ドラこれ 〜超軍艦木曾の摩訶不思議な冒険〜   作:ヴェルヌイ

2 / 2
完結です。なお、別小説でこれの続きを作る予定です(書き始めの9月18日1時時点)
それとやっぱりドラゴンボールなので注意、場面としてはサイヤ人襲来編です。
なお、技名は木曾たちの技名は自分で考えますが敵役の人達は完全にパクります。流石にベジータポジションの人のはパクる訳にはいかないけどもね。


襲い来る強大な敵

ここは鎮守府の裏にある特殊実験室、ここではとある潜水艦を明石自ら改造していた。

改造と言っても無理のない程度に性能を馬鹿上げするだけで、身体中を謎の機械で弄ったりヤバそうな液体なんて飲ませていない。

 

そしてその潜水艦とは………

 

「まるゆ!お前この短期間で本当に強くなったな!」

 

「ハァ、ハァ………まだまだ木曾さんには及びませんよ…………」

 

そう、陸軍で建造された潜水艦『まるゆ』である。

彼女は最近建造され、1番初めに見た戦闘が木曾だった。その時に木曾の戦闘見てかっこいいと思ったのか、木曾に弟子入りしている。

 

さらにこの桁外れな師匠を持ってしまったが為に、まるゆはまるゆでなくなる。

まず潜水艦のくせに腕力が馬鹿げている。長門と腕相撲をしても余裕で勝ち越し、勢いで台さえも破壊した。

 

そして木曾と同じ様に体内エネルギーを扱う事ができる。正確には使えるようになったと言うのが正しいが。

今は魚雷の様な形のエネルギー弾を連射することしかできないがその威力は戦艦の砲撃さえをも凌ぐ。

 

しかしそれでも欠点はある。

まず潜水艦なのに何故か海中へ潜れなくなってしまった。明石の推測によると潜水艦なのに地上に完全に適応してしまったとのこと。海上に浮く事もできないので代わりに空中浮遊術の『武空術』を木曾から習い、なんとか出撃できている。

そして潜水艦のくせに燃費が酷い。ある時では空母と並ぶほどの出費が出た。

 

「さて、そろそろ…………やるか?」

 

「……はい、お願いしますっ!」

 

「じゃあ来い!先手は譲ってやる。」

 

「行きますよ……………はぁ!!」

 

2人が始めたのは組手。しかし武術なんぞ誰にも師事されていない2人、とりあえず相手の隙を作りながら急所を突くというのがスタイルになっていた。

 

まずは先攻のまるゆの拳が真っ直ぐと木曾の顔へ迫る。しかしもちろん木曾は片手で受け止める。まるゆはそのまま拳や蹴りの乱打を繰り出すが的確な木曾のガードによりすべてダメージを与えられない。

 

気づけば2人とも空中へ浮遊していた。そしてとうとう木曾が攻撃を繰り出す。

木曾はまるゆの乱打の合間を縫って腰へと蹴りを放つ。まるゆは咄嗟にガードするが、そのガードさえも貫通されて吹き飛ぶ。

木を5本ほど薙ぎ倒してやっと停止すると、まるゆはすぐに体勢を立て直して空中で見下ろす木曾へと突撃していく。

 

木曾は突撃してくるまるゆへとエネルギー弾を連続発射、通称グミ撃ちをする。まるゆは木曾の放つ弾幕に苦戦しているのかなかなか木曾に近づくことができない。

そして動きが止まったまるゆへ向かって、木曾はようやくできた一つ目の技を撃ち込んだ。

 

「グレイトフラッシュ!」

 

右手にエネルギーを溜めて相手へとバッと突き出し一直線にレーザーを撃ち出す技だ。

グレイトフラッシュは真っ直ぐまるゆへと向かう。まるゆは両手を突き出してレーザーを押し返そうとするが、木曾のパワーの前では敵わず、エネルギーの奔流に流される。

まるゆはそのまま地面へ叩きつけられて倒れた。

 

木曾は地面へ着地するとスカートのポケットから応急修復材が入っているビンを取り出しまるゆに飲ませる。この応急修復材は木曾達用に改良したもので他の艦娘は使えないが、木曾とまるゆに限って体力と傷を完全回復する。簡単に言えばせ○ずである。

 

「ごくっ……ごくっ………ぷはぁ、ありがとうございます。」

 

「それ位なら礼を言われるほどじゃねぇ。それよりまた攻撃が重くなったな。まだまだ伸び代はある。例えば俺のように相手にトドメを刺すための必殺技を作るとかな。」

 

「必殺技、ですか…………」

 

木曾の言葉にまるゆは深く考え込む。それも仕方がない。

まるゆの攻撃はどちらかといえば連射性に重心をかけており、あまりこれといった威力の攻撃がない。できるとすれば低威力の魚雷型エネルギー弾を高速で連射することぐらいだ。

しかしそれではもし敵になり得る者が現れた時に勝負の決定打となる攻撃ができない。精々ダメージを与えるのが関の山だろう。

 

「そうだ。お前の場合、そうだな…………………グミ撃ちの時のエネルギーを凝縮してふた回りもさん回りも大きいエネルギー弾を作るとかな。」

 

「巨大な……エネルギー弾……………そうですね、試してみます!」

 

「その意気だ。俺だってグレイトフラッシュを最初からできたわけじゃない。何度も練習を繰り返してできるようになったんだ。まるゆだって自分の技ができるぜ。」

 

「じゃあ海で練習してきます!」

 

「おう、俺も特訓を続けてるからな!」

 

まるゆは手を振りながら海へと走っていく。木曾はその姿を見て静かな笑みを浮かべるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よう、提督。何の用だ?」

 

まるゆが海に技の練習をしに行ってから5時間後、木曾は執務室に1人呼び出されていた。

木曾の目の前にいるのはこの鎮守府の提督である。名前は言わない。

 

