カミーユが女だったら鬱でもニヤニヤできる   作:Fabulous

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正気度ロール


父と子と⋯

「君をエマ中尉に預けた時は最悪の事態も覚悟の上ではあったがどうやら思いの外、幸運を運んできてくれたようだな」

 

 ブレックスはアレキサンドリアからの脱出に成功しアーガマへ二機のガンダムMk-IIを手土産に帰還してきたカミーユたちを称賛して出迎えた。最初こそ保安上の理由で拘束されたエマ中尉やフランクリン大尉も直ぐにブレックスたちと話し合いエゥーゴへ加わることを承諾して快く迎え入れられる運びとなった。

 

「あ⋯⋯大尉」

「カミーユ君、無事でなによりだ。だがお母様のことは残念でならない」

 

 カミーユはクワトロとの再会に複雑な心境でいた。母を殺された怒りで我を忘れ随分と迷惑をかけたことはしっかりと覚えていたからだ。

 

「だがお父上を無事に救出できてなによりだ。君にはまだ家族がいる」

「あんな奴! 母さんの代わりに死ねば良かったんですよ!」

 

 しかし今のカミーユに父の話題は禁句だった。アーガマに着いてからフランクリンは迷うことなくヘンケンやブレックスなどエゥーゴ有力者に早くも面会するために奔走しカミーユは独りだった。

 

「⋯⋯唐突だな。何かあったのか?」

「大尉は知らないと思いますけどね、ボクの父は周囲が思うような立派なもんじゃないんですよ。もっとずっとひどい奴なんですよ!」

 

 それがカミーユの心境だった。残酷にも彼女の中で父親は憎悪の対象だった。もし母が生き返るのならば喜んで父の命を差し出すまでに侮蔑と希薄な存在として刻まれていた。

 

「⋯⋯私にも父がいた」

「きっとしっかりとしたお父さんだったんでしょうね!」

 

 素直な評価としてクワトロは紳士的でありこれまで年下で異性であるカミーユを軽んじたり嘲笑することもなく接していた。纏う雰囲気もただの兵隊とは思えない上流階級特有の余裕や風雅が漂いそれだけでどこか名も顔も知らぬクワトロの家族に淡い羨望に近いものを想像していた。

 

「私に言わせればこの世に産まれない方が良かったとすら思える人だったよ」

 

「え?」 

 

 

 父を語るクワトロはそれまでとは違い忸怩たる思いが言葉から受け取れた。

 

「家族が何より大切だと綺麗事を言うつもりはない。特に父親はな。だがそれでもいないよりはずっとマシだと私は思うな」

「⋯⋯大尉のご家族は?」

 

「死んだよ」

 

 それはあまりにもあっさりと含みもなく言い放たれた言葉だった。

 父も母も遠い過去に消え去り、唯一の帰るべき場所とも言えた片割れもまた永遠の袂を別ち自ら背を向けた。クワトロとしては特に他意も無くありのままをただ伝えただけだったが当のカミーユはとんでもない失言をしてしまったと反省するかのように口をすぼめる。

 

「あの、その、すみませんでした。不必要な質問で⋯⋯」

「子供が大人に気を使うことはない。それに気を使うなら私よりも先の人がいるんじゃないか?」

「⋯⋯大尉は、アイツよりボクが悪いって決めるんですか?」

「損得やメンツを考えて謝るのは政治の世界だけだ。家族には必要か?」

 

 クワトロは何を言うべきか分からないカミーユをほっとき早々に立ち去った。後に残された少女は堪えられずその場を逃げ出していた。

 

「あら、お帰りなさいカミーユ」

 

 通路を闇雲に走るカミーユは偶然にもレコアと鉢合わせる。

 

「レコアさん⋯⋯」

「喧嘩でもしたの? 目が真っ赤よ」

 

 指摘されて初めて自分が泣いていたことに気づきカミーユは俯く。泣き顔を人に見られるのはたとえ親でも嫌だった。

 

「こっちに来なさい。私の部屋が直ぐなの」

「あっ⋯⋯ちょっと」

 

 強引に部屋へ連れ込まれたカミーユはまず最初に大人の女性特有の匂いを鼻一杯に吸い込んだ。仕事一筋の母の部屋でも感じた女の芳香に興奮状態のカミーユの気分は少しばかり落ち着く。

 

「落ち着いた?」

 

「⋯⋯すみません。情けない姿を見せてしまって」

 

 

