強化人間物語 -Boosted Man Story- 作:雑草弁士
レビル将軍に呼ばれ、将軍の執務室……将軍の私室とは別個にペガサス内に設けられた、かなり広いその場所で、俺は将軍と話し合っていた。
「あの精神世界に居たとき、ア・バオア・クーでギレンが生き残った場合に、再度のコロニー落としを行うヴィジョンも、かすかに「視え」たが……。起きると思うかね?」
「はい。ギレンは暴走しています。間違いなく……。」
「そうか……。一応念のための保険はかけてあるが……。」
レビル将軍は、眉を顰める。と、話題が変わった。
「ところで、キシリア・ザビを捕虜にした際に、同時に捕虜にしたフラナガン機関所属の少年少女たちだが……。全員が亡命の申請をしているのだな?」
「はい。元々彼らの中には、サイド3以外の住人だった者も含まれていますね。何にせよ、強引に連れてこられて無理矢理に実験に使われ、強制されて戦わされていた被害者である事は間違いありません。
それと、サイド6に作られているフラナガン機関には、まだ数多くのモルモット扱いの子供たちがいる模様です。もし可能ならばと、その子供達の救出を懇願されましたが……。」
「……亡命の申請と、その後の保護については任されよう。しかし、フラナガン機関……サイド6か……。
この件に関しては、今頃ルナ2からソロモンに到着しているであろう、ワイアット中将および、ジャブローのゴップ大将と相談せねばならんな。いや、悪い様にするつもりは無いとも。……なんとかしよう。」
徐に将軍は、机上にマグネットで留められていた書類を手に取る。宇宙世紀になっても、ペーパーレス化は進んでいない。やはりプリントアウトしないと、人は安心できない模様だ。
「ふむ、ジャブローにジオン地上軍の残党が、乾坤一擲の攻撃を仕掛けてきたらしい。ほぼ地上は制圧したと言うのに、何処に隠れ潜んでいるのだろうな。
いや、これも地球連邦政府の惰弱と腐敗が故か……。地球上の連邦市民たちの中にさえ、連邦政府の行いに不満を持っておる者も多いからな。隠れ潜むのは、容易だろう。」
「それでどうなったのでしょ……。いえ、僕が聞いてもいい事なのでしょうか。」
「かまわんよ。と言うか、あの精神世界でのヴィジョンは、君が見せたのだろう?一番未来の可能性に詳しいのは君だろう。
無論すべてがあの通り進むとは言わんし、そればかりに囚われると足元をすくわれる危険もあるがな。しかし、可能ならば意見を聞かせて欲しいものだ。」
そう言ってレビル将軍は、数通の書面をこちらに放ってよこす。無重力が故に、その書類は直線の軌道を描いて、俺の手元に届いた。
「……ジャブロー襲撃に用いられたMAは、アプサラスⅡおよびアプサラスⅢと呼称される。……任務解除され、ジャブローに召還されていたコジマ大隊第08MS小隊により、両機とも撃破、ですか。
アプサラスⅢパイロット、ギニアス・サハリン大佐は重傷、昏睡。アプサラスⅡパイロット、妹のアイナ・サハリン女史も負傷したものの生存。敵MS隊を率いていたノリス・パッカード中佐、重傷だが意識はある……。」
「第08MS小隊に、それまでの乗機に代わり、新型機RX-78XXガンダム・ピクシー3機を配備し、機種転換訓練をさせておったのだが……。助かった、と言うべきかな。」
「コロニー落としに備え、ジャブローの戦力はどこかに一時退避しておくか、あるいはジャブローの奥深くに退去させておくべきでは。」
「うむ、何時でもそうできる準備は整っておるよ。」
次の書類をめくった俺は、目を瞠る。
「アスタロス計画……。阻止に成功したのですか。荒野の迅雷と名高いエースパイロット、ヴィッシュ・ドナヒュー中尉をホワイト・ディンゴ隊隊長マスター・P・レイヤー中尉が討ち取った……。」
「やはり知っておったかね。アスタロス計画。」
「は……。ですが、その情報ソースが超能力じみたものでは……。」
「うむ、話す事ができんのもわかる。軍としても、それを元に動く事はできん。しかし、そう言った情報でも使い様はある。