「うむ、ここに来るまで45秒だ。早かったな。」

 

提督は手に持ったタイマーを止めながら振り返る。

 

「当たり前だ。俺を誰だと思っている。」

 

「この鎮守府のエースにして多分最強の軽巡洋艦だな。」

 

「分かってるじゃねぇか。それで、何の用だ?」

 

「あぁ、それなんだがな……………これはなんだ?」

 

提督が指差したのは執務室に転がっている大量の木片である。

 

「?? 分からんな。なんだそれ?」

 

木曾の言葉に提督の額に筋が入る。ブチッという音も聞こえてきそうだ。

しかし提督も大人だ。まだキレるような人間じゃない。

 

「これはな、さっきお前らがしてた戦闘の時に折れた木の破片だ。ソファの上で伸びてる赤城は飛んできた木片が頭部に直撃したからだ。後で謝っとけよ?」

 

「ふむ、それは済まないことをした。赤城には後で謝っておこう。それで、俺は何をすればいいんだ?」

 

「掃除、と言いたいところだが、お前にそれができる気がしない。だから重要な任務を任せようと思っている。」

 

「ほう?内容は?」

 

提督の言葉に2人の目つきが変わる。どちらも軍人、戦闘モードである。

 

「あぁ、舞鶴の鎮守府からとある艦娘が逃げ出した。確かその艦娘は2名、片方は軽巡洋艦天龍、そしてもう片方は……………お前の姉、球磨型のネームシップの球磨だ。」

 

その名前に木曾の眉がピクリと動く。

 

「球磨姉か…………球磨姉は何故鎮守府から逃げ出した?」

 

「うむ、どうやら提督による虐待に限界が来て逃げ出したようだ。提督は天龍に殺され、その場に居られなくなった2人は艤装も持たずに逃げ出したそうだ。約1年前の話なんだがな…………」

 

「何故そんな話を今更?」

 

「それがな、最近この2人が良くこの辺りの海域で見つかるんだよ。それも必ず発見者は襲われている。幸い轟沈者はいないがな。」

 

「そうか、重要な任務の内容が分かったぞ。」

 

「そりゃ楽で助かる」

 

「どうせ球磨姉と天龍を連れ戻せとかそんなのだろう?」

 

「やはり分かるか。その通りだ。期限は1ヶ月、天龍と球磨を連れてこい。」

 

「了解だ、早速まるゆと艦娘数人を連れて行くからな。」

 

「大淀か俺に事前報告するならよろしい。まるゆはお前に良く懐いてるからな、勝手に連れて行っても構わんだろう。」

 

「じゃあ行ってくる。3時間すれば戻ってくるぜ。」

 

「分かった。あぁ、それともう一つ…………」

 

何か言おうとした提督に木曾が振り返ると、提督は人差し指を立ててこう言った。

 

「その天龍なんだがな…………どうやら深海棲艦と手を組んでる可能性がある。十分注意しろよ。」

 

「ふっ、そんな事か。並の深海棲艦じゃあ俺を倒すことはできない。だが礼は言っておこう。ありがとな。」

 

「木曾に礼を言われた…………明日は砲弾が降るかもしれんな。」

 

そう言った提督に木曾はわざと聞こえるように指の骨を鳴らす。そうしてこう言った。

 

「さぁて、帰ってきたら提督を3発ぐらいぶん殴るかー。」

 

「すまん、それだけは勘弁してくれ。下手したら死ぬ。」

 

提督の早すぎる掌返しに木曾は小さく笑みを零した。

 

「ふっ……冗談だ。お前にそんな事をする訳ないだろう。」

 

そう言って木曾は執務室から退室した。

提督は乱暴に閉められた扉を見ながら独り言を呟いた。

 

「………………まぁいいだろう、あいつなら無事に帰ってくる。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わって鎮守府の外れにある堤防、ここに木曾は出撃するために来ていた。

そしてその後ろにいるのは任務と聞いて急遽帰還したまるゆ、すでに海上で待機しているのは第七駆逐隊の4人の曙、潮、漣、朧だ。

 

「さて、お前ら。準備はできたか?」

 

「ええ、第七駆逐隊、全員集合したわ。」

 

この4人は元々別の鎮守府の艦娘だったのだが、その鎮守府の提督が相当なクズでまぁいろいろやらかしていた。その事に気づいた上層部がその提督を問い詰めるが見事にはぐらかされ、何も収穫を得られずにのこのこ帰ってきた。

その事にキレた木曾がその鎮守府にカチコミした結果、提督は呆気なく罪を認め見事に無期懲役になった。

 

その時のカチコミを割と間近で見ていた第七駆逐隊は木曾を恩人と見て、この鎮守府に移動しいつでも後ろを着いてくるようになってしまった。時々木曾の訓練に参加するが木曾の訓練どころかまるゆのやつにさえも着いていけていない。それでも最近はメキメキと実力を付け始め、大規模作戦の第1艦隊に配属される事もある。

 

「さて、行くか。相手は相当な腕の持ち主だ。流石に負けるなんてことはねぇと思うが、一応気を付けとけよ。」

 

「分かりました。でも私達も強くなったんですよ?」

 

「そこらの敵には負けないわよ?」

 

「ふっ、そうか…………なら期待している。もし雑魚どもが現れたら掃討するのは任せたぞ。戦闘中に邪魔が入るのは些かイラつくからな。」

 

そう言うと木曾は宙に浮遊し、30ノット程のスピードで海上を進んで行った。

まるゆも浮遊して木曾に着いて行き、第七駆逐隊の4人もそれを追いかける。

 

 

 

そして出発から20分後、

 

「………………何もありませんね。」

 

「そうね、まるで大型作戦後の海みたいに平和ね。」

 

