強化人間物語 -Boosted Man Story-   作:雑草弁士

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宇宙への助走

 ジャブロー基地で、私たちレビル将軍直卒部隊の面々は、ホールの最前列に並んで将軍の演説を拝聴していた。後ろには、ずらーっと連邦軍将兵が列をなしている。

 

『この戦いが、スペースノイドと地球との戦いだと思っている者も、多い事だろう。だがそうでは無い。ジオン公国は……ザビ家に主導されるサイド3の者達は、サイド1、2、4、5の住民を、彼らにとって同胞であったはずのスペースノイドを虐殺しているのだ!

 わたしも先日部下から指摘を受け、記録を読み返してみたが、ザビ家が殺したスペースノイドの数は、コロニー落としと地球降下作戦、その後の戦闘で死んだアースノイドよりもはるかに多く……。』

「おいゼロ、将軍が言ってるの、お前が言ってた事だよな。」

「ああ……。」

 

 私の隣に並んでいたデリス少尉が、小声で話しかけて来た。私も小声で返事をし、頷く。デリス少尉は続ける。

 

「勘違い、していたよな。うっかりスペースノイドが俺たちの敵だって、思い込むところだったよ。」

『ザビ家の騙る、宇宙市民の独立と解放などと言うのは、大いなる欺瞞に過ぎない!虐殺をかろうじて生き延びた、「本当のスペースノイド」たちのためにも、我々地球連邦軍はザビ家とそれに傾倒する者たちを打倒し……。』

「そうだ。そこを間違えると、大変な事になるんだ……。」

 

 そう、スペースノイド弾圧に走ったティターンズの様な者達が出て来る事になる。ジャミトフが本当はアースノイドを宇宙に追い立てて完全移民させる事を望んでいたとしても……。ジャミトフは、バスクみたいなのを承知の上で飼ってるからなあ。

 ふと視界の端に、青やピンクの特別な連邦軍制服が留まる。ありゃりゃ、まだ宇宙に上がってなかったのか、ホワイトベース隊。いや、第13独立戦隊か。いや、第13になるのはまだ先か?まさかジャブローに着いたばっかりか?……って事は、もしかして、今後ジオンのジャブロー襲撃、あり得るのか?

 

 

 

 あの後にざっと調べてみたところ、ジオン地上軍のジャブロー空襲は、キャリフォルニアベース陥落後はガタっとその回数を減らしてはいるものの、いまだに続いていた。北アメリカ大陸の何処かに、まだ多少まとまった戦力が残っているっぽい。

 それはともかくとして、私はいまのうちにアムロ・レイと接触を取っておこうと考える。第13独立戦隊として宇宙に上がってからでは、ほとんどその機会が無いからだ。それに、個人で世界を変えようと言うからには、何でも試しておく必要がある。

 私はホワイトベースが入渠しているドックへと足を向ける。だがその途中で、いつもの頭の中で蛇がうねる様な頭痛が起きた。いつもなら我慢して耐えるところだが、別に今は戦闘中と言うわけでもなんでもない。私は壁にもたれかかって頭を押さえた。……苦しい、頭が痛い。

 そこへ声がかかった。この古谷徹声は……。古川登志夫声も聞こえる。鈴木清信声も。

 

「あ、あの……。大丈夫ですか?」

「おいおい、放っとけよ。」

「返って迷惑かもしれないだろ……。」

 

 とりあえず私は、その声の方に向き直る。

 

「いや……。少々頭痛持ちでさ。気を使ってくれてありがとう、曹長。軍曹、伍長も。」

「げっ!少尉さん!?」

「あ、いえ……。つっ!?」

 

 やはりアムロ・レイだった。カイ・シデンとハヤト・コバヤシもいる。

 

「済まないが、肩を貸してくれないか?あっちの休憩所で、少し休めば良くなるとは思うんだが……。」

「あ、はい。……なんだ?今の感覚は。」

「あ、はいはい。」

「ああ、じゃあ僕はコーヒーでも取って来るよ。人数分でいいよね。」

 

 アムロとカイに肩を貸してもらい、休憩所へと向かう。いや本当は、慣れてるから耐える事は容易なんだけどね。アムロは怪訝な顔をしている。……たぶんニュータイプ能力による感応現象を起こしたんだろう。私の方も、彼に一瞬「宇宙」のビジョンが見えた。

 

 

 

