強化人間物語 -Boosted Man Story- 作:雑草弁士
見た目がゴツイ女性兵士4名に囲まれる様にして、俺たちのミデア改に「お客さん」が乗り込んで来る。頬がこけて、目が細くきつい印象を与える細身の女性だ。……キシリア・ザビだ。ふっと苛立ちの様な物が、俺の中に湧き上がる。
俺の中に焼き付けられた、ジオン公国への憎悪だ。今はそれはかなり薄まっている。薄める事に成功している。しかし消せる事は無いだろうとも思う。それはそうだろう。後から焼き付けられ、増幅された憎悪だけじゃなく、ゼロ・ムラサメの中にはコロニー落としで全てを失った少年の、嘆きと怒りの叫びが残っているのだ。
その憎しみを噛み殺し、彼女らと一緒に乗り込んで来た男性士官に敬礼を送る。その男性士官、少佐は答礼を返して来ると、自己紹介をしてきた。
「自分は、諜報部のアーロン・アボット少佐です。今回の護送任務について、一切を任されております。ですが、基本戦闘に関しては門外漢なので、口出しはいたしません。一年戦争の英雄、超エースのゼロ・ムラサメ少佐とご一緒できるとは光栄ですね。」
「自分は、ツァリアーノ連隊第01独立中隊「オニマル・クニツナ」隊部隊長、ゼロ・ムラサメ少佐です。こちらは副官のレイラ・レイモンド少尉。戦闘オペレーターのマリー・アップルヤード曹長。以後、お見知りおきを。
……諜報部である事を、明かしてかまわないのですか?」
「かまいませんよ。諜報部員ではあっても、諜報員ではありませんからね。と言いますか、役柄上諜報部員であっても、表に出ざるを得ない場合が多々あります。自分はそう言った場合の駒ですよ。それと、今回みたいな場合の、ね。
しかし、「オニマル・クニツナ」ですか。天下五剣の一振りでしたね。」
……さすが諜報部員。諜報員じゃなくとも、たいした知識量だわな。いや、かつては諜報員だったのかも知れないな。きっと顔が売れちゃって、スパイとしての活動が不可能になったんで引退したんだ。
「ご存知でしたか。刀……ジャパニーズ・ブレードの名前だと知る者は、今のご時世数少ないのですがね。」
「ははは、偶然ですよ。……さて、今回の護送計画について説明いたします。機長には、お手数をおかけして申し訳ないのですが、後ほどそちらから……。」
「了解です。さてアップルヤード曹長、そちらのご婦人方を、用意したお部屋へご案内してくれ。」
「はっ!了解です!」
ヤバいお客を別室に閉じ込めておき、ミデア改のキャビンに置かれている粗末な応接セットに、俺たち3人は座った。アボット少佐が世界地図を広げる。
「今、我々はここ、オーストラリア大陸のトリントン基地にいます。「お客様」の移送先はここ、南米はジャブロー基地です。」
「防備を薄くしてカムフラージュした、ここトリントンから、一気に最大の防御を誇る本拠地へ移送ですか。」
「そうです。で、トリントン基地から南太平洋を空中給油で渡り、一気に南米ジャブローへ……。」
海の上を飛んでいくんだから、俺たちMS部隊はあまり役に立たないじゃないか。そう思ったのだが。
「と、当初は計画していたのですが……。あー、漏れたみたいでして。今、内部のスパイを追っています。」
おいいいぃぃぃ!?
