はぐはぐオズぼんとの軌跡   作:鳩と飲むコーラ

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あーあ、出会っちまったか。


フフフ、息子よ。ルーティーンというものだな

 マクバーンとの決戦を目論む中でも、リィンは生徒会のヘルプによる要請の手伝いでトールズ、トリスタマラソンを行っていた。

 備えるからこそ、普段通りを心がける。

 それがリィンなりの八葉一刀流は明鏡止水の心、と言える。

 それにミュゼが転移を学び、習得するための期間やブリオニア島での諸々の仕込みにかける時間がどうしても必要だ。

 当然、リィンも自分に出来ることを続けている。

 ミュゼに転移術の基礎を教えた後、その後の面倒をエマに任せたローゼリアとエリンでテスタ=ロッサを調べていたシュミットを引き連れ、ブリオニア島の下見を調査、他にも仕掛けを色々施したりと、着実に決戦の舞台を整えていく。

 

 そんな忙しない日々の中、本日の手伝いの中にあるものを見つけていたため、リィンはそれを最後に回し、その部屋へ訪れた。

 訪れた先は文芸部。

 エマが所属する部であり、彼女の話では小説を書く先輩が所属しているとのことだ。

 そんな彼女が出した要請は、後輩についての相談。

 つまりエマに関して何かある、ということだ。

 残念ながら当の本人はミュゼの下へ行っているため相談出来ないが、先に話を聞いてからでも問題ないだろう。

 部室の部屋をノックしてみるが、返事はない。

 ニ、三度。今度は強く叩いても何もないのを確認したリィンは、鍵が空いていることもあり一声かけて入室する。

 

「返事がない時点で予想してたけど、いないのか……」

 

 仕方なくドアを閉め、どうしたものかと悩むリィンに釣り道具一式を持った同窓生が声をかけてきた。 

 

「やあリィン君~。文芸部の前で何をしてるんだい?」

「ケネス」

 

 彼の名はケネス・レイクロード。

 《釣皇倶楽部》の一年生部長であり、実家はゼムリア最高峰の釣具メーカーとして知られるレイクロード社の創業家であるレイクロード男爵家の次男で、長男であるレイクロードⅢ世の弟である。

 いつものほほんとした彼であるが、暇があれば釣りをしている姿を見かけることが多いため、逆に学院内で会うのが珍しく感じた。

 

「ちょっと生徒会の手伝いで要請を受けてたんだけど、依頼人が部屋にいなくて困ってるんだ。ケネス、文芸部の部長……ドロテ先輩ってって知ってるか?」

「うーんー……?」

「黒髪で眼鏡をかけた、おさげの先輩だよ」

「あー、名前は知らなかったけどその外見の人ならさっき見たよ」

「本当か?」

 

 ダメ元で聞いてみたが、世の中なんとかなるものだとリィンは頷く。

 

「うん、さっきまで園芸部の泉のほうで釣りをしてたから、その近くで見たんだ」

「なんでそんな場所に……いや、情報ありがとう。そう言えば、フィーやマキアスの調子はどうだ?

 最近忙しくて一緒に釣ってないから、白竿釣師からどのくらい上がったのか知らなくて」

 

 リィンは特別実習や、その後の話し合いでフィーやマキアスに釣りを教えている。

 思いの外のめり込んだ二人を見てケネスを紹介し、《釣皇倶楽部》で釣りの腕を磨いていると聞いていた。

 

「二人は茶竿釣師になってるよ」

「ほう、二人共順調だな」

「リィン君みたいに最初から上手い人との釣りもいいけど、地道に上手くなる人達と一緒に釣るのも良いよね~」

「なんか自分の辿ってきた道を歩いている後輩って面や、特定の魚を釣るために試行錯誤してる姿を見て、あんな時期があったなあ、とか感慨に浸るんだよな」

『わかる~』

 

