だな。どちらにしろ潜入のために事前の情報は欲しかったし、それをアルティナに担当して欲しい」

「要請を受理します」

「もし手助けが欲しいなら、その都度ARCUSで連絡を頼む」

「いえ、問題ありません。元々こういう任務のほうが合ってますので」

 

 言いながら、光学迷彩を起動するアルティナ。

 メアリーの驚く声が響く頃には、すでに彼女の姿はミントの家から消えていた。

 

「仕事が早いというかなんというか」

「良いことだろう。で、俺達はルーレ大聖堂へ向かうけど、アリサはどうする? やっぱりラインフォルトへ行っておくか?」

「ん、そうね……ここに来て先輩達の情報が聞けるなんて思わなかったし、アルティナちゃんを待つ間に私も母様との連絡くらいは試してみようかしら」

「おい、シュバルツァーを放置するのは危ないんじゃなかったのか?」

「フィー以外にも助けが必要、しかもわざわざ伝言を残してのものってことは緊急性が高いって判断するわ。

 そりゃあ危惧はあるけど、こと誰かを助けるって意味での放置ならリィンは私達が側にいないほうが動きやすいと思う」

 

 強さや行動力という意味でリィンに付いていけるのは現状ではクラウ=ソラスを持つアルティナだけだ。かろうじてロジーヌが、と言ったところか。

 何よりフィーと違い、トワとアンゼリカは詳しい情報がわかっていない。

 緊急性、と言われてしまえば同行よりも分断のほうがメリットが高い。

 

「まっ、確かに最初はラインフォルトへ行くっつってたのに、気づけば回り道だらけだからな。それがシュバルツァーのせい、ってんなら別れるのは良い判断か」

「なんで俺のせいになる」

「寄り道した理由、全部テメェが絡んでるじゃねーか」

 

 そう言われるとぐうの音も出ないリィンだった。

 

「それじゃあロジーヌ、リィンの面倒お願いね」

「まあまあアリサさん。リィンさんも成長しているのですし」

「甘やかしたら、苦労するのはロジーヌなのよ? まあ、貴女の性格と入学当初からの縁を考えると無下に出来ないんでしょうけど」

「心配するなアリサ。情報を聞きに行くだけだ」

「リィンが、ってだけで過程が激変するのよ」

 

 共に特別実習を歩んだクラスメイトの言葉は、重い。

 話していると決意がくじける、ということでアリサはアッシュを引き連れてラインフォルトへと向かう。

 リィンとロジーヌもまた、ルーレ大聖堂へ向かおうとするが、そこにメアリーが待ったをかけた。

 

「待ってください、トワさんにアンゼリカさんを助けて欲しい、ということでしたら、私にも何か手伝わせていただけませんか?」

「ですが……」

「私はトールズ士官学院の教官です。生徒を放っておくわけにもいきません」

 

 やる気を示すように、むんっと両手に握りこぶしを作るメアリー。

 だが音楽や芸術、料理の担当という戦闘に関わらない分野に加えて、深窓の令嬢と言わんばかりのメアリーがそうする姿は、微笑ましさ以上に危なっかしさが見受けられる。

 それでも心配そうな顔を浮かべるリィンとロジーヌに、メアリーは諭すように語る。

 メアリーの目論見は、アルトハイム家の令嬢としてログナー侯を訪ねてせめてアンゼリカの情報だけでも探ろうとしているそうだ。

 

 しかしロジーヌはここで待ったをかける。

 ログナー侯は四大名門の中では武を尊ぶ一門であり、芸術に通じるアルトハイムとは折り合いが悪いのでは、という話だ。

 メアリーは、それも承知していますと静かに首肯する。

 

「アルトハイムの者である以上に、私は教育者です。生徒の無事を確認するのは、当然の義務です。だからどうか、お願いします」

 

