『それっぽい技名を言うとそれっぽいことができる』個性   作:りふれいむ

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息抜きに書きました。続くかは不明。


第1話   転生

 俺は、いつも人に流され、自分から何かに挑戦したことはなかった。何かを成し遂げようとしたこともなかった。

 そんな自分を変えたくて、勇気を振り絞って足を踏み出した。

 

 だが、結局何もできなかった。

 町中に突如現れた通り魔を捕まえて周りの人を守ろうと、自分の持っていたカバンを武器に向かっていったのだが、パニックに陥った人々の逃げる時間を稼ぐことさえできずに、ナイフで刺されてあっけなく倒れた。

 かなり深く刺されたので、もうじき出血多量で死ぬだろう。

 

「あぁ……痛い」

 

 それが俺の最後の言葉だった。我ながら情けないが、もう声を出す気力は残っていない。

 

 もし、次があれば……何かを成し遂げることはできるのかな…。

 そんなことを考えながら、俺の意識は闇に沈んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……知らない天井だ」

 

 目を開けると、俺は全面真っ白な正方形の部屋にいた。

 

 「あれ、俺死んだんじゃなかったっけ?」

 

 不思議に思いながらも周りを見回してみると、目の前に謎の赤いボタンがあった。他に何かないかと壁や天井の隅までよく見てみるが、どこにもシミ一つない。

 埒が明かないから、このボタンを押してみようと思い、もう一度ボタンをよく見てみる。

 すると、そのボタンの手前に、『転生に関する抽選ボタン』と書いてあるのを見つけた。

 

「ふ~ん、転生ねぇ……って、転生!?こんなちゃっちいボタンで大丈夫なのか!?いや、そんなことより本当に転生ってあったのか。架空の話だと思ってた」

 

 前世に未練がないといったら大嘘になるので、もう一度生きられるというのは正直嬉しい。この転生特典抽選ボタンとかいうのが本物だったらの話だが。まあ本物だとして、問題は転生先と転生特典だ。ショボい特典でチートの集まりみたいな世界に行ったら、死ねる自信がある。

 『転生に関する』なので、このボタン一つで転生先も特典も、すべて決まるのだろう。

 

「じゃあ、チート特典こい!」

 

 意を決してボタンを全力で押すと頭上から一枚の紙が降ってきた。どういうシステムになっているのか非常に気になるが、今はそんなことより早く内容を見てみたい。

 紙に書かれている文字を読んでみた結果がこれだ。

 

 

転生先:僕のヒーローアカデミア

 

転生特典:それっぽい技名を言うとそれっぽいことができる個性 ※大当たりおまけ付き

 

名前:神薙奏翔

 

 

 書かれているのはこの三個だけだった。

 上の二つはともかく、名前まで決められるのは意外だった。しかし、前世の自分の名を思い出そうとしても思い出せないから、現時点でもう俺は『神薙奏翔』なのだろう。不思議と身に染みる名前だが、まあ自分の名前だからかな。

 

「んー、ヒロアカの世界かー。…それにしても、個性最強じゃね?前世で得た漫画、アニメ、ゲームの知識をフル活用できるし、自分オリジナルの技も作れるってことだよな。めっちゃ楽しみ」

 

 おまけというのはなんなのか見当もつかないけど、個性はとてもいいと思う。転生者らしいチート個性じゃないか。

 

「さあ、どんな技を作ろうかな」

 

 これからのことを考えて想像を膨らましていると、急に目の前が真っ白な光でいっぱいになった。

 




みんな大好きなチート転生者です!
主人公の名前は「かんなぎかなと」と読みます。

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