はぐはぐオズぼんとの軌跡   作:鳩と飲むコーラ

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四月の特別実習、Ⅶ組B班との個別の話し合い。マキアス編。
いつも誤字報告ありがとうございます。


フフフ、息子よ。趣味トークはいいぞ

 それは、放課後のHRを終えて、各々が部活へ向かおうとしていた時に起きた。

 

「リィン・シュバルツァー! フィー君から聞いたぞ、女性を強引に口説いて実家に押しかけたというのは本当か!?」

 

 マキアスの言葉に部活へ行こうとしていた面々の足が止まる。

 机を叩いて詰め寄るマキアスに、リィンは何のことだとフィーに目を向けるが無言のジト目を返すだけで答えてくれない。

 

(フフフ、息子よ。察するに昨日フィー嬢に話した、自由行動日のことではないか?)

(なるほど)

 

 フィーからマキアスに伝わっているとは思わず、把握が少し遅れたリィンだったが顔を歪めるマキアスに向き直り正直に告げる。

 

「だいたいあってるけど訂正もあるぞ。口説いたわけじゃないし、友達になって欲しいって言っただけだ。実家に行くことになったのは偶然の産物。俺だって予想外だった」

「何を冷静にぬけぬけと!」

 

 何も悪びれないリィンにさらに激昂するマキアス。

 Ⅶ組の少年少女はリィンの保護者であるエマを頼りたかったが、彼女はHR前にシュミットに呼び出されてこの場にいない。

 ガイウスはエマに勉強を教わる仲のフィーに頼りたかったが、マキアスの味方をしているようなのでアリサに話を振った。

 

「アリサ、エマに連絡してリィンを引き取ってもらったほうがいいのではないか?」

「うーん、シュミット博士の呼び出しってことはあっちが離す気なさそうなのよね。父様の師匠ってことだけど、私が娘だからってそんなこと関係ないだろうし。エリオット、確かミントさんと仲良かったわよね? あの子を連れて来れないかしら」

「うーん、出来なくはないけど多分呼ぶほどのことじゃないと思うよ? リィンのことだし、周りから見た事実と本人の真実は違うと思う」

 

 エリオットはかつて、ロア・ヴァリマールに掴まれてはしゃいでいたミントを見たことがある。

 彼から見ればミントが危険な状況にあると信じていたそれは、彼女からすれば遊んでいただけであった。

 実際に見ているとハラハラするしかないが、本人達の認識ではかなり軽い。

 シュミット教室で起きていることをミントからたびたび聞いているため、エリオットはリィンの行動が基本的に周りに誤解を与えるパターンが多いと推測していた。

 その旨を聞いたユーシスがリィンに言う。

 

「リィン。その物言いでは誤解しか与えん。お前は目的語を抜いて話すことが多いのだから、もう少し副委員長殿にわかりやすいように言ったほうがいい」

(フフフ、息子よ。ユーシス君の言う通りだ。ここはだな)

 

 オズぼんのアドバイスを受けたリィンが言い直す。

 

「あー、とりあえず一つずつ言ってくぞ? フィーに言った年上の女性に迫ったっていうのは、共通の趣味を持ってる人だったから嬉しくてつい詰め寄っちゃったんだ。マキアスだってチェスとかコーヒーを淹れるのが上手い人を見つけたら、仲良くなりたいとか思わないか?」

「ぬぐ……なら実家に行ったというのはなんなんだ!」

「その人のお婆ちゃんが誘ってくれたんだ。俺もまさか案内してくれるなんて思わなかったけど、断る理由もないから付いていっただけだよ」

「断りたまえ! 初対面の相手、それも女性の家に押しかけるなど、男子として恥だ!」

 

 感情論で騒ぐマキアスに対して、フィーは冷静に事実を確認していく。

 

「年上の女の人に趣味のことで迫って、一緒にいたお婆さんから実家へ来ないかって案内された、ってこと?」

「概ねそんな感じだ」

「わかりにくい……」

 

 クラスメイト全員が同意し、フィーがようやく納得の意を示す。

 

