はぐはぐオズぼんとの軌跡   作:鳩と飲むコーラ

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メリークリスマス!な投稿です。
雪の代わりに塩が振る場所というのはご容赦を。
いつも誤字報告ありがとうございます。


フフフ、息子よ。六月の特別実習だ⑦

 一夜明けた翌日、ノーザンブリアでの特別実習三日目、つまり最終日。

 昨夜サラと相談した結果、要請の合間を縫ってリィンの分け身が消えた場所の捜索をすることが決定した。

 とはいえトヴァルが配慮してくれたのか、最終日の要請はかなり自由度の高い……というより、漠然とした感じの依頼となっていた。

 いつもの手配魔獣はさておき、正体不明の魔獣の調査、加えて神隠しとなった住人の捜索というものもある。

 

「トヴァルさん、神隠しというのは?」

「なんでも、住人や捜索に向かった北の猟兵にも被害が出ているらしくてな。それこそ、文字通りいつの間にかいなくなっている、そうだ」

「これ、初日から引き受けるべき依頼では?」

「ところがどっこい、判明したのが昨日からなんだよ。一体何が起きたのか俺にもわからん。が、心当たりはある」

「俺の分け身が消失した場所、ですね」

「その通り。分け身は攻撃を受けて消えた、ってことなら神隠しでなく誘拐の可能性が出てくる」

「正体不明の魔獣も、その誘拐した人物……もしくは組織が独自に調教した魔獣、って可能性もありそうだ」

「でも、どうしてノーザンブリアの人達をさらうなんて真似を……」

「案外、難民や餓死者が出ても不思議じゃない場所だからってことかも」

「それは……」

 

 フィーの言葉に黙る一同。

 サラやトヴァルにはそういった手合いが居ることを、遊撃士として否定は出来なかった。

 人体実験を目論む秘密の組織といったものは、非常に残念なことにゼムリアでは事欠かないと言えるほど存在する。

 仮にノーザンブリアを拠点として難民を人知れず攫い続けているというのであれば、その合理性一つとっても不可解ではないからだ。

 

「今回は俺も付いていく。もし大規模な組織だった場合、人手は多いほうがいいだろう」

「そうね、保険の意味も込めて来てくれるのなら助かるわ」

 

 相談も終わり、B班+教官+遊撃士という六人でひとまず手配魔獣を片付けたリィン達は、分け身が消えたポイントへ移動を開始した。

 その途中、トヴァルから神隠しにあった中で写真などが残っている人物の資料などを確認する。

 塩の異変以降、文明が崩壊して戸籍に大半の意味を失ったノーザンブリアにおいて、身元の確認が出来る資料があるというのはありがたい限りだ。

 何故なら、身元がしっかりしている人物が神隠しにあったからこそ、この事件を知ることが出来たのだから。

 加えて、今回は何故かセリーヌも一緒だ。

 建前として、トヴァルも同行することでセリーヌの面倒を見る人がいなくなるからだ。

 戦闘になる可能性を踏まえて同行に否定的なサラだったが、数ヶ月における実習先でのセリーヌの行動が決して生徒の迷惑になることがなかったことから、渋々と同行を許可した。

 最早ここまで来るとⅦ組の小さなクラスメイトである、とサラも認めていた。

 だが、同行に至る最終的な理由は、他ならぬセリーヌが一緒に行きたいと言ったからだ。

 

(でも、実際来ていいのかセリーヌ? 教官の家で寝ていてもいいのに)

(どうも昨日から霊脈が乱れてるのよ。あんたと紫の起動者の戦いの影響か、塩の杭の影響かわからないけど、少し気になってね。ひょっとしたら、神隠しはともかく正体不明の魔獣の正体がわかるかもしれないわ)

(そういうことなら、わかった。けど、危なくなったら転移するなりして逃げてくれよ?)