それに頼り切りになるのは先ほど言った通りまずいがな。ゼロ少尉、これからも力を貸してくれ。無論、意見や知恵も、な。」
俺は敬礼で、その言葉に応えた。
俺は少々暗い気持ちで、ア・バオア・クー内の通路を歩いていた。理由は、第16独立戦隊が、サイド5ルウムの宙域でテキサス・コロニーを落とす準備を行っていた敵部隊を発見したものの、戦力差から阻止を断念したためである。レビル将軍も、自分の読み違えだと悔やんでいた。
レビル将軍は、戦力をア・バオア・クーに集めていた以上、コロニー落としの準備作業に回していた部隊はさほど大規模ではないと見積もっていた。そのため、当時動かせた余剰の戦力であった改ペガサス級サラブレッド隊、第16独立戦隊を、奴らが地球に落としそうなコロニーのあるルウムの宙域に向かわせていたのだ。
無論、戦力をもっと用意できなかったのかと言われれば、できなくも無かったと答えよう。だが敵が地球に落としそうな損傷度合いの低いコロニーの候補は複数あり、それら全部に部隊を送り込まねばならなかったのだ。当然、1つ1つに送り込める部隊の規模は小さくなる。
第16独立戦隊の報告を受け、至急ソロモンの留守番艦隊、ルナ2の留守番艦隊、そしてサイド1ザーン、サイド2ハッテ、サイド4ムーアに向かわせていた各独立戦隊が集結し、艦砲射撃によるコロニーの破壊を試みてはいる。だがどの程度ダメージを与えられるか……。
どのコロニーが使われるかが判明するのが遅かった……。やはり、いちばん可能性が高かったテキサス・コロニーが使われたのだし、山を張ってそこだけに大規模な部隊を送り込むべきだったかも……。いや、俺には権限ないけど。
(フォルド中尉あたりは、怒り狂って悔しがってるんじゃないかな。)
「思念が漏れてるわよ。フォールド……?中尉?って?」
「ああ、いや。フォールドじゃない、フォルドだ。しかもこっちが一方的に知ってるだけの相手だ。」
「どうしたのかしら?ひどい表情よ?」
そう言ったのは、レイラ・レイモンド少尉……一応ジオン軍で階級は与えられていたそうなので、その階級で呼ぶが、その彼女だった。俺は苦笑いを浮かべる。
「ああ、いや……。すまん。機密に属する事なので、言えないんだ。」
「そっか……。ごめんなさい。」
「何を謝る?」
レイラ少尉は、少し寂し気な笑顔を浮かべると、謝った理由を話す。
「貴方はわたしたちのために、色々してくれたわ。こうやって、見張り付きとは言え亡命希望者として手錠無しで歩けるのも、貴方のおかげ。
でも、わたしは貴方に何も返してあげられていないもの。」
「ま、待て。それは気にする事じゃない。」
「そうね。でも……。」
「でも、は無しだ。気にするな。それに、感謝はレビル将軍にしてくれ。俺は君が、君らが少しでも良い未来を掴むことができれば……。」
そして俺は、小さく呟く。
「……『俺』から頼まれたんだ。世界の痛みを、少しでも……。意味のない死を、少しでも……。」
「またひどい顔になってる。」
「そ、そうか?すまん。」
「あなたこそ、謝る必要はないわよ?」
彼女はそう言って、小さく笑った。俺は思わず、その微笑みに見惚れてしまう。そして赤面。泡を食った俺は、すたすたと先に立って歩きだす。
「さ、い、行くぞ。PXでお仲間たちのために買い物だったよな。」
「あ、待ってよゼロ少尉。わたしは1人じゃ歩いちゃいけないんでしょ?置いて行かないで!」
何やら照れ臭くなった俺は、必死の気分で足を止め、レイラ少尉が追い付いて来るのを待ったのだった。
俺たちの第3艦隊と、ソーラー・システム展開の作業をしていたためにほぼ無傷だった第1艦隊は、これからジオン本土へと向かう。ギレン・ザビを追い詰め、可能ならば捕らえて裁判にかける。さなくば、戦場で倒すのでも良い。だができれば裁判にかけたい。
まあ、裁判にかけたら、たぶん極刑が決まるだろう。処刑したら、各地に隠れ潜んだ狂信的ザビ家シンパの将兵たちの結束を促して、連邦への抵抗運動が激化する……んだったよな。でも処刑しないわけには行くまい。
