はぐはぐオズぼんとの軌跡   作:鳩と飲むコーラ

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フフフ、息子よ。七月の特別実習だ

 トリスタ駅に集まったⅦ組+上級生達による計十四人という大所帯の中、リィン達はそれぞれの班に分かれて友好を深めていた。

 今月も当然のようにセリーヌがリィンによって参加させられ、今はミリアムによってその毛並みを蹂躙されて鳴き声を上げていた。

 リィンだけ一人上級生の班に組まされた理由は、奉仕作業による生徒会活動とシュミット教室の縁が理由だった。

 エマもシュミット教室の一員なのでクロウやジョルジュと知り合いであるが、そこにトワとアンゼリカを加えればどうしてもリィンのほうが顔見知りとなる。

 決め手となったのは、アンゼリカの悪癖――同性への過剰なちょっかいを考えれば女子より男子が組んだほうがいいとのことだ。

 

「でもまさかリィン君とこうして何かするなんて思わなかったよ。私、てっきり四人で特別実習をすると思っていたから……」

「確かに、リィン君達Ⅶ組の在籍人数は十人……ちょうど五人で分けられるはずなのに、どうして派遣されてきたんだろうね」

「仮にもⅦ組のオリエンテーションだから、体裁を整えたんじゃねえか?」

「フフ、後輩達と親交を深められないのは残念だが、トワが居れば私としては何も問題ないね」

「アンちゃん、リィン君も後輩だからね?」

「わかってるさ。私としても、噂の君との特別実習は少し楽しみだったんだ」

「噂?」

 

 入学当初に流れていた噂はそろそろ沈静化してきている。

 新しい噂なんて何かあっただろうか。

 その考えが表情に出ていたのか、アンゼリカが苦笑を漏らしながら教えてくれる。

 

「最初は入学式の件もあって、私のトワに手間をかけさせた話し合いでもするつもりだったけど……今の君は色々と(・・・)注目されているんだよ」

 

 大半の少女……いや、女性であれば目を奪われるはずの艶のある目を向けるアンゼリカ。

 たとえ同性だろうと、いや同性だからこそ惹かれるその流し目に対し、リィンはげんなりとした顔を作った。

 

(フフフ、息子よ。モテ期というやつだな)

(うーんこの投げ捨てたい期間)

「はは、アンゼリカに対してこんな顔を取るなんてね。頼もしい後輩で何よりだよ」

「ジョルジュ先輩……そう言えばクロウ先輩ともども改めてお礼を。ゼムリアストーンで俺の太刀を作ってくれたそうで」

「ミントちゃんやムンク君が率先したおかげだよ。それに、リィン君には絶対に必要なものだっただろうしね」

「俺はそこまで手伝ってないから礼は不要だぜ。せいぜいデータ整理くらいで、実際の加工はジョルジュやマカロフ教官がメインだったしな」

 

 照れ笑いをするジョルジュに対して、クロウはどこかそっけない。

 トワはそんなクロウに対して声をあげた。

 

「クロウ君ってば珍しく授業に積極的だと思ったのに、そこでもサボってたの? シュミット博士の授業なんて、私も受けて見たかったのに」

「会長は生徒会で忙しいですからね、抜けられたら学院が機能しませんよ」

「そ、そんなことないよ。みんなも頑張ってるんだし」

「いえ、トワ会長の仕事量考えると来年が怖いくらいですよ、本当に」

「おー言ってやれ言ってやれ、トワは適度にサボるくらいでちょうどいいってな」

「ふたりとも~!」

 

 トワはぷんすかと擬音を発するばかりに怒るが、そんな言葉を発した瞬間にアンゼリカが抱きしめているように威厳がなくただ可愛いだけだった。

 

「すみません会長、少しよろしいでしょうか?」

「え? エマちゃん……?」

「濡れたティッシュ程度にしか役立たないかもしれませんが、リィンさんと組むというのなら少しお話を……」

 

 そう言ってエマがトワを呼びかけて何やら耳打ちしている。

 アンゼリカもそこに混じろうとしてが、クロウによって止められていた。

 

