強化人間物語 -Boosted Man Story-   作:雑草弁士

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戦後もけっこう忙しい

 ようやく正式に戦争が終わった。いや事実上サイド3攻略とギレンの戦死によって、戦争は終結していたんだが。だがダルシア・バハロ首相が降伏文書……厳密には停戦協定だが、内容は降伏の確認書であり、それに首相が調印した事で、完全に戦争は終わったのである。軍の武装解除もようやく終わったし。

 そんでもって、戦後の論功行賞的に隊の皆が昇進した。もっともラバンはサイド3戦直後に一足先に中尉昇進してたので、今回は昇進しなかった。だけど奴は、なんとか言う勲章を1個余計にもらっていた。やったな。これで将来退役後の年金が随分違うぞ。

 で、ツァリアーノ中佐は大佐に、アレン中尉は大尉に、デリスとロンはそれぞれ中尉に昇進した。バージルも軍曹に。俺はサイド3戦直前に中尉昇進していたので、今回は無しかと思っていた。そしたら……なんかサプライズ的に大尉昇進した。なんで?俺、副官の末席として仕事手伝ってたけど、俺の昇進の話なんて聞かなかったよ?

 

「そいつぁな、サプライズって奴よ。お前に隠し通すのは、苦労したぜ。」

「ツァリアーノ大佐……。」

 

 いや、なんか変な思念や感情は感知してはいたんだ。だけどさ。悪い物じゃなかったから、放置してたんだよな。レビル将軍はレビル将軍で、思念を隠すの上手くなったよなあ……。俺に大尉なんて、務まるんだろうか。

 まあ、俺は士官学校行ってないから、出世もここで打ち止めだよな。

 

 

 

 ルナ2からジャブローに降りる事になった。レイラたちは、出港の際にまた見送りに来てくれた。レイラの他に来てくれたのは……。

 まずはクスコ・アル軍曹。以前は中尉だったのに、とぶーたれていた。まあ、連邦軍に正式に志願したのが遅れた事とかで、色々手続き上のどたばたがあったらしい。本当は兵卒からの再スタートになるはずだったが、軍属として働いていたのでそれが加味された様だ。

 ユウ・カジマ中尉……こっそり昇進していたが、彼と彼に車椅子を押されて会いに来てくれた、マリオン・ウェルチ伍長。彼女も連邦軍に志願した。彼女も志願が遅れたので、以前ジオン公国軍少尉だったのだが、階級が低くなっている。ただし彼女はMSパイロットコースを選択したので、兵卒からではなく、パイロットとして最も下の階級の伍長となった。

 ここで連邦軍のパイロットの階級だが、本来は少尉が最も下の階級のはずだった。しかし緒戦の敗戦でパイロットの数が圧倒的に足りなくなり、伍長からに制限が緩められていたのだ。そしていまだに元に戻っていないと言う経緯がある。

 他に来てくれたのは……。

 

「よう、ハリー、ケイコ、ジェシー、アルジャノン、カール、ブレット、ハワード、アーヴィン、リサ、ルーシー、メイジー、ニコラ、ルビー。見送りに来てくれたのか?」

「「「「「「うん!!」」」」」」

「ははは、ありがとな。」

 

 このフラナガン機関から救出された子供たちには、ルナ2滞在中なんどか会って、そのたびに一緒に甘味を食べた。子供らの分の勘定を俺が持ったのは、言うまでもないが……。すっかり懐かれてしまったな。

 13人も子供がいると、わやわやと騒がしくなる物だと思っていたんだが……。こいつらは、あまり騒がない。フラナガン機関での「教育」のせいだろう。少し、いや少しどころでなく、不憫になる。

 それでもレイラにオヤツをねだっていた時は、けっこうはしゃいでいたな。……つまり、レイラの努力の結果、か。うん。

 

「大尉さん、元気でね。」

「また会えるよね。」

「ああ。生きていりゃ、またいつか会える。必ず、だ。」

 

 それに俺たちは、レビル将軍派閥の保護下にあるからな。他よりも、縁は強いだろ。と、ここでハリー、ケイコ、ジェシーの比較的年長3人が、思いつめた様な顔をしているのに気づく。俺はしゃがんでそいつらと視線を合わせ、訊ねた。

