強化人間物語 -Boosted Man Story- 作:雑草弁士
フルバーニアンに換装された……と言っても、コア・ファイターが宇宙用に取り換えられただけなのだが、そのGP01-Fb2機が、素晴らしい機動性でこちらの機体を追い抜いていく。乗っているのは、ユウとヤザンだ。無線から、両者の歓喜の声が響く。
『ひゃっほおおおぉぉぉ!!こいつぁ凄ぇぜ!使えるのが機体評価試験の間だけだってのが、残念だぜ!』
『……。…………。』
2人とも、楽しそうで何よりだ。特にヤザン。それを追って、シロッコとクワトロ大尉のGP04が飛翔して行くのが見える。単純な機動力ではGP01-Fbに僅かに及ばないが、総合性能ではこちらの方が高い。ちなみに俺は、うっかりクワトロ大尉の事をシャアと呼んでしまわない様に、可能な限り内心においても彼の事をクワトロ大尉と呼んでいる。
『ふむ。やはり宇宙空間の方が、性に合うな。』
『確かに……。重力に引かれる感触は、あまり好ましくはないな。』
『こちら0301-00。これより0402-00と共に12時方向へ支援射撃を開始する。友軍機は射線に注意されたし。』
『こちら0402-00、GP02-MLRSです!撃ちます!』
後方より、レイヤー大尉のビームバズーカ仕様GP02と、ジャック・ベアード中尉のMLRS仕様GP02が、前線に向けて圧倒的な火力を送り込む。律儀にもいちいち友軍機に対する警告を発してから撃つのは、生真面目な2人らしい気配りだ。そしてGPシリーズ評価試験の演習相手機であるジムⅡが、次々に撃墜判定をくらって脱落する。
『こちら0202-00、突入します!』
『こちら0201-01。同じく突入します。』
クリス中尉とマリオン曹長が、GP05ローレル……別名ガンダムMk-Ⅱを駆って、演習相手部隊の側面から突入を敢行する。って言うか、なんかこの2人は声が似てるんだよな。俺は人工ニュータイプ感覚があるから判断つくけど。
俺とレイラは、各々GP03デンドロビウムのコクピットで、その評価演習の様子を眺めていた。うん、今俺たち「オニマル・クニツナ」大隊は以前から予定されていた通りルナ2宙域で、宇宙空間におけるGPシリーズ新型ガンダムの機体運用評価試験をやってるんだ。そしてクワトロ大尉とシロッコに率いられたGPシリーズ各機は、演習相手である数倍の機数のジムⅡ部隊を、あっさりと壊滅させていたのである。恐るべきことに、被撃墜は1機たりとて無い。さすがにシールド損壊判定をくらった機体はあったが。
「いや流石だな、皆。機体性能の差が大きいとは言え、それでもジムⅡだってカタログスペックから言えば侮れないんだがな。パイロットだって、充分水準以上の技量だ。これが俺の部隊だと思うと、誇らしいな。」
『本当ですね、中佐。これだけ圧倒的な戦力だとは……。』
「さて、じゃあ仕切り直して第2ラウンドだ。」
俺は操縦桿を握り直す。今までの演習相手だったジムⅡ部隊が母艦であるアンティータム級補助空母へと帰艦して行き、別のアンティータム級補助空母より新たなジムⅡ部隊が発艦してきた。ただし前の部隊が標準タイプのボウワ社製ビームライフルを携行していたのに対し、こちらの部隊は本来はジム・カスタムの装備であったジム・ライフルを装備している。まあ、実弾ではなく演習用のペイント弾なのだが。
何故わざわざビームライフルではなくジム・ライフルなのか。それはGP03がIフィールド・ジェネレーターを装備しており、零距離以外のビーム兵器……ぶっちゃけ、ビームサーベル以外のビーム兵器は意味を為さないからなのだ。そう、評価演習の第2ラウンドは、俺たちの乗るGP03デンドロビウムの出番なのである。
まあ、GP01、02、04、05はMSだからな。巨大MAであるGP03とは別に試験をした方がいいだろ。一応第3ラウンドとして、GPシリーズ全部を投入した場合の演習もやるけどさ。
