施しの英雄    作:◯のような赤子

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お待たせしました。そして実は、それなりに内容自体は以前から出来てました。
ただ軽い修正をしている内に、あの凄惨な事件が起こり、内容が軽く類似している為、これではあまりにも不謹慎過ぎると少し時間を取らせていただきました。

人によっては不快に感じるかもしれません。ただこれだけは言わせてください。

自分は京都アニメーションがあったからこそ、こうして絵を描き、物語を書くクリエイターを目指しました。(念の為に言わせていただきますが、自分は挫折した人間です)
自分がこの世界を目指したきっかけである、『AIR』を見た感動と衝撃を今でも忘れる事が出来ません。それほどまでにあの当時、あのクオリティの作画に心を惹かれ、またこれこそが自分が描きたい、書きたいものだと思いました。それは今でも一切変わりありません。

またあの素晴らしい作品達が見れる日を心待ちにしております。



変化する日々

夏が終わりを見せ始め、秋の気配が深まる今日この頃、俺達グレモリー眷属は悪魔としての活動、冥界で最近子供達に人気を博している『おっぱいドラゴン』のショーを一通り終え、人間界に戻り学生生活を謳歌していた。

 

 

「それでは、作業開始よ」

 

『おーっ!』

 

 

授業が終わった放課後。俺の大事なご主人様であり、次期グレモリー家の当主であるリアス部長の号令の下、俺達オカルト研究部の面々は元気に返事をして、もうじき始まる学園祭の催し物の準備に取り掛かった。

 

 

「イッセー君、そっちの鋸取ってもらえる?」

 

 

了解と返し、鋸の柄を木場の方に向けて渡す。

俺達オカルト研究部の出し物は、その名も『オカルトの館』!普段俺達が管理しているこの旧校舎全体を使った色んな催しをしようとなったんだ。そこには今年で学園祭が最後となる部長や朱乃さん達の為に、思い出に残るようなものにしようという俺達後輩の思いと、様々な案を出した俺達に配慮してくれた部長の優しさが詰まっていた。本当に、部長は下僕思いの優しいご主人様です!

 

 

「あ、あの…イッセー様、その…このカナヅチ?とやらはどう扱えばいいのでしょうか?」

 

 

そう俺に声を掛けて来たのは、この個性溢れる駒王学園でも早々お目にかかれない金髪縦ロールという、お嬢様感丸出しのレイヴェル・フェニックスさん(まぁ本人からレイヴェルと呼んでくれと言われているから、こんな呼び方今だけだろうけど)

以前から部長達が通う人間の学校に興味があって、今日転校という形でやってきたのだ。初めはお嬢様らしく高飛車な態度なのかなと思いきや、同じ教室の生徒との接し方が分からずしどろもどろしてたり、そこにフォローに入った小猫ちゃんと…鳥と猫だからだろうか?軽いバトルを繰り広げたりと、今日一日だけでかなり色々な表情が見れて、結構良い学園生活のスタートを切れたと思う。

 

 

「あぁ、いいよいいよ。そういう力仕事は男の仕事だからな」

 

 

サンキュと言いながらレイヴェルが握った金槌を受け取る。魔力を使えばすぐに終わる旧校舎の改装だけど、学生なんだし部長はなるべく手作りでやりたいとおっしゃった。だから当然のように反対する理由もないし、俺達も手作業でこうして汗水垂らして頑張ってたけど、よく考えればレイヴェルってあまりこういう工具にすら触れた事の無い生粋のお嬢様なんだよな。だから何だか一生懸命俺達に馴染むよう頑張る姿を見せてくれるレイヴェルが微笑ましくて、つい笑いながら感謝したけど…途端にレイヴェルが顔を俯かせて走り去ってしまった…うーん、馬鹿にしたように見えたのかな…?

 

 

「何だイッセー、お前もうフェニックス家の令嬢まで落としたのか?どんだけ節操ねぇんだよ」

 

 

レイヴェルが走り去る方向から匙が来て、いきなり呆れるような顔をしてそんな事を言ってきやがった。てか本当に失礼じゃね?確かにハーレム王を目指しているけど、まだこっちは誰とも良い関係になれてねぇんだよぉ!!

