四月は君の嘘~嘘と運命~   作:舞翼

6 / 7
めちゃくちゃ久しぶりの投稿です……覚えている人いるかなぁ。


――仕上げ。

 ~体育館~

 

 俺たちの4時限目の授業は、4組と合同体育であり、種目はバレーボールだ。でも、俺は控えという事で試合には出ていないが。

 

「……で、何でお前が隣に座ってるの?」

 

 お前とは、雨宮里香の事である。

 あとあれだ、最近は里香のお宅に週1程度で訪れている。何でも、『梨奈のご教授をお願いっ!』って里香に頼まれ、『ダメ……ですか?』と、梨奈の上目遣いに負けたからである。

 

「んー、何となく。ま、減るもんじゃないし気にしない気にしない」

 

「まあそうだけど。んで、梨奈の調子はどうだ?」

 

「スランプは脱した感じかな」

 

「そうか。てことは、俺はお役御免で――」

 

 俺の『お役御免でいいよな』という言葉は、里香の『それはまだかなぁ』という言葉に遮られてしまった。……てか、俺が教えなくても、梨奈はスランプから脱する事ができたよね?

 

「いや、梨奈はスランプから脱したんだから俺は要らなくね?」

 

「でも、今の方が私たちの練習にも適してると思うんだけど、ガラコンも後数週間だしね」

 

「……まあ確かに、練習時間も増えるけど」

 

 でも、里香の両親の質問攻めがなぁ……。『里香は、翔太君に任せられる』って口を揃えて言うのは止めて欲しい。でもまあ、今後の事も含め、俺は今後も里香の家に通う事になったのだった。……まああれだ、何とかなる、はずだ。

 

「それで、今日はどうするの?」

 

「ん、ああ、お邪魔するよ。『月の光』も、そろそろ仕上げしないとな」

 

「そっか。お母さんたちにも、話をしとくね」

 

 俺は、うぐ、と言葉に詰まる。

 

「やっぱり、お前の両親に会うのね……」

 

「お父さんは解らないけど、お母さんは専業主婦だもん」

 

「そうだよなぁ……」

 

 はあ。と溜息を吐く俺。てか、バレーボールの結果は、俺たちのクラスの勝ちであるが、その過程で公正が椿のレシーブを顔面で受け止めたらしい。

 ともあれ、渡が俺の元まで歩み寄り、

 

「椿とオレと公正は、かをりちゃんの退院祝いに病院に行くけど、翔太と里香ちゃんはどうする?」

 

「俺はパスだな。今さっき、予定ができた」

 

「私も予定があって。かをりちゃんに退院おめでとうって、私が言ってたって伝えてくれる?」

 

 渡は、ニカっと笑い、

 

「了解。翔太の分も伝えとくぜ」

 

「ああ、頼んだ」

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 それから学校の授業が終了し、俺は一度家に帰り私服に着替えてから里香の家の玄関前に訪れていた。それからインターフォンを押し玄関を開けたのは、里香の母親だ。

 

「あら、翔太君。いらっしゃい」

 

「ども、ご無沙汰してます」

 

「ふふ、そんなに畏まらないでいいわよ。翔太君は、家族見たいなものだしね」

 

「いや、俺がいつ家族になったんですか!?」

 

「冗談よ♪」

 

 俺は内心で、冗談かよ!と叫ぶ。まあ、こういうやり取りがあるので、俺の精神はガリガリ削られていくのだ。ともあれ、これが里香の家に訪れる事を渋っていた理由である。

 それから俺は玄関から上がり、スリッパに履き替えてから練習部屋へ向かう。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

「あ、翔太先生。お久しぶりです」

 

 鍵盤を離し、俺に体を向けそう言ったのは、『六兆年と一夜物語』をピアノで弾いていた梨奈である。ちなみに、『シャルル』、『千本桜』、『ロミオとシンデレラ』、『ロストワンの号哭』、『アスノヨゾラ哨戒班』も弾けたりする。

 

「おう。それにしてもボカロに嵌まりすぎだろ」

 

「つい、のめり込んじゃいまして。ごめんなさい」

 

「謝る必要はないけど。元はと言えば、俺が悪いんだし……てか待って、翔太先生なに?」

 