「なんでフィーがそこまで悩んでたんだ」

「だって士官学院の生徒が女の人を襲ったなんて聞いたら、退学になっちゃうかもしれなかったし……勝ち逃げなんて許さないから」

「そもそも迫った、がなんで襲ったに変換された」

「リィンならありえるかも、って」

「ないない、それはない。マキアスの言葉を借りるけど、そんなことしたら男子の恥だ」

「はいはいはーい。リィンがおかしいのはいつものことなんだから、そろそろスルーしなさいよマキアス。みんな、そろそろ部活へ行きなさい」

 

 言い方ぁ! と騒ぐ周りを見かねたサラがⅦ組を外へ連れ出す。

 リィンも何事もなかったように生徒会活動へ向かおうとするが、それより早くマキアスに肩を掴まれた。

 

「どうした、まだ何か説明が足りなかったか?」

「君には色々足りないものが多いが、それは置いておく。その……なんだ、話がある。今日は奉仕活動が終わったら時間を作れるか?」

(フフフ、息子よ。昨日の今日といい、どうも真剣な話し合いのようだな?)

 

 オズぼんの言葉通り、マキアスの言葉は最初の時と違い冷静さを持った真剣な声だった。

 フィーと同じように、話したいことがあるというのは本当だろう。

 ならばリィンが断る理由もない。

 

「わかった。マキアスはチェス部だったよな? 生徒会活動のほうが終わったら行くから待っててくれ」

「…………ああ」

 

 奥歯に物が挟まったような返答をしながら、マキアスはⅦ組の教室を出ていく。

 その後ろ姿を見ながら、リィンもまた本日の奉仕活動を行うべく依頼の確認に向かう。

 ちなみにラウラはリィンが迫るほどの女性とはどれだけ強いのだろう、とサラに声をかけられるまで一人明後日の思考を繰り返していた。

 

 

 チェス部の教室に入ると、椅子に座っているのはマキアスだけだった。

 学院マラソンや奉仕活動の途中で立ち寄ったさいは、上級生の部長と合わせて二人の部員が揃っていたはずだ。

 そんなリィンの疑問を察したのか、マキアスはぶっきらぼうに言う。

 

「ステファン部長には悪いが、席を外してもらった。人に聞かれる話でもないからな。まあ、座りたまえ」

「それじゃ遠慮なく。あ、その前にっと」

 

 リィンは座る前にオズぼん経由でコーヒーメーカーと豆を取り出す。

 マキアスは手品のように現れたそれを前に、ガタッと椅子を鳴らして立ち上がる。

 

「なな、何をしたんだ!?」

「え、ただコーヒーメーカー取り出しただけだぞ」

「明らかにポケットから出るようなものじゃない! 体積とか色々おかしかったろ!?」

「そんなこと言ったら導力魔法で生み出されるものとか、世の中おかしいことだらけじゃないか。気にしないでくれ」

「気にするから言ってるんだ!」

(フフフ、打てば響くとはこのことだな。最近スルーされがちだったアイテムの取り出し方に丁寧に突っ込んでくれるとは。ヴァリくんよ、彼は中々良い観察対象になるやもしれんぞ?)

(フム、確カニ騒ガシイヨウデ的確ニ周リヲ見テ反応シテイル)

 

 人、それを常識人という。

 

「博士が悪くないって言ってた豆だから多分美味しいと思うぞ。マキアス、コーヒー好きだよな?」

「あ、ああ……って、なんでそんなことを知っている」

「マラソン中にキルシェで美味しそうに飲んでたのを見たことあったからな。いつか飲ませてやろうって思ってたんだ」

「君は、そんなことを考えていたのか……」

 

 とはいえそう考えていたのは先月のことである。

 あの時はエマやセリーヌ以外にも、魔女以外でオズぼんが見える人を探し求めての行動であり、その条件を満たしたロジーヌと友人になったリィンはすっかりそうしたことがご無沙汰であった。

 だがこうしてマキアスと話し合うさいに用意する辺り、優先順位が入れ替わっただけで準備を怠っていないリィンの用意の良さは変わらない。

 ガリガリ、ゴリゴリ、と挽いた豆が粉になっていく音を聞き届けながら、マキアスは椅子に座るかと思いきや、意を決したように口を開く。

 