残る第2艦隊は、月面グラナダ基地攻略に向かう。主力が後背から攻撃を受ける事を防ぐためだ。ティアンム中将が、グラナダ攻略艦隊の総指揮を執る事になっている。
戦力をほぼ消耗していない第1艦隊はともかく、第2と第3艦隊はソロモンから到着したばかりの補充により、表面上は戦力を回復している。しかし補充の中身は新兵がほとんどであり、どこまで頼りになるか分からない。と言うより頼りにならない。
ただ少し心強いのは、第13独立戦隊と第18独立戦隊が帰還した事だ。第13独立戦隊は第3艦隊に、第18独立戦隊は第2艦隊に振り分けて合流させている。各々は旗艦である改ペガサス級強襲揚陸艦ホワイトベースとスタリオンを除いて、僚艦を全て失っていた。だが合流に際し、新たに後期生産型サラミス2隻ずつを補充されている。
そう、アムロ・レイ曹長たちが俺たちの第3艦隊に合流しているのだ。これは心強い。レビル将軍も、彼等の帰還に際して直接面会の場を設け、「ソーラ・レイ」破壊任務の成功と無事の帰還を祝した。俺もその場に同席したが、アムロ曹長他の第13独立戦隊の面々は、より一層成長した様に見えていた。
あ、いや。第18独立戦隊の面々もその場にいたよ?彼らも歴戦の強者って感じだったよ?そっちのMS隊は、リド・ウォルフ少佐が率いてたりしてるよ?シャルル・キッシンガム中尉とかハインツ・ベア中尉とかエースパイロットとして有名なの集まってるよ?
……でも彼等、口を揃えて「アムロ曹長に助けられた」って言ってるんだよね。凄いね、原作主人公。
『……改ペガサス級がこれだけ並んでるの見ると、壮観だな。』
『改ペガサス級は、かっこいいからなあ。』
俺とラバンは、自身も改ペガサス級ペガサスの甲板に立ちながら、その左右に入港している改ペガサス級の群れを眺めていた。ホワイトベース、スタリオン、ブランリヴァル、ペガサスⅡ、グレイファントム、トロイ・ホース、イカロス……。
元々は普通のペガサス級だった艦も、既に全部が改ペガサス級に改装されている。ア・バオア・クーに複数ある宇宙港のうち、ここに改ペガサス級が集められているのは、改ペガサス級が艦隊旗艦に使われる事が多いため将官の会合に便利なことと、整備の都合上だ。
『お、ブランリヴァルが出港する。』
『ティアンム中将の座乗艦だな。第2艦隊は、一足先に出陣するはずだからな。』
『詳しいな、ゼロ。』
と、そこへデリスとロンがやって来る。なんか俺の人工的ニュータイプ感覚に、奴らがニヤニヤしてるのが感じられた。
『おーい、ゼロ。お客さんだぜ?』
『急いで行ってあげた方が良いですよ?』
なんだなんだ。いったい誰だお客……!!その時、俺の精神に何かが触れて来るのが感じられる。もうお客が誰かは分かった。俺は急ぎ、ペガサスを係留してある桟橋へと降りて行った。
『ゼロ少尉!』
『少尉さん!』
『少尉さんだ!!』
『……来ちゃった。元気そうね。』
そこには、連邦軍の一般用ノーマルスーツを着用した階級章無しの4人と、中尉の階級章を着けた同じく一般用ノーマルスーツの人物が立っていた。階級章無しの4人のうち、3人は小柄で、まだ年少である事を思わせる。
俺はまず、中尉に対し敬礼を送る。
『任務ご苦労様です。レビル将軍直卒部隊、第3小隊小隊長、ゼロ・ムラサメ少尉です。』
『うむ、ご苦労。自分は軍警察のカール・ダンバー中尉だ。今回は、彼女ら亡命希望者の引率を命じられている。では自分は、少し外そう。話が終わったら呼んでもらえればいい。』
そう言ってダンバー中尉は、少し離れた位置まで移動し、そっぽを向いてくれた。まあ、ノーマルスーツの無線で話しているのだから、声は丸聞こえなのだが。しかし俺たちの話を聞きとっておくのも、MPとしての務めだろ。仕方ないのは、仕方ない。
『あー……。ハリー・アバークロンビー伍長、ケイコ・ササキ伍長、ジェシー・ダイソン伍長だったな。元気だったか?
