はぐはぐオズぼんとの軌跡   作:鳩と飲むコーラ

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久しぶりに普通の日常回。
誤字報告、いつもありがとうございます。


フフフ、息子よ。自習で話す相手はいるか?

 一日の授業が終わっても、学院の机から離れない時がある。

 それは灰の騎神の起動者であるリィンと、準起動者のエマ・ベリル・ロジーヌの四人をメインに開催されているシュミット教室の授業があるときだ。

 導力端末室に集まった教室の面々は、それぞれ目の前の端末を操作しながら、シュミットからの課題をこなしている。

 そんな中、リィンは導力端末を前に教科書片手に悩んでいた。

 シュミットからは猿でもわかるプログラムから人間ならわかって当然のプログラムのテストを与えられており、そこで少し詰まってしまったからだ。

 

(うーん、ここがこうなって……基本編から応用編になってレベルが段違いに上がってるな)

(フフフ、息子よ。シュミット博士としては、ここからが動物と人間の区切りということなのだろう。人は想像力という偉大な武器を持った生き物なのだ、それをいかに広げるかを彼は試しているのだよ)

(ウム、人間ノ想像力トイウモノハ我ラヲ生ミ出ス叡智ニモ発展スルカラナ)

 

 友人の中でも一番そつなくこなすロジーヌに聞けばわかるだろうが、今日の授業はこの課題を終えた者から退室せよ、とのことなのですでに彼女はプログラム処理を終えて教会の手伝いに向かっている。

 去る時の少し恐縮そうな顔に彼女の優しさを感じるが、負けてはいられない。

 現在残っているのは、リィンの他にはミントと一年上の先輩二人、そして同じ一年の男子生徒が隣に座っている。

 ミントは課題クリア直前まで行ったにも拘らず、何かドジをしたようで一からやり直しているのが不憫である。

 

(ミントは基本的に優秀なのに、生来のドジで見てて危なっかしい)

(フフフ、だがあの類まれなる孫力でシュミット博士を振り回すという偉業を成し遂げているのだ。彼女もまた傑物の一人であろう)

(まいすたー候補みんとハ、我ノコトモ最初カラ受ケ入レテイタカラナ)

 

 先輩二人は友人同士なのか、仲良さそうにプログラムへの課題に取り組んでいた。

 一人は確か、入学式で見たふくよかな先輩、ジョルジュである。シュミットの三番弟子で、二番弟子のマカロフ教官ともどもシュミットにこき使われているのをよく見る。

 ただ、最近はミントというシュミット鎮静剤が投入されたおかげか、二人とも最初の時よりもいくぶん楽しそうな表情が増えている気がした。

 もう一人はバンダナを巻いた先輩で、話によると出席日数が危ない不良だと聞いている。

 出席日数で言えばリィンもなかなかのものなので、話してみたら気が合うかもしれないと思うが、その機会はあまり恵まれない。

 観察もこの辺にしておこう、とリィンは首を巡らせ課題に戻ろうとしたさい、視界の端にふと引っかかるものを感じた。

 それは隣の席の男子生徒が机に置いている、サイン入りのステッカーのようなものだった。

 そこにプリントされた顔を、リィンはどこかで見たことがあった。

 

「あ、それミスティさんか」

「え?」

 

 思わず声に出てしまい、咄嗟に口へ手を当てるが隣の男子生徒がリィンに振り向いて凝視してくる。

 その男子生徒は、前髪が伸びた、片目を隠した少年だった。

 どこか気弱そうというか臆病そうというか……おとなしそうな印象を受けていたのだがリィンを見る目にそんなものは欠片もない。

 むしろ、どこか目を輝かせているようにも見えた。

 

「ミスティさんって、アーベントタイムのミスティさんのことでいいのかい?」

「ああ。でも悪いな、そのステッカーに描かれてる人を見たことがあったから」

「いや、いやいやいいんだ。まさかここに同士がいるなんて思わなかったんだ」

 

 言いながら、男子生徒はどこか引きつったように口元を歪ませる。

 おそらく笑顔のつもりなのだろうが、上手く出来ていない。

 