 カミーユはまだ赤く腫れている目元を拭いながらそう答えた。彼女は人前で泣くことが恥だと思っていた。なぜならそれは心の弱さの証明であり自らが弱者である証明にほかならいからだ。

 

「泣くことは悪いことじゃないわ。でもこれからは本当に大事な相手だけに見せなさい」

「涙に意味なんかありませんよ。ただ流れるからで⋯⋯困るだけですよ」

「そう。いつか貴女が女になれば分かるわ」

「子供扱いしないでください! ボクはもう16ですよ」

「あら、随分と男勝りなお嬢さんね。けどこれだけは言える。男と肩を並べたいなら涙は厳禁。すぐに舐められるわ」

「軍隊は男の世界だって言いたいんでしょう。女は武器になるって⋯⋯でもそれは男に媚びろってことですか?」

「安心しなさい。貴女の女の武器なんて誰も期待してないから。けど軍隊に甘えは許されない。だから今は気丈に振る舞いなさい。それが良い女軍人よ」

 

 カミーユは鏡に映る情けない自分を観察する。目は赤く充血し目元も腫れている。ずっと走っていた直後で汗も酷い。見れば見るほど余計に瞳が潤む。

 

「はい、真面目な話はこれでおしまい! さ、女の子が泣き顔をいつまでも晒しておくものじゃないわ」

「け、結構ですよ。化粧なんて⋯⋯」

 

 化粧台に座らされ化粧品を棚からあれこれと取り出すレコアに反論をするも無理矢理座り直されたカミーユは何もできずされるがままに目元や頬へ某かの液体やら粉やらを散布された。

 カミーユは自分の容姿があまり好きではなかった。傲慢にも思えるが、恵まれた容姿によって周囲から受けたものは恩恵よりも不快な扱いの方が多かったことが原因だった。多くの男性の目を奪い祭り上げられることに快楽を感じないカミーユにとっては群がる男は邪魔な存在であり嫉妬の炎で燻る女たちも理解不能のストレス源だ。

 故に年齢を重ねていくにつれ母やファからは強く勧められた身だしなみ、取り分け化粧や服装には関心を示さないようにしてきた。だからこれがカミーユにとって初めての本格的な化粧であった。

 

「はいできた。流石に元がいいと化粧のノリが違うわね。若いって羨ましいわ」

 

「そう⋯⋯かな?」

 

 鏡に映る自分自身にカミーユはついつい可愛いと思ってしまった。興味のないふりをしてきたがそこは16歳の女の子、

 

 ───美しくありたい

 

 

 秘めていた女としての欲求を刺激されたカミーユは自然と鏡の自分に触れ見惚れてしまった。

 

「貴方も女の子なんだから軽い化粧ぐらいしなさい。ほら、いくつかあげるから」

 

 手渡されたグラナダ製の高級化粧品を突き返す選択肢は既にカミーユの中にはなかった。

 

「レコアさんは情けないと思いますか? 泣くだなんて⋯⋯」

「女の涙を武器にするにはあなたは早すぎるわ。ゆっくりと大人の女になりなさい」

 

 レコアは何処までもカミーユに寄り添い優しく囁く。ふわりと香水のいい匂いが自身を包み込み失った母の母性を感じる。

 

 

 ───ごめんなさい。また仕事が入ったの。今夜も帰れそうにないわ。でも今度こそ必ず時間を作るわ。それまで待っててね。

 ───カミーユ、ジュニアモビルスーツの大会で優勝したと母さんから聞いたぞ。あまり女の子らしくはないが賞を取るのは良いことだ。今度新しい運動基盤回路の作り方を教えよう。

 

 

 どれも結局は果たされなかった薄っぺらいその場しのぎだった。だがその時の言葉は真実だったのだとカミーユは信じていたかった。

 

 だからこそカミーユは残されたただ一人の肉親、父に会うためガンダムMk-IIの整備を手伝っているとレコアから聞き出し格納庫に足を運ぶ決心をした。何を話すのかは決めていない。それでも自分の言葉を伝えて父の言葉が知りたかった。

 

 カミーユが格納庫に入るとそこでは搬入されたガンダムMk-IIの整備が進められ多くの作業員が出入りしていた。辺りを見渡すと丁度ガンダムMk-IIの真下に父がレーザートーチを構え作業員と話しているのを見つけた。

 父が仕事をする光景はカミーユにとって何処か誇らしいと感じるものだった。これから先どうなるか分からないがひょっとしたならば冷え込んだ父との関係に光明が差すのではないかと期待を膨らませる。