 

 

「あれ、匙君こんな所にどうしたの?確か生徒会は今、学園祭の話で忙しいじゃなかったっけ?」

 

 

木場と匙に背を向けてグヌヌと悔し涙を隠れて流していると、木場が気になったのか鋸を動かす手を止めて、匙に話を振り出した。

 

 

「てかホントだよ、今日の昼間もお前忙しそうに学園の中、走り回ってたじゃんか」

 

「うげッ!?見てたのか…。会長には内緒にしといてくれ、規律を守る生徒会役員が、廊下を走ってましたってのは、やっぱアレだからな」

 

 

バツが悪そうに頭の後ろを掻きながら片目を瞑る匙を前に、俺と木場は顔を見合わせそんな事かと口に出さず、雰囲気で安心しろと告げた。

 

 

「クス、まぁ僕達もこうして軽く作業をサボってるワケだからね。それくらい全然良いよ」

 

「それで匙、何でこっち来たんだ?」

 

「あぁ、単純に学園祭前だとお前達オカルト部みたいに、夜遅くまで残って準備に励む生徒が多いだろ?その安全確認をな。勿論お前達の前に、他の部も見回って来たぜ?良いよなぁ、みんな…俺達生徒会なんて、出し物一つも無いんだもんなぁ」

 

 

ゲンナリとした表情の匙に、俺達は苦笑いを返すしか他にない。だから生徒会のおかげでみんな安心して準備できてるんだと言ってやれば、少し誇らしい表情をして匙が照れくさそうに鼻を擦った。

 

 

「後はアレだな、フェニックスさんだ。どうやらお前達のおかげで早く学園に馴染めたみたいだな、ありがとよ」

 

 

さっき来た道を振り返り、親指を旧校舎に指す匙。何でも会長もレイヴェルの事を気に掛けてたらしく、それの確認も兼ねて最後にここに来たんだと。

そこから俺達の話は次第に盛り上がり、徐々にその内容はもうじき試合を控えている事もあって、レーティングゲームやその上位ランカー達の話へと変わっていった。

皇帝と称される実力を持つディハウザー・ベリアル。ランキング20位に名を連ねる上位ランカー達は英雄と称される程の実力があると語る木場はどこかウキウキしていて、いつか彼らと剣を交えたいと語る木場の表情は、聖剣事件の時とは違ってとても晴れやかだった。コイツも日々成長してるんだ、俺だって負けられない!それは当然、次の対戦相手であるサイラオーグさんにもだ!

 

おー!と俺と木場が金槌や鋸を持ったまま、天に手を付き出せば、匙が軽い溜息を見せた。

 

 

「良いよなぁイッセー、お前の方は色々と順調そうで…」

 

「ん、どういう事だよ匙?」

 

「そういえば匙君、ヴリトラの不調の理由は分かったの?」

 

 

京都から戻って以来、匙の中にいるヴリトラは匙の声にも反応せず、どうやらずっと神器の奥底にいたらしい。初めは匙も何かあったんだろうと反応しないヴリトラを敢えて放置していたらしいけど、流石にそれが数か月近く経てば不安になったらしく、さっき学園祭の会議が始まる前に、アザゼル先生に相談したんだと。

 

 

「で、ヴリトラが不調の理由は分かったのか?」

 

 

俺がそう聞くと、匙は教えてくれた。アザゼル先生が言うには、やはり何かショックを受けたらしい。ただそれを聞くと、俺の横で顎に手をやりながら木場が納得できないって感じで続いてきた。

 

 

「だってヴリトラはドラゴン…それも名高き五大竜王だよ?まさかあの京都の光景がそれを引き起こしたとは思えないし」

 

 

京都をモチーフにした、英雄派がグレード・レッドを呼び出す為に用意した異界。あの火に包まれた光景はまだ俺の頭にこびりついて離れないし、その光景を生み出したあの真っ白な男の人もそうだ。

 

 

「アザゼル先生は、おそらくその須弥山からの遣いが関係してるって言ってたけど…結局誰なんだソイツ?俺は【龍王変化(ヴリトラ・プロモーション)】してたから周りがあまり見えてなかったし、ソイツのせいでヴリトラがおかしくなったってんなら一発お返ししてやらなきゃ気が済まねぇからな」

 

 

軽い調子で言う匙だが、その目には相棒を思う気持ちが見えた。当然だよな、相棒が困ってるってんなら手を貸さなきゃ男じゃねぇもんな!でも…。

 

 

「ワリィ匙、俺達も良くあの人の事分かってねぇんだ」

 

 