「俺はⅦ組のリィン・シュバルツァーだ」

「ぼ、僕はⅤ組のムンク。よ、よろしく」

「Ⅴ組……ロジーヌと同じクラスか」

「う、うん。向こうは僕のこと知らないだろうけど……」

「ロジーヌは基本的に誰にでも優しいからそんなことはないと思うぞ?」

「……そうかな。いや、そんなことはどうでもいいんだ。今はミスティさんだよ。君もアーベントタイムを聞いているのかい?」

「その通り、と言っても聞き始めたのは最近だけどな。ミスティさんのことを知って、その縁で聞き始めたんだ」

「そうなのか!」

 

 ムンクは嬉しそうに、同士を見る目を向けてくる。

 興味本位で聞いたみたものの、本業がオペラ歌手だけあって聞き取りやすく、耳を惹く声に加えて夕べの時間(放送は夜だが)に相応しい穏やかな空気が作業の合間に聞くのに適していた。

 

「で、でもミスティさんを見たことがあるのかい?」

「そりゃあ収録してるんだし、タイミングが合えば顔を見かけるくらいないか?」

「い、いや。僕はそんなことなかったから……」

「こればっかりは運だろうな」

 

 事実、あの時にミスティ――ヴィータと出会えたのは完全に偶然だった。

 彼女は魔女と言うが、それでもリィンに会いに来たわけではなさそうだったし、完全にオフのときに遭遇した、といったていだった。

 

「でもいいんだ。僕にはこのサイン入りステッカーがある……!」

「そんなの販売してたかな?」

「いいや、番組にはいくつかコーナーがあるだろう? それにお便りを送って採用してもらった人に送られるものなんだ」

 

 なるほど、とよく見れば、二枚目のステッカーが重なっていた。

 

「二枚目?」

「ふふ、これはハガキ職人としての証明だね。僕の便りは二回採用された、ってことの証明さ」

「ハガキ、職人……?」

「ああ。コーナーに採用されやすいネタを書いて送るんだ。トークを広げるなら、話題が必要だろう? 自分のお便りがミスティさんの声に朗読してもらるなんて、最高だよ!」

 

 感極まって自分を抱きしめるムンク。

 先輩達が苦笑して見ているが、ぺこりと頭を下げて落ち着くように言う。

 

「わかったわかった、ここは教室だから静かにな?」

「ご、ごめん」

「でもなるほど、リスナーからのお便りか。そういうネタってどこから探すんだ?」

「そりゃもう色々だよ。学院を探したりトリスタを探索したり……このシュミット教室に来たのも、元はネタ探しの一貫だったから」

「そのために博士の授業についてくるとか、ある意味すごいな」

「ふふ、導力端末の勉強自体は悪いことじゃないし、何より入って良かったって常々思っているからね。騎神との戦闘とか不思議な実験とか、そりゃ表に出せないことも多いし大変だけど、普通に過ごしていたら絶対に体験出来ないことばかり経験できるから」

 

 ちなみにシュミット教室は基本的に勉強と実験の繰り返しである。

 効率の良い騎神の遠隔操作、騎神のデータを利用した戦術殻と呼ばれる傀儡人形の開発、最近魔煌兵が導入されたためエマはそれの制御にかかりきりだ。

 シュミットも魔煌兵には興味をそそられたのか、今日のように教室での授業の日は課題を押し付けてマカロフやエマと共に魔煌兵を調べている。

 ジョルジュやミントも部活がない時はそちらに参加しているので、その予定がない場合は課題が終わったら旧校舎へ足を運ぶのだろう。

 逆に言うとシュミットが本当に必要としている面々が旧校舎組で、他は臨時教官の体裁を整えるための場でしかない。

 

「何より、シュミット博士って噂ほど気難しい人じゃ……いや気難しいと言えば気難しいけど、彼女が絡むとそうでもないというか」

「ああ、ミントか」

「なに、私がどうかした?」

 

 にゅ、っと湧き出るように新緑の髪がリィンとムンクの間に生えた。

 うわぁ、と椅子を盛大に引かせるムンクに対してリィンは落ち着いて彼女を迎える。

 