 

「あの⋯⋯その⋯⋯と、父さ──」

「カミーユか、素晴らしいタイミングだ。お前も一緒に来なさい」

「え?」

「カミーユ止せ! 逃げるんだ! ぐわっ!」

 

 フランクリンは二人の間に割って入ろうとしたアストナージをトーチで殴り付け混乱しているカミーユを抱え格納庫の赤いリック・ディアスのハッチへ向かった。

 

「な、何をするんだよ!」

「いいから来なさい。私と一緒にアレキサンドリアへ戻るんだ」

「戻るだって!? どういう意味なのか分かってるのかよ! また捕まるだけだ!」

「いいや捕まらない。このエゥーゴの最新鋭機を土産にすれば必ずバスク大佐は恩赦を与えてくれる筈だ」

「自分が何を言ってるのか分かってるのかよ! エゥーゴを裏切るの!?」

「裏切る!? 違うぞカミーユ、ティターンズに属することこそ時流なのだ。わざわざ泥船に乗ることはない!」

 

 聴きたくなかった。耳をふさいでしまいたかった。せっかく父とやり直してみようと考えた矢先の最悪の状況にカミーユは怒りとも悲しみとも分からない感情が洪水のように噴き出してきた。

 

「さぁコックピットに入りなさい。父さんと一緒に逃げよう」

「い⋯⋯嫌だ! 行きたくない!」

 

 コックピットへ引き込もうとする父の手を必死で振り払うカミーユは何が何だか分からない涙を滲ませていた。父親がエゥーゴにとんでもない不義理を働いている恥もあれば自分も一緒に連れて行こうと手を差し伸べてくれていることに嬉しさも感じていた。一瞬だがその手を取り父と娘の関係を近づけたいとも思うもそれでは駄目なのだと理性が働く。

 

「わからん奴だ。そもそもお前は──ぬ!」

 

 騒ぎを聞き付けた兵士たちが続々と集まってくるのを察知したフランクリンは急いでハッチを閉めリック・ディアスの動力に火を入れる。

 

 格納庫の空に投げ出されハッチから無理矢理に発進してどんどんと遠ざかっていく父の背中にカミーユの中では沸々とした怒りが生まれていく。

 

「どうして⋯⋯どうしてあんたはいつもそうなんだ。自分勝手だっ 最低だっ お前なんか⋯⋯お前なんかぁ⋯⋯!」

 

 そこからの行動は早かった。リック・ディアス発進に慌てるクルーたちを掻き分け整備中のガンダムMk-IIのコックピットへと入ると独断で脱走した父を追いかけるため出撃した。Mk-IIは整備の途中で片腕がない状態ではあったが父を追撃する執念に駆られたカミーユには些細なことであった。

 

 

 

 

 

 

 

「素晴らしい! 流石はエゥーゴの機体だ。この全天モニターは完璧に近い」

 

 一方でフランクリンはアレキサンドリアへ向けて急ぐ中でリック・ディアスの性能に舌を巻いていた。ティターンズ主力機であるハイザックも全天モニターは装備されているがこのリック・ディアスと比べれば画質や反応に見劣りがあることは否めないと技術者として落胆すると共に歓喜しているのだ。

 フランクリンには野望がある。彼は一介の技術者としてティターンズやバスクに使い潰されるだけの存在に収まるつもりは毛頭なかった。

 かつての一年戦争でジオンの名だたるエースパイロットや絶望的な戦況をたった一機のモビルスーツが打ち破っていった快進撃は戦後のプロパガンダとして有名な話だ。そしてその開発者として歴史に永遠と記録され続けるであろうテム・レイの存在はフランクリンたち技術者にとっては羨望と嫉妬の的でもありだからこそRX-78『ガンダム』の後継機開発に携われることはこの上ない名誉であった。

 だがそれも娘のまさかの行動によってフランクリンの築きあげてきたキャリアは風前の灯、だからこそ一発逆転の為のリック・ディアス強奪だった。

 

「見ていろバスクめ、私にだってガンダムは作れる。テム・レイのガンダムと同じ、いや! それ以上の伝説を作る!」

 

