カミーユが女だったら鬱でもニヤニヤできる   作:Fabulous

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息抜き投稿です。


カミーユが女だったら鬱でもニヤニヤできるかも

 ──宇宙世紀0087

 

 人類史上最悪の戦争と呼ばれたジオン公国・地球連邦の壮絶な一年戦争から7年の歳月が流れた今、人々は平和を取り戻し地球と宇宙の双方で新たな暮らしを得ていた。

 

 ここ、宇宙コロニー『グリーン・ノア1』も先の大戦で崩壊したコロニー群を再建させる計画の一つとして建造されたものである。円筒形の内部は居住地区と軍事地区に分かれており地球連邦軍とその分派組織ティターンズの軍港が併設され平時でも多くの軍関係者で溢れていた。

 そしてそのコロニーを宇宙空間よりモビルスーツの光学モニターより監視している男がいた。彼は随伴の部下たちに向けて器用にモビルスーツのマニピュレーターを操りハンドシグナルを出しながらゆっくりとコロニーに近づく。

 

「こちらクワトロ・バジーナ。しっかりついて来いよアポリー、ロベルト────なんだ⋯⋯?」

 

『どうしましたか大尉?』

 

 計器の音以外は静寂な筈のコックピットの内部でクワトロは言い知れぬざわめきを感じ動きが止まる。それは彼が戦場でかつて感じたものとよく似ていたからだ。

 相手のモビルスーツから発せられるプレッシャー、レーダーに映らなくても分かる敵や味方の存在、『ニュータイプ』と呼ばれる力を持つ人間が生み出すそれらの物理法則では説明しきれない体験をクワトロはかつての戦場で稀にだが体験していた。だが今まさに皮膚を逆撫で常に冷静沈着な彼の心を乱す程の強いニュータイプの力を持つ存在は、クワトロ自身は二人しか知らない。

 

 一人は彼の人生最初で最強のライバルであるアムロ・レイ。アムロはクワトロがその昔、シャア・アズナブルとしてジオン軍に在籍していたときに出会った連邦軍の少年兵。クワトロとの度重なる死闘を潜り抜ける過程でニュータイプとしての闘い方を身に付けた稀有なパイロットであった。

 

 もう一人はララァ・スン。

 彼にとって幼い頃失った母のような慈愛を自分に与えてくれる存在でありアムロ・レイの手によって自分の目の前で殺された彼のトラウマでもある女性だ。

 

 どちらもクワトロ以上のニュータイプとして彼の羨望と複雑な哀愁を抱く二人であったがグリーン・ノア1にいる筈もなくまして後者は鬼籍だ。それにそこから届くシグナルはそのどちらでもないとも彼は感じていた。

 

⋯⋯これは、感情だ。強い怒りと、悲しみ。とても不安定だ。何も手をつけなければいずれ壊れてしまいそうなほどに

 

「クワトロ大尉! 本当に大丈夫ですか?」

 

 そんな思念を辿ることに集中しすぎ半ば上の空であった彼を部下のアポリーの声が連れ戻した。クワトロとしてはとても気になりはするが重要な任務を疎かにする訳にはいかなかった。

 

「───あぁ。すまない、始めよう。

 二人とも時間を合わせろ⋯⋯よし、これより作戦を開始する」

 

 謎の思念に後ろ髪を引かれつつもクワトロは任務遂行の為バーニアを噴かしコロニーへ向かった。しかしそのすぐ後で、彼はその人生を変える出逢いをする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カミーユ・ビダンはグリーン・ノア1に住むいたって平凡な学生だった。同年代の者たちと同じくハイスクールに通いながら一年戦争で活躍した軍人やモビルスーツに憧れ戦史映画やジュニア・モビルスーツに熱中する、そんな毎日を送っていた。

 

 だがこの日カミーユはハイスクールが終わってもモビルスーツ部の部室に寄らず宇宙港に来航した艦を見るために急いでいた。カミーユにとっては珍しく高揚とした気分だったが、それもそのはずで目的は来航した艦ではなくその搭乗員、英雄ブライト・ノアだった。戦争から7年経った今でもあらゆる媒体で広く活躍が知られる一年戦争の生ける伝説の艦長を間近で見られるチャンスにカミーユは朝から興奮して教師の話も親友のファ・ユイリィの呼び掛けにも上の空だった。