「そう言えばエマとロジーヌの武器も加工してくれたんでしたっけ」

「うん、博士から融通してもらったゼムリアストーンはだいたい三人分だったしね。ただ、ロジーヌ君の法剣っていうものに関しては少し手間取ってるけど」

「本人は法剣だけでなくボウガンまで、ってすごく恐縮してましたよ」

「セットで使うんだから、片方だけってのはね。良い弟子じゃないか」

「弟子というほど本格的なものじゃないんですけどね……」

 

 そんなふうに各班で雑談していると、やがて列車が到着し乗り込んだ生徒達は三十分程度ながら帝都への道を進んでいく。

 列車の座席でもアンゼリカに抱きつかれたまま、トワは膝の上で横になるセリーヌを撫でながら二泊三日の特別実習に思いを馳せる。

 

「でも特別実習かあ。夏至祭のお手伝いになるのかな」

「どうだろうね。そういったものは、A班とB班に振り分けられるんじゃないかな。僕達C班は急遽編成された班みたいだから、ちょっと変則的な要請が多くなるのかも」

「変則的、というと?」

「マカロフ教官から先んじて言われてるんだけどね。ドライケルス広場の噴水の導力源の交換とか、先日のテロリスト騒ぎで起きた場所の修理とか、技師が見るような要請は入るってことなんだ」

「…………へえ。そんなの生徒に任せるのかよ。いいのか、正規の職人にやらせなくて」

「確かにドライケルス広場と言えば、帝国で最も人の流れが多い場所の一つ。本職に任せるのが筋というものだが」

「それだけシュミット教室の知名度が高いのかもしれませんよ、若手のホープみたいな」

「それならジョルジュ君にぴったりだね! シュミット博士の弟子なんだし」

「はは、確かに三番弟子として認めてもらってはいたけど、より博士に近いって意味ならミント君のほうがそれらしいよ」

「あー、あの嬢ちゃんの心臓の強さには恐れいるよな。あの博士相手に物怖じ一つしないどころか、世話までさせてたのは唖然としたぜ」

「でも、ああ見えてシュミット博士は面倒見がいいじゃないですか。そこまで驚くようなことでは……」

「あー、ここにもいたな。胆力半端ないやつ」

 

 なぜかクロウから呆れた目を向けられるリィンは、何かしたかと考え込む。

 ジョルジュは苦笑し、トワとアンゼリカは興味深そうにリィンを見やった。

 

「何かおかしいことでもありました?」

「あの博士を気軽に雑談に誘って、応じさせるって時点ですごいんだよ、君たちは。当然、会話は博士の興味のある話題だったんだろうけど、博士は本当に興味がないと続かないからね。君たち三人がキルシェでコーヒーを飲んでるところを見てびっくりしたよ」

「君は実力もあるが、何より抜きん出ているのは人脈を作る力かもしれないね。

 入学当初、大半の生徒から距離を置かれていたというのに、今では貴族平民関係なく、良くも悪くも君の名が学院中に響いている。

 ハイアームズ侯にルグィン伯といった貴族にも顔を知られているみたいだし」

「リィン君の話は生徒会でもよく聞くよ。要請も頑張ってくれてるみたいだし、奉仕期間が終わっても手伝ってくれてるんだよね」

「そう言えば入学当初、オマエどこにいたんだよ。探してたのにいつの間にか学院に居たから、俺もサボり扱いになったんだぞ?」

「あーいえ、色々と事情が……」

「クロウ君は普段の行いのせいなんだから、もう少し真面目に授業を受けること! 今回は付きっきりだからね!」

「げ、やぶ蛇……」

 

 仲の良い上級生達との雑談をしていれば、時間もあっという間に過ぎ去っていく。

 帝都に到着した士官学院の生徒達は、ヘイムダル中央駅にたどり着き改札口へ向かう途中に声をかけられた。

 

「時間通りですね」

「クレアさん!」

 