 そうして少しの間を雑談し、また暇を見つけたら一緒に釣りでもしようと言ってから別れる。

 ひらひらと手を振ってケネスに礼を言ってから、リィンは改めて園芸部のほうへ向かう。

 今日は部活動がないため、普段であれば花壇を弄っているフィーやヴィヴィの姿は見えない。

 ちなみにフィーは練武場でサラと剣を交え、ヴィヴィはリンデを誘ってショッピングをしている姿を見かけている。

 そのかわり、ケネスの情報通り黒髪に眼鏡をかけた、平民の制服を身につけたおさげの女生徒と、麦わら帽子を被った貴族の制服を着た緑髪の女生徒を見つけた。

 共に一年以上過ごした上級生ということもあるが、Ⅶ組を除いた部活外で平民生徒と貴族生徒が一緒にいるというのはなかなか珍しい光景だ。

 とはいえ、ラクロス部のテレジアにエミリー、部活後も共に買い物へ行ったりするラウラとモニカ。トワやアンゼリカという例があるように前例がないわけではないのだが。

 

(一人はドロテ先輩で、もう一人……あの麦わら帽子は、確かエーデル先輩だったかな?)

 

 どちらにせよ、ドロテが居るのならとリィンは二人に声をかけた。

 

「すみません先輩方、今良いですか?」

「あら、噂をすれば本人ですね」

「あ……貴方は!」

 

 リィンの声に振り向いたエーデルはともかく、何故かドロテに驚かれる。

 要請で絡んだ程度で、特に何かした覚えはないリィンは首を傾げながらもここへ来た理由を語った。

 

「ドロテ先輩、生徒会へ要請を出しましたよね? その依頼を受けに来ました」

「あ、あれ? リィンさんって入学式のペナルティで手伝ってるだけで、今はもう会長が担当してるんじゃ……」

「奉仕期間終えてもさばけない要請は、生徒会の人にこっそり分けてもらってるんですよ。ほら、トワ会長はしなくていいことなら、って絶対頼ってくれないでしょうし」

「確かにトワちゃんはそんな子ですね。でも、自発的にやるなんて偉いわ」

 

 ケネスとはまた違う意味でのんびりとした声のエーデル。

 フィーやヴィヴィ曰く、いろんな意味で包容力のある先輩と聞いているのでおおらかな性格なのだろう。

 

「要請は後輩……エマに関する相談だと聞いていたんですけど、同性でなければ解決出来ない類のやつですかね?

 だったら他の生徒会の人に変わってもらいますけど」

「え、えっと、そういうわけではないんです……」

 

 もじもじと、ドロテはうつむいて手をこすり合わせる。

 男慣れしていないのか、予想通り異性に相談する類のものではないのか。

 少なくともこの場での答えが欲しいリィンは、ドロテが口にしてくれるまで待つ。

 だがドロテはちらちらとエーデルに目でヘルプを送っている。

 エーデルはエーデルで、私が介入していいのかな、と言いたげな目だ。

 

「んー、アンゼリカ先輩でも呼びますか? あの人ならどんな相談でも受けてもらえると思いますが」

「あ、いえ! そこまでしてもらうわけには……! ですが、わかりました。

 すみません。言いよどんでしまいましたが、相談というのはエマさんが定期的に部活動に来ないことなんです」

「あー…………」

 

 その理由を知るリィンは明後日の方向を見ながら頭を巡らせた。

 今日のエマは、ミュゼの転移術習得のフォローのためにヘイムダルへ向かっている。

 ローゼリア曰く、教える行為は復習を兼ねており、エマの今後のためだと言っていた。

 実際は仕込みのためにローゼリアと共にブリオニア島に行ったりと、ミュゼに使う時間を多く取れないためなので、エマにはヘルプに入ってもらっている。

 セリーヌもたまに一緒にいるのだが、今日はエマだけのようだ。

 

「リィンさんと一緒に居ることが多いので、文芸部なんて入らずデートとかたくさんしてるのかな、もしかして退部しちゃうのかな、って不安になってしまいまして……」

「エマとは友達であって、そういう関係ではないですよ」

 

 そうでなくても、五月以降のエマは己を鍛えるため、定期的にエリンに転移で帰ってはローゼリアの指導を受けていた。

 ヴィータと再会して以降もちょくちょく修行に励んでいると聞くので、何かモチベーションが高い理由でもあるのだろう。

 

(フフフ、息子よ。エマ嬢はお前の手助けのために強くあろうとしているのだ。お前が強くなればなるだけ、それだけサポートにも相応の技量が求められるからな。

 もちろん、ヴィータ嬢との差を埋めたいという願いが根本にあるのだろうが)

(付いて来てもらうのは嬉しいけど、無理してるなら言っておかないとな)

 