 

「ファ?」

 

 だが宇宙港エリアの無重力状態に逸る足をばたつかせる程に急いでいたカミーユは足を止めた。止めざるを得なかった。

 

「なぁ君、俺たちと少し付き合えよ。ガキどもとは出来ない遊びを教えるぜ?」

 

「け、けっこうです! わたし、用事がありますのでっ」

 

「そう邪険にするなよ。俺たちはあのティターンズだぜ。地球から上がってきたばかりだから色々教えてくれよ」

 

 幼い頃から仕事で家を不在がちにしてきた両親に代わりカミーユの面倒を見てきたファ・ユイリィ、彼女が宇宙港のエントランスで柄の悪い軍人に絡まれていたのだ。

 

「ファから離れろ!」

 

「カミーユ! 来ちゃだめよ!」

 

 怒鳴り声をあげて自分に向かってくるカミーユにファは巻き込むまいとするが、カミーユの目には軍人たちへの怒りしか映っていなく構わず突っ込んできた。

 

「なんだ()()()は? 君のお友だちか」

 

「へぇ! 可愛いじゃないか。俺たち二人にそっちの君たちで丁度がいい」

 

「お願いします! カミーユは関係ありません!」

 

「ファ! なんでこんな奴らに従うんだ!?」

 

 軍人たちは突然現れた()()に目の前にいるファのこともそっちのけで見とれていた。

 

 カミーユ・ビダン。

 青みがかった髪、ファよりも華奢な体躯、透き通るような白い肌、そしてまさに美少女と形容すべき端正かつ処女性を醸し出す容姿はグリーン・ノア1のハイスクール生の中でも一二を争う芸術品であった。

 そんな絶好の獲物を前に軍人たちはいやらしくカミーユの肩や腰に手を伸ばすも彼女は獰猛な猫のように軍人の頬を引っ掻いた。

 

「ボクに触るな!」

 

「おっと! 随分な子猫ちゃんだ。軍人への暴行は立派な犯罪だぞ?」

 

「お嬢ちゃん、困ったことになったな。俺たちと留置所でデートをすることになるぜ」 

 

「うるさい! やれるものなら、やれるものならやってみろ!」

 

「カミーユ、駄目よ!」

 

 カミーユはファの制止を振り切り拳を握り締め軍人の顎目掛けて振り抜くも敢えなく受け止められ逆に壁へ押し付けられた。

 

 軽い脅しをしかけて萎縮させようとした軍人たちはカミーユの予想外の癇癪で逆に気勢を削がれた。そも地球連邦軍の中でもエリート中のエリートであるティターンズの制服を着る自分たちにここまで逆らう人間が、しかも少女がいるなど驚きだった。

 

「とんでもない小娘だ。こりゃひょっとしたら反地球連邦的思想を持ってるかもしれん。取り調べが必要だな」

 

「あぁそうだな。じっくり調べる必要があるな。今日は帰れそうにないぞ」

 

「カミーユ! 早く謝るのよ! 謝って!」

 

「うぐっ⋯⋯男のくせに卑怯だぞ! 男なんか! この!」

 

「ぐわっ!?」

 

 首もとを腕で壁に押し付けられていたカミーユはその手に思い切り噛みついた。悲鳴をあげて拘束を解いた軍人はカッとなり反撃とばかりにカミーユの腹にパンチを見舞った。

 

「げうっ⋯⋯ううぅ⋯⋯こ、このぅ⋯⋯! お前らは⋯⋯クズだ!」

 

「下手に出てれば調子乗りやがって! 痛い目を見たいらしいな!」

 

 軍人たちが床に倒れ込み咳き込むカミーユに容赦なく蹴りを入れる光景にファは親友に行われる凄惨な暴力を前にどうしていいのか分からずただ泣くことしかできず、周囲の警備や軍人たちも民間人も皆見て見ぬふりをした。

 地球連邦軍の中でも別格の特権を持つティターンズ兵に逆らえる者などそこにはいないのだ。

 

 意識が薄れかけてきたカミーユは肉体的苦痛よりも間違っている筈の男たちにむざむざ好き放題にされる屈辱に涙を流した。せめて悲鳴をあげて奴らを悦ばせまいと歯を食い縛るが突然、苦痛が止んだ。

 

「何をやってる!」

 

「じぇ、ジェリド⋯⋯こいつがよっ」

 