木曾たちが向かった海域には目的の天龍達どころか深海棲艦一隻も見当たらない。大型作戦なんてものは無くいつもと変わらない筈だが、ここまでいないと逆に恐ろしく感じてくる。

 

と言うのが木曾以外の5人の考えている事なのだが、木曾だけは違った。

木曾は最近とある特訓をしていた。

 

「……………いや、いるぜ。」

 

「え?いるって………何が?」

 

「…………海中にいるな。それも大量に。」

 

「それってもしかして……………!?」

 

木曾が特訓した事、それは周囲の生物などに宿るエネルギーを感じ取り場所を感知する、そんな事を特訓していた。

 

木曾がそれを試したところ、海中に約25程の反応を感じている。それもélite級やflagship級ばかりだ。

しかしそれ程度で木曾やまるゆ、今の第七駆逐隊を倒せる訳がない。そう考えると相手は自分たちを舐めているのか、それとも何か考えがあるのか、この二択に絞られる。

 

「とにかく奴等を掃討しよう。天龍達は見当たらないしな。」

 

「了解です、木曾さん!」

 

まるゆは元気よくそう頷くと、両手を前に構えて戦闘準備をする。

第七駆逐隊も全員が別々に四方を向き、独自改造した12.7cm連装砲を構える。

 

そしてそのまま木曾は手の内にエネルギー弾を作り出し、海中にぶん投げた。

 

数秒後、海中からものすごい光と爆発音が聞こえ、何かの残骸やボロボロの深海棲艦が浮かび上がってきた。

 

「やはりいたか。」

 

「ウゥ………」

 

「おい、てめぇらの目的はなんだ。ただ集まってた訳じゃねぇだろ?」

 

木曾は近くに浮かび上がってきた戦艦タ級の胸倉を掴み上げ、目的を聞きあげる。

しかし………

 

「ウゥ………フッ…………」

 

笑った。敵に優位を譲っているというのに笑っている。

その姿はボロボロでどう考えても笑っていられる状況じゃない。なのにタ級は笑った。

 

「おい、何がおかしい。」

 

木曾が胸倉を掴む力を上げると、うめき声を挙げながらもタ級は笑みを絶やさずにこう言った。

 

「キサマラハ………ワタシタチニハカッタヨウダガ………ハァハァ、グッ!?……………アノカタタチニハ………ゼッタイニ………カテナイ…………フフ……フハハハハハ!!ガフッ、ガハッ……………」

 

タ級はそれだけ言うと息絶え、海に融けて行った。

木曾は沈んでいくタ級を睨みつけながら疑問を誰に問うでもなく呟いた。

 

「…………あの方とは誰だ。」

 

「さぁ…………もしかしたら天龍さん達と何か関係があるかも…………」

 

「さぁな…………ッ!?全員避けろ!!」

 

木曾はそう叫ぶとまるゆを抱き上げ、その場を飛び退いた。

木曾が飛び退いた直後、空からエネルギーの塊が海上に衝突する。それは完全に木曾を殺すために放たれたものであり、その威力から木曾やまるゆのパワーでさえも超えている可能性があった。

 

「おい!誰だ!」

 

「ふむふむ、お姉ちゃんに対してその態度は感心しないクマね。」

 

「お姉ちゃん、だと?なにっ!?」

 

木曾がエネルギー弾が飛来してきた方向を見上げるとそこには………

 

「これはちょっとお仕置きが必要みたいクマ。」

 

「てめぇは………球磨姉か?」

 

今回の任務の目的の1人でもあり、球磨型軽巡洋艦のネームシップ、球磨が堂々とした風貌で浮遊していた。

 

「ようやく来たかクマ。私達の事を嗅ぎつけて木曾が来るのをずっと待ってたクマ。」

 

「なんだと?」

 

球磨は海上に降り立つと、自身の目的を語り始めた。

 

「球磨は……いや、球磨達は木曾を探してたクマ。深い理由はめんどくさいから省くけど、とりあえず一緒に来るクマ。」

 

「…………何故だ?」

 

「……………めんどくさいと言ったのに………聞き分けの悪い妹だクマ。球磨達は今、メンバーを集めてすべての鎮守府……いや、日本を滅ぼそうとしてるクマ。」

 

「……………なっ!?」

 

木曾は驚きのあまり反応が少し遅れ、次の瞬間には怒りを露わにして球磨に食って掛かった。

 

「何故そんな事をしようとする?!球磨姉達も艦娘だろ?」

 

そんな木曾の言葉に球磨も苛立ちを含めながら返答する。

 

「あえて言うクマ。艦娘だからこそ、だクマ。艦娘だからこそ人の心を持った戦闘兵器として生まれたクマ。昔のように無機物のまま戦いを続けていれば感情も、痛みも無いまま戦い続けることができたクマ………だから私はこの体が………………」

 

球磨はそこから先を言おうとして口籠った。木曾は不審に思い口籠る訳を聞こうとするが、すぐに球磨は口を開く。

 

「いや、案外この体も悪くないクマね。おかげでこんな事までできるようになったクマ。」

 

球磨は右手を前に突き出すと、エネルギー弾を一瞬で作り出し木曾、いやまるゆに撃ちだした。

まるゆはそれに反応できず、エネルギー弾は真っ直ぐとまるゆへと迫った。

 

「え……………」

 

「まるゆっ!!」

 

木曾は完璧に反応し、エネルギー弾を球磨へと両手で跳ね返した。

球磨ははそれを首を傾けるだけで避け、逆に5発ほどのエネルギー弾を撃ち出した。

 

「うっ!?ぐぅぅぅ!?」

 

木曾は1発目はなんとか弾いたが、次々と襲う4発をマトモに喰らい7m程ぶっ飛んだ。

木曾は口から漏れ出た血を手で拭うと、球磨を睨みつけた。

 