 実際、マクバーンと戦ったローゼリアは修行の密度を濃くしている。あの黒焔を前にすれば、一定の戦力以下は役に立たないとふるい落としにかけたのだ。

 元より優秀なエマであるが、それ以上に才覚のあるヴィータを前に完封されたこともあり、修行に熱が入るのは致し方ないというところか。

 

「えーっとそれなんですが……」

「ひょっとして、アレを布教してしまったことに引かれてしまったのかも……」

「アレ?」

「うーん、リィンさんにはちょーっと一線引いて欲しいものといいますか、この子の持病といいますか……」

「びょ、病気なんじゃありません! 少年達の一夏の経験を込めた、友情と愛の青春の物語なんです!」

 

 突然興奮するドロテ。

 かと思えばどこか陶酔したかのようにどこか遠くを見つめ……いきなり鼻血を垂らした。

 

「ちょっ、大丈夫ですか!?」

「だ、大丈夫です、少し興奮しただけです。あ、ティッシュありがとうございます」

 

 ポケットティッシュから何枚か取り出し、ドロテに差し出すリィン。

 礼を言いながら顔を上げて鼻血を処理するドロテに、困ったように頬に手を当てるエーデル。

 いまいち話が見えないリィンは、事情を知るであろうエーデルに聞いてみる。

 

「ドロテ先輩が言っているのは……?」

「この子が文芸部なのは知っていますよね? まあ、ちょっと特殊なジャンルの本とでも思ってもらえたら……」

「なるほど、何かの小説でしょうかね? 友情を題材にしてるなら、俺も読んでみたいですが」

「リ、リィンさんが私の作品を読む……!? ぐっ」

 

 何故かますます興奮しだすドロテ。

 今の会話のどこにそんな点があったかわからないが、リィンにとってのオズぼんのようにわかる人にしかわからない刺激があったのかもしれない。

 

「うーん、とりあえず今はその話題は避けてもらっていいですか? 見ての通り、こうなっちゃいますので」

「わかりました。では改めて、エマが文芸部に顔を出さなくなったことを不安に思っている、ってことですね?」

「あ……あ……は、はう……」

 

 いい加減まずそうなので、リィンは回復アーツのティアを使ってドロテの鼻血を止める。

 贅沢な使い方ですねえ、と瞳を細めるエーデルに同意するリィンだった。

 

(フフフ、息子よ。これはお前が間接的に言うのでなく、エマ嬢と直接合わせたほうがいいだろう)

(ナラバ、我ガえまノ場所ヲ探ロウ)

 

 準起動者の場所をサーチすることが出来るそうで、ヴァリマールはすぐにエマの現在地を把握してくれる。

 

(ドウヤラ帝國博物館ニ居ルヨウダ)

(なんでそんなところに?)

(あそこは様々な品が展示されている場所だ。中にはアーティファクトのような、不思議な力を持った霊具なり何なりがあるのかもしれんぞ)

(ツマリ、まなヲ感ジ取ル修行ニハウッテツケトイウワケダ)

 

 転移術を使うに辺り、導力を使ったアーツと魔女の魔法との大きな違いはマナを読み取る力にある、とヴァリマールは語る。

 あくまで戦術オーブメント……七曜石から生み出される導力を媒介にするアーツと、己の力を使った魔法、外部と内部の力の差異を感じ取ることが大事なのだろう。

 ローゼリアは指導をサボったわけでなく、下準備を済ませるためにエマへ頼んだと言っていたが、本当だった。

 今度東方の菓子でも送って謝罪しておこうと決める。

 

「ドロテ先輩。エマは決して文芸部が嫌になったから来ない、ってわけではありませんよ。ただ、他にやることがあるだけで……」

「他にやること?」

「リィン君には心当たりがあるのですか?」

「あると言えばあるんですが」

 

 むしろ心当たりの原因とも言えるリィンだが、それでもエマが魔女の眷属であることや魔法について気軽に話すわけにはいかない。

 

「こういうのは俺の口から言うより、やっぱり本人から聞いたほうがいいと思います。

 今、エマはヘイムダルの帝國博物館に居るそうなので、そちらに行きませんか?」

「え……」

「もちろん、俺から伝えてドロテ先輩が納得するならそれに越したことはありませんが。どうしますか?」

 

