強化人間物語 -Boosted Man Story-   作:雑草弁士

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3人の大尉

「お願いです!それだけは勘弁してください!今でさえ、いっぱいいっぱいなんです!」

 

 俺の執務室で土下座をしてそう叫んだのは、「オニマル・クニツナ」隊第4小隊小隊長くりすちーな・まっけんじー女史である。俺もレイラも、唖然として大口を開けてその様子を眺めるしかなかった。

 いや、実は4か月後あたりに大尉昇進してもらって、新生「オニマル・クニツナ」大隊の第3中隊中隊長を務めてもらおうと話を持ち掛けただけなんだ。それだけなんだが……。まあ、無茶だったか……。そらそうか。昨年5月末、俺が士官学校の突貫カリキュラムを卒業して直後に「オニマル・クニツナ」隊発足。その際に突然小隊長枠に押し込まれたんだったな、彼女は。

 いや、押し込んだのは俺とレイラだけど。

 それはともかく、そのときに突然指揮経験も無いのに小隊とは言え隊長にさせられて……。1年も経って無いのに、すぐ中隊長は無茶かあ……。となると、もう1人大尉クラスを探さないとなあ。

 

「あー、わかった。中隊長推薦は撤回する。無茶言って悪かったな。」

「ほ、本当ですね?よかったあああぁぁぁ……。」

「いや、そっちが安心してる分だけ、こっちは頭痛いんだが。どこかに手の空いてる有能な大尉、いないもんかね。」

「最悪、大佐にお願いするしか無いかもしれませんね、少佐。」

 

 レイラの言葉に頷き、俺は地球のジャブロー基地にいるツァリアーノ大佐に送るメールを書くのだった。

 

 

 

 そして今度はフィリップ中尉だ。

 

「あー、クリス中尉が断ったって話、聞いたんですけどよ。俺も断っちゃ、だめですかい?」

「そんなに大尉になりたくないのか?」

「いや、大尉の給料はいいんですけどよ……。中隊長の職責はなあ……。ィエルドの野郎を抱えてる今なら、なおさらです。今アイツはぐんぐん伸びてる最中です。水泳に例えるなら、もうちょっとで、そう、あとほんのちょっとで、バタ足してる補助の手を放してもいい頃合いだ……です。だけど……。」

 

 あー、そう言う懸念もあるか……。そうだよなあ。中隊長になると、1人1人はそんなに見てやれないからなあ。

 

「……。」

「今、手を放したら奴は沈んじまう。と言うか、どこへ行ってどう変な状態になるやら、だ。過保護かもしれやせんがね。奴が独り立ちしたなら、その後なら中隊長受けてもいいんですがね。あと半年は駄目ですわ……。」

「……了解だ。残念だが、撤回しよう。」

「へーい。」

 

 困った。そうなると計画が大幅に狂ってくるぞ。俺の隣で、レイラも困り顔をしている。その様子も可愛いが、なんとか計画を練り直さねばならん。と、そう思っていた矢先の事だった。

 

 

 

 大尉がやってきた。

 

「『はじめまして』、ゼロ少佐。少佐の武勲は『この上なく』良く存じておりますよ。自分はクワトロ・バジーナ大尉であります。」

「……何やってんだ、シャア。」

「自分はクワトロ・バジーナです。それ以上でも以下でも……。」

「あるだろうが。」

「くくく。まあ、あるんだがな。」

 

 赤い特別製の連邦軍制服と、黒いグラサン。機体、赤か金に塗ってやろうか。って、なんか「ある」のか。本気で。

 

「本気でなんか「ある」のか?」

「ああ、少々な。「オニマル・クニツナ」大隊は再編制完了しだい、ジオン残党との戦いの最前線へ送られることになっている。まあ今もさほど変わらん様だが。

 それでジオン軍をよく『知っている』わたしが、ゼロ少佐……昇進後は中佐になるが、そのアドバイザーとして、送り込まれたのさ。ツァリアーノ大佐の心遣いだ。」

「なるほどな。ところでお前の正体は、何処までだったら喋っていいんだ?下手に秘密にすると、部隊内で不和の原因になりかねん。」

「それこそ、「オニマル・クニツナ」隊の中だけで秘密にしてくれるなら、隊の中には話してくれていい。」

 

