はぐはぐオズぼんとの軌跡   作:鳩と飲むコーラ

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フフフ、息子よ。悩みは知らぬ間に消える時もある

 夜釣りを堪能したリィン達は、その後あくびをするフィーを見てすぐに就寝することにした。

 と言ってもリィンは深夜に起きた上に食事も取ったのであまり眠くなっていない。

 ベッドに戻って横になるだけでもいいよ、とエリオットに言われて与えられた客室に戻ったものの、冴えた頭に眠気は訪れない。

 無の呼吸法で頭を明鏡止水していると、ふと部屋の外で物音がした。

 

(この気配……ユーシスか?)

 

 時計に明かりを照らしてみれば、時刻は深夜の二時。

 途中で催したのか、と思ったが特にそういうわけでもないようで、ユーシスの気配は外に向かっていた。

 リィンは気になって後を追ってみると、ユーシスは石碑の側で佇みぼんやり川の流れを眺めている。。

 

「ユーシス、こんな夜中にどうしたんだ?」

「起きたのか、リィン」

 

 こちらに見向きもせずユーシスは言う。

 無言でその隣に並んでみれば、川の流れや魚を眺めているわけでもないようだ。

 

「さっきまでマキアス達と夜釣りをしていたんだよ。アルティナがレインボウを釣ったから、寝起きの食事にありついてた」

「今は真夜中だ」

「寝起きに時間は関係ないさ」

「普通は夜に寝て朝に起きるものだ」

「じゃあ、今起きてるユーシスは何なんだ?」

「……風に当たっているだけだ」

「風に当たるなら、俯いてるより見上げたほうがいいんじゃないか?」

 

 ああ言えばこう言うリィンに、流石にユーシスも横を向く。

 だがその眉間にシワはなく、視界に入ってきたものをただ入れただけ、と感じた。

 

「……ルーファスさんのところに戻りたいか?」

 

 そこではじめて、ユーシスの表情が変化する。

 流石のリィンも、ユーシスが何に思案しているか察していた。

 元々ユーシスは貴族連合に所属している、リィンにとっては敵とも呼べる相手だ。

 しかし彼はノルドでの再会以来流されるようにⅦ組の縁に引きずられている。

 かと思えばミリアムの裏切り。

 ユーシスの心の中で渦巻く感情は、嵐のように時化っていることだろう。

 が、そんなリィンの予想は良い意味で違っていた。

 

「いや、俺が考えていたのはどう内戦を止めるか、だ」

「……?」

「お前は寝ていたから知らんだろうが、これを見ろ」

 

 言いながら、ユーシスはポケットから懐紙を取り出した。

 折りたたまれたそれを受け取り、広げてみれば帝国時報の文字が見えた。

 

「3.5号……?」

「もう4号を印刷し終えてしまったが、時系列的に間に差し込まざるを得なかったのだろう。が、問題はそこではない」

 

 帝国時報第3.5号。

【速報】南部戦線、圧勝!

 貴族連合にまた朗報が一つ届いた。

サザーランド州に追い込まれた貴族連合だが、ハイアームズ侯の助力により旧正規軍を撃退。

 貴族連合を支える、カイエン公の懐刀たる蒼の騎士と対となる緋の騎士が姿を現した。

 盟友たるハイアームズ侯の騎士と思われるその人型兵器は――

 

「これ……テスタ=ロッサか?」

「ああ。エマ達から情報が届いてな。セドリック殿下とアルフィン皇女が、テスタ=ロッサの起動者としてご搭乗されたそうだ」

 

 無論、貴族連合の良いように改ざんされているが、とユーシスからの報告に息を呑むリィン。

 確かにセドリックは騎神への憧れを抱いていたが、その内情は後に待つ相克への生贄なのだ。

 一時的な力でしかないそれに、安堵すら抱いていた彼が自ら、それもアルフィンと共に起動者になるなど青天の霹靂(へきれき)である。

 

「帝国時報は現状貴族連合の傀儡のため、こんな書き方をしているが……殿下達は正規軍だけでなく、貴族連合をも退けたそうだ。……特に主導となったのは、セドリック殿下らしい」

「……殿下が」

「リィン。俺は正直、セドリック殿下のことを侮っていた。悪人ではないが、帝国を導くにはいささか凡庸であるとすら思っていた。そこは配下が支えればいいとして、あの方自身への強さを傲慢にも下に見ていた」

 

 リィンの手から帝国時報を取り、一字一句見逃さぬように目を落とすユーシス。

 その瞳には、隠しきれない後悔と憧憬が見えた。

 