 もしそれでいいと言われたら、言い訳としてミュゼの家庭教師をしていると言うつもりだ。

 間違ってはいないし、後でこっそりエマと口裏を合わせておけば問題はない。

 悩むドロテに、エーデルが踏ん切りをつかせる。

 

「ドロテさん、要請を出したってことはその子との関係を修繕したいということでしょう? だったら悩むことなんてないです。

 生徒会へ相談を持ちかけた時点で、こうなる流れだったんですよ」

「そ、そうですね……では、参りましょう。私もエマさんと気まずくなるのは嫌だから」

「ん、その意気その意気。せっかくだし、私も付いていっていいですか?」

「エーデル先輩?」

「ここまで面倒を見て放置というのもなんですからね。それに、ドロテさんとリィンさんを二人きりで向かわせたら、道中気まずくなるだろうでしょうし」

「そんなものですか?」

「そんなものなのです」

(フフフ、息子よ。思春期の少女というのは異性との触れ合いに気恥ずかしくなるものらしいぞ?)

(そんなの思春期の少年だってそうだろ)

 

 そんなやり取りを交わしながら、リィンはドロテやエーデルを交えてヘイムダルへ向かう。

 途中、トリスタ駅で同じく帝都へ向かうというケネスとばったり出会い、良ければ途中まで一緒に行こうという話になって合流する。

 最近帝都へ行く機会が多いな、と思いながらもふとリィンは雑談の意味も込めて同窓生と二人の先輩に聞いてみる。

 

「そう言えばお二人はどうしてトールズ士官学院に? ドロテ先輩もエーデル先輩も、聖アストライア女学院でもやっていけそうですが。ケネスはどうだ?」

「確かに女学院での生活も考えなくはなかったですが、創作にはやはり新鮮な体験というものが必要なので共学のトールズへ来たんです」

「私は辺境の小さなものですが、仮にも子爵家なので自然と、ですね。あとは……最近帝国は何かと騒がしいので、少しでもそれに抗うものが手に入れば、と」

「僕は父さんの指示かなー。なんだかんだレイクロードは男爵家だし、貴族にも釣りが広まればいいなーって」

 

 ケネスは予想通り、ドロテはともかく、エーデルの視野の広さにリィンは感心する。

 本人の才覚なのか、実家からの指示なのかはわからないが、仮にも名門と呼ばれるトールズ士官学院に入るだけあって、普通の貴族というわけでもなさそうだ。

 

「ですが、ケネスさんが授業中以外で釣りをしていない、というのも珍しいですね。どこかで見れば釣りばかりしてるイメージですが」

「確かにそんなイメージですが、流石に移動中に言うのは反則ですよエーデル先輩」

「ふふ、気を悪くしたらごめんなさいね」

「いえいえ、気にしてませんよ~」

「ケネス、今日は何時まで釣りしてるんだ? もし要請を終えて時間が余れば、俺も顔を出そうと思うけど」

「そうなんだ。なら、少し時間を伸ばそうかな? 久しぶりにリィン君と一緒に釣りをしたいしね。あーでも、案内するまではせっかくだし僕も一緒にいいかな?」

「ああ、もちろん構わないぞ」

「い、一緒に……釣り……ボーイズハント……天然腹黒……鬼畜攻め……うぷぷ。い、いけません。この設定的に黒髪の少年にはもっと相応しい相手が……」

 

 普通にケネスと会話をしているだけだというのに、ドロテが再び鼻を抑えて蹲ってしまう。

 エーデルが困ったように背中をさすっているが、本当に持病持ちなのかもしれない。

 

(エマに言って、魔女の薬でも処方してもらうよう伝えたほうがいいかもな)

 

 そんな風に心配しながらも、四人はヘイムダルへ到着する。

 導力トラムを乗り継いで帝國博物館へたどり着き、ヴァリマールからはまだエマは中に居るということでリィンが全員分の入場料を払おうとするが、それより早く入口のロビーにいるエマ達にエーデルが気づいた。

 

「リィンさん、ドロテさん、あそこにいるのがエマさんじゃないかしら?」

「あっ、本当ですね。おーいエマ、ミュゼー」

 

 手を振りながら声をかけると、二人がこちらへ振り返り驚愕の表情を作る。

 その目はリィンとドロテ達を行き来しており、どうしてここにという問いが視線に含まれていた。

 リィンは苦笑しながらも、ドロテの背中を押してエマの前に突き出す。

 