 ……変わったな、シャア。雰囲気も落ち着いている。なんというか、「機動戦士Ζガンダム」に登場していたクワトロ大尉には頑なさみたいな物があったが……。ずいぶんと丸くなっている。やはり奴の左手薬指についている、飾り気のない指輪が原因だろうか。婚約指輪なら派手なハズだから……。

 

「シャア、ララァと結婚したなら連絡ぐらいよこせ。祝いの品や、祝電ぐらいは贈らせてくれてもいいだろうに。」

「ふ、「オニマル・クニツナ」隊は無茶苦茶忙しいと聞いていたのでな。」

「遠慮なんかするな。なあレイラ。……レイラ?」

「……ぜ、ゼロ。この人、「赤い彗星のシャア」?う、嘘でしょう?」

「「あ。」」

 

 そうか、レイラは俺とシャアが知己だって知らなかったんだっけな。副官口調も忘れて、地が出てる。

 

「あー、レイラ。こいつがシャアだってのは、隊外秘な?それと何処に耳があるかわからんから、この部屋の外ではクワトロ大尉って呼ぶ様にな?」

「え、ええ。わかったわ。」

 

 さて、編制はどうするべきか。ほんとは第03中隊に新しく来た大尉を据えるつもりだったんだが、俺へのアドバイザーと言う意味合いがあるとなると……。第03ではなあ……。どうしたものかな。

 

 

 

 そうこうしている間に、もう1人大尉が来た。クワトロ大尉が来てから1か月半ぐらい経過した頃合いだった。

 

「はじめまして、ゼロ少佐。自分は元木星船団輸送船ジュピトリス責任者、パプテマス・シロッコ大尉であります。少佐のことは、レビル将軍ご自身からよく聞かされております。」

「そうか……。たしか木星船団の地球圏到着は、あと1年後じゃあなかったか?」

「はい。ですが長距離レーザー通信により、レビル将軍から直々に招聘されましてね。その上、特別製の高速艦をもって迎えに出されては……。これほどの待遇で迎えられては、受けねばなりますまい。」

 

 言いながら、シロッコは精神の手を伸ばして俺を探りに来た。俺を見極めるつもりなのだろう。だから俺は、堂々と精神の扉を開き、全てまるごと見せてやった。見せた内容よりもシロッコは、その俺の態度に愕然とした様だ。

 

「お、おまえは……。」

「ふ、取り繕った態度より、そちらの方が好感を持てるな。シロッコ大尉。別に口調も普通でかまわないぞ?」

「……お前の力は強大だ。だがお前はニュータイプではない……。」

 

 俺は笑った。

 

「ははは、その通りさ。俺は自分がニュータイプだなんて思っちゃいない。俺はニュータイプの力だけを持った、オールドタイプさ。だが、宇宙時代に則した、新時代にふさわしい考え方ができる様になれば……。こんな力なんてなくとも、それはニュータイプだと思うぜ。」

「……。」

「なあシロッコ。お前がニュータイプなら、教えてくれないか。俺たちニュータイプの力を持ったオールドタイプたちが、殻を破ってニュータイプになるためには、何が必要か。どんな考え方をすれば、それはニュータイプなのか。」

 

 シロッコはしばし黙したあと、言葉を発する。

 

「わたしは愚かな民衆には、絶対者としてのわたしの指導が必要と、常々考えていた。しかし、おまえはそれでは駄目だ、と言うのだな?事実、お前に見せられた様々な事柄の中には、愚かではあったが別の意味で優秀だった、マコーマック博士とやらの開発した技術の存在もあった。

 誰一人として取りこぼさずに、ニュータイプへの革新を行う……。いや、おまえから言わせれば、ニュータイプそのものではなく、ニュータイプ能力者であるだけのオールドタイプ……だが。」

「……。」

「ニュータイプ能力を持っているならば、必然的に徐々にお前の言う、「新たな考え」に目覚めて行く……そう思うのだがな。全ての者が、力だけ持っていても駄目だと言うのは理解できる。

 ……おまえを、見定めよう。レビル将軍を見定めると共に。そして必要とあらば、内側から食い破るぞ。そうならん様に、充分気を付ける事だ。」

 

 俺はにやりと笑う。そして右手を差し出した。シロッコも、右手を差し出す。何か妙な物と密約を結んでしまったような気がした。

 

 

 

 この半月で、一度シロッコ大尉とクワトロ大尉が険悪になりかけたり、それを仲裁したり、色々あった。まあ、あの2人はちょっと合わないところがあるからな……。まあ頭は俺より数段良い2人なので、落としどころと言うか距離感を見極めてからは、ぶつかる事は無くなったが。