 

「……どうした?おまえら。」

「……大尉さん。僕ら……。おおきくなったら、またっていうか、あらためて、でいいのかな?軍人になりたいと、そうおもうんです。」

「レイラさんは、こまったような顔をするんです。でも……かんがえたんです。軍人になって、えらくなって、そして政治家になろうって。」

「3人いれば、だれかがそうなれるかもしれないよね?」

「……政治家になって、目的があるんだな?」

 

 ハリーは決然とした顔で言う。

 

「人体実験やめさせる法律、つくるんだ、です。」

「……!!」

 

 レイラは目を見開く。そして少し悲しそうに、寂しげに言った。

 

「そうなの……。わたしには、そこまで話してくれなかったわよね?軍人になりたいってだけで。」

「あれ?」

「あれ?」

「あれ?」

「え?うっかり話してくれてなかっただけなの?」

 

 別な意味で、レイラは目を見開く。と言うか、驚いて目が真ん丸になっている。……可愛い。いやマテ、今大事なのはそこじゃない。

 

「……道は険しいぞ。」

「「「うん!」」」

「覚悟はあるんだな?」

「「「うん!!」」」

「……よし。じゃあ思いっきり勉強しろ。身体も鍛えろ。士官学校を目指せ。軍隊で偉くなるなら、士官学校行かないと駄目だ。わかったか?」

「「「……うん!!」」」

 

 俺は3人に、頷いてみせる。

 

「よし……。待ってろ、俺が……。俺だけじゃないが……。お前らの道を切り開いてやる。」

「大尉さん……。」

「大尉さん。ありがとう……。」

「……あたし、がんばる。大尉さんも、がんばって。」

 

 こいつらは、スペースノイドだ。現状スペースノイドには、参政権は無い。一部特殊例は無くも無いが、無きに等しい。それを、何とかしてこいつらの世代になる前に、打破しないといけない。いや、道が険しいのは、こいつらだけじゃないな。ははは。

 俺は大尉止まりだ。結局は、将軍頼みか?いや、尉官より低い階級でも、政治家になった奴はいる。某ちょび髭の伍長とか。あれは政治家として、この上なく悪い例として語られる人物だが。

 軍人として結果を出して、退役後に政治運動でもしよう。他に方法を見つけたら、その方法も試そう。正攻法でやれる事はなんでもやって、こいつらの道を切り開いてやらないとな。

 登録上はアースノイドである、俺ならば可能性はあるんだ。……零に近くても。ああ、俺、ゼロ・ムラサメだっけ。いいさ、零に近かろうがなんだろうが、可能性掴んでやる。

 決意した俺に、カジマ中尉が歩み寄る。

 

「……。」

「手伝ってくれるのか?カジマ中尉。」

「……。」

 

 カジマ中尉は頷いた。ついでに、ユウでいい、と言われた気がした。

 

「わかった、ユウ。お前も頼むぞ。」

「……。」

「わたしも、できる事は少ないけれど。力にならせて。」

「わたしで良ければ、お手伝いするよ。」

「わたしも……。微力を尽くします。」

 

 レイラ、クスコ・アル軍曹、マリオン・ウェルチ伍長が次々に口を揃える。俺はなんとなく泣きそうな気持になりながら、満面の笑みで礼を言う。

 

「ありがとう……。」

「いえ、お礼を言うのはこっちよ。この子たちの事だもの。」

「そうか……。さて、そろそろ俺は乗艦しないと。じゃ、またな皆。」

「「「「「「またねー!!」」」」」」

 

 子供らが、声を揃えて送ってくれる。ユウが無言で敬礼をする。マリオン伍長、クスコ軍曹がそれに倣う。レイラが何か言いたそうな表情を浮かべるが、思い直して口を閉じ、敬礼して来る。だが俺の人工のニュータイプ感覚には、彼女が寂しいと思ってくれている事が感じられる。俺も寂しいが、彼女がそう思ってくれている事が少し嬉しい。

 俺も彼女たちに答礼を送ると、ペガサスに乗り込んだのだった。

 

 

 

 ラバン、デリス、ロンに加えてアレン大尉に小突かれるが、全て躱してやった。

 