俺達が帰った後、もう一度アザゼル先生は京都の八坂さんの元へ赴いたらしい。それは須弥山との会談の内容や、ドライグさえ危険だと言わしめたあの男についての情報収集だと言って。そして戻って来た先生は神妙な面持ちで、京都で得た情報を教えてくれた。と言っても、何も教えてもらえなかったって事をだけど。

帰れの一点張りで、こちらの話を聞く様子も一切無かったらしい。それを聞いて思わず何だよソレ!!って俺、怒っちゃったけど…次の情報で血が昇った頭が一気に冷えた。

 

“裏京都”がまるで災害にあったように、軒並み燃やし尽くされてたらしい。更に先生曰く、魔王クラスが暴れても壊れる事がないと太鼓判を押した“裏京都”と表の京都を分け隔てる界の境目がボロボロになっていたって。おそらくは武神…それも主神クラスじゃないと、あれはあり得ないって言ってた。

それを聞いて、一番ショックを受けていたのは部長だ。そうだよな、あんなに京都の事を大好きだって言ってたし、サーゼクス様やセラフォルー様だってきっとショックだったに違いない。

 

 

「…っ!おいおいちょっと待てよ、それって絶対…ッ!?」

 

「うん、きっと英雄派のゲオルグが創ったあの異界を燃やし尽くした、須弥山の使者が犯人だと思う」

 

 

匙の驚きの声に、木場が返した。それはアザゼル先生も考えていた事だ。でもそれだと、人間が主神クラスの力を持っている事になる。そんなの可能なのか?

 

 

「おっ、男を二人も侍らせて密談なんてよ。赤龍帝は性別問わずだな」

 

 

冗談を言いながら、いつもの感じでアザゼル先生がやって来た。

 

 

「先生、カンベンしてくださいよ。って、学園祭関連の会議はもう終わったんですか?」

 

「おう、体調不良を理由に抜け出して来た。ったく、外国の生徒もいるせいか、やたらと注意事項が多くてな。あーだこーだ言い合ってるから、全部ロスヴァイセに任せて逃げて来た」

 

 

ひでぇ!相変わらずこの先生、そういうところが雑で不真面目だ!

 

あまりにいつもの調子で先生がこっちに接して来るから、思わずいつも通りの感じで返したけど、匙だけはそんな先生にあの男の人に関して聞き始めた。

 

 

「アザゼル先生!あの野郎のせいなんスか!?アイツのせいで、ヴリトラは…ッ!それに“裏京都”も酷い目にあったって…っ。俺達、あんなに八坂さん助ける為に頑張ったのにっ!」

 

 

匙の言葉に、俺も同意してしまう。

京都は俺達悪魔にとっても、思い入れが強い土地のはずだ。ならせめて、復興支援だけでも出来ないのかと匙に続いて聞いてみた。すると先生はふざけた雰囲気を真面目に変えて、こう言ってきた。

 

 

「ヴリトラとその須弥山が寄こした男との関係性は、調査中だ。まだ分からんとしか言えないのがもどかしいがな。それと京都の事は、高度な政治性が求められる案件だ。悪ィがお前達に出来る事も、そして教える事も何もない。これはソーナやリアスにも言った事だ」

 

「っ!それを…ソーナ会長や部長は納得したんですか?」

 

「あぁ。まぁリアスは納得いかない感じだったが、ソーナが魔王が悩む中、私達が勝手な行動を起こすワケにいかないって説得していたよ。ったく、やっぱりお前達の方にも顔を見せに来て正解だったぜ」

 

 

手を後ろに回し、頭を掻く仕草をしながら息を吐く先生。

 

 

「確かに“裏京都”の現状を話しちまった俺も悪いが、でも今はその事じゃなくてサイラオーグやシークヴァイラの方に集中しろ。今お前達がやるべき事は、試合に向けて特訓する事だ。政治じゃねぇだろ?」

 

 

真剣な表情のままそう言われて、俺達は何も言い返せなかった。

『レーティングゲーム』は確かに俺達にとって大事で、俺と匙のご主人様の夢がこの試合に掛かっていると言っても全然過言じゃない。それに…部長達が我慢しているのに、俺達が何か言えるワケないじゃないか。

 

 

「……分かりました。会長がそうおっしゃるなら…」

 

 

匙が渋々と引き下がった。

俺も人の事を言えないのは自覚してるけど、匙の【龍王変化(ヴリトラ・プロモーション)】は現状かなりムラがある。それに要であるヴリトラも結局は調子が不良のままだし…俺だってそうだ。

