強化人間物語 -Boosted Man Story-   作:雑草弁士

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ゼロの呼びかけ

 そして『私』は薄暗い、薄明の空間の中にいた。そこは無重力で、『私』の身体……いや意識体は宙に浮いている。更にそこには『私』だけではなく、『俺』の意識体も浮かんでいた。

 

『……ゼロ・ムラサメ、か?』

『そう■、■■ゼ■・■■サメ■……。俺■■■■を呼んだんだ。突発■■病で死んだお前■魂■■……。』

『よく聞こえないが……。君が私をこの世界に呼び込んだんだな?私は、突発的な病の発症で死んだ。その魂を、君が自分の身体に呼び込んだ。』

 

 その問いに、『俺』は、頷く。

 

『■■■な。俺は■■■欠損していて、こうして■■できるだけでも奇跡的■■■。』

『……私の推測を言うぞ?君はニュータイプ研の強化実験で精神だか魂だかを、大きく欠損した。それを補うために私の魂を呼び込み、融合した……。』

 

 だが『俺』は、首を縦に、次に横に振る。

 

『■■だけじゃない。俺■『視た』んだ。俺■壊れ■瞬間に、『未来』を■■んだ。複数■。』

『未来を……見たんだな?しかも複数。』

『あ■。だけどどの『■来』で■、人類■ろくな■にはなって■かった。』

『……君は私に、その未来をなんとかして欲しいと?私にできるのか?』

 

 苦笑しつつ『俺』は、『私』に頭を下げる。

 

『……頼む。あ■たにやれるか■■■は、わからな■。けど、他の■は呼び込めなか■た。あんたしか、■■いんだ。

 本音■■■■、人類がどうなろ■■、■った事じゃない。だけど……。だ■ど……。あんなに多くの、意味の無い死を見せられたら、たまったもんじゃない!!』

『!!』

 

 眼前の『俺』は、血の涙を流していた。「人類がどうなろうと、知った事じゃない」と、『俺』は言った。たぶん。だがそれでも、多くの意味の無い死をなんとかしたいと叫んだこの少年は、本当は優しい、どこにでもいる様な少年だったんだろう。

 ジオンのコロニー落としさえなければ……。強化処置の実験台にさえ選ばれなければ……。

 

 そして『私』は『俺』に向けて頷く。

 

『所詮個人レベルの活動しかできないし、だから保証はできない。だけど努力はするよ。それで勘弁してくれないか?私だって絶望の未来は見たくないし。』

『それ■充分だ。さて、『外』じゃあ今■に山場■■。もうこう■■■会う事は無■だろ■■。じゃあ■、『俺』。』

『ああ、さよならだな、『私』。』

 

 目の前のゼロ・ムラサメは、光の粒子になって崩れていく。その光の粒子は、『私』の身体に吸い込まれる様にして消えて行った。

 そして『私』は『俺』になった。

 

 

 

 ガンダムのビームサーベルが、今まさにエルメスのコクピットを貫こうとしている。アムロ曹長にはもう止められない。だが、ガンダムを止める事はできなくとも、そのビームサーベルの刃を止める事ならば出来るかもしれない!

 かつて視たΖΖガンダムのアニメで、ハマーン・カーンのキュベレイはΖΖガンダムのハイメガキャノンの直撃を、サイコ・フィールドでぎりぎり防いでいた。あれの真似事ができれば……!!

 エルメスには、初期型とは言え遠隔操縦タイプのサイコミュが搭載されている。そしてその辺を漂流しているブラウ・ブロにも、有線操縦タイプとは言えど、サイコミュの初期型が搭載されている。俺は全身全霊の力を振り絞り、両機へ思念を飛ばした。

 

「うおおおあああぁぁぁ!!あ、あ、あ゛あ゛あ゛ー!!」

(な、なんだ!?この力は!?)

(きゃあああぁぁぁ!!)

 

 俺はエルメスのサイコミュを起点に、エルメスのコクピット付近を中心にして、サイコ・フィールドを発生させる。自機と自分を中心に発生させるわけではなし、更に使うのが初期型のサイコミュ2基と言う悲惨さで、俺にかかる負担は並大抵の物ではない。だが、ここで負けるわけにはいかない。

 

(聞こえるか、シャリア・ブル!聞こえるか、キャスバル・レム・ダイクン!お前の同僚を、お前の女を助けるために、力を貸せ!俺に力を貸せ!

 聞こえるか、アルテイシア・ソム・ダイクン!あんたの兄貴に、過ちを犯させないために、力を貸せ!俺に力を貸せ!