「無抵抗の女を男が大勢で足蹴にする正しさなどあるものか! おい君、大丈夫か?」

 

 ジェリド、と軍人たちから呼ばれた男はカミーユを抱き抱えファの元へ向かった。彼の腕の中で助けられたことにほっとしたカミーユだったが彼も軍人たちと同じティターンズの制服を着ていることに気付きより屈辱を感じてしまい顔を赤くした。

 

「俺はティターンズのジェリド・メサ中尉。この娘の連れか?」

 

「は、はい⋯⋯あの! カミーユは」

 

「悪かったよ。言い訳にならんがあいつらも地球から上がってきたばかりで不安だったんだ。大事にはなってないと思うが手当てした方がいい。うちの医務室を使え」

 

「結構ですっ! ボクは⋯⋯自分で歩けます⋯⋯っ」

 

「カミーユ!」

 

 ジェリドの腕から強引に離れよろよろとふらつく体で軍港を後にするカミーユをファが慌てて追いかけていった。しかし途中何度もうずくまるカミーユを見かねてジェリドが肩を貸した。

 

「強がりはよせ。女は男に頼ればいい」

 

「強がってません! それとボクを女扱いするのは止めてください」

 

「何をやってるジェリド中尉! コロニー内部に所属不明機が侵入した! ガンダムMk-IIの出撃準備急げよ!」

 

 心配して更に構うジェリドだったが上官らしき軍人の呼び声に体が反応してしまった隙にカミーユはファを連れ逃げるように宇宙港を後にした。姿を消したカミーユに気づいた時ジェリドは怒鳴る上官の声も無視して、まだ彼女の感触が残る手を名残惜しそうに見つめた。

 

「参った⋯⋯逃げられたか。それにしても目の覚めるいい女だったな」

 

 

 

 

 

 

 

 そもそもカミーユは孤独な少女だった。

 家庭を省みず仕事や愛人にかまける父に対して気丈に振る舞う母の姿を見続けてきた。学校では絶世の美少女であるカミーユの容姿に惹かれた男たちに群がられ女たちからはファ以外から妬み嫉みで疎まれ友人は少なかった。

 

 自然とファと一緒にいる機会が増えたがハイスクール生たちからはそんな二人の関係をエス(レズビアン)と揶揄され鬱屈した学生時代を送っていたのだ。

 

 だからだろうか、カミーユにとって男とは自分を貶める憎むべき存在だった。そして女である自分に対しても同様の気持ちだった。だからこそ男に負けないために勉強や武道を頑張り、ジュニア・モビルスーツ大会でも賞を取り自信を得ていた。それが今日、初めて訓練ではない生の男たちの暴力に晒され何も出来ずに辱しめられた事実にカミーユの数少ない自尊心はズタズタにされ心中は穏やかではない。

 

「カミーユ! ティターンズの奴等に殴りかかるなんてなに考えてるのよ! 傷だらけよぅ」

 

「ちくしょう⋯⋯ちくしょう⋯⋯ちくしょう! あいつらめ! ただじゃおかない⋯⋯!」

 

「聞いてるのカミーユ!?」

 

 元々の気質なのか育ってきた環境故か、カミーユの精神は不安定だった。自分やファをからかったハイスクール生や傲慢な教師を殴りつけ何度か問題を起こす程にその情緒はファや両親、本人ですら制御できていなかった。

 

「あのジェリドって軍人さんがいなかったら貴女、今頃どうなってたか分からないのよ?」

 

「あいつだってボクを殴ったティターンズと一緒の奴だ!」 

 

「助けてくれたじゃない。ティターンズだからっていい人はいるわよ。決めつけなんていけないわ」

 

 ジェリドとの出会いをカミーユは消化しきれていない。その前にさんざん殴られた怒りで頭が一杯だったこともあるが男に殴られ男に助けられた事実を認めたくなかった。

 

 流石に礼も言わず彼から逃げたことは不味かったと小さく反省していたがそれを表に出せるほど彼女は大人でも素直でもなかった。

 

「あら? 警報が鳴ってるわよカミーユ⋯⋯きゃあ!」

 

「ファ!」

 

 帰路につくファとカミーユの耳にサイレンが入ってくると同時に二人の頭上で赤いモビルスーツが凄まじい風圧と爆音を立てながら通過した。

 二人が地面に伏せるとそのすぐ後に黒いモビルスーツが赤いモビルスーツを追っていった。

 