 さて、互いに自己紹介をしてコーヒーを飲みながら休む。こちらは実はまだ頭が痛いのだが、多少良くなった風情を装った。ちなみに「放っとけ」と言った相手が尉官だったせいで焦った様子だったカイは、既にもう砕けた様子で堂々としている。この時期のカイは、胆が据わってるな。

 

「あ、あの……。」

「ん?なんだいアムロ曹長。」

「あ、いえ、すみません。さっき一瞬、あなたの背後に、なんていうか……。」

「くくく、宇宙でも見えたのかい?」

「ええっ!?」

 

 目を丸くして、驚いた顔をするアムロ。カイとハヤトの2人は、何を馬鹿な、と言った顔をしている。おいおい、『ギレンの野望』ではお前らはニュータイプに覚醒しなかったが、小説版『機動戦士ガンダム』ではお前らもニュータイプ覚醒するんだぜ?

 

「なんでわかったんですか!?」

「いや、俺の方も君に、宇宙のビジョンが見えたからな。一瞬だったが……。」

「おいアムロ、お前らエスパーか何かかよ。」

「カイさん、少尉さんにお前扱いは……。」

 

 ハヤトが焦ってカイに注意をした。私は真面目な顔で、彼らに言葉を発する。

 

「いや、おそらく君はニュータイプ能力を持っているんだろう。エスパーじゃない。エスパーじゃないんだが……。気配を察知したり危機を感知したりが得意だ。」

「ニュータイプ、ですか?」

「……ニュータイプって言うのは、あのジオン・ズム・ダイクンが提唱した、宇宙に適応した文字通り新しいタイプの人間さ。もっともザビ家はその思想を、自分達の都合の良い様に捻じ曲げてしまってるがね。

 ただ俺は、ニュータイプじゃない。ニュータイプの能力を持っているだけの、オールドタイプさ。ニュータイプってのは本来、新しい考え方ができる人間だ。だが俺には新しい考え方ができるどころか、それがどんな物かもわからない。」

 

 カイが仏頂面で口を挟む。

 

「新しい考え方、か。それがわからない上に、そんな能力も無い俺たちゃ、オールドタイプ中のオールドタイプなんだろうな。」

「カイさん、そんな言い方は……。」

「カイ軍曹、諦めるな。ニュータイプ能力なんてのは、本来のニュータイプにとってオマケでしかない。新しい考え方ができさえすれば、それこそが本物のニュータイプだ。俺も諦めてない。諦めてないんだが、やっぱり中々難しくてな……。ははは。」

「へへへ、やっぱり難しいんでしょ?」

 

 どうやら本気でむくれてたわけでは無さそうだ。カイはにやりと笑う。アムロ、ハヤトもほっとした顔だ。私は立ち上がりつつ、言葉を続けた。

 

「それにニュータイプ能力なんて、いつ何時突発的に覚醒、発現するかわからない。ただ、覚醒したからと言って触れ回らない方がいいぞ。連邦でもジオンでも、今の段階だと兵器扱いやモルモット扱いは避けられない。」

「モルモット……。もしかして、貴方も……。」

「ふ、話し過ぎたかもな。聞かなかった事にしといてくれ。それじゃあな。」

 

 とりあえず、こいつらに危機感は仕込めただろうか。アニメ本編よりも、少しは慎重に動いてくれるといいんだが……。だが第13独立戦隊として囮任務に就いて、襲い来る敵を叩き潰さないわけにもいかないだろうしなあ……。戦後にうまく立ち回る方向で、何とか……。

 

 

 

 翌日、レビル将軍から呼び出され、直々に謝られた。やっぱり、ザビ家一党とそれに追随する者たちは、一般のスペースノイド達と分けて考えるべきだと言うのはできるかぎり周知しておきたかったのだそうだ。ただ演説で、その部分の内容が私が言った事そのままに近かった事は、きちんと謝罪された。

 

「いえ、お気になさらないで下さい。ザビ家に追随するジオン公国の国民と、一般のスペースノイドが立場が違う事は、公の場で誰かが言わねばなりませんでした。」

「そう言ってくれるとありがたい。」

「かえって演説でその事に触れてもらった事を、お礼申し上げたいぐらいですよ。」

「此度の演説に対する反応も、かなり良かったらしい。幾ばくかなりと目を覚ましてくれた者も多いと良いのだがな。」

 