 聞こえますか、レビル将軍!この世界の痛みを少しでも少なくするために、力を貸してください!俺に力を貸してください!

 聞こえるか、ララァ・スン!お前が死ぬ事で、将来的にお前の愛する男は地獄へ落ちる!それをさせたくなければ、力を貸せ!俺に力を貸せ!

 聞こえるか、アムロ・レイ!お前が今、殺しかけてる女を殺さないために、力を貸せ!俺に力を貸せ!)

 

 俺はこの戦場にいるニュータイプ能力を持つ者、そしてニュータイプの素質を持つ者に、呼び掛けた。

 

(聞こえるか、ミライ・ヤシマ!あんたの友人の兄貴は、このままだと過ちを犯す!そうなればあんたの友人は悲しみ苦しむ!そうさせないために、力を貸せ!俺に力を貸せ!

 聞こえるか、カツ、レツ、キッカ!お前らには難しくてわからんかも知れんが、俺の抱いてる危機感はわかるだろ!?力を貸せ、俺に力を貸せ!)

 

 次に俺は、この辺の宙域にいるニュータイプ能力とその萌芽を持つ者すべてに呼び掛けた。力を貸せ、と。

 

(聞こえるか、この近場のニュータイプども!地球が悲鳴を上げてる!聞こえるか、この近場のニュータイプども!人類が悲鳴を上げてる!その悲鳴を、少しでも減らせるチャンスなんだ!その悲鳴が、下手すると上積みされるピンチなんだ!

 力を貸せ!俺に力を貸せえええぇぇぇ!!)

 

 そして俺はこのソロモン宙域にいる、全てのニュータイプ能力者に呼びかけた。覚醒していない者は、無理矢理に叩き起こした。そして力を貸せ、と呼び掛けたのだ。

 思ったより多くのニュータイプ能力者が、ソロモン宙域には居たみたいだ。それはそうだろう。ソロモンでララァ・スンの攻撃の際に『ラ……ラ……。』と言う声を聞いた者は、少なくとも覚醒しているか覚醒間際の者だし。

 それがけっこう居たって事は、連邦軍にもかなりのニュータイプ能力の素養を持つ者が居たって事だ。そして彼らは全員が、俺の抱く危機感を感じ取ってくれた様だ。素直に力を貸してくれたのだ。

 

 

 

 俺は宇宙空間に生身で浮かんでいた。いや、違う。幽体離脱っぽい感じで、宇宙空間に精神が投影されてるんだ。近くには、アムロ曹長、シャア……いや、ここではキャスバル・レム・ダイクンと呼ぼうか、それとララァ・スンが同じく浮いている。

 やや後方には、シャリア・ブルとレビル将軍と、セイラ・マス……アルテイシア・ソム・ダイクンが浮いている。そこからかなり離れて、あれは多分ミライ・ヤシマとカツ、レツ、キッカだな。更にその周囲を遠く取り囲む様に、そこまで多くも無いが、少なくも無い人数が浮いていた。

 眼下の宇宙空間では、今まさにガンダムのビームサーベルがエルメスのコクピットを貫こうとしている。だが、そのビームサーベルの切っ先は、キャノピーの直前に展開されたサイコ・フィールドで弾かれ、拡散していた。

 

(あれは……。貴方が?)

(たしかゼロ少尉、とか呼ばれていたね?)

 

 ララァ・スンとシャリア・ブルが驚愕を声音に滲ませて言う。

 

(俺だけの力じゃない。って言うか、俺は言ったぞ?力を貸せってな。あの力には、お前らの力も入ってるんだ。)

(だがそれをまとめ、束ねているのは君だろう。)

(あー、いいから、シャリア・ブル。アムロ曹長!さっさとビームサーベルの刃を消せよ。)

(はい!)

 

 ガンダムのビームサーベルから光が消える。そして『シャア』のゲルググがビームライフルをガンダムに向けた。

 

(やめんか。)

(……できん。今ガンダムを倒さねば……。)

(ジオン軍での立場が失われかねない、か?ジオン公国上層部、ザビ家への復讐を果たすために?『ガルマ様のときに虚しくなった』んじゃなかったか?……やっぱり捨てきれていないんだろ?)

 

 キャスバルが呻く。そして世界が変わる。

 

(これは!ソーラ・レイ!?コロニーレーザーだと!それで私と、交渉目前だったデギン公王が死ぬ!?