「球磨姉!何すんだ!?」

 

木曾は怒鳴りながらそう問うが、球磨はそれを無視しながら口を開く。

 

「フフフ…………今の木曾じゃ私は倒せないクマ。この様子じゃあいつにも勝てないクマね。」

 

「あいつ、だと?……………まさか!?」

 

「ほほう………あいつ、天龍の事を知ってるクマ?」

 

球磨はそう言う割には少しも驚いた様子のない顔と声色で、驚いた振りをする。

 

「そりゃ気付くさ。相当な噂になってるからな。」

 

血を拭い終え、余裕そうな表情を作りながら噂の話をする木曾。

 

「へぇ…………球磨達一躍有名人って訳クマか。」

 

しかし球磨はその程度の事すら分かっていると言わんばかりに余裕の笑みで返す。

木曾は直感で分かった。女の勘、とかいうやつなのだろうか?

 

「(こいつ……………絶対に俺に勝つ自信があって余裕かましてやがる…………対して俺はどうだ。完全にさっきの攻撃で勝てないと悟ってしまっている!)」

 

「どうしたクマ。もしかして私に怖気付いてんのかクマ?」

 

「ッ!?」

 

すぐに言い当てられ冷や汗を垂らす。先ほどから心の中を読まれているようでさらに不気味さが増す。木曾は気付かぬうちに後退りしていた。

 

「やっぱり怖いクマか。私達に協力すればそこの奴らと木曾の命だけは助けてやるクマ。」

 

「何…………。」

 

木曾は考えた。考えに考えた。

 

「(俺が協力すればこいつらと俺だけは助かる?でもそれじゃあうちの鎮守府の皆や提督、それに他の艦娘、いや日本全土が危険に晒されてしまう。それに協力したとなっちゃあ………………)」

 

木曾は無意識に拳を握りしめていた。そして出した答えは…………

 

「ほー、それが木曾の答えクマか。」

 

「あぁ…………残念ながら艦娘として御国をぶっ潰すなんて事に協力する訳にはいかないんでね!」

 

木曾は拳を構えた。球磨は先ほどとは違い、少しだけ驚いたようだがすぐに木曾を見据えながらこう言い放った。

 

「そうクマか……………なら残念クマね。できれば仲間にして来いと天龍に言われていたけど………………」

 

次の瞬間球磨の表情が変わった。先ほどまでのダルそうな顔ではなく、人を殺す事を躊躇しない殺人鬼のような顔をしていた。

 

木曾ははっきり言ってビビった。あまりの恐怖でへたり込みそうだった。

しかしここでへたり込んで仕舞えば全員皆殺しにされてしまう。そしてそのまま日本も…………

 

そう考えると自然と気が引き締まる。どれだけ球磨が強かろうと絶対に勝つと言う根気が湧いてきた。

 

「あぁいいぜ……………いつでも来いよ。」

 

木曾は空元気でそう言う。すると球磨は………

 

「へぇ、いい度胸だクマ。ならッ!!」

 

球磨は一瞬で木曾の眼前に迫ると、木曾の顎を掌底打ちで仰け反らせた。

 

「あっぐぅぅ!?」

 

「まだまだ行くクマよっ!!」

 

上向きになった木曾は首がガラ空きになりここを突かれれば恐らく一撃で死ぬ。そう思った木曾は無理やり頭を引き戻すと、眼前に迫った球磨の手刀を受け止め、逆に顔面に1発強烈なパンチを浴びせる。

 

球磨は吹きとびながら体勢を立て直し海面に着地した。

 

「今のはいい一撃だったクマ。でもまだまだクマね。その程度じゃこの私は倒せないクマよっ!!!」

 

「言ってろ!!それでも俺はお前を倒す!!」

 

木曾は追撃しようと球磨へと攻撃を仕掛けるが、逆に球磨に両拳を正確に受け止められ腹に強力な蹴りを喰らう。

 

「カハッ!!?」

 

そこで吹き飛べば衝撃は少しでも逃げた筈だが、球磨が腕を掴んでいるため蹴りの威力がそのまま内臓に響く。木曾は血を吐き出し、意識を失いかけるが根性を奮い立たせなんとか持ちこたえる。

 

「へぇ……これを耐えたクマ?ならもうちょっとやっても問題無いクマねっっ!!!」

 

球磨は木曾の手を上へ跳ね上げ万歳の体勢にする。すると木曾はボディ全体が完全にガラ空きになり、どんな攻撃でも受け付けてしまう。

そんな状況の木曾に球磨は両手にエネルギーを溜め、そして両手を突き出してエネルギーを放出した。

 

「これでくたばるクマっ!!ダブルサンデー!!」

 

球磨の両手から放たれた2つのビーム、それはあっさりと木曾を飲み込み、30m先辺りに着弾して爆発を起こす。

 

「木曾さんっ!!」

 

それを見ていたまるゆは着弾点へと行こうとするが、目の前に球磨が一瞬で移動し道を塞ぐ。

 

「行かせないクマよ。あんたにもここで死んでもらうクマ。」

 

「あがっ!?」

 

球磨はまるゆの首に手を伸ばしがっしりと掴む。その後ジリジリと持ち上げさらに力をこめていく。

 

「さて、いつ死ぬクマね。どれだけ耐えるかやってみようかクマ。」

 

「うっ………ぐぅ…………!!」

 

まるゆは両手で球磨の手をはがそうとするがビクともせず、だんだん力も抜け始める。

 

「木曾………さ……ん………………」

 

「ふっ、もう終わりクマ?呆気ないクマねぇ。後は………ッ!?」

 

まるゆの意識が飛びかけたその時、球磨が大きく吹っ飛んだ。まるゆの目に映ったのは…………

 

「うぐっ!?お前………!?」

 

「ラァァァ!!」

 