「で、レビル将軍から、いざと言う時は現場の判断を認める、との言質も取っておりますので。ですから現場の判断で、こちらのルートを取ろうかと。いや、地球が丸くてよかったですね。」
「……壮大に遠回りな気がしますが。逆に危険が大きくなりませんか?」
「南太平洋に、水陸両用MSを積んだユーコンやマッドアングラーが集結しているとの情報がありましてね。そちらよりはマシかと。」
……地球上のジオン残党で、一番勢力がでかいのが、潜水艦隊だ。連邦海軍は最初のコロニー落としによる津波などの被害により、ほとんど壊滅状態なのだ。その後も残った水上戦力は、ジオンの水陸両用MSに好き放題にやられた。ジオン公国が滅びた今も、逃亡した潜水艦隊を滅する事はなかなか叶わないでいる。
俺たち元レビル将軍直卒部隊から、海軍に転属していったラバンに期待したいところだが……。個人レベルではなかなか戦局に影響を及ぼす事は、できないだろうなあ……。でも頑張れ、水中用ガンダム乗り。
それは置いといて、このおっさん何考えてるんだ。トリントンから進路を北西に取り、インドネシア、インドシナ、インド、アラビアを経由してオデッサ基地へ。そしてそこからヨーロッパを経由してベルファスト基地へ。ベルファスト基地から大西洋を渡りニューヤーク基地、そしてアメリカからメキシコを経由して南米へ渡り、ようやっとジャブローへ。
可能な限り地面の上を飛ぶのはわかる。これなら途中でミデア改墜ちても助かるかもしれん。だが……。
「旅程が長すぎます。途中で何があるか……。」
「ですが、南太平洋を突っ切るルートでは撃墜必至です。またハワイ経由で北アメリカを回る事も考えましたが、海上を飛行しているうちに残党の潜水艦隊に捕捉される可能性を考えると。
幸い、インドシナ半島のジオン残党掃討作戦は、成功裏に終わっております。残党に偶然に遭遇する危険は、このルートの方が少ないのです。また、もし遭遇したとしても地面の上ですから、あなた方のMS戦力を有効に活用できます。」
「途中の補給は……。」
「諜報部の極秘ルートで、途中の基地に補給の要請をしています。何も無計画にこちらのルートを押しているのでは無いのですよ。」
つまりは決定事項を伝達しているだけ、と言う事か。俺のニュータイプ感覚でも、この男が嘘を言っているとは思えなかった。もし万一、こいつ自身が情報漏れの大元だったりして、こちらを引っ掛けて罠に落とし込む、なんて事も疑ってみたのだが……。考え過ぎだった様だ。
ただ、敵ではないにせよ、な~んか隠してる気はするんだよな。諜報部員なんてのは、隠し事があって当然とも思うが。
俺はシロー中尉の第01独立小隊を含めた全小隊の小隊長をミデア改1番機に集め、アボット少佐の言った事を皆に伝達した。皆は唖然とする。
「……と言うわけで、アーロン・アボット少佐は何か隠してるとは思う。だが、彼は確かに上の指示の範囲内で動いてるのは間違いないんだ。拡大解釈はあれど、な。
おまけに、任務達成のためには確かにこのルートしか無い。いや、別ルートも考えられるは考えられるが、海の上を渡るのが最低限のルートは、これだって言うのは間違いない。」
「……。」
「そうだな。」
「……。」
「ああ。」
ユウの言った通り、悩んでも仕方がないのだ。彼の指示に従う様に、とのレビル将軍の命令書もある。少なくとも、何か問題はあったとしても、俺たちの戦力でどうにかなる範囲の障害だと、上は考えているのだろう。
フィリップ中尉が皆に発破をかける。
「かー、そんならさっさと行っちまおうぜ?ユウの言った通りだろ?」
「ちょ、ま、待ってください。ユウ中尉、何か仰ったんですか?ときどき自分だけ中尉の言葉がわかってないんじゃないかと思う場面はありましたけど……。」