 

 

 ペガサスはジャブローに降りた。ペガサスだけじゃなく、ペガサスⅡやホワイトベース、他数隻の改ペガサス級強襲揚陸艦も一緒だ。ついでと言ってはなんだが、複数の大気圏突入カプセルやシャトルも一緒だった。ルナ2からジャブロー行きの艦船は、今回けっこう多かった。

 ここで、一年戦争中実際の戦闘に、プロパガンダに、と大車輪で活躍したレビル将軍直卒部隊……結局最後まで隊の愛称は付かなかったが、それはともかく、この隊は解隊となる。俺とツァリアーノ大佐は、レビル将軍の副官任務があるから残るが、他の皆はと言うと……。

 まずアレン大尉。

 

「俺は陸軍の、ヨーロッパ方面軍に配属だ。あそこはオデッサ作戦の後、キリマンジャロ攻略作戦とかでアフリカ方面軍に戦力を引っこ抜かれて、少し手薄になってるからなあ。そのテコ入れの一環だそうだ。……俺が、中隊長か。ガラじゃねえなあ。」

 

 次にラバン。

 

「あー、俺は地球連邦海軍だ。コロニー落としで壊滅状態に近いからな。再建の第一歩として、鹵獲した水陸両用MSで編制された隊の、隊長になってくれとさ。隊長機として水中型ガンダムを用意してくれてるそうだ。

 いよいよ俺も、ガンダム乗りだぜ!」

 

 RAG-79-G1水中型ガンダムは、RAG-79アクアジムと基礎設計があまり変わらない、改良されただけのMSだと教えるべきかどうか、俺は悩んだ。まあ確かに、顔はガンダムなんだが……。

 デリスとロン。

 

「俺たちはもう1回、宇宙に上がる。俺は宇宙軍でソロモン行きになって、そこで教導隊の小隊長だそうだ。」

「自分はア・バオア・クーですね。そこで自分も教導隊に配属、小隊長だそうです。ゼロに鍛えられた技量を、できるかぎり伝えますよ。」

 

 バージルの奴は、俺が事務手続きしてやったから、俺がよく知ってる。下手すると奴以上に。

 

「ぼ、僕は北米ウェストポイント士官学校に入学予定です。」

「「「「「「おおおぉぉぉ!!」」」」」」

 

 こいつは一応、レビル将軍の推薦状を貰っている。他の不品行とかも一切無い。まじめだし、履歴書の賞罰欄にも罰点の1つも無い。身体能力テストも、こいつなら通る事間違いなしだ。面接官も、こいつの生真面目な姿勢には好感を抱くはず。だからまず、入学が許可されないなんて事は無いはずだ。

 もしかしてこいつは、途中で死ななきゃいつか俺を使う立場になったりしてな。

 

 ツァリアーノ大佐が口を開く。

 

「貴様ら、隊は無くなっても、俺たちがレビル将軍の下で戦った日々は、けっして無くなりゃあしない。わかるな?

 その、なんだな。そのだな。俺たちは、同じ釜の飯を食った、仲間だ。忘れるんじゃねえぞ。」

「わかってますよ。ところで大佐は、ジャブローに残って何の仕事をするんです?いや副官を兼ねてる事は知ってますが。だけど、大佐が副官なのはあくまで兼務みたいなもんで、主任務は戦闘でしょう?」

 

 アレン大尉の質問に、ツァリアーノ大佐は徐に答えた。意外でも何でもない答えだったが。

 

「ん?レビル将軍の直下で、直属で直接の命令で動く連隊を組織する。その連隊長が、俺だ。連隊の組織が完了した時点で、副官任務も解除される事になるなあ。」

「俺にはまだ何も通達が来てないんですが、その連隊に配属される事になるんでしょうね。」

 

 俺が言うと、ツァリアーノ大佐はニヤリと笑った。つまり違うと言う事だ。いや、まさか専任の副官にされる?大佐からは、面白がる様な雰囲気が、ひしひしと伝わって来ていた。これは……。アレだ。俺が大尉昇進した時と同じだ。

 