「エ、エマさん。その……」

 

 しどろもどろになりながらも、ドロテはしっかりと自分の口でここを訪ねた理由を語る。

 全てを話し終えると、エマはドロテに頭を下げた。

 

「すみませんドロテ部長。入部したというのにこんなことをしてしまえば、不安にさせてしまいますよね……」

「い、いいえ。どうやら女学院の子の指導をしていたようだし、忙しいなら仕方ないです。

 でも、安心しました。てっきり私が嫌いになってしまったものかと……」

「そんなわけありませんよ!」

「そ、そうなんですか? てっきり乙女の世界に引いてしまわれたのかと……」

「その話、詳しく聞かせていただいても?」

 

 何故かずいっとミュゼが前面に出てくる。

 目を丸くするドロテだったが、ドロテはエマに紹介したという本、何やらシリーズものらしいそれを次々に語っていく。

 エマとエーデルは困ったように苦笑し、リィンとケネスが置いてけぼりになる中、二人の瞳が輝き口数が徐々に早くなっていく。

 たっぷり十分ほど話し終えた二人はなぜか固い握手を交わしていた。

 

「エマさん。まさかこんな将来有望な子を育てていたなんて……私、感動しました!」

「女学院でもここまでの方に会うことはありませんでした。この後お時間ありますか? もし良ければ女学院へお誘いしたいのですが……」

「私で良ければ! あ、ちょっと練っているプロット……『夏草の恋唄』っていう作品の構想を考えてて、ぜひ意見を――」

「ま、待ってください二人とも! ちょっと――!?」

 

 先程までエマに嫌われたのではないか、と消沈する姿はそこになく、爛々と輝く瞳は何か危ないものでも食べたのかと思うほどだ。

 困惑する一同をよそに、二人は勢いよく飛び出して行き、心配になったエマはリィン達に一礼して帝國博物館を出ていった。

 

「エマ、助けは欲しいか――って、行っちゃった」

「まあ……あれだけ元気になったのなら、要請は無事果たしたということで良いのではないですか?」

「うーんいいんですかね」

「要件が終わったなら、釣りに行こうよ」

「ケネスはブレないなあ」

 

 とはいえせっかく帝都に来たのだから、何か釣ってエリゼへ差し入れでも持っていくついでにエマを回収しようとリィンは決める。

 

「エーデル先輩はどうされます? せっかくなら釣りを体験していきますか? 園芸部で育ててる野菜と合わせて、今日の夕飯か明日にブイヤベースでも作ってみては」

「あまりやったことないけど、私に釣れるかしら……」

「初心者大歓迎、釣れなくても、僕とリィン君でおすそ分けしますよ」

「そういうことなら、ご一緒させてもらうわね」

「それじゃあまずドライケルス広場へ行きましょうか」

 

 そう言って、リィンはケネスとエーデルと共に夜の帳が降りるまで帝都での釣りを楽しんでいく。

 釣りを堪能して女学院へ向かえば、そこにはエマとミュゼだけでなく、アルフィンの姿もあり、それ以上に制服を赤く染めて倒れるドロテの姿があった。

 ミュゼから聞いたのか、リィンがマクバーンに夢中ということを聞いたドロテは盛大な鼻血を吹いて気絶したらしい。

 回復魔術をかけていなければ危なかった、とはエマの言葉。

 ただ、その顔はひどく安らかな、死に顔にも見えた表情だったという。

 なお、衝撃が強すぎたのか目覚めたドロテはそのことをすっかり忘れていたらしい。

 きっと色んな意味で、そのほうがいい。

 

 ちなみに目が覚めて落ち着いたドロテは、先の暴走をエマに謝罪し、しばしの間、創作を自制したらしいが……

 その反動で、妄想による鼻血の量が増えたとエマを別の意味で心配させていたそうな。




久々の日常回。
また少しの間、マクバーン対策と平行してトールズの日常を書いていこうと思います。

エーデル先輩は金髪かと思ってましたが、Ⅳだと緑髪の女性名義なんですよね。
ミリアムといい、緑髪の 定義が 乱れる!
モデル変更もあり、ほんとサブキャラ達も美人に進化してましたよね。
閃は他に比べて美男美女が多い気がします。

作品と関係ないですが、ケムリクサめっさ面白すぎてやばい…
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