球磨の顔面に蹴りをいれながら怒りの形相で球磨を睨む木曾の姿だった。

 

「大丈夫かまるゆ!!」

 

木曾は落ちるまるゆを抱きかかえて呼びかける。

 

「木曾……さん…………良かった……………」

 

「バカ!死ぬんじゃねぇぞ!七駆!まるゆを頼む!!」

 

「わ、分かったわ!」

 

曙が七駆の中で1番初めに動き出し、まるゆを抱えて離れていく。

木曾はぶっ飛ばされた球磨を見据えながら構えを取る。

 

「………………意識外からの不意打ち、今のは効いたクマよ………」

 

口元から垂れる血を拭った球磨は木曾を睨みつける。

木曾も負けじと睨み返すが、その気迫は段違いだった。

 

「………………どうやって避けたクマ?」

 

「簡単な話だ。それと避けたんじゃない、耐えたんだ。」

 

よく見ると木曾の体や服はボロボロで所々血も出ている。どう見ても無事ではない。

それでも立てているのは木曾の魂に眠る愛国心故か………………

 

「さぁ、もう一回始めようぜ…………」

 

そう言って木曾は球磨へと突撃する。球磨は落ち着きを払いながら木曾のへとカウンターするために動きを読む。

 

「(これは…………まずは蹴りクマか。その後に拳の乱打でもするつもりクマね…………なら!!)」

 

球磨はいつでも蹴りを受け止められるように左手の位置を地味に変えると木曾が攻撃を放つのを待った。

木曾は案の定球磨に蹴りを放った。しかし、

 

「なにっ!?ぐふっ!?」

 

「残念だったな。分かってるんだよ、お前が俺が右足で蹴る事を待ってるのはな。」

 

「ゲホッゲホッ!!何………」

 

「だからわざと利き脚じゃない左足で蹴らせてもらった。さすがにこれは意表を突いただろ?」

 

木曾は右脇腹を抑えて苦しむ球磨を見下ろしながら自慢げに語る。球磨はそんな木曾を憎々しげに睨む。

 

「さて、そろそろ終わりにしてやる!!」

 

「な、何をする気クマ!?」

 

木曾は球磨を持ち上げると上にぶん投げた。

 

「うわぁぁぁああああああ!?」

 

「消え失せろっ!!」

 

木曾は右手にエネルギーを溜め、一度後ろへ構える。そして球磨へと向かい右手を突き出した。

 

「グレイトフラッシュ!!!」

 

真っ直ぐと伸びたエネルギーの奔流は球磨を飲み込み、天へと伸びた後大爆発を起こした。

 

「チッ!!最後に一撃だけでもッ!!」

 

「終わりだ!!」

 

「うああああああああぁぁぁぁぁぁ……………」

 

球磨の悲鳴は辺りに響き渡り、やがて小さくなってき遂には聞こえなくなった。

 

「……………………チッ、嫌な奴だったとは言え、胸糞悪りぃぜ……………」

 

木曾は球磨が爆発したところを睨みながら悪態を吐いた。

木曾はこれで終わったかと鎮守府の方角へと振り返る。しかし戦いはまだ終わっていなかった。

 

木曾が鎮守府が見える所まで接近すると、既に入渠を済ませたのかまるゆと七駆の皆が出迎えていた。

全員は最初は手を振っていたが、途中から真剣な顔になって何かを叫び始めた。

 

「……さ…………うし……す…………」

 

「ん?なんて言ってるんだ?」

 

しかし木曾にはそれが全く聞こえず、耳を済ませても海の音のせいで微かにしか聞こえなかった。

その時、

 

「がふっ!!?一体………何が…………!?」

 

木曾の背中に何かが衝突する。その物体は木曾の背中で大爆発を起こし、海面に波を立てる。

 

衝撃と膨大な熱で大幅に吹き飛び頭から堤防の壁に激突、木曾は大量に血を吐き堤防の破片で身体中に切り傷や擦り傷が大量にできる。

 

それを見ていたまるゆや七駆、その他の全員が海上に降り立ち、急いで救出するが木曾は気を失ってしまった。

 

消えゆく意識の中で木曾は、背中に衝突したものを考えながら視界はブラックアウトした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは鎮守府にある医務室、入渠して直すほどのものでもない傷や入渠では治らない風邪や熱を治癒するためにある部屋で、ここに木曾は運び込まれていた。

 

「……………………………。」

 

「木曾さん、起きませんね…………」

 

木曾をベッドの近くの椅子に座り心配そうに見つめるのは木曾が戦っている中何もできなかったと後悔しているまるゆだった。

 

「そうね………………」

 

「このまま死んじゃわないよね…………」

 

「ちょっと縁起でもない事言わないでよ!」

 

「ご、ごめん…………でも全然目覚めないよ。」

 

「あんなにボロボロで帰ってきたからよ!木曾さんは絶対に死んだりしないわ!」

 

「そうだよね………木曾さんだもんね。」

 

そうやって縁起でもない事を騒いでいるのは第七駆逐隊の4人、この4人は木曾に言われたとはいえ敵を前にむざむざ逃げてきたということでまるゆと同じ様に深く後悔していた。

そん感情は傷付き、ベッドの中で微動だにせず眠り続ける木曾を見ているとまるで大雨の日に用水路の水が急増するように増加していった。

 

「………………だあああああ!!ウジウジしてるのは性に合わないわ!とにかく木曾さんは無事よ、絶対に。それは分かりきってるんだから後は目覚めるのを待つしかないのよ!だから木曾さんが寝てる間に天龍とかいう軽巡洋艦と深海棲艦についての情報を集めて目覚めた木曾さんのサポートをするのよ!」

 

曙が痺れを切らして医務室であるにも関わらず大声を挙げる。すると医務室の管理を任されている重巡洋艦、高雄から拳骨を貰い頭を抑えた。

 