「だが、殿下は諦めなかった。皇女やローゼリア殿と協力し、周囲を説き伏せ、頼り、最後には一つの州を救った。無論、殿下だけの力でないことは理解しているが、その結果に導いたのは紛れもなくあの方の選択だ。

 迷ってばかりで、何一つ成果を残していない俺には途方もなく眩しく映ったよ」

 

 セドリックの成果に、貴族として……それ以上に帝国男子として心を震わせるのだろう。

 事実、リィンも感慨深い気持ちで一杯だった。

 

「まるでコウモリのように、俺は貴族連合とお前達の間を彷徨っていた。どちらか一つしか選べない事実に心がすくんでいたのだ。……だが、第三の道はあったのだ」

「それが、内戦を止めること?」

 

 無言で頷くユーシス。

 

「兄上は、この戦いを貴族を残すためと言っていた」

「残すため?」

「鉄血宰相は、今回の件で我々貴族を殲滅せんと手を打っている。事実、蒼の騎神が介入しなければすでに決着は付いていたかもしれない。

 しかし、その蒼は元帝国解放戦線のリーダーで自我がなく、加えて状況の打破として投入されたゴライアスも同じ所属であり機甲兵のための生贄となっていた。

 そして今回のスカーレット……全員が全員、己の命を勘定に入れぬ狂信者のように戦っていた。それら全てに、兄上が関わっている」

「…………」

「綺麗ごとだとはわかっている。彼らのような存在がいなければ、今の正規軍とまともに戦えないことも。しかし、しかしだ。人としての尊厳、最後の一線を容易く踏み越えてまで俺達は残るべきなのだろうか。

 たとえ生き残ったとて、後によぎるのは《貴族の義務(ノブレス・オブリージュ)》などではなく、生き汚く貴族という役職にしがみついた結果だけ。

 無論、生きていなければ後悔さえ抱けない。民に死を強制させるわけにもいかない。故にそれすら飲み込まねばならない……そんな気持ちもあった」

 

 だが違うんだ、とユーシスはまるで懺悔するように告白する。

 

「貴族という言葉に囚われていた。《貴族の義務》を全うするためにも、貴族がまず生き残らなくてはならないと思いこんでいた。しかし、殿下の活躍を知り思った。俺がすべきは、貴族を残すために正規軍を滅ぼすことではないのだ、と」

「……それで、良い考えは浮かんだか?」

「いいや、全く」

 

 フッ、と笑うユーシス。

 何一つ進展はないのに、顔が良いだけで様になるのはユーシスたる所以だろうか。

 

「俺ごときに()()を打破する一手がそうそう浮かぶはずもないさ」

「その割には、悩んでないな」

「お前達が居る。俺が出来ずとも、お前達となら」

 

 その先は言わなかったが、言葉以上にユーシスの気持ちを物語る空気がそこに漂う。

 ルーレに居た時はユーシスの顔面蒼白ぶりが心配で連れて来たが、この調子なら心配はなさそうだ。

 リィンはあえておどけてみせる。

 

「俺、つい最近ミリアムやクレアさんに出し抜かれたんだけど?」

「お前とて全てに勝ってきたわけではあるまい。少なくとも、悩んでばかりの俺よりよほどお前のほうが状況の打開力に優れている」

「悩んでるようには見えなかったけど?」

「お前が寝ている間に、少し争ってガス抜きしていただけさ」

 

 そう言って、ユーシスは昼間リィンが寝ている間に出来事を語り始めた。

 

 

 リィン達がルーレから戻った翌朝、ユーシスはベッドから抜け出すこともせずぼんやりと天井を見上げていた。

 そこにドアがノックされ、深く考えずに入るがいい、と答えた。

顔を見せたのはラウラだった。

 朝食の時間になっても顔を見せないユーシスを心配して、わざわざ訪ねてくれたようだ。

 

「その様子では、ルーレで何かあったようだな。リィンは依然として起きる様子もないことを考えると、よほどのことがあったとみるべきか」

「…………ああ」

「……重傷か。が、それなら話を共有すべきであろう。我々をのけものにするつもりか?」

 

 そう言われてしまえば、ユーシスとしては口ごもるしかない。

 事情を知る者に聞けばいい、と突っぱねるにはユーシスとラウラは縁が深かった。

 

「朝食を終えた後に全員でまとめて話を聞こう。だから、だ」

 

 強引にシーツを剥がさんとラウラがベッドに歩みよる。

 少なくとも貴族の子女にそんなことはさせまいと、ユーシスは慌てて立ち上がった。

 