(私一人だけ逃げるわけにはいかないでしょうに)

(いざとなったら、エマは無理でもローゼリアさんとか援軍を連れて来れるのはセリーヌだけだから、ってことだよ)

(ロゼが出張るほどのことはない……と言い切れないのが困りものよね、アンタの実習は)

 

 オーレリアにマクバーン、猟兵王+紫の騎神と普通ならありえないレベルの遭遇を続けるリィンに、セリーヌは今日も一筋縄ではいかないだろうとため息をついていた。

 やがてB班は分け身が消えたポイントへたどり着く。

 そこは塩の被害の跡地であり、一面が白に包まれた塩の大地であった。

 

「見た限り、何も見当たらない」

「でも、これが全部塩なんだね」

「実際に見てみると、本当に何なんだろうな、これは」

 

 フィー達が塩と化した大地を見やり、そうぼやく。

 人も建物も区別なく塩と化した現場を直接見るサラは、知らず歯を鳴らしていた。

 それに気づいたリィンが話題を振る。

 

「この塩、今は触っても大丈夫なんですか?」

「え? ええ……発生から二十年以上経ってるし、他の場所も似たようなものだけど、そこに足を踏み入れて塩になった、って報告はないわね」

「それじゃ遠慮なく」

 

 率先して塩の大地に足を踏み入れるリィン。元より分け身が踏んでも何もなかったことを知っているので、躊躇はなかった。

 背後でB班が大騒ぎをしているが、足元の塩はリィンの靴の足跡を残すだけでそれ以上何も起こることはない。

 それに気づいてほっと一息つくのもつかの間、三人はリィンに迫り危機管理のなさについてとくとくと説教し始めた。

 そんな彼らに苦笑するトヴァルだったが、良い具合のところで合いの手を入れて中断させる。

 

「心配なのはわかるが、ここで足踏みしてても始まらん。リィン、お前の分け身はどの辺で消えたんだ?」

「もう少し行った先ですね。ここから前に見える、建物の跡地みたいです」

 

 建物の跡地、というのは形こそ保っているが、大部分が塩と化したオブジェクトのことだ。

 廃墟のような自然さでなく、塩で出来た建物という一種理解しがたい存在が目線の先にあった。

 少しでも触れた途端、支柱を引き抜かれた建物のように一気に崩落する危険が伺えた。

 リィンは自然と鬼の力を目に集めて霊視を開始する。

 すると、その建物の近くにゆらぎのようなものが見えた。

 

「待ってください、何かあります。あれは……渦?」

「マジか? 俺には何も見えないが……」

 

 トヴァルの言葉に、リィンはその場所を差そうとする。

 が、それよりも早く心臓に鈍い痛みが走った。

 

「ぐっ……」

 

 突然うずくまったリィンに目を向けるB班。そこへセリーヌの檄が飛んだ。

 

(来るわ、構えて!)

「っ! 全員武器を構えて!」

 

 セリーヌの声で咄嗟にリィンは指示を出し、戦術リンクが展開した。

 サラ達がその声に反射的に武器を構えたと同時、足元……いや、空間が揺れるような地震が発生した。

 同時、虚空よりそれが現れた。

 その体躯は機甲兵や騎神をも凌ぐ十アージュに迫り、分厚い肉の体に覆われた巨大さを併せ持っていた。

 肌は爬虫類を思わせる質感であり、体に刃……というより槍の穂先のような突起物が生えた全身凶器の産物であった。

 

(ほう、まるで恐竜だな)

(恐竜?)

(竜の一種と思えばいい)

(魔獣ってことだな?)

 

 オズぼんと会話する一方、突然の出現にエリオットとマキアスが浮き足立つ。

 場慣れしたフィーがエリオット、サラがマキアスを抱えて恐竜の動作に対応した。

 

「来るぞ!」

 

 トヴァルの一喝と同時に恐竜が迫る。

 頭部や体に刺さるように生えた刃が陽光にきらめき、死を与える突進となって迫りくる。

 

「ちいっ!」

「それっ!」

「緋空斬!」

 

 従来よりも高速で完成されたトヴァルのアーツとサラの弾丸、リィンの緋空斬が回避と同時に放たれる。

 だが恐竜は迫りくる脅威を体に生えた刃の群れで迎撃した。

 

「なっ、なっ、なっ……」

「知能がある?」

「少なくとも、私達が仕掛けているのが攻撃とは理解しているようね」

「大丈夫、エリオット?」

「う、うん。ありがとう、フィー」

(あれは幻獣!? どうしてこんなところに……)

 