「リィン」

「んん?」

 

 突然の名前呼び。

 マキアスのリィンへの呼び方はフルネームか君やらだったため、一瞬返事をするのが遅れてしまう。

 そしてマキアスが頭を下げる。

 その行動にリィンは思わず豆を挽く手を止めてしまった。

 

「すまなかった! 君を浮浪児などと罵ろうとしたことや、サボり魔などと思っていた僕が悪かった!」

 

 切迫した声を込めた謝罪。

 リィンは目を丸くしてマキアスのそれを眺めていた。

 

(フフフ、息子よ。頭を下げたマキアス君に何かないのか?)

「え、あ……ど、どういたしまして? 突然、どうしたんだ」

 

 面食らうリィンは素直な気持ちを吐く。

 事実、リィンには謝られる理由がとんとわからなかった。

 いや、台詞を聞けば内容はわかる。

 けれどまるで気にしていないことに謝罪されても、どう反応したものか困るのが今のリィンだった。

 

「僕は、先月の特別実習で色々と醜態を晒した。一日目からして、君の行動に文句をつけたり、ただのやっかみと理解していたのに、それでも君に突っかかることを止められなかった」

「やー、俺は気にしてないけど……」

「午後にヴァンダールの練武場で倒れた僕とユーシス・アルバレアを運んでくれたのも君だったそうだな、合わせて感謝する。二日目も、僕は貴族の横暴に怒るだけで、視野狭窄に陥っていた」

 

 だが、とマキアスは力強く語る。

 

「君が事前に魔獣飼育施設を潰したこと、大怪我を負う覚悟をしてまで動いたこと。ハイアームズ侯や、リィンも聞いただろうが、あのユーシス・アルバレアが妾の子でありながらも正しい義務として法を外れた貴族を裁いたことで、僕の価値観は少し変わった」

(ユーシスが……妾の子?)

 

 マキアスは自分がとんでもない発言をしていることに気づいているのだろうか。

 

(いや、君も聞いただろう、とマキアス君は言っている。つまり、ユーシス君はお前に伝えたと彼の中でそうなっているわけだ)

(あー、学院に復帰してからユーシスが何か言いかけてたことがあったような)

 

 復帰後はロジーヌやベリルとの時間、エリンの里訪問にシュミット教室と充実した日々を過ごしていたため、あまり意識していなかった。

 ことごとくタイミングを逃していたことが悪いのは、リィンかユーシスか。

 どちらにせよ、今はそのことを頭の片隅に置いたリィンはマキアスの台詞を待つ。

 

「正直に言えば、まだ貴族に対してわだかまりはある。それでも僕は、それ以前に人として君に謝りたかった。僕がリィンにしていたことは、自分が嫌悪していた貴族のような物言いだった。だから――本当に、すまなかった」

 

 頭を下げたまま、マキアスは微動だにしない。

 構わないと言っても動かなかったことから、マキアスはきっとリィンの言葉を待っているのだろう。

 ちゃんと、マキアスに向けて言う言葉を。

 そのことを察したリィンはコーヒーメーカーから手を離し、マキアスを見下ろしながら言う。

 

「マキアス。さっきも言ったけど、俺は本当に気にしていなかった。俺にとってそういうのは、周りが何をどう言おうか、とっくに過ぎた問題だからだ。でも、マキアスの謝罪はちゃんと受け取る。だから、顔を上げてくれ」

「――――――――――ああ」

 

 リィンの本当の言葉に、ようやくマキアスが顔を上げる。

 リィンが語った内容に嘘はない。

 そもそも、オズぼんという自分にしか見えない存在と出会い、救われたことでリィンにとって己が浮浪児であることや、それに対する家族への罪悪感や疎外感というものはとっくに消え去っている。