「それでいい。着替えも手伝いましょうか、ゆーしすさま?」

「寒気のする言葉を吐くな」

「うん、私も言ってて鳥肌が立ちそうだ。紐でも付けて剣の鞘と結んで引きずるほうがよほどらしいな」

「それはそれで、子爵家の娘として恥だろう……」

「気心知れたそなただからこそ、だ。外でするほど私も恥知らずではない」

 

 どうだろうな、という言葉は流石のユーシスも飲み込んだ。

 言えば本当に実行されかねないからだ。

 その考えをおくびにも出さず、ラウラを追い出し着替えを済ませたユーシスは食卓へ顔を出す。

 そこにはリィンとアルティナ、アリサ……そしてミリアム以外のⅦ組が揃っており、外部協力者であるアッシュも顔を見せていた。

 

「遅かったなユーシス、寝坊とは随分優雅な朝じゃないか」

「まあまあ。戻ってきたのは僕達が寝た後って話だし、もう少し寝かせて上げても良かったかな?」

 

 マキアスとエリオットが気軽に話しかけてくるが、それが気遣いであると社交界に慣れたユーシスは察した。

 ある程度の事情はフィーから聞いたのだろう。

 そしてミリアムがいない理由と、アッシュの不機嫌さで答えに至ったのかもしれない。

 

「さて……話すことはあるかもしれないが、まず朝食としよう。一日の活力であるし、温かい料理を冷ますのは、用意してくれたライザさんに申し訳が立たない」

 

 ガイウスの一言に、ひとまずの安寧を迎えた朝食の場は穏やかに進む。

 カチャカチャと食器がこすれる音や、スープなどをすする静かな時間が過ぎていく。

 しかし、それは嵐の前の静けさでしかない。

 朝食を済ませれば、突風は外部よりもたらされた。

 

「おい、あのミリアムとかいう白チビ兎について教えろ」

 

 開幕はアッシュ。

 歓楽都市ラクウェルで育った彼からすれば、その気質と合わせて裏切りへの落とし前を付けなければ気がすまない。

 ミリアムが持つ戦術殻アガートラムを見ていれば、ただの士官学院生という考えはアッシュにはない。

 TMPの軍服を着ていたクレアと親しげな様子と、自らの《鉄血の子供達》と称していたことから察しは付いているかもしれないが、それが情報収集をしない理由にはならないのだ。

 

「まだ根に持ってるの?」

「アンタは元の古巣(西風)よりこっちを選んだからそう言えるかもしれねえが、俺はやり返さねえと気が済まねえんだよ」

「待て。まず最初から説明をしてくれ。僕達からすれば、軽く話を聞いただけで内容をよく知らないんだ」

「うん。リィンの消耗や、ロジーヌが抱えていたあの女性……私の記憶が確かなら、あれは帝国解放戦線の《S》だったはずだ。ルーレで何かあったのか、全て教えてくれ」

 

 尋ねられたアッシュは、リィン達と共にルーレで起きたことを明かす。

 そこにユーシスとフィーも補足するが、唯一リィンがどうミリアムを元に戻したのかが不明だが、そこは起きてから聞くべきだと全員が気持ちを一致させる。

 リィンは未だに就寝しており、アルティナはその付添い。

 アリサはルーレから帰還しておらず、ロジーヌはスカーレットの治療のためにアウラの手伝い中。

 サラはローゼリアとの話のため別室にいるので、この場にはいない。

 いくつか抜けがあるが、それでもルーレで起きた大部分を共有すれば、アッシュの怒りにも理解を示した。

 

「そうか、ミリアムが……」

「元々《C》……クロウを探りに士官学院に編入してきたのだ。そう考えればさほどおかしいわけではない、が」

「……リィンにとっては辛いよね」

 

 リィンが友を大事にする性格なのは、この半年共に過ごしてきたⅦ組には共通意識だ。

 途中編入のミリアムと、率先して仲を深めにいったのもリィンである。

 だからこそ、衝撃は大きいだろう。

 

「それでアッシュ。君は一体何をしたいんだ? 話から察するに、ミリアムへの報復を考えているようだが」

 

 不穏な空気の中、あえて切り込むガイウス。

 互いの不満は早く露出させておくべきだとその瞳は語っていた。

 

「決まってんだろ。あいつにとって最悪のタイミングで横槍入れて、やろうとしてることを失敗させてやる」

「……あいつを害する気はないんだな?」

「何を以て害するかは知らねえが、仮に死ぬような目に合わせたらシュバルツァーが黙ってねえってことは俺も理解してるさ。ま、ムカついてるのは事実だがガキを肉体的に痛めつける趣味はねえよ」