 私が小さく頷き、同意の言葉を出そうとしたその時、敵襲を知らせるサイレンが響き渡る。私とレビル将軍は互いに頷き合い、将軍は卓上の電話機に取り付いて状況確認と指示出しに動き、私は一足先に格納庫へと走った。

 

 

 

 地上に我々レビル将軍直卒部隊が出た時、既にガウ攻撃空母から幾多のジオン軍MSが降下を行っていたところだった。ガウ攻撃空母の数は10機。降下しつつある敵MSは合計30機。ガウ攻撃空母護衛のドップも30機であった。

 正史におけるガウ32機にはやや少ないが、ホワイトベース隊追跡によってジャブロー入り口が発見された事による、ジオン乾坤一擲の攻撃作戦である事は間違いないだろう。だが逆にこれを叩き潰せば、ジオンの地上における戦力はほぼ無くなる。

 ……いや、もしかしてアプサラスとか開発してる奴らが、まだいるかな?

 

『この、墜ちろ、墜ちろ!!』

『しつこいんですよ!ザザッ』

 

 ラバン少尉機とロン少尉機が、MSを降下させた後に旋回して戻って来たガウ攻撃空母へ、マシンガンの火線を打ち上げている。ガウ攻撃空母は、律儀にも降下させたMSを支援するため、爆撃に戻って来たのだ。

 私のG-3と、レビル将軍のプロトガンダムが、息を合わせ同一目標を狙ってビームライフルを撃つ。狙いはガウ攻撃空母のコックピットだ。狙撃は見事に成功し、ガウはゆっくりと姿勢を崩すと我々の上を通り過ぎて墜落していった。

 

『うわ、流石……ザザザ。』

「いや、これは一撃の火力に勝るビームライフルだからできる芸当だよ。それより降下成功した敵MSを、寄せ付けないように頼むぞ。」

『了解、了解っと。お前さんにゃザザザッに賭けで負けてるからな。』

 

 アレン中尉が冗談を交えて言いつつ、マシンガンで近寄って来たザクⅡを穴だらけにして爆散させた。ツァリアーノ中佐機も、グフB型をビームサーベルで撃破していた。デリス少尉も、さかんに自機にマシンガンを撃たせている。

 我々が4機目のガウ攻撃空母を撃墜した頃である。ツァリアーノ中佐が、珍しく私語を口にした。

 

『あれは……。ホワイトベース隊のガンダムか?流石やるじゃねえか……ザザッ。』

『うっわ、最後のガウの上に飛び乗っザッザザ、ビームサーベルで……。なあ、ゼロ、お前にもあれ出来るか?ザザッ。』

「できるぞ?」

『できるのかよ。』

 

 ラバン少尉の呆れた声が、珍しくノイズなしに聞こえた。いや、シミュレーターでは何度かやって、同じようにガウ攻撃空母を撃墜してたけどさ。実戦では、よほど切羽詰まらないとやるつもり、無いよ?と、そこへレビル将軍の指示が入る。

 

『ザザッ、ガウ撃沈によりMS降下が止んだ!あとザザッ地上に降りたMSを排除せよ!繰り返す!ガウ撃沈によりザザザ……。』

『『『『『「了解!」』』』』』

 

 第1小隊と第2小隊は、各々東西に展開する。私のG-3は戦力配分から言えば第2小隊に付く方がバランスが良いのだが、事実上私はレビル将軍のボディーガードだ。当然の様に第1小隊に付いて行く。

 相変わらず、レビル将軍のプロトガンダムは狙われる。だがこの黒と銀のガンダムが、前線で戦っている連邦軍兵士の士気を高く保っているのも確かだ。でも、前に前に出るのはどうにかして欲し……!!

 

『投降しろ!!ザッお前たちは負けたんだ。無駄な戦ザザはこちらも望んでいない。』

 

 オープン回線で通話!?この声は……マット・ヒーリィか!?

 

『ま、待て!!』

 

 !?……こ、ここかあっ!!『アクシズの脅威V』版マット・ヒーリィは、小説版の「まっくん」じゃなくて夏元雅人の漫画版だろうって言われてるのは知ってたけど!知ってたけど!!『撃つなラリー』の現場は御免だぞ!!

 何処だ……。何処だ!?