 その人物は、鉄道憲兵隊の制服に身を包んだ水色の髪をサイドテールにくくった女性、クレア・リーヴェルトだった。

 クレアは生徒達の中にリィンの顔を認めると、どこか安堵の息を漏らす。

 彼女もあの事件の関わりがあったといえ、最後は引き離されるような別れだったので心配していたのだ。

 

(フフフ、息子よ。積もる話もあるだろうが、まずはこれを返すがいい)

(ああ、悪いな親父)

 

 オズぼん経由で取り出すのは、あの時借り受けたハンカチだった。

 ロジーヌの事件が終わった後、クレアにハンカチを返そうと鉄道憲兵隊に連絡を入れたこともあるが、いち生徒が相手では取り次いでもらうことが出来なかった。

 ハンカチを渡すだけなら受付の人にでも渡せば済んだかもしれないが、直接返したかったリィンは今まで保管していたのだ。

 

「クレアさん、あの時はありがとうございました」

「いえ……何やらTMPにまで連絡をいただいていたのに、機会が遅くなりこちらこそすみません。それに無事で何よりでした」

「はは、おかげさまです。クレアさんに止めれれなければ、あの事件は解決出来ませんでしたよ」

「そんな大げさな……」

「いえいえそんな……」

 

 差し出したハンカチを受け取ったクレアもまた、あの時渡したリィンのハンカチを取り出しながら安堵の息をつく。

 クレアから郵送でハンカチが送られなかったということは、彼女も同じ気持ちだったのだろうと言っていたオズぼんの言葉が正しかったようだ。

 実際、クレアはあの事件についての詳細……というよりリィンの無事を直接聞きたいと思っていたため、その推測は間違っていなかった。

 そうやってお互いに笑みを浮かべながらハンカチを交換するやり取りを、生徒達は遠巻きに眺めていた。

 

「ケルディックで僕達を助けてくれた人だよね?」

「はい、確か鉄道憲兵隊の女性将校の方だったと」

「あんな美人といつの間に仲良くなったんだ……」

「さっき人脈が彼の武器と言ったが妬ましい……」

「目を離せば、どこかで何者かと知り合っている」

「しかもハンカチ交換とか、何やら怪しい雰囲気」

「シャロンといい、年上と仲良くなれるタイプ?」

「かーっ、俺もあんな美人とお近づきになりてえ」

 

 散々な言われようだったが、そう言われるだけのことをしているリィンである。

 クレアもまた、生徒はおろか背後の部下からもハンカチ交換への好奇の視線にさらされて気まずさを感じて、少し顔を朱に染めながら一つ息を漏らす。

 

「こほん……改めてトールズ士官学院の皆さん、ようこそおいでくださいました。ここからは私が案内を努めさせていただきます」

「えっと……貴女が本日の要請を?」

「いえ、今日はあくまで場所を提供するだけであり、正式な方は……あ、いらっしゃいましたね」

 

 アリサの疑問をやんわりと否定したクレアが、生徒達のさらに奥へ視線を投げる。

 釣られるように振り向いたリィン達の前に、一人の男性が歩み寄ってきていた。

 皺一つないスーツに身を包み、穏やかな顔と瞳を覆うメガネが日の光に照らされてきらりと輝く。

 その男性を見たマキアスが声を上げた。

 

「父さん!?」

「マキアスのお父さん……ってことは」

「《革新派》の有力人物、レーグニッツ知事……」

「ふふ、一応挨拶をしておこうか」

 

 そう言って眼鏡の男性、カール・レーグニッツは自己紹介した。

 

「マキアスの父、カール・レーグニッツ。帝都庁の長官にして、ヘイムダルの知事を務めさせてもらっている。よろしく頼むよ、士官学院の諸君」

 

 

 その後、鉄道憲兵隊の司令所、ブリーフィングルームで各班に向けて要請の指示書が配布された。

 その中でレーグニッツ知事がイリーナ・ラインフォルトとルーファス・アルバレアと同じく常任理事の一人であることが明かされ、Ⅶ組設立に関するものを少し伺った。

 A班・B班は今までの特別実習と同じく、帝都に住む住人の悩みや問題を解決したり手配魔獣の退治を行うようだ。

 そしてC班はと言えば……

 