「ミント、課題のやり直しは終わったのか?」

「うん、いやー大変だった。リィン君達も……ってあれ、私のものと内容が違うような」

「そうなのか?」

 

 うん、と言いながらミントはリィンの導入端末の操作盤に手を伸ばす。

 リィンは座るといい、と言って席を立ち膝立ちだったミントをそこに座らせた。

 

「ありがとー! んー…………やっぱり私のと内容違うや。ジョルジュせんぱーい! ちょっと見せてもらっていいですかー?」

 

 ミントはぴゅーっと風のようにジョルジュの元へ飛んでいく。

 椅子を戻したムンクは胸に手を当てながらその姿を見送っている。

 

「お、驚いた……」

「はは、ミントは行動派だしちょこちょこ動くから確かにネタにはなりそうだ」

「そ、そうなんだよ。トールズ士官学院もだけど、特にシュミット教室には濃い人達が集まってる気がするんだ」

「アーベントタイムで、トリスタのこんな人、って感じで紹介できそうだ」

「おお、それはいい案かもね。と言ってもいちリスナーにそんなこと……」

「うーん、送るだけ送ってみたらどうだ? あるいは職業体験させてくれーって直接乗り込んでみるとか」

「む。その発想はなかったなあ。でも迷惑じゃないかな?」

「ムンクは少なくとも二度ハガキを採用されてるんだろ? この調子で読まれ続けたら、名物リスナーとしてお呼ばれ、あるいは向こうにも名前を覚えてもらえるかもしれない」

「うーん、ポジティブ。見習うべきなのか、厚かましいというべきか」

「ただまー! やっぱり私とジョルジュ先輩だけ難しかったー! このー!」

 

 ミントが明るく戻ってくる。

 そのことを予想出来ていたので椅子に座らなかったリィンは、彼女の八つ当たりで解かれていく課題を眺めていく。

 

(フフフ、息子よ。ズルはよくないぞ?)

(ちゃんと解答からどうしてそうなったか、は考えるよ。最後には身につける。今はミントのストレス発散優先だよ)

(屁理屈ガ上手クナッタナ、りぃんヨ)

(そういうヴァリマールは随分と感情の機微に詳しくなってきたな)

(ウム。おずボンノオカゲデアル)

(フフフ、沈黙する間に持て余す時間のおかげだ。ただ会話をしているだけだが、これが重要なのだ)

 

 ヴァリマールがここ最近、合いの手を入れられるようになったのはそういうことらしい。

 ミントもだいたい文句を発散出来たのか、良い汗掻いたとばかりに笑顔を浮かべている。

 

「ミントは今日部活か?」

「うん。あ、だから嫌がらせだったのかな。おのれシュミット爺ちゃんめ、みみっちい!」

「いや、単にミントやジョルジュ先輩に合わせた難易度なんだと思うが」

「とりあえず文句言ってくる! じゃあね、リィン君にムンク君!」

 

 まるで嵐のような少女は、そう言い残して教室を出ていく。

 おそらくその流れのまま旧校舎の作業を手伝い、吹奏楽部には遅刻するのだろうと察する。

 ムンクはムンクで呆然としながらミントの消えた姿を見ていた。

 

「どうした?」

「いや、その……僕のこと、知ってたんだって」

「そりゃそうだろうさ。シュミット教室の参加者って全部で十人もいないんだし」

 

 リィン、エマ、ベリル、ロジーヌ、ミント、ムンク、先輩二人と八人しかいない。

 それくらいなら名前を覚えて当然だ。

 

「だからロジーヌだって同じⅤ組ならムンクのこともちゃんと知ってると思うぞ」

「そ、そうなんだ」

 

 どこか嬉しそうに笑うムンク。

 ロジーヌは美人だしミントは可愛らしい少女だから、思春期としては異性と接する機会があるのは嬉しいのだろう。

 

「これは良いネタになりそうだ……」

 

 違った。

 