「え、演習かしら」

 

「父さんのガンダムMk-IIだ! なんでこんな所を⋯⋯居住区の低空飛行は禁止のはずだろ?」

 

 黒いモビルスーツにカミーユは見覚えがあった。彼女の父であるフランクリン・ビダンのパソコンを盗み見た際にその研究データがあった。地球連邦の技術士官であるフランクリンの仕事に対する姿勢だけは、唯一カミーユが誇れる部分だった。

 

「あっ!」

 

 ファが声をあげると上空で派手に戦闘をしていた両機は赤いモビルスーツの勝利に終わった。ガンダムMk-IIは空中から派手に地面へ落下していき建物へ落着した。その光景を見てファは息を呑み恐怖に体を硬直させたがカミーユはひどく気が昂った。

 

「⋯⋯ファ、先に家へ帰ってろよ」

 

「何言っているのよカミーユ! 危ないわ!」

 

「じゃあね!」

 

 背中から自分の名を呼ぶファを振り切りカミーユはどういう訳かティターンズの基地へと向かっていった。何故基地などに、それもティターンズの基地へ向かっているのかカミーユもよく分かってはいなかった。だがチャンスだと思った。

 

 ───この機会を逃してはならない! その一心だけが彼女を突き動かしていた。

 

 大嫌いだが優秀な技師である父親の娘と言う立場を利用して警備員を誤魔化し軍人たちがごったがえすドックに狙いをつける。予想通りそこにはあの黒いガンダム、父の作ったガンダムMk-IIが横たわっていた。

 

 自分が何をしているのか、後でどんな咎めを受けるのか、彼女は考えていない訳ではなかったがそれでも心の内側から溢れる激情を抑えきれなかった。軍人たちの一瞬の隙を突いてガンダムのコックピットに滑り込み慌てて止めようとする女性のティターンズ兵を押し退けてコックピットハッチを閉めた。

 

「やった! 父さんのパソコンで見た通りのコックピットだ。これなら!」

 

 モビルスーツの操縦はジュニア・モビルスーツで慣れたカミーユにとって操縦のやり方さえ分かっていれば怖いものなどなかった。

 

「ハッチを開けなさい! 危ないわよ!」

 

「聴こえているだろ! ハッチを開けろ!!」

 

「誰が開けるものかよ⋯⋯これはボクのものだ!」

 

 頭に血が上ったカミーユにそんな制止は全く意味がないばかりか最早後戻りできないまでに深刻な事態に自ら足を踏み入れている事実に正常な判断など出来なかった。

 

「あ、あいつら……港での!」

 

 その時、運悪くカミーユの視線に入ってしまったティターンズ兵たちがいた。しかも彼らは宇宙港でカミーユを暴行したティターンズ兵だった。

 

「待て! そこのティターンズ兵逃げるな!」

 

 咄嗟だった。

 ガンダムMk-IIを駆りティターンズ兵の前に立ちはだかると彼らは腰を抜かしたように怯えていた。その姿を見て一定の溜飲が下がるカミーユだったが彼女はそれで許すつもりなど毛頭なかった。

 

「うじ虫ども! 一方的に殴られる痛さと怖さを教えてやる!!」

 

 カミーユは躊躇いなくガンダムMk-IIの兵装60mm頭部バルカン砲の引き金を引いた。もちろん殺す気はなかった。バルカンはティターンズ兵たちの足下へ撃ち込まれるだけで死傷者は出なかったが結果的にカミーユは彼らが死んでも構わないとも思っていた。

 

 自分たちのすぐ側に着弾したバルカン砲にすっかり恐慌状態のティターンズ兵たちの醜態を見てカミーユは恍惚とした表情で笑みを浮かべた。ファンファーレが鳴り正義の勝利を祝う祝砲に酔いしれる。

 

「クククク……あははははは! どうだ! 見下していた小娘にやられる気分は! 男のクセに! あはははははは! いい気分だ!」

 

 モビルスーツと言う圧倒的な力を手にしたカミーユは復讐を果たしたことで発生した脳内麻薬の過剰分泌により全能感に支配され人生最高のハイに陥っていた。

 

『ジェリドか? 助かった、援護してくれ!』

 