「お。ジムⅡ部隊が先に動いた。」
『受け身になっては、勝ち目が無いと思ったんでしょうね。』
「だろうな。じゃあ始めるか。」
『了解。』
俺とレイラは、デンドロビウムのスラスターに火を入れる。尻を蹴り飛ばされたかの様な強烈なGと共に、2機のGP03は凄まじい速度でルナ2宙域を飛翔した。
ルナ2基地に帰還した俺たち「オニマル・クニツナ」隊は、休む間もなく各自の執務室に閉じ籠り、評価報告書を書き始めた。はっきり言って、大変である。特に俺は自分の報告書の他、GPシリーズを任された全員の報告書もチェックしなければならない。
「中佐、各中隊からGPシリーズ各機の機体評価報告書が上がって来ました。それと評価演習の報告書もです。とりあえず目を通して、注釈が必要な場所には入れておきましたが……。あと、わたしの担当分のGP03についても、報告書を上げておきました。」
「ああ、いつもすまないレイラ。とりあえず俺の担当したGP03の報告書が、もう少しで上がるから、そうしたら……。演習自体の報告書は上がったんだが、機体の評価報告書がな、これがどうも……。難しくてなあ……。」
そう言いつつ、俺は四苦八苦でGP03の評価報告書を書く。ちなみに演習自体は、第2ラウンドも第3ラウンドもあっさり勝った。こちらがGP03を2機だけと言う条件の第2ラウンドでは、ジムⅡ部隊はGP03の超高速戦闘に、まったくついて来る事ができずサクっとこちらが勝利した。
そしてこちらがGPシリーズを全機投入する代わり、相手部隊もさらに倍の数にした第3ラウンドだったが……。GP03が当初予想していたよりも、指揮機として使えたのである。センサー系や通信系は普通のMSが問題にならないレベルであり、耐久力も阿呆の様にあったために墜とされ難い。更に固有の戦闘力も高い上に周囲をGPシリーズが固めている。汎用性には欠けるが、状況にハマればGP03は無茶に強かった。
「うん。ただ、艦に搭載できないのはやっぱりなあ……。今回はブランリヴァルで牽引したが……。」
「ですね。これを本気で運用するならば、専用艦が必要になるかも知れません。」
そうなんだよ。まあサイコガンダムもそうなんだが、デンドロビウムは強いけどデカいんだ。値段も高いし、運用コストも輪をかけて高い。もともとGP03はそう言う用途の機体だから、拠点防衛には最適なんだが。そんな感じで色々考えてる間に、なんとかGP03の評価報告書が出来上がる。続けて俺は、部隊から上がって来たGPシリーズ各種の報告書のチェック作業に入った。
そして一通りのチェックを終えて、俺は書類束を丁寧に纏めると決済済みのケースに放り込む。俺は顔を上げて溜息を吐いた。
「ふう……。!?」
「!!」
その時俺はルナ2全体からの、多数の人間が動揺し混乱して発した驚愕の感情の渦を、意志力のパルスとして感じ取った。俺は泡を食ったが、心を無理矢理に落ち着かせてレイラに顔を向ける。レイラもまたその意志の波動を感じ取り、驚いた様だった。だが彼女もすぐに、なんとか冷静さを取り戻す。
「……なんだ?今のは?」
「わからない……。でも……あ!」
その時、机上の端末がけたたましく呼び出し音を鳴らす。急いで受話器を取ろうとしたレイラを手で制し、俺は自分でそれを取った。
「こちら「オニマル・クニツナ」大隊ゼロ・ムラサメ中佐執務室!」
『ゼロ中佐か!?急いでTVを見ろ!早く!』
「ブライト艦長か!?レイラ!TVを!」
「ええ!」
端末をスピーカーモードにしていたため、ブライト艦長の声はレイラにも聞こえていた。レイラは急ぎ、壁のスクリーンをTVの受信モードにする。そしてそこに映ったのは、可能ならばもう少し長い期間、見たくないと思っていた物だった。
『……よう。何故ジオン独立戦争が勃発したのかを!何故我等がジオン・ズム・ダイクンと共にあるのかを!