 

「そこかあああぁぁぁ!!」

 

 私はG-3のシールドを投擲した。シールドはジムスナイパーⅡと半壊したザクⅡとの間に割り込み、ザクマシンガンの弾丸を受け止める。あのジム・スナイパーⅡが、ラリー・ラドリー少尉だろう。そして超遠射程になるが、私は半壊したザクをビームライフルで狙撃、とどめを刺した。

 

「ふう……。間に合った、か?確認するのは後だな、っと。」

 

 スラスターを全開、G-3ガンダムを全力で跳躍させ、私はレビル将軍を狙ったドムを狙撃して爆散させた。シールドが無くなったのは痛いが、なんとかするしか無いだろう。しかし将軍は相変わらずマイペースで、好きに吶喊して大戦果を上げているなあ。

 

 

 

 戦闘終了後、私が与えられた士官用個室で休んでいると、インターホンが来客を告げた。

 

「はい?」

『……自分は、いや俺はデルタ・チーム……MS特殊部隊第三小隊隊長、マット・ヒーリィ中尉だ。うちのラリー少尉を助けてくれたのが、投げてくれたシールドのナンバーから君だとわかったんでな。ゼロ・ムラサメ少尉。……礼を言いに来たんだ。』

「ああ、中尉。今開けます。」

 

 あー、来たか。来なきゃ、こっちから探して接触取るつもりだったんだがな。私は扉の鍵を開けて、マット中尉を迎え入れた。

 私の人工的ニュータイプ感覚は、マット中尉が苦悩している事を伝えて来る。だが彼は、それでも私に頭を下げて来た。

 

「済まん!君のおかげで俺は、部下を喪わずに済んだ!」

「え?」

 

 私はちょっとだけ惚けてみせる。

 

「たしかにあのジムスナイパーⅡ、狙撃用装備で動けないみたいでしたから、危ないと思ってシールド投げましたが……。投げなかったからと言って、連邦軍のMSはそこまで脆弱じゃあないでしょう。数発ザクマシンガンの弾丸があたったとしても……。」

「いや、シールドに残ったマシンガンの弾着痕を見たんだが……。シールドが無ければ、マシンガンの弾丸はコクピット付近に……。」

「コクピット付近に集中していた?」

 

 私は紙コップにコーヒーを2人分注ぎ、マット中尉に1つ手渡してやる。マット中尉は、悲痛な表情で頷いた。

 

「ヒーリィ中尉。」

「……マット、でいいよ。」

「マット中尉。何をそこまで悩んでいるんだ?俺でよかったら、話してみないか?」

「俺は……。」

 

 私は意図して口調をフランクに変える。マット中尉は、しばらく押し黙ったままだった。私もしばらく黙ったままコーヒーのお替りを注いで、がぶがぶと飲んで待っていた。マット中尉は、ようやく話し始める。

 流石に会ったばかりの私に、深い所までは話さない。しかし彼は相当まいっている模様で、深くは無くともざっとした事は、ついついと言った様子で話してくれた。

 

「俺は……。敵味方なく、多くの人間が生きて終戦を迎えられる、そんな戦いをしてきた。そのつもりだった。だからあのザクのパイロットにも投降を呼びかけた。部下にも奴を撃つな、と言った。

 だがその事が、部下を……仲間を……殺しかけた。」

「……。」

「君は……。君も……。俺が間違っていると思うか?」

 

 私はコーヒーを飲み干す。そして真正面から彼の顔を見据えた。

 

「間違っちゃいないさ。だが、仲間を生き延びさせるため、引き金を引いてとどめ刺した俺も……。『人間としては』間違っちゃいない。どちらも正しいのさ。」

「どちらも、正しい?」

「ああ、マット中尉。あんたは軍人としては間違ってるとは思うよ。だが、人間としては間違っちゃいない。人の感情としては、正常だ。たとえその事で、余計に損害が出たとしても、な。」

「!!」

 

 私はマット中尉に、もう一杯コーヒーを押し付ける。

 

「と言うか、軍人としてとか人間としてとか、分けるのもどうかとも思う。軍人だって人間なんだから。そして軍人としての規範ってのは、できるかぎり戦争を起こさない、起きた戦争を人類社会に対する損害を可能な限り少なく終わらせる、そのためのもんだと思う。