赤龍帝の三叉成駒(イリーガル・ムーブ・トリアイナ)】(俺は縮めてトリアイナと呼んでいる)はまだまだ不完全で、そんな状態で倒せる程、サイラオーグさんは楽な相手じゃない事は分かってる。あの人がこれまで積み重ねた努力に少しでも報いるよう、俺も全力で戦いたいと思っている。

 

 

「今用意している学園祭だってあんだ。あれやこれに手を出してると、全部中途半端になって、結局後悔しちまうもんだ。駒王学園の生徒として、冥界のこれからを担う新人悪魔として、その二つに今は集中するべきだ」

 

 

俺と匙の肩に手を置いて、目を合わせてくる先生は本当にズルイと思う。悩んでいると、俺達に行くべき道を示してくれる。まさに先生の鑑だと、俺は改めてこの人に尊敬の念を抱いた。

 

 

「ま、匙のヴリトラに関しては何とかするさ。ドライグから頼まれていたカウンセラーのアテも見つかった事だしな」

 

『何、本当か?そうか、すまない…』

 

 

籠手が出現して、宝玉の中から心底安堵したようなドライグの声が周りにも聴こえるように…って、ンン!?

 

 

 

これ…ドライグもヴリトラみたいにヤバイんじゃね!?

 

 

 

 

 

 

イッセー達と一端別れ、俺は旧校舎の中を焦る気持ちの表れだろうか、大股で急ぐように歩きながら、“神を見張る者(グリゴリ)”に頼んでいた須弥山襲撃(・・・・・)についての情報を携帯越しに聞いていた。

 

 

「シェムハザ、それは本当なのか!?」

 

『えぇアザゼル、間違いありません。須弥山を陥落させんとさせた者…その神性が“裏京都”を崩壊させたものと一致しました』

 

 

その報告を聞き、俺は思わず頭を抱え足を止めざるを得なかった。

1週間ほど前だろうか?突如今まで胸元を開けず、不気味さを保っていた須弥山が、その情報をまるで見せつけるように開示してきやがった。

神を見張る者(グリゴリ)”はその名の通り、何も“神器”の研究だけを行っている機関ではない。それぞれの神話を見張る役割も担っている。あの日、須弥山を見張るために用意していた計器類は突如そのメーターを振り切り全て壊れた。何とか計測できたのは、須弥山に所属する多数の闘仏神達が争っているという事と、それと相対していたのがたった一人(・・・・・)であり、莫大な熱量を誇る神性を宿しているという事だけだった。正直、シェムハザの報告を聞いた途端理解しちまったよ、あれが暴れたんじゃ“裏京都”があぁなったのも仕方無いってな。

 

 

「だが待て、その男は使者だったんだぞ?須弥山の使者(・・・・・・)が何故、須弥山に戦を仕掛けた!?」

 

『アザゼル、私に分かるワケないじゃないですか。何よりインドラの動きのほうに注目したほうが良いと進言します。プライドの高い神々の王と謳われたあのインドラが、まるで恥を晒すかのような行動を起こしたのですから』

 

 

まるで冷静になれと言わんばかりの静かな口調に、内心感謝しながら深く息を吸い、乱れた心を落ち着かせる。やっぱ“神を見張る者(グリゴリ)”の副総督にコイツを選んで大正解だった。ありがとよ、シェムハザ。

 

 

「スマン、落ち着いた。だが解せない…クソッ!やっぱりリアルタイムで視れなかったのがここで響いて来るか!」

 

 

あの時、計器が振り切れた際、直で繋がり(パス)のようなものを飛ばし、須弥山を視ようと“神を見張る者(グリゴリ)”では試みた。あの時の須弥山はそれほどに覗き放題だったのだ。だが出来なかった。

 

 

『ほぼ全ての他神話の目が集中していましたからね。正直、我々堕天使が持つ権限程度では、主神達を押しのけることなど不可能です』

 

 

シェムハザの言う通り。当時の須弥山には北欧、ギリシャ、日本神話やインド神話。更に珍しい所では、ケルトの影の国からも監視が向かっていたらしい。それはつまり――。

 

 

それほどの何か(・・・・・・・)が、あの地で起きたって事だ。あのクソグラサンアロハ坊主め…一体何が目的なんだっ?」

 

 

もしくはそれ程の存在…神々でさえ魅了する程の奴だってのか?その男は…。

 

 