 そうこうしている間に、もう1人大尉がやって来てくれた。なんと言うか、非常に人格的にマトモな奴。非常にほっとした。

 

「自分は、マスター・P・レイヤー大尉であります。部下の特務MS小隊「ホワイト・ディンゴ」小隊と共に、着任いたしました。」

「ご苦労、大尉。こんな若造が上役で済まんな。宇宙の感想はどうだい?」

「自分の任地はほとんどが地球上でしたから、見るもの全てが珍しいですね。」

 

 ええと、今のホワイト・ディンゴ隊はMS7機のホバートラック1輌だったな。ふむふむ、なるほど。

 

「隊名の「ホワイト・ディンゴ」だが、愛着があるなら貴官が新たに率いる第3中隊を、そのまま「ホワイト・ディンゴ」中隊として名乗らせておいてくれ。」

「はっ!ありがとうございます。お言葉に甘えまして、そうさせていただきます。」

 

 ふむ……。レオン・リーフェイ少尉、マクシミリアン・バーガー少尉、ジアン・フェン曹長、アキーム・ウラディスラヴィチ・ゴンチャロフ曹長、マイケル・ニューマン軍曹、ランディー・ブレイン軍曹、ヘルカ・パータロ伍長がMS要員。アニタ・ジュリアン曹長がホバートラックでの管制要員か。他にもボブ・ロック曹長以下の優秀なメカニック要員が付いて来ている。

 

「どうする?マクシミリアン少尉とレオン少尉は中尉昇進させてもよいとの内諾を貰っているが……。」

「それでお願いします。奴らに第2小隊、第3小隊を率いらせ、自分は第1小隊を率います。搭載艦の規模から、この「オニマル・クニツナ」隊では1個中隊が3個小隊なのでしたね。」

「ああ。ではそのように頼む。指揮官でない一般隊員は、連れて来た「ホワイト・ディンゴ」隊員はそのまま横滑りで頼む。それ以外は、早速選抜に入ってくれ。目をつけている者がいたら、俺の名前を出してもいいから引っ張ってきてくれ。」

「了解しました。」

 

 敬礼と答礼を交わし、レイヤー大尉は退出していく。さて、編制をどうしたものかな。

 

 

 

 そして宇宙世紀0082、6月27日。とうとう俺は中佐昇進、「オニマル・クニツナ」隊は「オニマル・クニツナ」大隊へと拡張された。編制は以下の通りである。

 

 

 

レビル将軍直属大隊第01独立部隊「オニマル・クニツナ」大隊:

大隊指揮小隊(司令部小隊):

 大隊長:ゼロ・ムラサメ中佐

    (RX-78NT-1:アレックス3)

 大隊副官:レイラ・レイモンド中尉

    (RMS-117:ガルバルディβ)

 隊員:ファング・ィユハン准尉

    (RMS-106CS:ハイザック・カスタム)

 管制:マリー・アップルヤード准尉

    (M353A4:ブラッドハウンドホバートラック)

 

独立偵察小隊:

 小隊長:リディア・ターラント中尉

    (RMS-119:アイザック)

 隊員:ホーリー・ヴィンセント少尉

    (RMS-119:アイザック)

 隊員:エルサ・ニールンド伍長

    (RMS-119:アイザック)

 隊員:ヘイデン・ファーバー軍曹

    (RMS-117:ガルバルディβ(護衛機))

 

第01中隊:

 第01小隊(指揮小隊):

  中隊長:クワトロ・バジーナ大尉

    (RX-78NT-1:アレックス5(新造機))

  隊員:タクヤ・カトウ少尉

    (RMS-106CS:ハイザック・カスタム)

  隊員:ザカリー・アルドリッジ伍長

    (RMS-106CS:ハイザック・カスタム)

 

 第02小隊

  小隊長:フィリップ・ヒューズ中尉

    (RMS-106CS:ハイザック・カスタム)

  隊員:ブリジット・サトウ軍曹

    (RMS-106CS:ハイザック・カスタム)

  隊員:イェルド・ショールバリ伍長

    (RMS-106CS:ハイザック・カスタム)

 

 第03小隊

  小隊長:(欠員)

  隊員:(欠員)

  隊員:(欠員)

 

第02中隊:

 第01小隊(指揮小隊):

  中隊長:ユウ・カジマ大尉

    (RX-78NT-1:アレックス2)