「お、俺もわからない……。」
「ああ、クリス少尉もシロー中尉も、慣れてないからな。慣れればわかるぞ。」
唖然とする2人に、フィリップ中尉がユウの言った事を説明してやっていた。ああ、ちなみにここしばらくで、全員ファーストネームで呼び合う様になってたよな。なんか部隊の雰囲気が良くなったみたいで、いい事だ。
そんなわけで、俺たちは各々のミデア改に戻ると出立の準備を始めた。
俺たちのミデア改は、ひたすら飛んだ。オーストラリア北部、インドネシア諸島、インドシナ半島、インド北部……。ところどころにある連邦軍基地で燃料と食料その他の物資を補給し、ひたすら、そう……ひたすらに飛んだのだ。そして俺の機嫌は、かなり悪くなっていた。
「……飽きた。」
「しょうがないわよゼロ。」
「わかってるんだ……。だが……。」
俺の目の前には、チョコレート菓子の包み紙が散らばっている。俺はそれを片付けつつ、哀し気な口調で呟く。
「手の込んだ菓子が食いたい……。」
「もう……。アラビア半島を越えて、しばらく飛べばオデッサ基地でしょ?あそこの中央基地ほどの大規模基地のPXなら、きっとカップケーキとかプリンとか、ルナ2基地で出してくれてた程度の物はあるわよ。」
「ああ、だといいんだが。」
俺はしばらく、手の込んだ甘味を食べていなかったのである。レイラが笑いながら、キャビンに備え付けのキッチンから何か持って来た。
「はい、大きな坊やはこれでしばらく我慢してちょうだいね。」
「パンケーキ!生クリーム乗ってるじゃないか!」
「ミデア改のキッチンだと、これぐらいしか、ね。材料も無いし。」
「いやいや、美味そうだ!……レイラの分は?」
「あるわよ?ふふふ。」
俺たちは、キャビンの応接セットのテーブルに向かい合って、パンケーキを食べ始めた。この隣の部屋に、キシリアがいる事なんて、忘れるぐらい美味かった。え?互いに「あーん」とか?したに決まってるじゃないか。
で、食い終わって片付けていた時の事だ。俺は頭の中でヘビがうねる様な痛みが走るのと同時に、閃光の様な輝きが脳裏に走るのを感じる。俺は端末に飛びつくと、ミデア改全体に放送を行った。無論コクピットにもだ。
「敵襲!コクピット、機体をランダム回避させるんだ!他の機体にも伝えてくれ!MSパイロットは機体に搭乗、出撃準備!マリー曹長は、ミデアのコクピットに入れてもらえ!そこから戦闘管制を!」
『こちら機長、了解!』
ぐぐぐっ、と機体が傾ぎ、ランダム回避のGがかかる。それに負けずに、俺とレイラはコンテナ内へと走った。窓から、曳光弾が飛ぶのが見える。第2小隊を載せた2番機は、マリオンが乗っているから敵襲に反応できているだろう。できていて欲しい。だが3番機から5番機は無事だろうか。
俺はアレックス3のコクピットに飛び込んだ。その寸前、ジム・カスタムにレイラが飛び込むところが見えた。少し遅れて、ィユハン曹長がジム・キャノンⅡへと走り寄るのが気配でわかる。
「マリー曹長!1-0、アレックス3出撃準備完了!他のミデア改は無事か!」
『4番機被弾!ですが被害は軽微!「オニマル・クニツナ」隊全機、第01独立小隊全機、出撃準備完了してます!』
『ゼロ少佐、こちらアボット少佐!……できれば数人、せめて1人でも生かして捕まえて欲しいんですが、可能ですか?』
突然割り込んできたアボット少佐に、俺は笑って答える。
「運しだいです。俺は、いえ自分は敵の命より部下の……仲間の命が大事なので。」
『でしょうな。ですが、心の片隅にでも留め置いてくだされば。』
「了解。……カーゴ開け!全MS、発進せよ!」
俺たちは、一気に空中にMSを躍らせた。マリー曹長の声が響く。
『敵は目視によればザクⅡが9機、3個小隊です。形状からタイプの判断はつきませ……いえ、1機だけはMS-06FZザク改です!頭飾がついているので、中隊長機かと!』