『新手か!?』

 

 そんな彼女にとって唐突に入ってきた通信は至福の時を邪魔する雑音でしかなかった。

 いつの間にかカミーユの乗るMk-IIの周りにはあの赤いモビルスーツともう一機のMk-IIが睨みあっていた。

 

「ボクはジェリドなんかじゃない! お前らの敵だ!!!」

 

『女の声?』

 

 クワトロは自機リック・ディアスのコックピットで困惑していた。ティターンズのガンダムMk-II捕獲作戦をしている最中に現れたもう一機のMk-II。普通なら敵の増援と取るが肝心のMk-IIからは──敵ではないと女の、それもまだ年端もいかないであろう少女の声が飛んできた。

 

 だがクワトロは納得のいったこともあった。

 

 ──この少女だ! 

 

 グリーン・ノア1のコロニー外からでも感じ取れた強いニュータイプの鼓動をクワトロは今、眼前のガンダムMk-IIから感じていた。彼は目の前にララァを幻視し、あり得ないと頭を振った。

 

『アポリー、ロベルト、取り敢えず撃つな。まずは相手の出方を見る』

 

 任務を優先するように部下に指示を出すもこの時クワトロの中ではMk-IIよりそのパイロットについての興味が勝っていた。隠密行動も破綻しいつティターンズの大部隊がやってくるか分からない状況で捕獲対象は一機あれば十分だ。新たな敵の可能性のカミーユの乗るMk-IIは撃破してさっさともう一機のMk-IIを拿捕して離脱すればいいが最悪、ティターンズのカクリコン・カクーラーが乗るMk-IIを破壊してでもカミーユ機を持ち帰るつもりでいた。

 

「こんなところでバンバン銃を撃って! 思い知れ!」

 

 カミーユは自分を仲間だと勘違いしているカクリコンへ向き直り、銃口を向ける赤いモビルスーツの僚機たちへ広域通信を使い交信しながらスラスターを全開にして体当たりをした。

 

 50tを超える金属の塊の突撃に急な出撃で満足な準備も出来なかったカクリコン機は堪らず背面のビルへぶつかり操縦不能となった。

 

『ま、待て! ジェリドじゃないのか!?』

 

「ティターンズが喋るな! 喰らえ!」

 

 今度は本気で当てるつもりで撃ったバルカンはカクリコン機の頭部に当たり小さな爆発と共に吹き飛ぶ。メインカメラをやられたカクリコンは慌てふためき降伏を通信で叫んだがカミーユはそれを無視して強烈なMk-IIの右ストレートをコックピット目掛けて放ちフレームを歪ませ脱出できないようにさせた上で露出した頭部と胴体の連結部にMk-IIの手を突っ込んで無理矢理内部の機器を引き抜きカクリコン機を完全に沈黙させた。

 

「あはっ どうだ参ったか! ティターンズなんか⋯⋯男なんか⋯⋯! ふふふふ⋯⋯ははははは⋯⋯あーはっはっはっは!」

 

 周囲には拡声器で増大されたカミーユの笑い声だけが響いていた。その場に居合わせたエマ・シーンやブライト・ノア、クワトロもその部下たちも、やられたカクリコン本人もカミーユの一連のあんまりな蛮行に一様に閉口してしまっていた。

 

『っ⋯⋯そこのガンダムのパイロット。我々と来るつもりはあるか?』

 

「あなたたちはエゥーゴですか?」

 

『そうだ。私はエゥーゴのクワトロ・バジーナ大尉。我々と共に来るなら援護しよう』

 

 クワトロは気を取り直し謎のガンダムに交渉をした。肩に02と刻印されたガンダムMk-IIは酷くやられもうスクラップだ。あれでは価値はない。こうなれば何がなんでも03、恐らく3号機であるガンダムMk-IIを持ち帰るしかなかった。ティターンズの機体を倒したパイロットだ、エゥーゴに対して協力的だろうと予想したクワトロの希望的観測は、なんと裏切られた。

 

「何が協力だ! コロニーで戦闘を始めるあんたらはティターンズと一緒だ! 格好ばかり良い大義や正義に酔いしれて! やることが人を殺して関係ない人の家を壊すことだ。お前ら大人はそこで暮らしている人たちのことなんて何にも考えないくせに!」

 

『う"!』

 