  隊員:マリオン・ウェルチ曹長

    (RMS-117:ガルバルディβ)

  隊員:コーリー・ディズリー曹長

    (RMS-117:ガルバルディβ)

 

 第02小隊

  小隊長:クリスチーナ・マッケンジー中尉

    (RMS-117:ガルバルディβ)

  隊員:ウェンディ・デッカー軍曹

    (RMS-117:ガルバルディβ)

  隊員:エイミー・マーケット伍長

    (RMS-117:ガルバルディβ)

 

 第03小隊

  小隊長:ヤザン・ゲーブル中尉

    (RMS-117:ガルバルディβ)

  隊員:ラムサス・ハサ少尉

    (RMS-117:ガルバルディβ)

  隊員:ダンケル・クーパー少尉

    (RMS-117:ガルバルディβ)

 

第03中隊:ホワイト・ディンゴ中隊

 第01小隊(指揮小隊):

  中隊長:マスター・ピース・レイヤー大尉

    (RX-78NT-1FA:アレックス6(フルアーマー仕様))

  隊員:アキーム・ウラディスラヴィチ・ゴンチャロフ曹長

    (RMS-106CS:ハイザック・カスタム)

  隊員:アレシア・グラナドス伍長

    (RMS-106CS:ハイザック・カスタム)

  管制:アニタ・ジュリアン曹長

    (M353A4:ブラッドハウンドホバートラック)

 

 第02小隊

  小隊長:レオン・リーフェイ中尉

    (RMS-106CS:ハイザック・カスタム)

  隊員:ランディー・ブレイン軍曹

    (RMS-106CS:ハイザック・カスタム)

  隊員: レグロ・ゴメス伍長

    (RMS-106CS:ハイザック・カスタム)

 

 第03小隊

  小隊長:マクシミリアン・バーガー中尉

    (RMS-106CS:ハイザック・カスタム)

  隊員:マイケル・ニューマン軍曹

    (RMS-106CS:ハイザック・カスタム)

  隊員:ヘルカ・パータロ伍長

    (RMS-106CS:ハイザック・カスタム)

 

第04中隊:

 第01小隊(指揮小隊):

  中隊長:パプテマス・シロッコ大尉

    (RX-78NT-1R:アレックス4(新造機の改造機))

  隊員:ケイシー・ゲラティ少尉

    (RMS-106CS:ハイザック・カスタム)

  隊員:ヴィオラ・ハンブリング少尉

    (RMS-106CS:ハイザック・カスタム)

 

 第02小隊

  小隊長:ジャック・ベアード中尉

    (RMS-106CS:ハイザック・カスタム)

  隊員: アダム・スティングレイ准尉

    (RMS-106CS:ハイザック・カスタム)

  隊員:カーティス・イーストン伍長

    (RMS-106CS:ハイザック・カスタム)

 

 第03小隊

  小隊長:(欠員)

  隊員:(欠員)

  隊員:(欠員)

 

整備中隊:

 整備中隊長兼第0班長:ウィリアム・ウィルコックス准尉

 第1班長:アストナージ・メドッソ曹長

 第2班長:トラヴィス・ウォール軍曹

 第3班長:ボブ・ロック曹長

 第4班長:ヘルマンニ・ハータイネン軍曹

 

艦船:

 旗艦/強襲揚陸艦:改ペガサス級ブランリヴァル

  艦長/提督:ブライト・ノア中佐

    (司令部小隊・独立偵察小隊搭載艦)

 強襲揚陸艦:改ペガサス級ホワイトベース

  艦長: エマリー・オンス大尉

    (第01中隊搭載艦)

 強襲揚陸艦:改ペガサス級ペガサス

  艦長:ウッディ・マルデン少佐

    (第02中隊搭載艦)

 強襲揚陸艦:改ペガサス級イルニード

  艦長:ガディ・キンゼー中佐

    (第03中隊搭載艦)

 強襲揚陸艦:改ペガサス級メレディス・マコーマック

  艦長: マニティ・マンデナ大尉

    (第04中隊搭載艦)

 補給/輸送艦:ネルソン級MS軽空母サフランⅢ(補給/輸送艦として使用)

  艦長:メッチャー・ムチャ大尉

 補給/輸送艦:ネルソン級MS軽空母シスコⅣ(補給/輸送艦として使用)

  艦長:マイケル・アシュトン中尉

 

 

 