「うーん、好きなものへの情熱は見習うべきか」

「だったら君も……」

「リィンで構わないさ。俺もムンクって呼んでいるし」

「わ、わかったよ……リィンもせっかくならハガキを送ってみたらどうだい?」

「お便りか……何を募集してるんだっけな」

「基本はふつおた、普通のお便りだね。一番届くのが多いコーナーだと思うよ。ミスティさんのプライベートも時折明かされるみたいだし、激戦区でもあるけどね」

 

 ヴィータの本当のプライベート、魔女であることは秘密だろうがミスティとしての姿はだいぶ好評のようだ。

 隠しているといえ、オペラ歌手としても活動しているようなので人の心を掴むのは得意なのだろう。

 エマが自力で気づかない限り、姉の声が妹に届くことはないが……もどかしい。

 

(いや、Ⅶ組とかでハガキを書くようになればそれに気づいてクラスでもアーベントタイムを聞く機会が増えるかもしれない。少し、考えてみよう)

 

 そうと決めたリィンは、さっそくムンクに説明を求めた。

 

「なら少し書いてみようかな。ムンクはどういうのを書いてるんだ?」

「そうだね、書くならペンネームも大事だけど――」

 

 その後、リィンとムンクはアーベントタイムへ送るハガキ製作を話し合う。

 しかし窓から漏れる光で夕暮れの時間であることに気づき、課題を終えていないムンクと協力して急ぎ終わらせた。

 今度の選択授業でも話そうと言って別れたムンクを見送ると、旧校舎からシュミットに叱られるミントの姿を見かけた。

 謝罪はしているようだがまるでこらえた様子がなく、シュミットに手を振って校舎――吹奏楽部へ戻っていく。

 シュミットは苦虫を噛み潰したような表情をしながら、リィンに気づいたのかこちらへ歩いてくる。

 リィンは先手を打って話しかける。

 

「博士、どうかしました?」

「シュバルツァー……あれをどうにかしろ」

「ミントのことですか?」

「マカロフの姪だというから参加を許してみれば、打ち込んだデータを消去させたり機材を直したにも拘らず部品の入れ忘れで結局壊しかける。二度手間が何度あったことか……」

「でも優秀なんですよね?」

「…………素材は悪くない」

 

 博士からすれば見所がある、というのは最低条件だ。

 少なくとも実験を手伝わせることに限れば、リィンが見る限りマカロフとジョルジュがメインである。

 ミントの生来の性格と気難しいシュミットは端から見ればかなり凸凹コンビというか、気が合っていないわけではないはずだ。

 

「とりあえずコーヒーでも飲みに行きましょう。東方では喉元過ぎれば熱さを忘れる、っていう諺もあって、時間が経てばなんとかなりますよ」

「フン、随分と楽観的だな」

「そういう切り替えって大事だとは思いますが」

「一理あるが、あれの相手をする限り口内に熱さがとどまる。忘れるほうが無理だな」

「四番弟子にはまだ遠いですか」

「あの間抜けを矯正しない限り、二年間経験を積んでもせいぜい候補だ」

「ミントがミントである限り、ドジは消えないでしょうけどね」

「…………………」

 

 言外に卒業まで面倒を見ると言うシュミット。

 わかりにくい上に言葉に出す気もないが、その行動を察することが出来ればシュミットはかなり面倒見がいい気がする。

 もちろん、自己中心的かつ気分屋であることも否定しないが、

 ようは上手い付き合い方をすることが出来れば、面白い人だということだ。

 

「そう言えば、魔煌兵の調子はどうです?」

 

 キルシェへやってきたリィンとシュミットはプライムコーヒーを頼み、カウンターの離れた席へ座った。

 ベリルの提案によって旧校舎地下へ運ばれた魔煌兵は、エマが面倒を見ているようだが経過が気になったのだ。

 

「言ってしまえば欠陥品だな。不完全で、霊脈(レイライン)が活性化している時しか動かせないというのは兵器として運用するほうが難しい。ただ、灰の騎神やミルスティンのフォローによって霊脈に溢れる『場』を作ってやれば、その限りではない」

「場?」

「貴様達が灰の騎神を得る時に体験したそうではないか。あれの真似と言うべきか、一定の領域に結界を作りその範囲内ならなんとか、と言ったところだ。それを常駐出来るのであれば、拠点防衛としてなら役に立とう」