 仮に眼前では、一時的に損害が大きくなろうと、な。……社会学は、専門外なんだよ。あまり真面目に取らないでくれるか?あくまで俺の意見でしかないからな?」

「軍人だとか人間だとか、分けられない、か……。」

「知ってるかい?これは知り合いからの受け売りなんだが……旧世紀の米国で、最大の反戦勢力は、軍人だったそうだよ。そりゃそうだ、戦争起きたら死ぬのは軍人だ。」

「……。」

 

 私はそして、「俺」としての意見を付け加える。

 

「だが、ジオンは叩かなきゃならない。あいつらは、軍隊とか国家とか言う前に、虐殺者だ。ザビ家……ギレン・ザビに傾倒しているやつらは、その危険思想に酔っているやつらは、特に駄目だ。

 先のレビル将軍の演説は、聞いたかい?やつらは政体として信用が置けないよ。連邦政府はたしかに腐敗しているかも知れないが、やつらよりかは若干マシだ。」

「ゼロ少尉、君は……。」

「俺は、レビル将軍を護って戦うよ。そして殺して殺して殺しまくる。それが最終的な被害を……敵味方関係なしに、最終的な損害を少なくする方法だと信じて。レビル将軍なら、連邦の体質も宇宙市民との確執も、解決に導いてくれる。たぶん、な。」

 

 その後しばらく、私たちは無言でコーヒーを啜り続けた。マット中尉が帰った後、私はため息を吐く。少しでもなんとかなっただろうか。はぁ……。正直めんどくせえ……。ゼロと言うガワを被っていても、能力を持っていても、私は常人でしか無いのだよ。マット中尉、小説版の「まっくん」であって欲しかったなあ……。

 

 

 

 レビル将軍直卒部隊は、かつてペガサス級1番艦として建造され、改装されて改ペガサス級3番艦となった、ペガサスに乗り組む事になった。……元からペガサス級や改ペガサス級は登録番号とか艦番号とか混乱の極みだったけど、こうやってペガサスをグレイファントム型に改装したりすると、もう滅茶滅茶になるな。

 ツァリアーノ中佐が、感慨深げに言う。

 

「我々もついに宇宙に上がる事になりますか、将軍。」

「うむ。隊のMSの更新が間に合ったな。」

 

 レビル将軍の言う通り、直卒部隊のMSは大至急の扱いで更新されていた。今までその大半が地上用MSであったため、将軍のプロトガンダムや私のG-3ガンダム以外のMSを、大急ぎで宇宙でも使える機体に交換したのだ。ぶっちゃけ最新鋭の機体だ。

 

「なあゼロ、俺たちの機体はジムスナイパーⅡに統一されたけどさ。」

「なんだ?ラバン。」

「俺たちにガンダムタイプが宛がわれる、って事ぁ無いのかね。」

 

 ラバン少尉、ジムスナイパーⅡでは不足か?

 

「まずはシミュレーターで、マグネット・コーティング機を乗りこなしてからだな。俺がマコーマック博士に聞いたところ、今生産されてる新しいガンダムタイプは、全機G-3仕様か「その次」の仕様だそうだ。みんなマグネット・コーティング機だぞ。」

「うえぇ……。」

「げんなりしてる暇、無いぞ。今ここにいないだけで、マグネット・コーティング機を乗りこなせるパイロットは存在してるんだ。ちょっと小耳に挟んだだけでも、第11独立機械化混成部隊小隊長のユウ・カジマ少尉とか。

 ぼーっとしてると、栄誉あるレビル将軍直卒部隊パイロットの座を降ろされちまうぞ?」

 

 それを聞いて蒼い顔になったラバン少尉は、慌てて私に頭を下げて来る。

 

「そ、そいつは困る。なあゼロ、俺の訓練を見てくれないか?」

「かまわないが……。」

「頼んだぜ!よし、俺もマグネット・コーティング機を乗りこなしてやるぜ!そしていつかはガンダム!」

「その意気やよし、だな。」

 

 ちなみにマコーマック博士も、ペガサスに乗り組んでついてくる事になっている。宇宙空間が私のニュータイプ能力に及ぼす影響を確認するつもりなのだ。いつもの頭痛とは別個に、少々頭が痛かった。




今回は、主人公が未来を少しでも変えるために個人でできる範囲で、無駄を承知で色々やってみる話です。まあ、ラリー少尉が死ななかったのは無駄では無いと思いますが。
『アクシズの脅威V』に登場するマット中尉、小説版の「まっくん」の方が良かったなあ……。でも、小説版だとノエル伍長が黒いんだよなあ……性格が。
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