それと……レイラ少尉。』
『あら?わたしはオマケ?』
『ははは、代表者だろう?拗ねないでくれないか?』
『うふふ、冗談よ。』
俺たちは、互いに笑みを漏らす。そう、来たのはレイラ少尉たちだった。デリスとロンのニヤケた雰囲気の理由がわかった。あとで訓練地獄に落としてやる。
『ところで、今日はどうしたんだ?』
『ようやく一通りの事情聴取も終わったし、時間ができたから……。それに貴方はいつ出撃になるか分からないから。この子たちも、会っておきたいって言ってたし。だからお見送りを兼ねて、ね。』
『そうか……。』
しみじみした雰囲気が流れる。と、ケイコ・ササキ伍長が口を開いた。
『少尉さん……。ジオンと戦いに行くんでしょ?』
『あ、うん。まあな。いつ何処に戦いに行くかは、機密事項で教えられんけどな。』
『それはいいの。……少尉さん。あいつら、やっつけて。思いっきり。』
黒い想念が、ササキ伍長の内から滲み出すのが感じられた。いや、ササキ伍長だけじゃない。残りの2人、アバークロンビー伍長とダイソン伍長からも黒い想念は、湧きだしている。俺は思わず、レイラ少尉に顔を向けた。彼女は少しの間、言葉に詰まる。が、やがて口を開いた。
『……この子は、能力が低いって言われたわたしたちの中でも、更に能力が低くて。訓練や実験と称して、虐待じみた真似をされてたの。サイコミュの制御に失敗したら、張り付けられた電極から電気を流されたり、とか。』
『!!』
『いえ、他の子も頻度は違えど、同じ目には遭わされてるわ。』
『……そうか。』
彼女は言わなかったが、俺には彼女自身も酷い実験を行われていた事が「解」った。……俺は思念の手を伸ばし、レイラ少尉を含めたこの子らを包み込むように抱きしめる。
『『『『!!』』』』
『なあ、お前ら。俺が、お前らがされた分、たっぷり仕返ししてきてやるよ。だから、お前らはもう……。もうそんなに苦しまなくていいんだ。』
『う、うぇ……。』
『しょう、い、さん……。』
『あり、が、と……。』
『……。』
そしてレイラ少尉は、何かを言おうとして詰まり、息を飲みこんで自分を落ち着けると、再度言葉を発した。
『……ありがとう、ゼロ少尉。』
『あー、なんだ。ゼロ、で構わないぞ。』
『そう?じゃあ、わたしも少尉はいらない。名前でいいわ、ゼロ。』
『わかった、レイラ。』
俺たちは、その後しばらく他愛ない話を重ねた。そして30分ばかり経った頃、そろそろ彼女らが戻らねばならないとの事だったので、解散する。俺は軍警察のダンバー中尉に、彼女らの事をくれぐれもよろしくと頼んで、ペガサスの甲板に戻った。
ペガサスの甲板では、ラバン、デリス、ロンの3人が、ニヤニヤした雰囲気を纏って待っていた。そして3人で一斉に俺を小突いて来る。ちなみに一撃ももらわずに、全て躱してやった。
『ちょ、お前ここは大人しく素直に小突かれてしかるべき場面だろ!?』
『そうですよ、まったく羨ましいですね。』
『知らんな。何の話だよ!』
『こんの、くそトボけやがってぇ……。はぁ。』
何を言ってるんだか、こいつらは。こいつら3人とも、その辺の女性兵士から「お守り」と称する品を貰ってるの、俺が知らないとでも思ってんのか。ペガサスの食堂で、自慢してたの忘れてんのか。俺は小説版アムロみたく、誰からも「お守り」貰ってないんだぞ?……俺、最終局面で死ぬんじゃなかろうな(汗)。