我々は二年間待った。もはや、我が軍団に躊躇いの吐息を漏らす者はおらん。今、真の若人の熱き血潮を我が血として、ここに私は改めて地球連邦政府に対し、宣戦を布告するものである。
仮初の平和への囁きに惑わされる事なく、繰り返し心に聞こえてくる祖国の名誉の為に、ジーク・ジオン!!』
「……やりやがった。エギーユ・デラーズめ……。」
『ゼロ中佐!TVは見たか!?』
ブライト艦長の声音は硬い。俺も硬い声でそれに答える。
「見た。デラーズめ、とうとうやりやがった。っと?すまん、上位権限での着信が入ってる。」
『む、こちらもだ。このコードはワッケイン司令だな。』
「じゃあいったん切るぞ。また後で。」
『ああ。』
そして俺はブライト艦長との通話を切り、ワッケイン司令からの通話を受けた。ちなみにワッケイン司令は、つい先日に中佐から大佐へ昇進している。俺やブライト艦長、ガディ・キンゼー艦長など、重要拠点であるルナ2基地に駐留している部隊や艦艇には中佐クラスの士官がけっこう多い。一応その中では最先任だとは言え、同階級が多くては遣り辛い物があるだろうと、レビル将軍が骨折りして昇進させたのだ。
閑話休題。通信を受けると、相手はワッケイン司令の副官の1人だった。まあこんな状況では、本人は色々忙しいだろう。副官なら本人から命令された上でなら、本人のコードを使って通信を送って来る事もある。
『ゼロ中佐、ワッケイン司令より至急第2通信室への出頭要請です。ワッケイン司令は先に第2通信室へ向かっています。ジャブローのレビル将軍と直通回線が、既に繋がっています。』
「了解だ。副官のレイラ中尉と共に、すぐに向かう。以上か?」
『はい。では失礼します。』
俺はレイラに顔を向ける。彼女は頷く。机上の端末はスピーカーモードのままだったので、レイラにも内容は伝わっていた。
「……レイラ、聞いての通りだ。書類を金庫に仕舞ったら、急いで第2通信室へ向かう。」
「了解です。……終りました、行きましょう。」
「ああ。」
急ぎ俺たちは、執務室を飛び出す。そして俺たちは通信室へと向かうため、廊下の壁に設置してあるレールに付いている、無重力移動用のグリップに掴まった。リニアモーター仕掛けのグリップは、強力なパワーで俺たちを廊下の先まで運んでいく。レールの終点で別のグリップに掴まり直しながら、俺たちは呟いた。
「サイド1……。無事だといいんだが。」
「そうね……。」
サイド1のロンデニオン・コロニーには大掛かりな連邦軍の軍事基地が置かれ、ジオンのフラナガン機関から救出した子供たちとクスコ・アルがそちらに移っている。デラーズ紛争に関しては、これまでかなり前提条件を変えて来た。だからデラーズ・フリートに占領され、支配下に置かれる領域もおそらくは変わって来るはずだ。できればサイド1が無事であって欲しい。
無論他のサイドや宇宙基地であれば構わない、と言う事は無い。だがそれでも、俺の中であいつらを優先してしまうのは、人間として当たり前の事だろう。俺はそこまで平等にはなれない。
俺たちがルナ2の通信室へ到着したとき、ちょうどそこにはブライト艦長とガディ艦長も到着していた。俺たちは敬礼と答礼で型通りの挨拶をすると、壁の端末で入室許可を求める。
「ゼロ中佐以下4名、到着いたしました。入室許可、願います。」
『……うむ。入室を許可する、入ってくれ。』
ワッケイン司令の言葉と共に、扉のロックが解除される音が響いた。俺たちは急ぎ、入室する。中では1名の副官を連れたワッケイン司令が、スクリーンの中のレビル将軍やツァリアーノ大佐、そして諜報部のアーロン・アボット少佐と何やら話しているところだった。俺たちは彼らに敬礼を送る。ワッケイン司令も、スクリーンの中のレビル将軍たちも、答礼を返して来た。
『うむ、楽にしてくれたまえ。』
「は、将軍閣下。ゼロ・ムラサメ以下4名、命令により出頭しました。」
「うむ。今将軍と話していたところなのだが、ついにデラーズ・フリートが決起した。アボット少佐、先ほどの話を彼らにも改めて伝えてやってくれ。」
『了解しました。では……。』
そしてスクリーンのアボット少佐が、今回の事情を伝えて来る。それによると、今回のデラーズ・フリートの決起は、実はいつ起きてもおかしくない状況であった様だ。いや、それは薄々感じてはいたんだが。と言うかデラーズたちは、かなり追い詰められていたのである。
『前回のシン・マツナガが司法取引で差し出した情報……。あれのおかげで、あちらこちらの基地なり拠点なりを査察し、やつらの決起前に……事前に押さえる事ができました。残念ながら手が足りずに、全部を一気にやる事はできなかったのですがね。ですが重要なところは、かなり押さえてあります。
このままでは決起する事自体が不可能になる、と思ったのでしょう。焦った奴らが何らかの行動に出るのは予想ができました。おそらく奴らはGP02を奪取して、それを契機に一気に立ち上がる事を目論んでいたのでは無いかと。しかしそれに失敗したからには、自分たちで立つ事を諦めてアクシズ勢力との合流でも図るかと思っていたのですがね。』
『うむ、デラーズフリートとアクシズの間に、なにかしら確執でもあるのやも知れぬな。』
レビル将軍が、頷いて言う。ドズルとデギン公王がアクシズに逃げ込んだと仮定すると……。奴らであれば、ギレンのシンパであるデラーズたちとは方針が異なるだろう。だがデラーズがアクシズ勢力との合流をするよりも、自分たちだけでの決起を選ぶほどの理由になるのか?