『アザゼル、貴方がそれほどインドラを警戒するのは、やはりあの懸念があるからですか?』

 

 

シェムハザの声が、没頭しそうな答えの出ない思考に待ったを掛けてくれた。一端その考えを頭から追い出し、信頼できるが故に唯一コイツに話した懸念を、改めて言葉にする。

 

 

「あぁ、恐らく…いや、十中八九インドラは【禍の団(カオスブリゲード)】と繋がっている。それもかなり深い所でだ。そもそも曹操を名乗る『黄昏の聖槍』を持つあの男がいる時点でおかしいんだ。最近は目立っちゃいねぇが、インドラの“神器”収集はお前も知るところだろ」

 

 

遥か昔、中国が統一されていない時に現れた覇道の英雄曹操 孟徳。その血を受け継ぐあの男を、インドラが抱えないワケがねぇ。

 

 

『ですが…それではインドまでもが【禍の団(カオスブリゲード)】と繋がっているという事になります。その辺を貴方はどう捉えてますか?』

 

 

俺達聖書の陣営のトップ連中は、情報を互いに交換し合っている。もう昔のようにいがみ合う理由も消えてるからな。

4年前、アジュカがシヴァ自身に問いかけ、明確ではないがシヴァはインドラとの繋がりを示唆した。

 

 

「…こればっかりは俺でも分からん。最近待ちの姿勢ばかりで面白くねぇが、今度のレーティングゲームにはシヴァが来る。インドラもだ。そこで仕掛けてやる」

 

 

むしろそこしかなかった。

危険だとシェムハザのどこか、焦りが浮かぶ声が聞こえるが…ここ最近、安定していた各神話間が揺れ動き出している。未来を担うガキ共が今、一生懸命夢に向かって邁進してんだ。なら大人である俺が多少の無茶をせずにどうすると言えば、呆れるかのような溜息を吐きながらも賛成してくれた。

 

 

『毎回…貴方は無茶ばかりだ。付き合わされるこっちの身にも、少しはなってほしいものです』

 

「はは、そりゃ無理だ!だって総統だし?俺。それと須弥山の監視は続けてくれ。各神話もだ。イッセー達の試合までに、少しでも情報が出そろっていれば、それで他の神話を動かす材料になるかもしれねぇ」

 

 

最後に悪いとだけ一言だけ告げて、シェムハザとの連絡を切った。しかし…。

 

 

「“神器”を宿しちゃいねぇ…だが神々が注目せざるを得ず、またあの須弥山にたった一人で立ち向かう程の胆力。並べるとなんだ、まるで大昔の英雄(・・・・・・・・)みてぇじゃねぇか」

 

 

電話が終わり、旧校舎を出ればリアスがイッセーをどこかへ連れ出そうとしているのが見え、急に薄暗いところから出たからだろうか。沈む太陽に彩られた夕日が、やけに眩しく感じる。

 

 

「全ての鍵は謎の使者か…お前は一体、何者なんだ――?」

 

 

 

 

 

 

 

バサバサと前を開けたアロハシャツが風に煽られ、これ見よがしと見事に割れた腹筋を晒した坊主頭にサングラス姿の男は煙草を咥えながら噛み付くように、これから巻き起こるであろう事を思うだけで、股座が勃きり立つ感覚に酔いしれながら下界を見下し笑う。

 

その後ろには帝釈天とは打って変わり、無表情とすら取られそうな面持ちの、背後に極彩の外套を帝釈天と同じように翻す、黒衣の上に黄金輝く鎧を纏った白亜の肌を持つ青年の姿が――。

 

 

「時間だ、行こうze」

 

「あぁ」

 

 

 

物語は収束する。

 

役者は揃った、舞台は整った。さぁ世界よ――。

 

 

 

――真の英雄の凱旋を見届けよ――。

 




ようやく序章が終わったといったところです。

それと何人かのコメントをくださった方々へ
中々返信できず申し訳ありません。
これから全てに返信というのが難しくなりそうです(汗
(内容自体は全て目を通させていただいております)

次回こそは早めに投稿をと言いたいところですが、11月にヤフードムであるコミケに参戦する為イラストを描いている最中なので、また遅くなる可能性が大です。
あと7月3連休のマリンメッセであったコミケの三日目に、初めてコミケに行きましたが、やっぱ熱量というかクオリティヤバイですね。こちらも気合いを貰いました。
それと会場で久々に恩師と会いました。数々の激励の言葉ありがとうございます。
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