 いやはや、まだいくつか欠員はあるが、これだけの人材を集めるのには苦労した。何人かは、完全な新人、完全な新兵だったりする。独立偵察小隊のエルサ・ニールンド伍長、第01中隊のザカリー・アルドリッジ伍長、第02中隊のエイミー・マーケット伍長、第03……ホワイトディンゴ中隊のアレシア・グラナドス伍長、レグロ・ゴメス伍長、第04中隊のカーティス・イーストン伍長がそうだ。

 彼らは訓練教官の「技量は優秀」と言うお墨付きこそ貰っているものの、実戦で役に立つかどうかは不明だ。と言うか、是が非でも役に立ってもらわねばならない。訓練で、無茶に絞るぞー。

 あと、そう言う意味での新人じゃあないのだが、先月の5月末に士官学校でたばかりのペーペーの士官も数名いる。タクヤ・カトウ少尉、ラムサス・ハサ少尉、ダンケル・クーパー少尉、ケイシー・ゲラティ少尉、ヴィオラ・ハンブリング少尉がそうだな。

 タクヤ少尉はシャ……クワトロ大尉が、ラムサス少尉とダンケル少尉は中尉に返り咲いたヤザンが、ケイシー少尉、ヴィオラ少尉はシロッコが、しっかりと見定めてスカウトしてきたと言っているから、そこら辺は信じておこう。でも訓練で無茶に絞るけど。

 それ以外では、機材の面か……。

 

「基本ハイザック・カスタムで固めたが……。必要と思われるところには、ガルバルディβを宛がった。ユウ麾下の第02中隊とかはユウのMS以外全部な。あとはお前や、アイザック小隊の護衛機に。」

「ハイザック・カスタムはいい機体だけど、元から無理をさせてるだけあって手を加える余地が少ないものね。ガルバルディβは、元からセンサー有効半径とかはハイザックカスタムを上回るし、通信機能を強化する余地があって、副官機としては助かるわね。」

「あと、レビル将軍の力を借りて、オーガスタ基地に無理を通してもらった。中隊長機として、アレックス4から6まで……。」

 

 まあ、ガンダム開発計画が完全に動き出すまでの間に合わせとして、機体寿命は短くてもいいから最低3機くれって言ったんだよなー。ほんとはマリオン機も含めて4機欲しかったんだが。だけど無茶が通れば道理は引っ込むんだが、無茶が通らなければ道理が通るんだ。3機、と言うか期日までに間に合わず、2機半が精一杯だった。

 でもなんと言えばいいのかシロッコが「この組み立てが終わっていない、パーツの足りない機体を貰えないかね?」と、持って行ってしまい、自分なりのアレンジを加えて組み上げてしまった。それは今、アレックス4として第04中隊の旗機となっている。

 俺が思うに、と言うより動いてるところを見て「感じる」ところによると、おそらくは試作バイオセンサーでも組み込んでやがるんだろう。まあなんにせよ、俺の大隊は幾ばくかの欠員は抱えているものの、一応動かせるところまで出来上がった。

 

 

 

 ……これで、訓練期間がしっかり取れれば万々歳なんだがなあ。なんか悪い予感がするんだよな。あ、電話が鳴ってる。レイラが受話器を取った。

 

 

 

「はい、こちら改ペガサス級強襲揚陸艦ブランリヴァル、ゼロ・ムラサメ中佐執務室です。……少々お待ち下さ……は、いえ。はい、了解しました。

 ……ゼロ少佐、ジャブローより呼び出しが来ているそうです。ルナ2基地本部棟の通信室までお急ぎください。」

「ありがとう、レイラ。急ごう。」

「はい。」

 

 これだよ。いったい何が起きてるんだろうな。なんかトラブルには間違いないだろうけど。




いやー、一気に部隊が拡張されました。で、来ないかと思ったら、やはりシャアもといクワトロ大尉来ました。しかも何気に結婚してやんの。
で、それがオマケにしか見えない事態として、シロッコ惨状(笑)。誤字にあらず(笑)。
最後に控えたレイヤー大尉のおかげで、とても安心できますねー。

そして最後にジャブローはおそらくレビル将軍かツァリアーノ大佐、もしくはその連名での呼び出し。いったい何が起きたのでしょうか。待て次回!

(追記)
ブライトさんが提督兼任になってますが、これは僅差でガディ・キンゼー中佐よりも早く昇進したので、先任扱いになっているからです。

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