「それで、だ。ムラサメ中佐、ノア艦長、キンゼー艦長、今現在の状況なのだが……。デラーズ・フリートはサイド5暗礁宙域の宇宙要塞、諜報部の調べでは『茨の園』と言う様だが……。いや、これは貴官の方が詳しかったな。それはともかくとして、『茨の園』を本拠地として宇宙要塞ア・バオア・クー、サイド5を電撃的に攻略。
同時にサイド1、サイド4、コンペイトウにも攻撃をかけてきたが、そちらはなんとか防戦の態勢が間に合った。今は激しくやり合っているところだとの報告が届いている。サイド3及び月面グラナダ他に関しては直接侵攻はしておらんが、そこの連邦軍戦力が動けん様に、抑えの部隊を貼り付けて牽制している模様だ。」
『地球では、デラーズ・フリートに呼応して立ち上がった連中がキリマンジャロ基地及びその周辺を占拠した。あそこはア・バオア・クー同様にあっちこっちの派閥が入り乱れてたからなあ……。そこを突かれた形でよ。
ただ、オデッサ鉱山基地は防衛に成功したぜ。アレンの奴が率いた大隊が、八面六臂の大活躍でよ。』
ワッケイン司令とツァリアーノ大佐が現状を教えてくれる。そうか、サイド1は首の皮一枚だがなんとか防衛態勢が間に合ったか。しかし、ア・バオア・クーとサイド5が陥落してる、か……。
「サイド5が落ちましたか……。民間人に被害が出ていなければいいのですが……。それとツァリアーノ大佐、ア・バオア・クーに居たロンの奴は……。」
「サイド5駐留艦隊は残念ながら、奇襲により壊滅した模様だ。敗残の残存艦隊が、ルナ2へ向かっている。サイド5の政庁は、駐留艦隊敗北直後に降伏し、その後の状況は不明だ。」
『レビル将軍の派閥から、きちんと警告は出してあったんだがよ……。サイド5駐留の部隊は、ウチの派閥じゃあなかったからなあ……。まともに取り合わなかった、と言うよりは信じて良い物かわからず、自分たちで情報の裏取りしようとして時間を無駄にして、結局敵の奇襲攻撃に間に合わなかったらしいぜ。馬鹿な話よ、ったく。
ア・バオア・クーは、あっちはあっちで酷ぇ。あちこちの派閥の部隊が互いに足引っ張り合って動きが取れず、まともに動いたのはウチの派閥の部隊や、その息がかかってた教導隊ぐらいよ。……ロンの奴は、MIAだ。奴を始めとしたア・バオア・クーMS教導隊の連中は、最後まで味方を逃がすために奮戦してたそうだぜ。捕虜になってでも、生き残ってくれてりゃいいんだがなあ……。』
「……。」
そうか、ロンの奴がMIAか……。ロン・コウ大尉……昨年末に大尉昇進したと噂には聞いていたんだが。一年戦争での、レビル将軍直卒部隊での同僚。……やっぱり、こう言うのはキツいもんがあるな。
ここでレビル将軍が、命令を下す。
『ワッケイン君、以前より命じていた通り、デラーズ・フリートの決起に備えて用意していた宇宙戦力を纏め、ルナ2防衛に必要な戦力を残した全軍でコンペイトウ方面へ進出せよ。デラーズ・フリートのL5ポイント方面軍を叩き、地球連邦市民および苦境の友軍を救うのだ。
ゼロ中佐、貴官の「オニマル・クニツナ」大隊に命令を下す。サイド1、サイド4、コンペイトウの失陥は断じて避けねばならん。貴官らは、これより最大戦速で救援に向かってくれたまえ。そしてなんとしても、ワッケイン君が編制した本隊が間に合うまで、サイド1、サイド4、コンペイトウを護り抜くのだ。今評価試験中のGPシリーズは、全機そのまま使用してくれて構わん。』
「「了解しました。」」