 なぜなら、自分を救ってくれた存在が己の妄想ではない、確かな存在として証明することに比べればなんてことはないからだ。

 盲目の相手に、空に零れた碧の閃きを教えるようなものだ。相手の理解の外にあるものへの説明ほど難しいものはない。

 とはいえ、それではあまりにマキアスがおざなりだ。

 そう感じたリィンは、ちゃんと自分を見て応じてくれるマキアスに真剣な気持ちで応える。

 リィンは挽いた豆を使ってコーヒーを淹れる。

 芳醇な香りを漂わせるそれをカップに注ぎ、マキアスに差し出す。

 リィンもまた、自分の分のコーヒーを淹れる。

 そんなリィンの行動にこれからのことを察したのか、マキアスがティーカップを取った。

 そして、互いに器をぶつけ合う。

 静かに響いた陶器の音を耳に、二人はリィンが淹れたコーヒーを口に含んだ。

 お互いに息をつく。

 マキアスの顔は、どこか憑き物が少し取れたように晴れ晴れとしたものが伺えた。

 

「貴族ではしないことだが、マキアスとならそんなこと関係ないしな」

「はは、確かにこういう乾杯はワインとかお酒でのものだな。コーヒーでするのは珍しい」

「味はどうだ?」

「これはいいものだ。なんていう銘柄なんだ?」

「これは確か――」

 

 二人は同時に椅子に座り、しばし歓談する。

 そこには貴族と平民という身分差のない、友人同士のような気軽なやり取りが行われていた。

 そんな中、ふとリィンがこんなことを口にした。

 

「コーヒーって直で飲むほうがいいけど、女性がシロップやクリームとかを入れるのは本能的に苦いのダメなのかな」

「うーん、そこは気にしたことがなかったな。エマ君にでも淹れてやるのか?」

「エマなら淹れたら飲むと思うけど、せっかくならこれをネタに送ってみようかな」

「送る?」

「マキアスはアーベントタイムって知ってるか?」

「なに。リィンも聞いていたのか?」

 

 まさかの同志にマキアスのテンションが上がる。

 お互いに声がいいやら雰囲気がいいやら、勉強の作業用の一時として流しているといった同じ聴き方に同意する。

 

「シュミット教室にいるムンクに習って俺もハガキを送ったことがあるんだよ。先週採用されたやつだな」

「何!?」

「『はぐはぐオズぼん』ってペンネームだよ」

「あれはリィンだったのか!」

「はは、まさかの一発採用とは思わなかったけどな。その割になんか声がすごく物々しいというか、篭っているというか、絞り出す感じだったけど」

「ミスティさんのああいった声は逆に貴重な気がする。だがそうか、そういうのもあるのか」

「マキアスも送ってみたらどうだ? ふつおた辺りでさっきのネタが採用されるかもしれないぞ」

「だが、元々は君が送ろうとしていたネタだろう?」

「別にネタはこれだけじゃないしな。色々トリスタを走り回ってるから、案外こういうのはごろごろしてる」

「むむ、確かに君は見かけるたびに走っていたり釣りをしていたりと忙しないな。……だが、そういうことならありがたく使わせてもらおう」

「仲直りの一貫ってことだな」

「言うな、恥ずかしい」

「照れるなよ」

「ま、まだ僕は完全に認めたわけじゃないからな!」

 

 少し顔を赤くしてそっぽを向くマキアス。

 リィンはその姿に苦笑が隠せなかった。

 

(フフフ、まさかこんなところにセリーヌ嬢に劣らぬツンデレを見るとは。マキアス君、油断ならぬ男よ)

(コレガつんでれカ。せりーぬニ判断シテモラエバイイノデハナイカ?)

(フフフ、ヴァリくんよ。人の振り見て我が振り直せ、というやつだな。なかなか成長したものよ)

(今はマキアスと話をしているんだ、黙っていてくれ)

 

 そう言うとピタリと会話が止む。

 だがリィンは揺るぎない信頼でどうせ聞こえないところで会話しているんだろうな、とこれ以上諌めるのを止める。

 

「ムンクに色々聞いたからアドバイスするよ。まずはペンネームだな」

「悪いな、しかしペンネームか……それを考えるだけで時間を使ってしまいそうだ」

「深く考えなくていいと思うぞ。マキアスなら……マッキーでどうだ」

「なんだそれは」

「インスピレーションだから深く考えてない。でも、ミスティさんに呼んでもらうなら自分の名前に近いほうがいいんじゃないか?」

 