 

 どうやらロジーヌがオズぼんを見ることが出来た、灰の戦場のことらしい。

 常にエネルギー不足であるから、代替手段を用意すればいいと簡単に言うが未だにあの戦場を構築出来ないリィンからすれば、難儀な話である。

 

「場さえ固定してしまえば、ゾンビのように延々と動く兵士の出来上がりだ。加えてミルスティンが考案している案が実現出来れば、延々と魔煌兵を召喚する数の暴力装置となろう」

「それ、エマが倒れません?」

「あくまで続ければ、だがな。一、二体だけなら問題なかろう」

(フフフ、天使や悪魔が住まう上位次元へのアクセスを目論んでいるのか? いや、場から生まれることを考えれば、その場で設計し、出力していると考えるべきか)

 

 オズぼんはシュミットの言うことを理解しているのか、何か難しい言葉をつらねながら思考している。

 リィンにはどうしようもないので、シュミットの話に集中する。

 

「他には、お前の灰のチカラの器として機能させるという手もある。だがあんな不格好なものに押し込めるより、今のお前と戦術リンクを繋いだ状態のほうが幾分マシだろう」

「騎神が本来の器だから、当然と言えば当然ですが……」

「そもそも機械に意志があり、それが人に宿るなど、実物を見ていなければ眉唾ものだ。本来、起動者が搭乗することで真価を発揮するが、本体に意識がない以上は中に乗り込むことすら出来ん、文字通りの騎士人形だ。それでもその製造は現代では再現出来ぬ、優れた品であることに変わりはない」

「あの質量を遠隔操作出来る、ってだけで十分強力ですからね。でも、それだと搭乗するともっと強力になるってことでしょうか」

「…………それは他に期待すべきであろう」

 

 他、つまり灰以外の六色の騎神。

 ベリルは灰の試しを再利用することで他の騎神と契約出来るかもしれない、と言っていたが眉唾ものである。

 あやふやなものより、ローゼリアは灰以外の騎神が活躍した獅子戦役を見守った歴史の証人であるし、エマが苦戦している魔煌兵の扱いについても詳しいかもしれない。

 そう考えたリィンはシュミットに尋ねてみる。

 

「博士、そう言えば外部協力者ってシュミット教室に参加してもいいんでしょうか?」

「相手次第だな。基本的にあの授業は士官学院のカリキュラムの一つだ、ARCUSのこともある。軍事機密という点に関して言えばよほどの相手でなければ難しいだろう」

「なら、理事長や学院長次第ってことですね」

「アテがあるのか?」

「ええ。と言っても本当に部外者ですし、相手が了承してくれるかもわかりませんが」

「お前が連れて来る相手、というと少し身構える必要がありそうだな」

 

 ミントの再来でも警戒しているのか、シュミットの声は少し硬い。

 似ているのは体格くらいで、ただの女の子のミントと九百年を生きる魔女とでは比べるほうが失礼だろうが……

 

「だが、本当に必要ならば連れて来るがいい。周囲の声など気にしていては、作れるものも作れん」

「はは、本当に必要な時はそうします。その時は博士も手伝ってください」

「フン、私に興味を抱かせるものであればいいがな」

 

 シュミットはもう少し休んでいくようで、リィンは代金を置いて礼を言ってからキルシェを出る。

 帰りにハガキを買ってⅦ組の学生寮の自室へ戻り、さっそく机に向かってペンを取った。

 

「えっと、まずはペンネーム……」

 

 そうして作られたハガキ――ペンネーム「はぐはぐオズぼん」がアーベントタイムのコーナーに取り上げられるのは、数日後のこと。

 なおそのペンネームを読み上げるさい、ミスティさんがかつてない葛藤を抱えた声であれはあれですごく貴重だった、とムンクとの話で盛り上がるのであった。




ようやくムンク出せました。
ⅠやⅡではそこまで思い入れありませんでしたが、ミントも含めてⅢでの絡みとかすごく好きなんですよね。
Ⅲではロジーヌ、Ⅳではベリルをラジオドラマに参加させてくれてありがとう…
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