「こちらも目視で確認した!」
そして俺はビームライフルでそのザク改を撃つ。あたり所が悪く、爆散した。中隊長機をいきなり失った敵は、算を乱して逃走をはじめる。まあ、あたりまえだろう。こちらは5個小隊総勢15機の、最新鋭機プラス一年戦争中の機体ではあるがガンダムタイプだ。だがな、悪いが逃がさん。
ユウ、マリオン、レイラのジムカスタムのジム・ライフルによる射撃が、1機ずつのザクⅡを穴だらけにする。そのザクⅡは、1機が爆散、2機は大地に倒れ伏した。俺のニュータイプ感覚には、そいつらがまだ生きているのが感じられる。
俺たちはスラスターを噴かし、敵が逃げるその周囲を取り囲む様に着地する。相手のザクⅡ5機は、怯んだ様にあとずさり、包囲の中央に集まって行った。……こいつらが攻撃してきたのに、なんか俺たちがいじめてるみたいな気になってきたな。俺は降伏勧告をする事にした。
オープン回線と、外部スピーカーを開く。
「……抵抗は無駄だ。武器を捨て、降伏しろ。正当な裁判を約束する。だが、拒むとあれば……。」
俺はアレックス3に、ビームライフルを前に突き出させる。部隊の全機が、それに倣ってジム・ライフルで狙いをつけた。そして第01独立小隊の3機のガンダム・ピクシーもまた同じく、マシンガンを構える。
と、1機のザクⅡがマシンガンを捨てた。
『こ、降伏する……。』
『お、俺もだ!隊長が死んだのに、やってられねえ!』
『降伏する!降伏する!撃つな!』
次々とザクⅡが武器を捨てて膝立ちになり、コクピットのハッチを開く。そしてパイロットたちが飛び出して来ては、手を上げて膝をついた。戦闘はあっけなく終わった。
捕虜たちを縛り上げて集めておいた場所から、アボット少佐が肩を落として戻って来る。アボット少佐は捕虜の尋問を行っていたのだ。ちなみにミデア改各機は、今俺たちのMSの傍らに着陸していた。俺はアレックス3のコクピットを開き、アボット少佐に訊ねる。
「何かわかったんですか?」
「はぁ……。こいつらは、補給物資欲しさに偶然見つけたミデア改の5機編隊を、大物の獲物だと思って攻撃しただけなんだそうで。こいつらは根拠地、MSの整備に使っている廃基地の場所も吐きましたよ。連邦軍の廃棄した基地に整備機材を持ち込んで、根拠地にしてたんだそうで。
そこには整備兵とかがいるらしいですよ。……連邦軍補給部隊の捕虜とか、あと「女」も複数名、ね。……近隣の街から、「そう言う用途」に使うために攫ってきたそうで。」
アボット少佐は、苛立たし気に唾を吐く。女性隊員たちは、一瞬何のことか考えた後、殺気立った。俺も、むかっ腹を立てていた。
「降伏勧告なんか、しなきゃよかったかな。」
「連邦軍も、末端の兵士は規律が緩んで、似た様な事やってたって話も聞きますがね。どの軍も、同じですな。」
「救出に行きたいが……。我々の任務の都合上、そうもいかん、な。近隣の連邦軍基地に連絡して、派遣する部隊を編制してもらおう。それと、こいつらも引き取ってもらわないとな。マリー曹長、頼む!」
ミデア改1番機のコクピットにいるマリー曹長が、一番近隣の連邦軍基地に出動要請を行う。俺たちはそれを待とうとMSを膝立ちにして、機体を降りて休もうとする。
だが……。
「!?……くうっ!!痛ゥ!!
全員!機体から降りるな!全機戦闘態勢!!」
『『『『『『了解!!』』』』』』
全員が俺の指示に、即座に従ってくれる。頭は痛いが、気分は少し良い。だがそれじゃあ済まない。
ミデア1番機の隣に、MS用バズーカと思しき砲弾が着弾して爆炎を上げた。
『1-0!こちら0-0!敵はMS-09ドム1機、MS-09Fドム・フュンフ1機に、MS-09F/TROPドム・トローペン1機!