 強烈な吐き気に襲われたクワトロは咄嗟にバイザーを開けて張り詰めた息を吐いた。それはかつてララァやアムロとは全く違う巨大な負の感情の収束だった。

 

 ───あまりにも危険すぎる。もしこのパイロットがティターンズやそれを己の欲望のために利用する輩に利用されれば大変なことになってしまう。

 

 クワトロは青ざめた。ガンダムMk-IIのパイロットが強いニュータイプなのは分かっていたがまさか人の精神や肉体にまで影響を与えるマイナスのパワーを撒き散らすほどのニュータイプだとは思っても見なかった。

 

「お前らみんなボクが倒してやる! ここから出てい───な!?」

 

 戦闘の意思を示し今にも襲いかかる寸前のMk-IIの背後に素早く回ったリック・ディアスはカミーユが反応する遥か前に背中のバックパックにトリモチランチャーを撃った。

 

『大尉!?』

 

『作戦を続行する。トリモチで拘束したMk-IIを連れていくぞ』

 

『中のパイロットはどうするんですか!』

 

『ここでぐずぐず降ろしている暇はない。一緒に連れていくしかあるまい』

 

 リック・ディアスは鮮やかな手際で続けざまにMk-IIの各部へトリモチを撃ち地面に貼り付けた。見事な操作だとアポリーたちは感嘆したがそれと正反対な気分の者がいた。

 

「放せよ! 放せったら! 卑怯だぞ──!」

 

 ティターンズ兵へ復讐を果たしモビルスーツをモビルスーツで倒して数秒前まで世界の頂点に自分がいると思いやっと回復した少女の自尊心は再び崩れ去った。しかも口ではクワトロ機を卑怯と罵るが今回は完全に一対一、相手の技術が自分よりも上回っていた結果なのだと彼女も自覚していた。だから余計に悔しかった。モビルスーツに乗っても体を拘束される屈辱を許した自分が憎かった。

 

『これだけトリモチを撃てばもう何も出来まい。3号機を運べアポリー。離脱する』

 

『了解。どうなっても知りませんよ?』

 

『多少暴れるだろうがパイロットには構うな。行くぞ!』

 

 クワトロたちは3号機を確保しグリーン・ノア1の外壁に開いた穴へ飛び立ち暗い宇宙の闇へ消えていった。

 

「くぅっ いっそ殺せよ! これ以上ボクを辱しめるな──!!!」

 

 一人の少女を連れて⋯⋯




今後の展開

カミーユ、ヒステリックになる。年上の妹にお姉ちゃんと呼ばれる。クワトロにデレる。後にララァを重ねられたと知り激おこ。最終版で伝説のスーパーニュータイプに覚醒して無双。

クワトロ、カミーユロックオン。宿敵もカミーユに惹かれ喧嘩する。
アムロ、宿敵と同じ女に惹かれる。喧嘩する。宇宙についていっちゃう。

ジェリド、汚名挽回? 知るかバカ! そんなことよりカミーユだ! 良い男になるかも。

レコア、クワトロの本命がカミーユと知りカミーユに逆ギレ。元カレをふって今カレについたらそいつも同じ女にご執心で激おこ。

エマ、女同士で交流が増えてデレが増す。ヘンケンのアプローチにも素直になれるかも。

ブライト、アムロにしてやれなかった気づかいをカミーユにしてあげる。娘と同様に扱いカミーユに嫌がられる。

サラ、木星彼氏をカミーユに紹介して一緒に共有しようとする。カツ? 知らない名前ですね。

カツ、カミーユとサラに惹かれる。揺れる男心(どうでもいい)

フォウ、彼女が出来る。二人は幸せなキスをして終了。

ファ、自分以外に友達がいないと思ってた親友に彼女が出来て複雑になる。

木星、数ある嫁の中からカミーユをロックオン。

ハマーン、元カレを呼び出して見返してやろうと思ったら彼女連れでまじおこ。
元カレの彼女に恥ずかしい黒歴史を知られ激おこ。
お返しに覗き返したら元カレとのイチャイチャばかりで激おこぷんぷん丸。
元カレが彼女との生活が楽しすぎて完全に自分をふっ切っていてカム着火インフェルノォォォォオオウ。
元カレと彼女がニュータイプ的にも通じあっていてしかもニュータイプの力も完全に上で激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリーム。

続くかも⋯⋯?
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