と、ラバンが呟くように言う。
『わるい、ゼロ。無線で話が聞こえて来たんで、つい無線切らずに聞いちまった。あいつら亡命希望なんだろ?……ジオンにも、いろんな奴いるんだな。亡命成功すりゃ、ジオンじゃなくなるけどよ。』
『……ラバンが言いたいのは、「実験」とかの事か?』
『ああ。ジオンにも無理矢理戦わされてたやつがいたんだな。前線に出て来るやつは大半、皆ジオン万歳の狂信的な奴らかと思ってた。』
俺はため息を吐く。
『あいつらは運が良かった方さ。こうして、助ける事ができた。だが助けられずに殺してしまったやつも沢山いるんだろう。
だがとりあえずラバン、気にしない方がいい。ただ、さ。頭の片隅には置いといて、忘れるな。』
『ああ。忘れないけど、とりあえず気にしねえよ。ここでうっかり手を緩めて、自分が死んだりしたらシャレにもならねえ。』
『そうそう、あと一歩でジオンを追い詰められるんだ!』
『ア・バオア・クーでギレンを逃がしたのは痛かったですけど。でも、もうすぐザビ家も終わりですからね。そうすれば、全部上手く行きます。』
デリスとロンも話に加わって来る。ただなあ……。ザビ家倒してジオン公国をどうにかしても、終わらないんだよなあ……。地球連邦政府の惰弱と腐敗と無駄なエリート意識……。それをどうにかしないと……。
俺は内心を隠しつつ、3人と笑いあった。
ところで不本意に戦わされてるって言えば……。シーマ・ガラハウ中佐は、今どうなってるんだろう?レビル将軍にその境遇を話したら、とりあえず諜報部で確認して、それが事実だったら引き抜き工作かけてみるって言ってたけれど、どうなってるんだろうな?まあ「俺の証言」だけじゃ軍は動けない。諜報部ガンバレ。
シーマ様は、騙されて毒ガス使わされて悪夢に見るぐらいトラウマ負わされた上に、故郷のスペースコロニーであるマハルは強制疎開の上で「ソーラ・レイ」に改造されちまったし。その上にアサクラ大佐を介してジオン上層部から、汚れ仕事ばっかり押し付けられてるはず。
たぶん今頃は既に、ジオンに対する忠誠心なんてすり減ってると思うんだけどな。
そして俺たち第3艦隊と、第1艦隊は共に、サイド3ムンゾ目指して出撃した。これで一年戦争は終わる。だがそれは次なる戦いの序章に過ぎない事を、俺は知っている。知ってはいるが、まず1つ1つ、終わらせていかなきゃな。
俺は船窓から、遠ざかる宇宙要塞ア・バオア・クーを見遣る。あそこにレイラたち亡命希望者がいる。なんとしても勝って帰り、もう1度会いたいと思う。そして、思いっきり仕返しして来てやったぞ、と報告するのだ。
……あれ?サイド3制圧後、第3艦隊はア・バオア・クー寄るのか?ゲームだとア・バオア・クー経由の道しか無いも同然だけど。フォン・ブラウン通れないから。でも現実だと、ア・バオア・クー寄らないで月で重力ターンしてルナ2目指してもいいし、この艦は改ペガサス級だからそのままジャブローに降りても……。
あれ?あれ?あれれ?そうだとしたら、会えないじゃん!……混乱する俺を乗せて、第3艦隊旗艦、改ペガサス級強襲揚陸艦ペガサスは、艦隊を率いてサイド3を目指し、航行していた。
今回の焦点は、レイラ・レイモンドです。彼女に焦点を無理してあてたのは、今後しばらく出番が無さそうだからです(泣)。
何故って、亡命希望者だから前線に出すわけにも。
はやく大手を振って、登場させられる様にしたいですね。