「ふーっ、こんなのぜってえ特別実習なんて銘打つ必要ないぜ……」

「確かに、期待していたものと真逆の労働だ……」

 

 そう言って汗を拭うクロウ。

 その横で腰を曲げながらてきぱきと体を動かすアンゼリカが同意した。

 

「二人とも大丈夫? 代わるならいつでも言ってね」

「マジか、それな――おぐっ」

「いやいや、トワにはこんな仕事させられないよ」

 

 トワの心配に喜びの声を上げるクロウは一転、うめき声を発した。アンゼリカがみぞおち辺りに肘を入れたからだ。

 

「会長、空のバケツこっちおいてきますね」

「ありがとうリィン君……の本体君? えっとそれじゃあ……あ、行っちゃった。行動早いなあ」

 

 両手に持ったバケツをトワの近くに置き、噴水近くに置いてあった一纏めにした苔とゴミの入ったバケツを二つ持ち、リィンはゴミ捨て場へ走っていく。

 そう、C班はドライケルス広場前を彩る噴水の掃除を行っていた。セリーヌはお留守番と言う名の散歩である。

 本来は噴水に備え付けてあった導力源の交換だけだったのだが、少し汚れが目立つのが気になったトワが掛け合い、簡易ながら清掃を行っている。

 当然クロウは文句を垂らしたが、アンゼリカ筆頭に特に反対意見は出ずにあえなく多数決原理により敗北、C班の最初の仕事は午前中いっぱいかけての噴水掃除となった。

 

「なんつーか、あいつって本当に人間なのか?」

「同意してしまいそうだが、一応分け身というのはちゃんとした技術なんだよ。まあ、あそこまで変態ではないけど」

 

 クロウのぼやきに苦笑するアンゼリカの視線は、他の噴水を掃除しているリィン()に向けられていた。

 普通は五人だけで行うのは不可能の作業を可能にするのは、リィンが使う実体を持つ分け身による単純な労働力の確保や、トワの指示、ジョルジュの正確な技術によるゴリ押しとも言える。

 ただ、いきなりリィンが分け身を作り出したことでトワが悲鳴を上げたため、急遽簡易の変装グッズによってひと目で同一人物とわからないように分け身達は作業を行っていた。

 ちなみにトワに報告した、彼女が本体と勘違いしたのは分け身であり、本体は鬼の力を使って常人の何倍もの速さで掃除を行い、一種のパフォーマンスのような人だかりを作っていた。はしゃぐ子供に手を振る余裕すらある。

 

「うう……エマちゃんが言ってた意味がわかった気がする」

「おや、なんて言われたんだい?」

「リィン君とは気を強く持って接することが第一、逐一反応していたら身がもちませんって……」

「あー、あの嬢ちゃんは特にあいつの近くに居たからなあ」

 

 シュミット教室で行われた、騎神と生身で戦うという自殺願望者の集まり……というかそれに巻き込まれた少女達の一人を見ていたクロウの目は遠い。

 魔煌兵を鹵獲してきたこともそうだが、騎神に乗らず間接的に動かすMクォーツの開発といい、騎神の試しの門番を使役することといい、何より騎神の人格が心臓に憑いているというリィンの意味不明さ。

 あの教室に居るとクロウは自分の常識が根本から崩れている実感があった。有益なものもあったが、それ以上に自分の感性との戦いが主だった気がする。

 

「けど、強いのは確かだね。泰斗流拳士として戦う前から敗北を認めるのは癪だが、彼を前に勝利するイメージが浮かばない」

「へえ、アンゼリカが素直にそう認めるなんてな」

「だったらクロウはリィン君に勝てるイメージはあるかい? 実戦なら、素でサラ教官やナイトハルト教官と打ち合う実力の持ち主が、何人にも増えて襲って来るんだよ?」

 