 これは……。エギーユ・デラーズ!アナベル・ガトー!奴らが連邦軍宇宙艦隊を核攻撃し、再度のコロニー落としを!)

(僕が……軟禁されて?こんな腐った大人に?シャア、シャアと共闘して、復活するのか……。)

(私が、クワトロ・バジーナを名乗る、だと?エゥーゴとしてティターンズと戦う?カミーユ・ビダン?)

(バスク少佐……いや、ティターンズ大佐だから事実上階級は2階級上で少将に匹敵するのか。馬鹿な……。それがコロニー・レーザーや毒ガスで、宇宙市民を虐殺……。馬鹿な、これではジオンと何ら変わりないではないか!)

(アクシズのハマーン・カーン……。可哀想なひと……。ジュドー・アーシタによって、少しは救われてくれると良いのだけれど……。)

(わたしが隕石墜としを……。そしてアクシズ落としを……。だが、父の理想は……。)

(シャアと再び戦う……。そしてνガンダム、サイコフレームでアクシズ落としを防ぐ……。)

 

 俺はキャスバルに向かって言う。

 

(これが今、ララァ・スンを救えなかった場合の未来の一例だ。お前もアムロ・レイも不幸になり、不幸の連鎖をばらまく。自分達は各々未来のために戦っていると信じながらな。

 そしてその度合いは、キャスバル・レム・ダイクン……お前の方が大きいな。はっきり言って。)

(しかし全ての人類をニュータイプへと導くには、他に方法が無かったのではないか!?)

(……ニュータイプと今現在呼ばれている物は、ニュータイプじゃない。ジオン・ズム・ダイクンが提唱したのは、宇宙に則した『新しい考え方ができる人類』の事だ。それをザビ家が歪めた。

 決してニュータイプ能力は、ニュータイプそのものを示すもんじゃない。あんな超能力じみた代物が無くても、新しい考え方ができていれば、それはニュータイプだ。)

(……。)

 

 そして俺は、キャスバルに致命的な一言を言ってのける。

 

(そもそも、ニュータイプってそんな良い物か?オールドタイプには生きる意味はないのか?)

(!?)

(ニュータイプを神格化してんじゃねーよ。ニュータイプだって人だ。全人類がニュータイプになれば全部解決するとでも勘違いしてるんじゃないのか?オールドタイプだって、そう悪くは無いんだぜ?

 なあ、ジンバ・ラル。)

 

 その瞬間、キャスバルの背後から、暗い闇の塊の様な物がブワァっと広がる。キャスバルは驚いて後ろを向くが、その闇の塊に絡め取られた。

 

(ぬ……。ううっ!)

(大佐!誰、あなたは!?大佐からはなれて!)

(シャア大佐!?これは……いったい!?)

(ララァ・スン、シャリア・ブル。それはジンバ・ラル、ジオン・ダイクンの側近でキャスバルとアルテイシアをかくまった人物だ。本体じゃなく、その遺した怨念だけどな。)

(((!!)))

 

 俺は腰から連邦軍製式拳銃……のイメージ具象化されたモノを抜くと、ララァ・スンに放ってやる。

 

(そいつが、キャスバル・レム・ダイクンを歪めた。疑いこそは濃いが、けっして確かでは無かった『ザビ家によるジオン・ダイクン暗殺』を、さも本当の様にキャスバルに吹き込んだり。ジオン・ズム・ダイクンの思想を、この上なく素晴らしいものの様にキャスバルに吹き込んだり。

 ジオン・ダイクンの思想が素晴らしいのは否定しねえよ。けどな、それだけが唯一の答えじゃないと俺は思う。オールドタイプだって、ほんとにそんな悪い物じゃ無いんだぜ。)

(大佐……。大佐から離れて!!)

 

 ララァ・スンが、俺の渡した拳銃を連射し、ジンバ・ラルの怨念を撃ち抜く。ジンバ・ラルの怨念は苦悶の声を上げる。

 

(ぐお……。おおおぉぉぉ……。)

(ジンバ・ラル……。あなたにはお世話になりました。けれど、兄さんを捕らえ、歪め続けるのは看過できません……!!)

(アルテイシア!)

 

 アルテイシアが銃を抜き、撃つ。アルテイシアに撃たれた事で、ジンバ・ラルの怨念は急速にその力を失った。ララァ・スンはキャスバルに……シャア・アズナブルに拳銃を渡す。

 

(大佐……。撃ってください。)

(私が?)