「ーーーーーーッ!?ちょっと!何するのよ!!」

 

「ここは医務室です、他に艦娘はいませんが木曾さんはここで眠ってるでしょう?騒いで体調が悪化したらどうするつもりですか?」

 

医務室で騒ぐと管理人が言ってくるテンプレのセリフ、しかし正に正論でしかないため曙も言い返すことができない。

 

「うぅぅぅーーーー!執務室に行くわよ!司令官に出撃許可を貰いに行くわよ!」

 

すると曙は顔を真っ赤にしながら医務室から出て行った。その後を潮達が追いかけていくが、まるゆだけは1人だけ残っていた。

 

「……………まるゆさん、やっぱり木曾さんが心配なのですね?」

 

高雄は椅子から未だに立ち上がらないまるゆの横に立ち、同じく椅子に座る。

 

「はい……………正直木曾さんはあれぐらいの攻撃じゃ死なないって信じてます。」

 

「あの攻撃って言うのは木曾さんが帰還してきた時に背中に命中した凝縮された高威力エネルギー弾、でしたっけ?」

 

「そうです…………他のみんなは分からなかったようなんですが、木曾さんと同じでエネルギーの量や質を感じ取れる私は分かりました。あのエネルギー弾は木曾さんに倒された筈の球磨さんが体にあるすべてのエネルギーを凝縮して最後の一撃として放ったものだと……………なんで木曾さんにそれが今更当たったかは分かりませんが、あの一撃はどう考えても木曾さんを殺すつもりで撃ったものと言うのは誰の目に見ても明らかだったと思います。」

 

「そう…………私はその場を見ていないのだけれど、その時の状況を聞いた限りだと木曾さんはそれを受け身や防御もせずにマトモに受けたと聞きました。だからこそのあの負傷度だったのでしょう。」

 

「えっ?ど、どれくらい酷かったんですか?」

 

「まず大きく目立ったのは背中を大きく包む火傷とそれを抉るようにできた切り傷や刺し傷、後は首の骨の骨折と頭蓋骨の負傷、全身に付けられた打撲痕と擦り傷や軽度の火傷、そして大量出血ね。かなり不謹慎な事を言うけれど、これでどうして死んでいないのか不思議に思ったわ。」

 

「そんな…………木曾さんは死にませんよね?!」

 

まるゆはさっきまでの意気消沈が嘘のように高雄に問い詰める。

 

「落ち着きなさい、木曾さんは死なないわ。とりあえず今は高速修復薬を三本服用することによって傷は完治、多分ダメージや疲労も全部消えているわ。それでもこれだけ深く気絶させるするとなかなか目覚めないわ。これは根気よく目覚めるのを待つしかないわ。」

 

高雄はまるゆに諭すように語る。まるゆは納得できたようなできていないような顔をしながらもう一度椅子に座った。

するとその時医務室の扉が勢いよく開いた。

 

「ちょっと!今は木曾さんが寝ているのよ!」

 

「それも大事だけどそれどころじゃないわ!」

 

入ってきたのは先ほど執務室に行くと言っていた曙。曙は相当焦りの表情が濃く顔に出ていた。

さすがに高雄もそれはわかったようで、曙を咎めるのを止めて事情を聞こうとする。

 

「その様子では何か起きたようですね。一体何があったのですか?」

 

すると曙は息を整えながら答えた。

 

「奴が…………天龍がここに来たのよ!」

 

「!?」

 

「なんですって!?」

 

それは敵をむざむざ自身の拠点に侵入させてしまったも同然、そして次の瞬間完全にチェックメイトを取られているのが分かる報告が来た。

 

「そして…………司令官が人質に取られたわ。」

 

「て、提督が!?て事は天龍達は今執務室にいるのね?」

 

「そうよ、でも今は行かない方がいいわ。奴らを今刺激したら司令官の命が危ない。下手したらこの鎮守府ごと吹き飛ばされるわよ。」

 

「なら…………どうするの?」

 

「奴らは私達に一つの要求をしてきたわ。それは…………木曾さんが執務室、天龍たちの前まで来ること。」

 

「それって………今木曾さんは昏睡状態よ?無理に決まってるじゃない。」

 

「えぇ、でもそれを奴らは知らないわ。だから多分……球磨の仇の木曾さんを狙いに来たのよ。」

 

曙が言ったことは別段おかしい事じゃない。あちらから勝負を仕掛けたとはいえ、仲間を1人殺されているのだ。もちろん仇ぐらいは討とうとする。そして木曾が昏睡状態な事を現場を見てもいないし情報も入ってこない天龍たちが知っているはずがない。

 

「………………つまり木曾さんが目覚めるまで待ってもらうか………」

 

「その手はもう試したわ。今すぐ連れてこなかったら鎮守府ごとぶっ壊すともね。」

 

「という事はこの状態の木曾さんは天龍たちの前に連れて行かなきゃいけないの!?」

 

「いや、まだ方法はあるわ。」

 

「まだ…………あるのね?それは何?」

 

曙の額から汗が落ちる。同時に曙は息を飲んでこう言った。

 

「木曾さんが目覚めるまで…………七駆とまるゆで時間を稼ぐのよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わって鎮守府の中庭、ここで第七駆逐隊&まるゆと提督を人質に取った張本人の天龍とその後ろに立っている身長3mはありそうな巨躯を持つ深海棲艦の姫、港湾棲姫が圧倒的な威圧感を放ちながら立っていた。

 

「………………本当に貴様らでオレの相手が務まるんだろうな?」

 

数分の静寂を天龍が崩す。その言葉は完全に5人を舐めきっており、勝負はやる前から分かっているという言葉を言わずに理解させようとしてくる。

しかし気が強い曙はもちろんそれに突っかかった。

 