「お前さんは本日をもって副官任務を一時解除、士官学校行きだそうだ。」

「え゛。まさか教官任務?」

「違う。そこで勉強する方だ。まあ、士官学校行きは命令じゃなくて、選択肢の1つって言う話だがなあ。

 受けなかったら、俺の連隊入りだが……。受けといた方いいぞ。レビル将軍はじめ、ゴップ大将、ワイアット中将、ティアンム中将の肝いりだからな。」

 

 え゛。んじゃあ大尉になったけど、卒業したら少尉からやりなおしかね。

 

「話受けるのはやぶさかじゃないですが、卒業できるかどうか……。いや入学できるかどうか。

 それと、なんとか卒業できたとして、そしたら少尉に逆戻りですよね。いや、仕方ないんですけど。」

「それなんだがな。お前は、特別な短期1年の圧縮授業コースだから安心しろ。」

「安心できませんって!!」

 

 士官学校の様々なカリキュラムを、1年に圧縮だと!?

 

「大丈夫だ。軍法と部隊運用に集中した特別カリキュラムだからな。お前だけじゃない。全軍から中尉、大尉、まれに少尉クラスの、部隊指揮経験のある士官学校出てない士官を集めて、このコースにブチ込むんだ。そしてこのコース卒業後は、元の階級か、もう少し上の階級として再スタートする。

 これは連邦軍全体で、一年戦争緒戦の敗退により、多数の高級士官を失った事が響いてるんだ。ルナ2なんか、ワッケイン司令は昇進したけど未だに中佐だぞ?なんとしても高級士官を多数、補充する必要があるんだ。」

「だから部隊指揮経験のある尉官を、1年間徹底的にしごいて、促成栽培の高級士官を……。連邦軍だと、士官学校出てない者は佐官にはなれないから……。部隊指揮って言っても、俺の場合バージルだけですが……。」

「おう。入学審査も、形だけだ。相当に悪くねえ限り、通してもらえる。ただし、将官級3名以上の推薦が必要だが。お前はレビル将軍、ゴップ大将、ワイアット中将、ティアンム中将の4人が推薦状書いてくださるから、だいじょうぶだな。」

 

 だいじょうぶじゃないです。期待が重……。い、いや。これはチャンスだ。俺の脳裏には、その時ルナ2にいるはずの、あの子供たちの事が浮かんでいた。特にハリー、ケイコ、ジェシーの3人。俺が上に行って、あいつらの道を切り開く。約束したんだ、守らなくちゃな。

 

「了解しました。そのお話、お受けします。」

「お?な、なんか急に胆が据わりやがったな?」

「おおー、凄いなゼロ。なんか、あっと言う間に追い越されちまったぜ、ははは。」

「ほんとほんと。うちの隊出身の、出世頭になるわけだな。」

「いえ、きちんと卒業するまでは、まだ分かりませんよ?自分も、上に行く事を諦めてるわけじゃありませんからね。」

「階級は今は抜かれたが、見てやがれ。今度は追い抜いてやる。」

「ぜ、ゼロ大尉!頑張ってください!」

 

 隊の皆が、笑顔で言ってくれる。……いい部隊だ。いい隊だった。俺は昔の歌謡曲の様に、上を向く。ほんとに涙がこぼれそうだったからだ。

 

 

 

 そしてツァリアーノ大佐が言う。

 

「お、そうだ。アレン。お前も転属したら、すぐに少佐だぞ。」

「う゛え゛っ!?ちょ、待ってくださいよ!」

「待たん。これも高級士官補充のための一環だ。普通に士官学校出てる尉官も、一時的に昇進の規定をゆるめる事になったんだ。まあ、これも将官級の推薦が必須だし、既に佐官以上の奴の昇進規定はゆるまんのだがな。」

「お、おれは佐官なんて無理ですよ!」

「駄目だ。貴様、レビル将軍の顔を潰す気か?」

 

 アレン大尉ェ……。

 

 

 

 そして俺の士官学校の日々が始まった。……ナイメーヘン士官学校ッ!?しかも俺の従卒に、下級生扱い……厳密には下級生じゃないんだが、そのコウ・ウラキが!!若ぇー。0080時代、16歳のコウ・ウラキかよ。はじめて紹介されたとき、内心で俺はそう叫んだものだ。

 