「いえ、ピアノを教えてもらっている先生なのに、『さん』呼びは失礼かなって思いまして」

 

 梨奈は小悪魔な笑みを浮かべる。

 そして、その笑みに乗せられてる俺。つか、俺をからかう時の里香と同じ仕草である、さすが姉妹。

 

「いや、いつもの呼び方でいいよ。俺、先生って柄じゃないし」

 

「じゃあ、いつも通り“翔太さん”って呼びます」

 

「おう。んじゃ、里香が来るまで連弾するか?」

 

「はい!」

 

「そうか。曲はどうする?」

 

「“凛として咲く花の如く”で!今練習中なんです!」

 

 おいこら。ショパンとかじゃないのかい……まあいいけど。ともあれ、俺は梨奈に隣に座るのだった。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 私と翔太さんは鍵盤に手を置き、アイコンタクトをしてから音を奏でる。

 静かにゆったりとした響き。優しく沁みわたるように、僅かに憂いを伴った音だ。この曲は、皆から見ると只のボカロ曲だけど、翔太さんの音を重ねると、まるでコンサート会場で演奏している錯覚に陥るのだ。

 

「(……翔太さん、本当に凄い。コンサート会場で“愛の悲しみ”とか連弾したらどうなるんだろ?でも私の連弾より、お姉ちゃんとの伴奏を聞いて見たいなぁ)」

 

 私のお姉ちゃんは、ヴァィオリニストで表現者(・・・)。翔太さんもピアニストで表現者(・・・)。この間の伴奏は即興だったけど、演奏を仕上げ2人の音が重なったら、あの時以上に会場を音楽で包み込むに違いないと、私は思う。ともあれ、私と翔太さんは音を紡いでいった。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

「凄い凄い!やっぱり翔太さんは、私の目標です!」

 

「いや、俺が目標とか大げさすぎないか?ピアノから離れて結構ブランクあるし……まあ、色々と後悔はないけど」

 

 ピアノを辞めても未練がなかったとか、ね。でもまあ、ほぼ無理矢理舞台に上げられたんだけど。

 と、その時、“パチパチパチ”と拍手が聞こえる。どうやら、途中からヴァイオリンと弓を持った里香が部屋に入って聞きいってたらしい……なぜ気付かなかったって?俺と梨奈って、集中すると周りが見えなくなるのだ。

 

「ホント、翔太君と梨奈にかかると、どんな音楽も自分のものにしちゃうんだね」

 

「(いやいや、お姉ちゃんと翔太さんの伴奏も、曲の世界観を自分のものにしちゃうよね?それ、私にはできないからね?)」

 

 梨奈はこの時こう思っていたらしいが、俺と里香が知る由もない。

 

「それじゃあ、私たちも練習を始めましょうか」

 

「おう。お手柔らかに頼むぞ」

 

「……最初の頃、私を振り回していた君がそれを言う」

 

 俺はそんなつもりはなかったんだが、最初合わせた時は、俺が里香の演奏を振り回していたらしい。てか、それでもついてきた里香は凄いと思う。ともあれ、練習練習。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 アイコンタクトをして、私は翔太君の前奏に乗るようにヴァイオリンを奏でる。いつも思うけど、翔太君との伴奏は不思議な感覚だ。強いて言えば、周りを虜にできる演奏と言えばいいのか、そんな感じだ。

 

「(翔太君)」

 

「(ギアを上げればいいんだろ)」

 

 私と翔太君はアイコンタクトで会話をし、演奏の強弱をつける。でも、コンクールでこの演奏はタブーになるかもだけど。これは私たちの音楽。2人だけの世界で奏でる演奏。ガラコンだから許される演奏……いやでも、やっぱり審査員の気に触るのかも……。でも、今が楽しいし自分たちの音楽を紡げればいっか。

 

「(翔太君、楽しいね)」

 

「(ああ、俺も楽しい。いつまでもこの時間が続けばいいなって思うよ)」

 

 このようにして、私たちは同じ時間を共にしていった。




ご都合主義満載ですね(笑)ちなみに作中の曲は、1曲以外はガルパからですね。まあ、作者もそれ以外のボカロも好きですが。
ではでは、次回もよろしく(@^^)/~~~
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。