 ぺこりと頭を下げるメアリー。

 従来で言えばこの中で一番身分が高いのは彼女であるが、そのお辞儀は人間として、ただのメアリーとしてのお願いだった。

 個人としてのリィンは、無理をせずせめて自分達が作戦を整えるまで待ってもらえないか、と言いたい。

 しかし、大人としての責任を果たそうとする彼女を止める言葉が思いつかないのも事実。

 リィンは助けを求めるようにロジーヌを見るが、彼女も同じように思っているのかメアリーを止める言葉を持っていなかった。

 

 何故なら、アルトハイムの者として顔を出すということは、父親である伯爵の権力を使うということに他ならない。

 両親に無理を言って士官学院の教官に就職したのだ。

 ただでさえ先行きの見えない内戦で実家に頼ってしまえば、身の危険を理由に退職する可能性だってある。

 聡明なメアリーが、それをわかっていないはずがない。

 その上で行動するという覚悟を前に、安易な言葉をかけられるはずがないのだ。

 リィンは最後の砦とばかりにミントを見るが、彼女の意見はリィン達とは違った。

 

「……リィン君。メアリー教官のやりたいようにしてあげられないかな?」

「ミント……」

「ここ一ヶ月一緒に過ごしてたけど、結構譲れないところもあるからね、メアリー教官は」

「ミ、ミントさん!」

 

 メアリーの援護射撃をしたのは、まさかのミントだった。

 彼女ならばリィン側の意見を通すものと思いきや、メアリーを擁護するものだった。

 

「それに大丈夫。いざって時にはあたしに良い考えがあるから!」

 

 薄い胸を力強く叩くミント。

 ロジーヌはその自信に苦笑する他なく、リィンとしてはここまで言うのならば二人を信じる他ないか、と判断する。

 ミントの良い考え、が何かわからないが自分は自分の出来ることをしよう、とリィン達は改めてルーレ大聖堂へ向かった。

 

 

「しかし、フィーを助けてすぐエリンに戻るつもりだったのに。やっぱりリィンが一緒だとやることが増えるわね」

「…………………」

 

 リィン達と別行動を取ることになったアリサとアッシュは、寄り道することなくラインフォルト社へ向かっていた。

 先日のルーレにおける事件でラインフォルトの風通しが良くなったといえ、逆に言えば穴埋めの仕事が増えたとのことでイリーナとの接点は増えたようで増えなかった。

 一応、ヴァリマールの中で過ごしたあの一時やシャロンのこともあるので、アリサとしては家族の距離が縮まったことに違いないのだが、相変わらず仕事人間の母にはもう少し周囲を顧みて欲しいと思う。

 

「出張で出かけてなければいいけど。それならそれでやりようがあるといえ、やっぱり直接本人と交渉しないと後から面倒になりそうだもの」

「…………………」

「ねえ。私が独り言多いみたいな感じになるから、相槌くらい欲しいんだけど?」

「……少し、黙ってろ。気が散る」

「なっ……!」

 

 アッシュは()を抑えながら一切の油断なく周囲に気を配る。

 アリサは突然の罵倒に鼻を白ませるが、予想以上に真剣なアッシュの様子に押し黙る。

 エリンでの訓練により、アッシュの鬼の力による霊視は格段に上がっていた。

 その目が、宿主に語る。

 この場はおかしい、と。

 

(なんだ……気を抜くと、あの女(アリサ)を見失いかける。しかも気にすることを強制的に忘れ去られるような……隣で並んでいるはずなのに、背中を追いかけてる気分だぜ)

 

 アッシュの目は、己とアリサを引き離そうとする何かを感じ取っていた。

 まるで道路に突然生まれた迷宮に迷い込んでいる気分だ。

 周囲から伸びる糸が絡みついて、アッシュの動きを阻害しているかのような感覚。

 鬼の力をより強く使うことでなんとかその糸を避けているが、徐々に目の奥から鈍痛が生まれてくる。

 

 力を使いすぎた影響だ。

 リィン曰く、鬼の力にはもう一段階上があるとのことだが、それをするにはアッシュはまだ未熟、下地が足りていないと切り捨てた。

 そしてそれ以上に自制心が強い、と。

 一体自分のどこに自制心なんかあるんだ、と吐き捨てたいアッシュだったが、頭はその言葉に反して冷静に働いていた。

 