「こう言ってはなんだが、意外と良識があるのだな」

「アア?」

 

 アッシュはガイウスをにらみつけるが、彼も士官学院の生活の中で様々な相手との経験がある。

 極めつけはマクバーンであり、それに比べればそよ風にも等しいアッシュの視線にガイウスが動揺することはない。

 

「それで、シュバルツァーはともかくそのお貴族様はどうなんだ? 聞けば、アンタは貴族連合のトップの弟らしいな。てめえも何か企んでつるんでるのか?」

「アッシュ、悪態を付くのは人柄だろうけど怒らせるだけの会話じゃ敵を作りやすいよ」

「うっせえ。アンタらだって気にしてるんじゃないのか?」

 

 その指摘に空気が詰まる。

 ユーシスの人柄は知っているし、信頼しているが直前のミリアムの裏切りが『もしや』という疑心暗鬼を作り出す。

 

「鬼はリィンだけで十分だし、もう退散されたのだろう? 我々の間には不要なものだ」

「まあ、リィンから出てった鬼はアリサに付いちゃったみたいだけどね」

『あ~…………』

 

 だがそこはリィンによって鍛えられたⅦ組。

 ラウラが切り込んで暗雲を払えば、フィーがそこに続く。Ⅶ組の名コンビは会話でもその巧みな連携を見せた。

 

「話を脱線させるのはⅦ組ってとこのお家芸なのか?」

「ごめんね、どうしてもそういう会話に慣れちゃって」

「……そんで、どうなんだよお貴族様」

 

 全員の視線がユーシスに集中する。

 ユーシス自身、エリンへ来た理由はリィンに連れられて来たに他ならない。

 彼自身の選択ではないのだ。

 

「ユーシスなら大丈夫だ。彼は貴族連合でありながら、ノルドを守るために戦ってくれた男だからな」

「一応、その心が認められてログナー侯からも信を置かれた事実もある」

「……やめてくれ、二人とも。俺はそのどちらも満足に果たしていない」

 

 ガイウスとフィーがユーシスをフォローするが、彼にとっては己で何一つ成し遂げることが出来ず、どちらも友に助けられたおかげで出来たことだ。

 さらに、アンゼリカはともかく彼が危惧していた一般人の犠牲、トワをみすみす奪われてしまった。

 

「つまり、アンタはどっちつかずなままってことか。だったらここで大人しくしてるのが一番だろうぜ。そうすりゃ、貴族連合にも()()にも迷惑かからねえよ」

「アッシュ、これからも付いてくるの?」

「たりめーだ。言ったはずだぜ、あのチビ白兎に一泡吹かせるってな」

 

 パン、と小気味良い音を立てて手のひらに拳を打ち付けるアッシュ。

 それに、と左目を抑えてみれば、手の先から漏れる霊力が部屋の中に満ちていく。

 

「こいつの使い方も、もっと慣れねえといけねえからな」

 

 アッシュの脳裏によぎるのは、疑似聖痕を目に刻んだスカーレットの姿。

 質や出力は違えど、同じように目を起点とする力だ。

 直接やりあったことで、アッシュは鬼の力の引き出しを一段増やした実感があった。

 流石にアリサのように髪の色が変化するほどではないが、次々と訪れる高い壁を前に生まれる反骨精神がアッシュの強さを底上げしているのだ。

 

「なんならいっちょやり合うか、お貴族様。俺にムカついてるってんなら付き合うぜ」

「……たわけ。そんな挑発に乗る理由はない」

「暴れたい理由はあるってツラしてるくせに、よく言うぜ」

「ふう、Ⅶ組では見ない珍しいタイプだから良い刺激になると放置していたが……アッシュ、と言ったか。暴れたいのであれば私が付き合おう。鬼の力との立ち会いは慣れている故、存分に私を使うがいい」

 

 ため息をつきながらも、その顔は言葉に反して嬉々としていた。

 暴れたいのはラウラなのでは、と思わざるを得ない一同である。

 

「んー、エリオットどう思う?」

「僕にはリィンに追いつく踏み台にしてやろうって副音声が聞こえた」

「僕もだ」

 

 ひそひそと話す三人をよそに、アッシュもその挑発に乗って外に出ていく。

 残された面々も、一度これからの行動を考えるということで解散をすることにした。

 

「ユーシス」

 

 そして、一人椅子から立ち上がらないユーシスにガイウスが声をかける。

 

「お前は納得しないかもしれないが、ノルドを守るために行動してくれた事実がなければ俺達は合流出来なかったと思う。だからその心から生じた行動の是非はどうあれ、恥じることなど何一つないと俺は考える」