(そうです。これは大佐の心に棲み憑いているのです。とどめを大佐がやらないと、意味がありません。)

 

 そのとき、シャアの右腕に触手の様に、闇が巻き付く。シャアの腕はララァ・スンに狙いを合わせた。

 

(何!?)

(……。)

(ララァ!)

 

 割って入ろうとしたアムロ曹長を、俺は止める。

 

(何をす……。)

(大丈夫だ。キャスバル・レム・ダイクンやエドワウ・マスならともかく、シャア・アズナブルがララァ・スンを撃つわけがない。)

(え……。)

 

 次の瞬間、シャアの左手に抜かれていたジオン士官用制式拳銃が、ジンバ・ラルの怨念を撃ち抜く。シャアの右腕から闇の触手が抜け落ちた。シャアは2丁拳銃を使って、ジンバ・ラルの怨念をひたすら撃ち続けた。

 

(……さらばだ、ジンバ・ラル。ありがとう、ララァ。礼を言わねばならんな、ゼロ少尉……だったか。)

(何、いらんよ。これからお前ら、苦労するだろうからな。)

(む?)

 

 俺はそれ以上、シャアには応えなかった。周囲を見回すと、数多くのニュータイプ能力者たちは、今自分が見せられた未来のヴィジョンに呆然としている。俺は彼らに向かって言った。

 

(今回は、力を貸してくれてありがとう。だが、これから人類世界には、大きな危機が……。大きな痛みがたくさん、たくさん襲い来るんだ。それを、少しでも世界の痛みを減らす方にもっていきたい。

 だから頼む。俺に、レビル将軍に、世界の痛みを阻止しようとする者達に、これからも力を貸してくれ!少しでも、少しでも痛みを少なく!頼む!力を貸してくれ!)

 

 と、俺の横にレビル将軍が立つ。だが何も言わずに、将軍は俺の肩に手を置いて、周囲のニュータイプ能力者達をぐるりと見まわした。

 

((((((うおおおぉぉぉー!!うおおおぉぉぉー!!))))))

((((((うおおおぉぉぉー!!うおおおぉぉぉー!!))))))

((((((うおおおぉぉぉー!!うおおおぉぉぉー!!))))))

 

 凄まじい叫びが、周囲から押し寄せる。賛同の声だ。俺は安堵して、その場にへたり込む。……そして俺の意識は、すとんとシャットダウンした。あ、頑張り過ぎた。

 

 

 

 目が覚めると、宇宙要塞ソロモンの病室だった。遠心重力区画のベッドに縛り付けられて、身動きが取れない。ナースコールのスイッチが手元にあったので、看護師を呼ぶ。

 

「あら、ようやくお目覚めですか?」

「なあ兵長……。俺が意識を失ってから、どれだけ経ったんだ?」

「2日ですわね。倒れた方々の中では、一番長かったですね。」

 

 聞くと、レビル将軍は倒れていないらしい。いや政治的にマズいから、本当は倒れたのだが、その事はペガサスの部外秘になっている様だ。後でオフレコで、ウッディ艦長が教えてくれた。それでも意識を失っていた時間は、1時間程度だったらしい。まあ、将軍は力を貸してくれただけで、あまり深くは関わってないからな。

 なお他の、ソロモンにいる連邦軍士官で一緒に倒れた連中……。間違いなくニュータイプ能力に覚醒してるであろう奴らも、同じ時間に一斉に倒れたのは不審がられているが、1時間未満で目を覚ました様だ。

 長かったのは、アムロ・レイ曹長とアルテイシ……いや、セイラ・マス軍曹だ。それと敵側ではシャア・アズナブル大佐とララァ・スン少尉。次いでシャリア・ブル大尉。彼らは1日近く寝ていたそうだ。いやシャリア・ブルは2時間程度だったが。

 聞けばミライ・ヤシマ曹長とカツ、レツ、キッカの子供らも倒れたそうだ。悪いことしたかな?子供らには特に。

 その後も、精密検査が済むまでは、俺はベッドから解放されなかった。ちなみに、その間に第1、第2小隊の面々とかが見舞いに来てくれたのは有難かった。更に、びっくりする奴らが見舞いに来た。

 シャア・アズナブルとララァ・スン、シャリア・ブルである。なんでもレビル将軍の特別のはからいによって、面会が実現したそうだ。

 

「元気そうだな。」

「うむ。だが……君が「苦労するだろう」と言っていたのは、コレのことか。」

 

 そう言ってシャアは、厳重に手錠で繋がれた両手を、顔の前に上げて見せて来る。俺は笑った。

 