「はぁ?まだ戦ってもいないのに自分たちが勝てると慢心しているのね。いくら姫級と軽巡洋艦だと言ってもここは陸上、木曾さんに鍛えられた私たちとアンタ達、どっちが強いのかしらね?」

 

「ふん、飛ぶ事すらできない雑魚には用は無い。だがオレを満足させる事ができるならどこからでも掛かって来い。」

 

しかし曙の挑発をものともせずに逆に5人同時に掛かって来いとさらに煽りをいれてくる。

そして曙の性格の弱点を突いてもいる。

 

「なんですって………はぁ!!」

 

そう、曙は挑発に本当に乗りやすいのだ。これぐらいもできないという言葉を本当に嫌っておりこれを言われると何でもかんでもムキになってしまう。

そしてそれは敵が格上だろうと抑えられず…………

 

「カ……ハ……………」

 

「口だけは良かったな。だがあまりにも弱すぎる。本当にこの程度でオレの足止めをする気か?」

 

結果返り討ちに逢うのがオチであった。

掛け声を入れながら天龍へと拳を突き出した曙だが、いとも簡単にあっさりと避けられ逆に鳩尾に強烈に一撃をもらった。

曙はそれだけでも口から血を吹き出して床に伏す。

 

天龍は蹲った曙の首を掴み上げて壁へと投げ付けた。

 

「ガッ!?」

 

曙はさらに血を吐きながら倒れ伏した。

 

「さぁて、次はどいつだ?一人一人叩きのめしてやるよ…………」

 

「ッ…………行くわよ!2人とも!」

 

朧が潮と漣に声を掛けながら天龍へと突っ込んでいく。

3人は同時に天龍へと右腕を顔面に突き上げた。

 

ガツン!!と何かがぶつかる音がする。3人の拳はきっちりと天龍の顔面、横腹、肩をしっかりと捉えていた。しかし…………

 

「その程度か?フフフ…………」

 

天龍には傷一つ付けられなかった。

 

「えぇ!?」

「くっ!!」

「やばっ!?」

 

その事実に3人は驚愕する。

そして天龍は右手を横薙ぎに振るい、漣達を吹き飛ばす。

 

漣達はひとかたまりになって曙に激突し、見事に全員気絶してしまった。

 

「ふん、やはりお遊びにもならなかったか。後はてメェ1人だけだぜ?」

 

天龍は4人を鼻で笑いながら一人残されたまるゆを見据える。まるゆは拳を構えながら冷や汗を垂らした。

 

「てめぇ、それで戦えんのか?足が震えてんぜ?」

 

「わ、私は………………これでも木曾さんの弟子なんだ!お前なんかに負けたりしない!」

 

まるゆは大声を挙げて自分を鼓舞すると、天龍へと突撃し顔へ向かって拳を突き出した。その一撃は天龍の顔面をしっかりと捉える…………直前に天龍自身の手で受け止められた。

拳と手のひらがぶつかったとは思えない音が辺りに響くと、天龍はまるゆの顔面に拳を叩き込む。それだけでまるゆは吹き飛び、壁をぶち破って外まで吹き飛んだ。

 

「カハッ!?なんてパワー………………」

 

「球磨を倒した奴の弟子と言っていたが………………やはりこの程度か。これなら木曾の方も期待できんな。」

 

天龍は開いた穴からまるゆを見下ろすと、戦ってもいない木曾へと落胆する。

しかし天龍は気付いていなかった。

 

背後から近付く怒りの戦士の存在を………………

 

「ほう?俺がそんなに弱く思うか?天龍よぉぉぉぉぉ!?」

 

「!? なにっ…ごはぁぁぁ!!?」

 

「よくも曙達やまるゆをッ!!」

 

いつの間にか復活した木曾が天龍の背後へとこっそり忍び寄り、思いっきり腕を振りかぶった。その拳は天龍の顔面に直撃し、天龍は床へと叩きつけられる。その威力は軽々と執務室の床を破壊し、3階、2階、1階とぶち破っていき、地面に大きなクレーターを作った。

 

天龍はクレーターからよろよろと立ち上がると、上から見下ろす木曾を睨みつけた。

 

「へっ!どうだよ、馬鹿にしてた奴の一撃の味はよぉ?」

 

木曾は天龍へと安い挑発をする。これに引っ掛かるのは曙ぐらいだが、手痛い一撃を受けてプライドを傷付けられた天龍には効果抜群だった。

「絶対に………絶対に許さんぞ!!貴様如きが世界水準を大幅に追い越したこのオレに勝てると思うなよぉぉぉぉぉ!!」

 

天龍は体全体から膨大な量のエネルギーを放出する。それは木曾が全力を出しても追いつけるかどうか分からない程の力を秘めていた。

 

「行くぞ!木曾!!」

 

天龍は一瞬で木曾の目の前まで移動すると木曾の顔へとパンチを繰り出す。先ほどまるゆに放った拳とは一段も二段も違う威力のパンチに木曾は咄嗟に交差した両腕でしたガードでさえも衝撃を抑えきれず、大きく仰け反る。

天龍はその隙を逃さず木曾の全身に拳の乱打を打ち込む。木曾は辛うじてガードをするがガードが間に合わずに時々高威力のパンチが体に突き刺さる。

 

もちろん木曾も負けてばかりではいられない。

天龍の猛攻が一瞬だけ緩んだ隙に後ろに飛び退くと連続でエネルギー弾を天龍目掛けて撃つ。天龍はそのほとんどを弾きながら木曾へとジリジリ進行していくが、一歩一歩が小さい為になかなか進めないでいる。

木曾は右手だけを後ろに下げると右手の中にエネルギーを収束する。天龍は猛攻が止んだその隙をチャンスと踏み、一気に近付く。

天龍の拳が木曾の体に突き刺さる。しかし木曾は痛がるものの全く動じず、逆に左手で天龍の首を掴んだ。

 