「全ては、風の導きというやつか?」

「ああ。苦難と辛苦、その先にある安楽と順風は表裏一体。どちらも風と女神の導き。全てに意味があるはずだ」

 

 だからありがとう。

 そう言ってガイウスは離れていった。

 ユーシスは考える。

 己はただ、自分にとって大事なものを手放したくなかっただけなのだ、と。

 しかし、その大事なものを両方掴むことは出来ない。

 貴族としての自分と、Ⅶ組としての自分。

 選ばねば、ならないのだと思っていたところに、サラからの連絡と帝国時報によるセドリック達の活躍が、ユーシスの葛藤を消したのだった――

 

 

「結局、どちらも俺なのだ。だから考えた」

「帝国を取れば、どっちも両取り出来ると」

「くだらないと笑うか?」

「いいや、多分みんな思っていることだよ」

 

 リィンの後押しを受け、ユーシスは笑う。

 思えばルーファスもどうするかは己が決めろと言っていた。

 当時は自分がいなくても問題ないという旨の発言だと思ったが、ルーファスはルーファスでユーシスの選択を尊重してくれていたのだと後から理解する。

 

「なら、まずユーシスはルーレに置いてきた公爵家の部下に話をつけないとな」

「……ああ、彼らからすればホテルから出ていった俺が夜はおろか翌日になっても戻らない事態だ。失態だな……」

「ま、その辺はアリサに連絡してなんとかしてもらうとして……」

 

 ユーシスはアリサの絶叫が幻聴で聞こえた気がした。

 増えるアリサの苦労に、今度出会ったら謝罪して何か手伝えることがあれば手伝おうと心に決めたユーシスだった。

 

「それで、殿下達と合流を考えてるのか?」

「いや、教官によれば南部戦線は緋の騎神以外にも紫の騎神の搭乗者が姿を見せていると聞く。

 ガレリア要塞での決戦を考えれば、介入させないためにテスタ=ロッサを足止めする腹だろうと言っていた」

「ルトガーさんか……あの人曲者だからな。俺が行ったところで何十にも対応策用意してる気がする」

 

 となれば、考えるべきはルトガーを出し抜くか……自分達だけでガレリア要塞に向かうか、である。

 少なくとも西部・南部・東部の戦いはどれか一つの天秤が傾くだけで内戦のバランスは崩れる。

 そしてリィン達は、そのバランスを傾かせる力を持っていた。

 

「ならば、アリサ待ち……というより、灰の騎神の復活待ちということか?」

「介入するならガレリア要塞だろうな。と……オズボーン宰相にルーファス卿。両陣営のトップが集結するってことなら狙い目はそこだ。何より会長も助けたい」

 

 普通に父さん、と言いそうになったリィンだが、まだⅦ組にはエマ以外にオズボーンが父であることを明かしていなかったことを思い出して言い直す。

 別に今言っても構わないのだが、どうせなら全員が揃った時に言うのが筋というものだろう。

 

「でも、あの二人を出し抜く手段なんてなあ。二人がどちらも動けなくなれば、その間に帝都で皇帝を奪還して、オリヴァルト皇子含めた三人の殿下達に内戦の終結を告げてもらえるんだけど。それに逆らったら、殿下達に頼んで諸手を挙げて反逆者扱いに出来るし」

「あの傑物達を動けなくする手段などそうそう浮かぶものではない。部屋に閉じ込めても、どちらも無理やりこじ開けるか開かせるタイプだろう」

「はは、そうだな――」

 

 ユーシスの発言で、リィンの脳裏に閃くものがあった。

 

「いや、まさか……いけ、る?」

「リィン?」

「悪い、ちょっと思いついたことあるからローゼリアさんのところ行ってくる」

 

 何? とユーシスがつぶやいた瞬間に、リィンはすでにローゼリアのアトリエに突貫していた。

 深夜、突然ベッドの上に押しかけるリィンにすやすや寝ていたローゼリアが悲鳴を上げるまで、あと数秒――




ラウラVSアッシュ

ラウラ
「せいっ!」
アッシュ
「見えてるぜ、今度はこっちだ!」

飛ばした仕込み戦斧の先端を強引に弾かれ、武器ごと飛ばされるアッシュ。

アッシュ
「このゴリラ女が!」
ラウラ
「」(無言で武器を地面に突き立てる)

ラウラ○ - アッシュ ●
決まり手:ダブルスレッジハンマー


プロトマーリンが花の魔女でリィン君と絡むお話マダー?
ビジュアルがクリティカルすぎてブレイクされました・・・
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