「ああ、その通りだ。精神世界?でお前らと話してた最中に、肉体はコクピットのキーを打って、蚊帳の外になってたラバン少尉たちに……。ああ、ラバン少尉ってのはニュータイプ能力者じゃないが、シャリア・ブル、あんたを追い詰めたパイロットたちの1人だ。

 彼らに、意識を失った俺たち全員を、ペガサスとホワイトベースに運ぶ様に頼んでたんだ。意識を失うぐらい派手にやった自覚はあったからなあ。」

「してやられたな。くくく。こうなっては、大人しく捕虜としての扱いを受けるしかあるまい。南極条約通りの扱いを期待する。」

「レビル将軍の御前で、下手な真似はできんさ。将軍が自ら捕まえて来た、ジオンのトップエース、赤い彗星のシャアとその直属の部下だ。」

 

 俺はジオン軍3人組を安心させる。シャアが笑って言った。

 

「では、自分と部下の待遇を少しでも良くするために、苦渋の決断をせねばならんな。ジオン軍が……ギレン総帥が計画している秘密兵器ソーラ・レイや、キシリア閣下が進めている計画、ニュータイプ研フラナガン機関についても、知る限りの事を話さねばなるまい。」

「ふむ。それを実行すれば、ザビ家にとって大きな痛手になりますな。」

「大佐、その情報を話す事で、ザビ家に対する復讐を?」

「ああ。父を暗殺したかが不確かだとは言え、疑念は濃い上に、結局色々酷い目に遭わされたのは確かだ。少しぐらい意趣返しをしても、かまわんだろう?」

 

 なるほど、ジンバ・ラルの怨念は自ら討ったが、それによって長年の間染み付いた心の傷や歪みは取り払えてはいない、か。それをこの意趣返しで、なんとか振り払おうと言う事か……。

 その後、2~3の雑談をしてから、シャア達は兵士に連れられて行った。ちなみにその兵士は、あの時精神世界?に居たニュータイプ能力者達のうちの数名であり、事情は詳しくはないものの知っていたので、問題にはならなかったりする。

 ああ、アムロ曹長も面会に来たんだったな。

 

「アムロ曹長、調子はどうだ?」

「はは、最悪ですよ。ララァには真正面から振られましたし。「ごめんなさい、わたしはシャアを愛しているの。彼を裏切れない。」だそうです。」

「……他にもいい女は沢山いるぞ。セイラ軍曹なんて、どうだ?」

「いいかも知れませんね。」

 

 冗談だと思っているな?だけどな、小説版だとお前ら、そう言う関係があったんだぞ?だが、最悪の気分だと言っている割には、すっきりした笑顔だ。色々馬鹿話をして、アムロ曹長は帰っていった。

 今のところ、色々良い方向へ転がっている。だが好事魔多しとも言うしな。気を付けないとな。

 

 

 

 レビル将軍の声が、ソロモンに響く。

 

『我々は、これより星一号作戦を開始する!目標はジオン軍宇宙要塞ア・バオア・クーだ。ここを突破すれば、敵本丸、サイド3は目前だ!諸君らの奮戦に、期待する。』

 

 連邦軍宇宙艦隊は、いよいよ星一号作戦、ア・バオア・クー攻略作戦を開始した。俺たちのペガサスは、全艦隊の旗艦として周囲を味方艦に取り囲まれて発進する。だがそれとは別に、こっそりと先んじてソロモンを出港した艦隊があった。

 改ペガサス級強襲揚陸艦ホワイトベースを旗艦に、それに後期生産型サラミス2隻を追加配備した第13独立戦隊。そして改ペガサス級強襲揚陸艦スタリオンを旗艦に後期生産型サラミス2隻の第18独立戦隊である。

 彼らの目標は、サイド3の3バンチコロニーであるマハル。シャアよりもたらされた情報を元に、コロニーレーザーとして改装されたマハル・コロニーを破壊し、ソーラ・レイを使用不可能にするのが目的なのだ。

 頼むぞー、アムロ曹長。コロニー・レーザーの一撃さえなければ、ア・バオア・クーも苦労はするけど確実に陥落させられる。本当に、頼んだぞー。……そういや、ドズルも死んでないんだから出て来るかな?今更だが。




なんとかかんとか、ララァは助かりました。オマケでシャアも。アムロは綺麗にフラれました。これで拘りとか無くなるといいんですけれど。
そして、連邦軍に多数のNT覚醒者が!!まあ、全員がパイロットや操舵手じゃないし、パイロットでも操縦技量が低いのもいますけどね。
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