 セリーヌが何か知っているようだが、それに答える余裕を恐竜……幻獣は与えてくれない。

 ぐっと体を沈み込ませたと思うと同時、リィンの脳裏に槍衾のイメージが浮かんだ。

 

「飛び道具!」

 

 戦術リンクを展開しているため、事前に動作を察知したリィンの動きを把握した全員が幻獣から放たれた飛び道具を回避、または銃を持ったサラやマキアスが迎撃する。

 放たれた刃はすぐに再装填されているようで、まるで銃のように刃を飛ばす敵だということがわかる。

 

「迂闊に近寄れない……!」

「大丈夫だ! 来い、灰のチカラ……ロア・ヴァリマール!」

 

 エリオットの悲痛な叫びをかき消すように、リィンはロア・ヴァリマールを召喚する。

 展開された戦術リンクに灰のチカラが伝わり、防御陣《鉄心》としてのオーダーが付与される。

 自分達を包み込む力に、オーダーの力を知っているエリオットとサラが説明した。

 

「ったく、本当に引き出しの多い奴だぜ……!」

 

 トヴァルは己を包む守護壁にぼやきながらも、その恩恵をありがたく受けて高速のアーツを撃ち続ける。

 エリオットは同じアーツ使いとして、その駆動の速さに目を見張った。自分が一度撃つ間に、トヴァルは連続アーツを成功させていたのだ。

 

「負けてらんないわね! マキアス、援護よろしく!」」

「早すぎますよ、教官!」

 

 防御陣《鉄心》のおかげで近接戦闘に移行したサラをマキアスがフォローする。

 導力散弾銃でありながら、四月の特別実習やリィンの誕生日以降の稽古の一環によりマキアスは前衛を巻き込まない射撃術を会得していた。

 

「フィー!」

「ん!」

 

 リィンとフィーは互いに分け身を繰り出し、時に攻撃しながら幻獣のヘイトを稼いでいく。

 元より回避力の高いフィーに万一の事故を防ぐオーダーが合わさることで、彼女のカウンターは堅牢を誇る守備力として発揮される。

 リィンの実体を持つ分け身は、囮が攻撃可能という反則技によって刃の飛び道具に対して緋空斬を連射することでその数を減らし続ける。

 そうしてチーム戦術が効果を発揮し、幻獣に少なくないダメージの負担が蓄積されたことを百戦錬磨のサラとトヴァルが見抜いた。

 

「みんな、大技使うから時間稼ぎと足止め頼む!」

『了解!』

 

 トヴァルがアーツの駆動準備に入る。

 高速詠唱を可能とするトヴァルが準備に時間がかるということは、かなりの高位アーツを発動するのだと全員が察した。

 リィンはフィーからリンクを外し、エリオットがその穴を埋める。

 リンクを外したリィンはロア・ヴァリマールの操作に集中し、怪獣大決戦といったていで幻獣を抑え込んだ。

 それでも幻獣の膂力はロア・ヴァリマールより上なのか振りほどかれそうになる隙を、B班とサラが攻撃を集中させて対抗させていく。

 そして、トヴァルのアーツが完成した。

 

「喰らえ……エクスクルセイド!」

 

 言下、幻獣を中心に光の十字が走る。

 十字架を描いた導力の光は、天へ昇る柱となって解放された。

 蓄積されたダメージが一気に押し出され、幻獣は光の中へと消えていく。

 戦闘が終わったことを確認し、全員が息をついて安堵した。

 

「よ、よかったあ……なんとか勝てた」

「ああ……だが、あれは一体何なんだ?」

「あれは多分幻獣ってやつだ」

 

 疑問を浮かべるエリオット達に、後で口裏合わせておこうと思いながらシュミット教室に新しく来た職人さん――ガンドルフに習ったと言って説明する。

 曰く、本来ゼムリアの次元に現れないはずが、霊脈の乱れなどで現れてしまう存在である、と。

 

「霊脈の乱れ……」

「ノーザンブリアの塩害を考えれば、そういうこともあるんだろうけど……」

「そこは多分、知ってる人に聞けばいいと思いますよ」

「知ってる人?」

「ええ」

 

 そう言って、リィンはある方角を見る。

 そこには何もない、塩の大地が広がっている――と思ったそのときだった。

 