(……少なくとも、誰かがこの女が狙っていることに違いねえ。俺が居ると不都合ってのもな)

 

 冷静に、アッシュは与えられた戦術オーブメント――ベリルから貸し与えられたARCUSを駆動し、通信を試みる。

 相手はリィン。

 が、繋がる様子はない。

 別の相手も同じだ。当然、アリサも。

 

(何だ……一体何がいやがる)

 

 通信が途切れるたびに、アッシュの嫌な予感が加速度的に増えていく。

 さっきから時間の感覚が長い。

 何時間も歩いているような感覚だ。

 なのに、隣のアリサはまるでそのことに疲れを見出していない。

 ならば、体感しているのはアッシュだけ。

 

 いっそ糸に自ら絡みついて置いていかれたほうが都合が良い、とさえ思い始める。

 いや、構わないんじゃないか? 

 そもそも、自分がこの場に居るのがおかしいのだ。

 ラクウェルを飛び出して付いてきたのも、今思い返せば衝動的な行動でしかなかった。

 ここから反対側になるが、さっさと空港なり鉄道なりに乗って故郷へ――

 

「っざてえんだよ!」

「!?」

 

 次々と湧き上がる思考を一喝するようにアッシュは吠える。

 アリサからすれば突然隣のアッシュが叫びだしたのだから、頭がおかしくなったのかリィンに多少稽古を受けた影響なのかと心配になる。

 

「……思えば、誰かに誘導されてるような感覚だな。シュバルツァーと別れたのも、理由だって取ってつけたような感じだ。

 相手の所在が確定出来ないって意味じゃ、ラインフォルトも知らねえ奴らも同じじゃねえか。全員が固まっててもおかしくねえ」

 

 まるで突然理由を与えられたようだ。

 そしてそれに、リィンすら気づいていない。

 つまり相手は、このメンバーの中の誰よりも――

 

「すみません、少しよろしいでしょうか?」

 

 アッシュの思考を遮るように、二人へかけられる声があった。

 その人物は帽子を被った、温和そうな男だ。

 男にしては長めの髪を首元でくくっており、一見すれば紳士然とした大人と言える。

 が、現状の中で現れるという異物感がアッシュに疑念を抱かせる。

 

「なんだぁ? テメェ」

「こら、威圧しないの」

 

 構いませんよ、と穏やかに笑う男。

 アリサはぺこりと頭を下げて、何か用ですかと気軽に答えた。

 

「私はルーグマン。とある大学で客員教授をしていてね。ルーレには、学長が不在の工科大学へ出張しているんだ」

 

 言いながら、身分証明書を提示するルーグマン。

 専門は地質学だそうだが、七曜石(セプチウム)関連ともなれば導力とも深い関係がある。

 帝国最高峰である帝国学術院在籍、という身分にアリサが畏まる。

 反面、アッシュの警戒心はこれ以上なく反応していた。

 

「はは、そんなに気にしなくていいさ。ルーレには来たばかりだから、良ければ話を――」

 

 アッシュが戦斧を取り出そうとするより早く、ルーグマンから()()が生まれた事をアッシュの目が感知する。

 それは回避も防御も許されず、アッシュの記憶からアリサとルーグマンという存在を消失させていく――よりも早く、ロジーヌを後ろに乗せたリィンの導力バイクが、横合いからルーグマンを跳ね飛ばしていった。




軌跡の教授は疑えが基本。声付きなら確定。
だからひき逃げすればいいじゃない、という青春鬼野郎の回答でした。
もちろんそんなことを考えていたわけではないので、答えが明かされるリィン視点はまた次回。

リンデやヒューゴも絡ませて行きたいものの、早めにストーリー進めたい欲が勝っていく。
というより全然マラソンしてない辺り内戦編での余裕のなさを実感します。
書きたいシーンに到達して一段落するまでこんな感じかもしれません。
ご了承ください。

気ままに書けた閃Ⅰ編っていうか日常の大事さってやつですかね…
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