 リィンはオズぼんの存在を広めたいだけなので、このペンネームに異存はなかった。

 拒否しているのは現状、読み上げるヴィータだけである。

 

「う、ううむ。確かに直接名前というのはありふれてるが、こういうあだ名っぽいのも……しかし自分にだけわかる名前で呼んでもらう誘惑は凄まじく魅力的だ……」

 

 そうして悩みの沼にハマってしまったマキアスに口をはさみながら、リィンは意見を交えながら投稿ハガキの案を吟味していく。

 マキアスはノートを取り出し、そこにメモを記していくという徹底ぶりだ。入試二位の努力家に相応しいマメさである。

 コーヒーも飲み終えた頃には、マキアス初のお便りはほとんど完成を迎えていた。

 

「あとはハガキに写すだけだな。けど、よくもそこまでスラスラ書けるな」

「メモというのはバカにならんぞ。反復にもなる」

「何回送る気なんだ……」

「…………まあ、とりあえず君が一度採用されたなら、二度は読まれたいな」

「フィーといい、変に対抗意識燃やしてくるなー」

「君には負けたくない。あの特別実習を共にした僕たち皆の共有事項だからな」

「いやー、マキアス達はちゃんと魔獣飼育施設の証拠見つけたけど、俺はオーレリアさんにボコボコにされただけだし」

「いや、誰がどう見ても君のほうが辛かったと思う。断言していい」

「そうかな?」

「そうなんだ」

 

 ならそう思っておこう、とリィンは頷いた。

 

「さて、それじゃあ俺はそろそろ釣りに行く」

「何買い物に行ってくる、のノリで言ってるんだ」

「いや、学院のほうとトリスタの川は毎日釣っておかないと」

「何がそこまで君を動かすんだ……」

「せっかくならマキアスもどうだ? B班はマキアスにだけまだ教えてなかったしな」

「む、僕だけか。いや、実習中なら仕方ないと言えば仕方ないか」

 

 マキアスはふてくされて寝入っていたところにサラからの発破があったことを思い出し顔をしかめる。

 あの時、他の四人は自分を除いて釣りに行っていた。

 自業自得なのだから仕方ないと言えばそうだが、それでもこうしてわだかまりを解いた後に仲間はずれにされると思うところもある。

 

「釣果はどうだったんだ?」

「フィーはなかなか見込みがあって、一匹釣ったな。昨日も合わせると早くも二匹目だ。ユーシスとラウラは残念ながら一匹も釣れなかった」

「そうか…………そうか」

 

 マキアスは嬉しそうだ。

 どうもユーシスがボウズなことが嬉しいようだ。

 さらに詳しく聞けば、今後の特別実習でリィンと組むなら釣りをする機会も増えるだろう、ということでその時に直接見返してやるつもりらしい。

 貴族への偏見というわけではないが、それでもユーシスとは折り合いがつかないようだ。

 けれどそこに見える感情に悪いものはなく、喧嘩友達のような雰囲気がうかがえた。

 

「それじゃ、早速行こうか」

「ああ。最低一匹でも釣ってやらないとな」

 

 そう言って二人は席を立つ。

 現地で再び何もないところから釣り竿と餌を取り出したリィンに、マキアスからのツッコミが響くのは、この後すぐのことだった。

 そしてペンネーム「マッキー」の行方は――後日、マキアスの机の上に置かれたステッカーが物語っていた。

 ちなみにリィンも送ったが、残念ながら読まれることはなく不採用とのこと。

 しかしその回のアーベントタイムは、終始ご機嫌なミスティの声がはずみ、事情を知らないリスナーは等しく夕べの一時を楽しむのであった。




マッキー、夏至祭前にアングラーとハガキ職人の道を歩む。
だんだんアーベントタイムっていうか、ミスティさんがオチ担当になってきました。
マキアスがリアクション担当として優秀すぎますね。
そりゃ怪盗Bも狙います。
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