「むう、雛鳥ごときに察知されるとは……」

「だが、幻獣を倒した手並みを考えればただの雛鳥ではあるまい」

「所属的に、若獅子前の子獅子ってところなのかしら」

「なっ……!」

 

 何もない地に光が浮かんだかと思えば、そこから三つの人影が現れる。

 それは時代錯誤とも言える騎士甲冑に身を包んだ女性達だった。

 栗色の髪をまとめた勝ち気そうな女剣士、百八十リジュを超える身長に加え、身の丈を超える戦斧を持った大柄な女戦士、導力弓を持った妖艶な雰囲気を持った美麗の女弓士……同じ格好をした女性達は、光と共にリィン達の前に現れた。

 

「貴女達は一体……」

「説明する義理はありませんわ……とはいえ調査の邪魔ですし、手早く片付けると致しましょう」

 

 女剣士が手を掲げると同時、彼女達の周囲に機械仕掛けの物体が現れた。

 それを見たトヴァルが目を見開く。

 

「人形兵器……! お前ら、《身喰らう蛇》か?」

「おや、これをご存知でしたか」

「トヴァルさん、人形兵器っていうのは?」

「二年前、リベールで起きた大規模な導力停止現象……その裏で事件を引き起こした組織がいてな。そいつらの名前が身喰らう蛇(ウロボロス)と呼ばれる組織、通称結社だ。で、この兵器はその尖兵ってわけだ」

「導力停止現象って……本物のテロリスト?」

「むむっ」

「ああ。福音計画だかなんか知らんが、リベールでクーデターを先導して国力を落としたり、数々の非合法にも触れる最悪の闇組織だ」

「むむむ」

「なんでそんな人達がノーザンブリアに……」

「案外、ノーザンブリアだから根城にしていたのかもしれないぞ。秘密結社っていうのは、基本的に誰にもわからない場所に拠点を置くものだし」

「だが、ここも本来の拠点じゃないかもしれないな。トカゲの尻尾切りのように、切り捨てては逃げるような奴らだし」

「くぉらぁ! 好き勝手言ってくれますわね! 我々鉄機隊を同一視しないで欲しいものですわ!」

 

 栗毛の女性はリィン達が次々と語る言葉を絶叫して否定する。

 必要以上にムキになって否定するさまは、女剣士が見た目より幼い印象をリィン達に与えた。

 

(鉄騎隊とは、かつて槍の聖女が率いた勇士のことだな)

 

 そこにオズぼんの知識が披露される。

 リィンは自然とその言葉をつぶやいていた。

 

「鉄騎隊……ってことは、アルゼイドが結社と繋がってるのか? まさかラウラが……」

「馬鹿なことを言うのではありません。アルゼイドなる傍流なんて微塵も関係ありませんわ! 我々は鉄騎隊ではなく鉄機隊……似て……いいえ、全然似ていない新星にして神聖なる選ばれし者達なのです!」

 

 感情豊かな女剣士はころころと表情を変えて言い放つ。

 最初は緊張していたはずの空気が何故かしぼんでいくのが目に見えた。

 

「デュバリィ、その辺にしておけ。明らかに彼らがやる気を下げている」

「見ているほうは楽しいのだけど……こういう時には不便なものね」

「一体何をおっしゃっているのです、二人とも!」

 

 あ、この人天然だ。

 デュバリィと呼ばれた女剣士を除いた全員がそう認識した。

 

「とにかく、命は取らないで差し上げますが……一日くらいは気絶していてもらいましょう」

 

 だが周囲のそんな空気に気づかないデュバリィが剣を抜き放ち、盾を取り出した。

 まさに古き良き騎士の出で立ちである。

 リィンは気の波紋を三人に叩きつけてみるが……感じ取ったイメージは、波紋が通るようで拮抗し、時に押し返されていく。

 相手のほうが勝るがほぼ互角、とリィンは感じた。

 サラとトヴァルと合わせた三人が女性達、人形兵器をフィー達が担当すれば戦うことは出来るはずだ。

 だが、エリオットやマキアスは幻獣との戦いの疲労が抜けきっていない。

 どれか一つが崩されたら、そこから一気に均衡は傾いてしまう。

 ならば出し惜しみしない短期決戦を仕掛けるのみ。

 

(少なくとも、人形兵器を全て斬っておけば戦闘は楽になるはず……!)