「行くぜ!!天龍!これを受けて無事でいられるかなぁ!!?」

 

「なにっ!?」

 

「喰らえ!グレイトフラッシュ!!」

 

木曾の右手から放出されるエネルギーの奔流は天龍の体を易々と飲み込み、空の彼方まで飛んでいきながら爆発した。

 

「うわあああああぁぁぁ…………」

 

天龍は悲鳴を挙げながら地面に叩きつけられる。それでも天龍は立ち上がり、両腕にエネルギーを溜め込む。

 

「木曾…………貴様はオレの想像を遥かに超えた優秀な奴だった。だがッ!!このオレを超えることは貴様では役者不足だということを今から教えてやるぞ!!」

 

天龍は宙へ浮かび上がり、両手の中に溜めるエネルギーの量をさらに上げる。辺りの地面が揺れ始め、木曾のいる場所の石がカタカタと音を立て始めた。

 

「まさか…………てめぇ!!?」

 

「ハッハッハ!!どうやら気付いたようだがもう遅い!!貴様はこのオレを怒らせてしまったのだからな!!はぁぁぁぁああああ!!!日本もろとも海の藻屑となれぇえええええ!!!!」

 

上空100m近くまで上昇した天龍は両手を前に突き出し、禍々しい紫色のエネルギー砲を放つ。

木曾はすぐに右手を後ろに下げ、全エネルギーを右手の中に集中させる。そして体内にある生命エネルギーが全て右手に収束したと直感で判断した木曾は右手を天龍に向かって突き出した。

 

「そうは!させねぇええええええええ!!!!」

 

ズオッッ!!ガガガガガガガ!!!

 

エネルギーとエネルギーがぶつかり合う。一見どちらとも一進一退を繰り返しているように見えるが天龍の方がまだ若干強い。

 

「それが貴様の全力か!!オレはまだまだッ!!エネルギーが余っているぞ!!!」

 

天龍がそう叫ぶと紫色のエネルギー砲の勢いはさらに上がり、木曾の5m先まで迫る。

万事休すか、そう思われたがところがどっこいびっくらコキ丸ハッピーターン、木曾の口角はニヤリと上がっていた。

 

「うぎぎぎぎぎ…………ここで負けるわけにはいかねぇんだ!!今だまるゆ!!」

 

「なにっ!?」

 

「了解です、木曾さん!!」

 

木曾がまるゆの名を呼ぶ。それと同時にまるゆが埋まっていた地面がドゴォォンという音と共に弾け飛び、まるゆが天龍へと向かい突撃する。

まるゆは天龍の背後に回り両手をグミ撃ちの様に突き出しまくる。一見すると不発なのかと思うが、よく見るとまるゆの目の前に白色のエネルギーが集結していっている。

これはグミ撃ちの際に外へ思いっきり撃ち出すエネルギーを一箇所に留め、ある程度大きくなったらそれを発射するという寸法である。

 

「はぁあああああ!!これでも喰らえ!!」

 

まるゆの発射した白色のエネルギー弾は天龍の背中へと迫る。天龍は左腕を白色のエネルギー弾へと突き出しエネルギー砲を放つ。

それだけで止められてしまうが、その成果は大きかった。

 

「良くやったまるゆ!!これで最後だぁぁぁああああああああ!!!!」

 

片方だけになったエネルギー砲は途端に威力と勢いを失い、押され始める。

これを最後のチャンスと見た木曾は全身に力を込め、両腕でグレイトフラッシュを放つ。まるゆも全力でエネルギー弾を押し込み、エネルギー砲を抑え込む。

その勢いは天龍のエネルギー砲を容易く打ち破り、天龍の体を呆気なく飲み込んだ。そのまま白色のエネルギー弾も巻き込みながら天龍がいた所よりもさらに上の場所へと上った後、大爆発を起こした。その衝撃は鎮守府だけでなく辺りの民家や住宅街にも広がった。

 

「この、このオレがあああああああぁぁぁぁぁぁ……………………」

 

天龍は爆発と共に海な果てまで吹っ飛んでいき、最終的には姿が見えなくなった。

木曾は両腕をダランと垂らすと仰向けに倒れこむ。まるゆも浮遊する力を使い切ったため、重力に習い地面に落下した。そこが砂浜だったのが幸いだっただろうか。

 

「まるゆ…………お前、本当に強くなったな。」

 

木曾はまるゆに向かい親指を立てる。

 

「いえ…………まだまだ木曾さんには追いつけませんよ。だって…………」

 

まるゆも木曾に親指を立てる。

 

「木曾さんは地球一、いや宇宙1強いんですから!」

 

まるゆの言葉を聞いた木曾はフッと小さく笑うと意識を手放し、深い深い眠りについた。

まるゆも仰向けになりながら目を閉じ、ゆっくりと眠りについた。

 




やっと終わった…………僕はもう疲れたよ…………16001文字でした。
感想くれるとセル編まで出るかも。

ここから後書きという名の雑談(ドッカンバトルやってなかったらなんのこっちゃになる。)

ドッカンバトルのWドッカンフェス終わりましたね。代わりに魔人ブウの奴が来ました。Wフェスでは悟空とフリーザのどちらも出ませんでしたが極フェス回したら力ゴクブラが3体出ました。2凸だやったぜ。そして超フェスの方では技ベジブルが出ました。
その次に来た伝説降臨、悟空&フリーザ出ましたよ。ベジブルの確定演出で。友人HがLR3体出してて羨ましいと思ったり友人RがLRセル出してたけど使えないと嘆いていたり。
そして絶賛開催中の力悪ブウのフェス、なんと単発一回で悪ブウ出ました。でも実際変身強化カテゴリ少ないんですチクショウ。
ちなみにランクは276になりました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。