俺とワッケイン司令が、スクリーンのレビル将軍に敬礼を送る。他の面々も1テンポ遅れて敬礼を送り、レビル将軍が答礼を返す。
『うむ。我々はこれより、地上の戦力を纏めて急ぎキリマンジャロ基地を奪還する。宇宙の事は任せるが、基本的にはコンペイトウを含めてL5ポイントを護り抜いた後は、地上から援軍を打ち上げるまでは護りを固めてくれたまえ。では頼んだぞ。』
「「「「はっ!」」」」
通信は終わった。ワッケイン司令が口を開く。
「ではゼロ中佐、「オニマル・クニツナ」隊は各艦の補給が完了次第、急ぎ出撃せよ。命令書は後で発行するが、書面が間に合わんでもかまわんから、まずは急ぎルナ2を発進してくれ。」
「了解です。細かい作戦行動は?」
「一任する。入って来た情報は、随時レーザー通信でブランリヴァルへ送信する。艦長らと協議の上で、最善と思われる行動を。では行ってくれ。」
俺たちは敬礼と答礼を交わし、その場を後にした。
結局のところ、なんとかルナ2出航までに命令書は間に合った。一応俺たちは独立部隊の権限でかなり自由に行動できるんだが、レビル将軍の電子署名が入ったこの命令書があると無いとでは、自由度に大きな差が出る。あとは出来る限り急いで現場に駆け付けなければならない。GP03デンドロビウム2機は、ブランリヴァルとホワイトベースの2隻で牽引して行く。一瞬置いて行こうかとも思ったんだが、やはりこいつの力は必要になると思い直したのだ。
実のところ、コンペイトウ方面の戦況はあまり良くは無い。コンペイトウ駐留艦隊司令官のマクファティ・ティアンム中将と、コンペイトウの要塞司令官ダグラス・ベーダー中将ががっちりスクラムを組んで頑張ってはいるんだが。いや、いたんだが。ルナ2出航直後に届いたレーザー通信で、えらい事になっているのが判った。
座乗艦である改ペガサス級イカロスが、故障の修理と4回目の近代化改修により使えなかったため、今回だけマゼラン改級タイタンⅢで指揮を執ってたんだよな、ティアンム提督。マゼラン改級は改ペガサス級よりも耐久性で劣るんだ。攻撃力は高いんだが。撃沈されたんだよな……。なんとか脱出には成功したものの、負傷して指揮が執れる状態じゃない。
ルナ2からコンペイトウまでは通常航行で5日、軍用艦の巡航速度で3~4日、最大戦速で向かえば2日余りでなんとかなるかどうかだ。間に合うか?いや、間に合わせて見せる!俺の意気込みが感染したのか、「オニマル・クニツナ」隊の各艦は、全速力でL5ポイントに向かい突き進んだ。
後手後手に回っている様に見えますが、一応レビル将軍たちもデラーズ決起に対して準備はしていました。アボット少佐たち諜報部の働きと、一般警察にまで手を借りて頑張った憲兵隊本部などの働きで、デラーズの決起に呼応する奴らはかなり前もって潰せていましたし。もっともそれのおかげでデラーズが焦って、早目(0082)の決起となったわけですが。
その決起本番に対しても、ルナ2にかなりの戦力を置いて何時でも対処ができる様にしておりましたし。決起が早まる事も予想して、あちこちに根回しもしていました。ただ、サイド5とア・バオア・クーは情報を受け取った側の対処がまずくて失敗しましたけどね。
さて主人公に与えられた任務は、基本は時間稼ぎです。ワッケインの本隊が間に合う様に敵を引っ掻き回すのが、望まれた役割ですね。まあ、倒してしまってもかまわんのですが(笑)。さすがに継戦能力が保たないから、それは無理でしょうがね(笑)。