いえ、その後に複数機確認!機種は今、確認します!』
「やらせてたまるかあっ!!」
俺はアレックス3を全力噴射でジャンプさせる。MS-07B-3グフ改良型が2機、MS-07Bグフが1機、MS-05BザクⅠが1機、MS-06JザクⅡ陸戦型が1機、MS-06F-2ザクⅡ後期生産型が1機……。これにタイプがそれぞれ異なるドム系が3機か、随分バラエティに富んだ奴らだな。む、戦闘指揮車まである。
アレックス3はビームライフルを撃つ。そのビームは、ドム・トローペンの右腕を貫き、爆発させた。……ヤバイ!
「こいつら腕利きだぞ!気を付けろ」
レイラ機がジム・ライフルでノーマルのドムを狙う。そのドムも、左腕が爆発する。いや、違うんだ。こいつら、さっきのドム・トローペンも、射撃躱せないと知ると腕を犠牲にして防ぎ、その腕が爆発する前に切り離して誘爆を防ぎやがったんだ。すげえ腕利きだ。「白狼」「紅い稲妻」に下手すると匹敵する。
ドム・フュンフがヒートサーベルを抜き放ち、アレックス3に突進して来る。ィユハン曹長機がビームキャノンを連射するが、すいすいと躱して俺のアレックス3に接敵した。が、悪いな。俺は格闘戦の方が得意なんだ!
一瞬でビームサーベルを抜き放ち、居合切りの要領でドム・フュンフの右腕を斬り落とす。いや、胴体を狙ったんだが躱されたんだ。流石に凄い腕だ。だが……。
俺はアレックス3の左腕に仕込まれた90mmガトリングを開放、ドム・フュンフの胴体目がけて至近距離から撃ちまくった。……こいつ、左腕でコクピットだけはかばいやがった。だが駆動系をやられたドム・フュンフはゆっくりと倒れる。
見ると、レイラのジム・カスタムはドム・トローペンを蜂の巣にしていた。だがそいつも致命的な場所への着弾は、残った左腕で防いでいる。
『き、さ、ま、らあああぁぁぁ!!劣等人種が、優良種である俺たちに歯向かいやがって!!』
オープン回線で叫んで、通常型グフが飛び込んで来た。こいつ……。レンチェフ、か。俺は機体にペイントされた、狼の紋章をはっきりと確認していた。こいつら、「闇夜のフェンリル」隊だ。ち、バタフライ効果で、降伏もしなけりゃ1人も欠けてもいなかったのか。
「1-1!レイラ、下がれ!お前格闘戦は苦手だろ!近接支援をたのむ!」
『こちら1-1!1-0、了解です!』
『逃がさん!』
「しつこい!」
俺はレイラ機とレンチェフ機の間に強引に割り込み、ビームサーベルで斬りかかる。
ふと横眼で見ると、ユウたちは2機のグフ改良型に釘付けにされている。と言うか、2機がかりでユウを釘付けにしており、他の機体には牽制しかしていない。マリオンですら、ユウとあの2機の戦闘に入り込めないでいる。
他のザクの群れで、第3、第4小隊と第01独立小隊を押しとどめている。……!?
「第01独立小隊!シロー中尉!ミデア改1番機の警戒をしろ!今やりあってる敵は無視しろ!やつらキシリアを奪う気なら、歩兵戦力を伏せている可能性が高い!」
『……!!こちらシロー中尉、了解!!カレン!サンダース!』
『あいよ、了解。』
『了解です、隊長!』
次の瞬間、俺は激しい殺気を感じ、機体をブーストダッシュで後退させる。レンチェフ機は嵩にかかって追って来ようとした。そこへ爆炎がいくつも上がる。
『そのグフに手を出すな!やつは俺の獲物だ!俺の……サカキの、みんなの仇だ!
そいつを殺すのは、この俺だあっ!』
うっわ、こっちもバタフライ効果かよ。妄執から抜け出せて無いじゃんか。エイガー、RX-78-6ガンダム・マドロック……。
まだかなり遠いが、ホバー走行でこちらへ突進してくるガンダム・マドロックの姿が見える。胃が痛くなるほどの殺気、殺意をひしひしと感じた。
サカキ、生きててほしかった……。(´;ω;`)ブワッ
エイガーがんばれ、レンチェフなんてブッ潰しちまえー!