 アンゼリカも泰斗流という共和国発祥の武術を学ぶ身。

 新入生がサラとナイトハルトに訓練を申し込み、稽古を行っているという噂を聞いてすぐに練武場へ足を運んだ。

 今本人が使っている闘気に似た変身はしていなかったが、己より年下の少年がサラの紫電の速さと、ナイトハルトの剛撃の膂力を前に一歩も引かぬ立ち会いを行っている光景は悔しさを浮かばせるものだった。

 稽古を終えた教官達曰く、友人のために強くなっているとのことだったが……彼の言う友とは、どれだけ理想が高いのだろうと思ったアンゼリカだった。

 

「ま、確かに生身じゃちとキツイのは認めるぜ。でも、戦いってのは正面からやるだけじゃねえ」

「へえ、ぜひ後学のために聞かせてもらえないかな?」

「悪ぃが無理だ、トワから漏れるかもしれねえからな」

「心外だね、武術に関しては正直者を貫いてるつもりなのに」

「ま、あくまでイメージだ。いずれ形になったら教えてやるさ」

 

 そうしているうちに、ジョルジュの交換作業も終わりを迎える。

 

「よし、これで大丈夫。しかし緊急メンテナンスの甲斐があったね。ちょっとの衝撃で壊れそうだったから、色々補強しておいたよ」

「補強?」

「ああ。異物を感知したら、すぐ警報が鳴るようになった。噴水から変なものを流されたり、変なものを設置されたり、とかね」

「さすがジョルジュ君、頼りになる!」

「そーだな、さすがジョルジュだよ」

「おいおいクロウ、疲れてるのは仕方ないがねぎらいくらいはしっかりしたまえ」

「いやほんと、……()らしいくらいだな!」

「クロウ、お昼はステーキだね」

「おいおい何を言ってやがりますかジョルジュ君」

「言葉に隠した意図を読めないとでも思ったかい? ほら、肉パーティでもしようよ」

「オマエ全部食えよ!」

「クロウがギブアップしたらね。それに僕は食べ残しはしたことがないんだ」

「そりゃあな!」

 

 腹を見るクロウの肩を叩くジョルジュとのやり取りに苦笑するトワは、そろそろ別の場所へ移動しようとアンゼリカへ声をかけようとするが、先程まで噴水の中に居たはずの友人の姿がいなくなっていることに気づいた。

 首を回せば、近くにいるアイス売りの屋台の女性に声をかけていた。いや、かけられていた。

 差し出されたアイスを受け取り、アンゼリカの言葉一つで店員の女性の体をくねらせ、顔を赤くしている。

 

「もうアンちゃ……」

「会長、バケツ足りなくなりそうだったので確保してきました」

「ありがとね、リィンひうっ!」

 

 トワが悲鳴を漏らしそうになりながらも懸命に抑える。

 それというのも、十人のリィンが一斉に自分に目を向けていたからだ。

 もちろん、分け身であると事前に説明され、実際に作業しているのを見てはいるのだが、同じ顔の人物が十人並んで全員が自分を見下ろしてくる、なんて恐怖を覚えてもおかしくはない。

 

「おっと、もう少し変装濃くするべきですね、失礼しました」

「そ、そうだね、うん。あはは」

 

 当のリィンは服装やサングラス、マスクなど様々な衣替えによって差異を出そうとしているが、もはやトワは乾いた笑いを漏らすしかなく。

 後に合流したA班・B班はその光景を見て、一緒でなくて良かったと戦術リンクもなしに心を一つにしていた。




ガルニエ地区・ホテル《デア=ヒンメル》にて
エマ
「あ、姉さ……」
ヴィータ
「あら、エ――」
エマ
(そっと目を逸らす」
ヴィータ
「え……?」
フィー
「エマ、どうかしたの?」
エマ
(あ、あの時思い切り泣いてしまって恥ずかしくて顔が見れない……!)
ヴィータ
(き、嫌われた……? や、やっぱりここは初対面を装っていきましょう)
マキアス
「ヴィータ・クロチルダの切なそうな表情……レアだ、そんな顔も美しい!」
ガイウス
「マキアスは、ブレないな」
ミリアム
「こういうの知ってる、見境がないって言うんだよね!」

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