「ゼロ候補生、自分が、な、何か?」

「あ、いや。そうじゃない。気にするな。」

 

 あくまで下級生「扱い」であって下級生じゃないので、こいつは俺を「先輩」とは呼ばない。呼んではいけない。

 

「あー、ウラキ。俺は本日は外出許可を貰って、人に会う約束をしている。着替える間、済まんが靴を磨いておいてくれるか?」

「はっ!了解であります!」

 

 俺はスリッパ履きで、てきぱきと着替える。ちなみに従卒に身の回りの世話をさせるのは、そうしろときっちり「命令」されている。これも従卒役の士官候補生に対する教育、なのだそうだ。本当は、「済まんが」とか言ってもいけないのだが、ついつい……。

 

「ありg……じゃねえ。よくやったウラキ。」

「はっ!ありがとうございます!」

 

 うっかり「ありがとう」を言ってしまうところだった。礼を言うのはNG、褒めるのはOKらしい。よくわからん。俺はウラキに部屋の掃除を命じて、寮の部屋を出た。……自分でやらんと物ぐさになるんじゃないかな、と思わなくもない。

 

 

 

 俺は街中の喫茶店で、人と会っていた。相手は連邦宇宙軍の、イギリスはベルファスト基地にある宇宙港の警備隊に所属しているMSパイロットの少尉さんだ。向こうも貴重な休暇を使って、オランダのナイメーヘンにいる俺に会いに来てくれている。ぶっちゃけた話、レイラだった。ベルファスト基地は、現状レビル派で埋め尽くされているから、安心だ。

 

「……それでね、あの子たちからの手紙によるとね。ハリーとケイコとジェシーは、競い合うようにして必死に勉強してるらしいわ。通信制の学校に入学して、少しでも将来の士官学校入学に有利になる様にって、頑張ってる。」

「そうか……。俺も負けてられないな。……ツッ!」

「だ、大丈夫?」

「ああ、いつもの頭痛だ。大事ないさ。……士官学校内では、うかつに頭痛持ちだなんて知られたくないからな。表に出せなくてさ。身体が健全だって触れ込みだからな、入学の際に。

 こうして頭痛を表に出せるのは、久しぶりだな、ははは。」

 

 俺は笑った。頭痛の事を、笑い話にできるとは思わなかった。

 

「クスコが、今はあの子達を見ていてくれるけど……。ときどき会いたくなっちゃうのよね。」

「ははは。少し妬けるな。」

「ふふふ。あの子らに?」

 

 俺はチョコレートパフェをスプーンでひとさじ口に運ぶ。……美味い。なんと言うか、復興の味だ。街を建て直し、人を集めて経済も建て直した、その証の味。甘い。美味い。

 レイラも同じチョコパフェを頼んでおり、ちょびちょびそれを食べている。と、彼女の眼が笑う。彼女はパフェのソフトクリームをすくった自分のスプーンを、すっと無拍子で差し出して来た。

 いや、俺なら避ける事もできたよ?でも避けちゃいかんだろ、この場合。そのスプーンは、俺の口の中に突っ込まれた。……レイラは、いたずらそうな瞳でこちらを見ていたが、自分が何をやったのか、よく考えてみた様だ。

 いきなりレイラは、真っ赤になった。たぶん俺の顔も赤い。……その味は、すごく甘くて、すごく美味かった。




あ、まーーーい!!甘い甘い甘い!!
書いてて背中が痒くなったッ!!
孫の手、孫の手!!

でも描きたかったんです。

でもって、主人公が受けた特別コース(卒業後元の階級もしくは少し上の階級になる)は、大ウソです。現実にはそんなコース無いです。ロバート・A・ハインラインの『宇宙の戦士』でも、野戦任官の中尉が士官学校行って、卒業後は少尉になるハズでしたからね。だけどその元中尉の士官候補生は……。いえ、『宇宙の戦士』をお読みください。
だけど、とりあえず理屈コネてこんな制度が存在する事にしました。
なんて言ったって、『アクシズの脅威V』だと、一般人パイロットが士官学校も行かずに昇進を重ね、大将になる事も理論上不可能では無いのですから。『アクシズの脅威V』世界ゆえの制度だとお考えいただければ……。

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