 

 リィンは鬼の力を解放する。

 八葉最速の弐の型、裏疾風による奇襲で人形兵器に斬りかかり――それを上回る速度を持って防がれた。

 

「なにっ!」

「この私の眼の前で速さを競うなど愚かなことを!」

 

 サラやフィーすら上回る鬼化の速度に対して、何の異能も持たずに追走……いや、凌駕するデュバリィ。

 サラやトヴァルの目を以てしても、残像しか捉えきれぬ速さで疾走する二人。

 リィンの先手を防いだデュバリィが動いたことで、鉄機隊と人形兵器達もまたそれぞれ行動を開始する。

 迎撃するサラ達を横目に、眼の前の遊撃剣士を絶対にみんなのところへ向かわせてはならないと、リィンは彼女を引きつけるため一対一を決意する。

 その意気込みを感じたのか、デュバリィはその瞳に生意気なという感情を言葉以上にありありと宿していた。

 

「足の速さだけだと思ったら大間違いですわ!」

 

 事実、デュバリィの剣技や巧みな盾の使い方は達人の技量を感じた。

 八葉一刀流の中伝たるリィンを上回る技量は、決してスピードという己の武器に溺れた剣士が出せる強さではない。

 リィンはその姿に彼女の研鑽の姿を見た。

 同時に負けられないと強く感じる。

 この壁を乗り越えずして、マクバーンという頂きへ至ることは不可能なのだから。

 

「るぅぅぅぅぅぅぅぅおおおおおおおおおおおおおお!!!」

「!?」

 

 鬼の力をさらに引き出す。

 黒いオーラが溢れ、それに侵食されたかのような漆黒の瞳は対峙するデュバリィやそれを見る鉄機隊の騎士達に鬼の一文字を連想させる。

 先日ルトガーがそうしたように、黒いオーラを編んでいくリィン。

 猟兵王という闘気の扱いにかけて天下一品のそれを目の前で見たリィンは、より効率よく鬼の力を太刀や体にまとわせることを成功させていた。

 デュバリィは突然跳ね上がるリィンの闘気に軽く息を呑み――その瞬間リィンの姿を見失い、フィー達と切り結んでいた人形兵器が両断されたことに気づいた。

 

「んなっ!」

(はや)い……!」

 

 デュバリィが目で追いかけた時には、すでに三体目の人形兵器が真っ二つになっているところだった。

 数の上では形勢逆転、女戦士と女弓士に対して複数で相手取ることが可能となっていた。

 一瞬、脳裏をよぎるイメージに対して、デュバリィは自分を叱咤して打ち払う。

 

「呑み込まれて……たまるものですか! アイネス、エンネア! 星洸陣を――」

「ダメ!」

 

 デュバリィが何かをしようとするその時、セリーヌが声を上げた(・・・・・)

 刹那、デュバリィに向けて疾駆するリィンと、それを迎え撃たんとする両者の間に、空間の歪が浮かんだ。

 

『!?』

 

 リィンとデュバリィはまさにその穴に向けて殺到していた動きを止めようとするが、それよりも早く穴の吸引が始まった。

 

「ぐっ……なん、だぁ!」

「な、なんですのぉ!?」

 

 ぐにゃりと歪む虚空の震え。

 二人はそれに巻き込まれるように吸い込まれていく。

 

「リィン!」

「デュバリィ!」

 

 セリーヌがリィンに飛び移り、周囲を気にせず魔術を使おうとするがそれすらも強制的に中断されてしまう。

 両陣営が戦闘を中断し、咄嗟に伸ばした手はどちらの体も掴むことなく――二人と一匹はこの世界から消失した。




みんな大好きポンコ…チョロ…デュバリィちゃん。
三人が現れた理由はリィン達が消えたことも含めて次回をお待ちください。

鉄機隊全員描写したいところですが、ただでさえトヴァルさんが合流して六人居るところに三人加わった九人を一気に描写するのは難しいですね。
全員均等に描写出来ない非力な私を許してくれ…
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