 アーガマに残した娘に後ろ髪を引かれる思いはある。父として愛していない訳がない。仕事や名声を失えば娘にも不憫な生活をさせてしまうからとバーニアを噴かすフランクリンだがそれは言い訳に近い考えだ。現にフランクリンにとって娘は仕事の次に大事な事柄であり自分を犠牲にしてまでなどそも考えてすらいない。もっぱら彼の頭の中ではアレキサンドリアへ着いた後どうバスクと交渉をするか、そしてグリーン・ノアで自分の帰りを待っている美しい愛人の肌の温もりだった。

 麗しのマルゲリータ。妻と違い嫌みも文句も言わずただひたすらに愛を示す彼女にフランクリンはすっかりと入れ込んでしまっていた。家庭に帰れば思春期真っ只中の娘と夫を立てない妻とに冷たい視線で見られ続けることにほとほと辟易していた彼にとって愛人は緊急避難的処置としてしょうがないと思う悪癖がすっかり出来上がってしまっているのだ。

 次に彼女に会う日はいつだったかと思案しているとコックピット内にモビルスーツ接近を知らせるアラートが鳴る。熱源の方向のモニターを見ると恐ろしい勢いで突撃してくるガンダムMk-IIがそこにいた。

 

「待てェェ──ッ!」

 

 カミーユの乗るガンダムMk-IIは回避を運動を取ろうとしたリック・ディアス目掛けて一切の減速をせずに取り付いた。衝撃でモニターへ激突しそうになるほど体を大きく揺らしたフランクリンだがそこはモビルスーツ開発のプロ、バーニアの推力を利用して生み出す遠心力でMk-IIを振り落とす。

 

「カミーユなのか!?」

「逃げるな! アーガマへ戻れ!」

「私は次を考えているんだ。それをお前は! 私の気も知らないで勝手ばかりしおってっ!」

 

「子供の気も知らないで!」

 

 Mk-IIは片腕に備えられているライフルでリック・ディアスへ照準を合わすとフランクリンは驚愕し激怒する。

 

「子が親を撃つ気か! カミーユ!?」

 

 感情に任せてリック・ディアスのビーム・ピストルを乱射するフランクリンは自身の言葉と行動の矛盾に気づいていない。

 だが衝撃を受けたのはフランクリンだけではない。

 

「撃ってきた……私を、父さんが?」

 

 カミーユもMk-IIのすぐ側を横切った火線が実の父によって撃たれたものだという事実に吐き気を覚えた。

 

 一瞬の判断ミスだった。

 

 操縦が鈍ったその隙にビーム・ピストルがMk-IIのコックピットに被弾した。

 

「うあぁ!」

 

 幸いにもビームがカミーユを焼くことはなかった。ライフルより出力の小さいピストルであったこと、射撃の才能はなかったパイロットの攻撃でコックピット中央からギリギリ逸れたことが彼女の命を救った。

 しかしコックピット内では電子機器が火花を出し小規模な火災や空気漏れのアラートが鳴り響いていた。

 

「くるな! くるな!」

 

 被弾によって更に動きを悪くしたMk-IIにこれ幸いとばかりにリック・ディアスは攻撃を集中する。フランクリンとしては娘を殺すつもりはないが完全に動きを沈黙される為ならばある程度のダメージは構わないとも思っていたが、撃たれるカミーユにはその手心は伝わらない。

 

「や、止めてっ 父さん! 殺さないで!」

 

 初めて感じる死の恐怖。

 

 目の前で無惨に殺された母の姿を自分と重ね合わせてしまったカミーユはあれほど憎いと思っていた父に懇願した。

 

「黙れカミーユ! お前は悪い子だ。育て方を間違えたよ! もっと素直にしていればこんな躾をせずにすんだのに!」

 

 娘の必死の命乞いにも関わらずフランクリンの攻撃が止むことはない。

 

「そんな……これは、父さん? 流れ込んでくる、心なのか……?」

 

 そしてここにきてカミーユはリック・ディアスの中にいる父の心を見た。

 

「嘘だ……嘘だ!」

 

 フランクリンにカミーユを殺す気はない。だかカミーユが見てしまったものは父の心中の奥底。彼が最も求めるのは自分自身の栄光と快楽だけであり妻や美しい娘はその名声を高める為のトロフィーに過ぎないものだという一つの真実だけだった。

 

「うぅぅ……うぅ"ぅ"……! ちょっとぐらい、愛してくれたってっ!」

「カミーユ! くるんじゃない! 私は────」

 

 鳴り止まないアラート。

 

「出力低下……油圧系統に異常……このままじゃっ」

 

 迫る死の恐怖。

 

「嫌だ……死にたくない。母さんも死んだ……こんな所で……死にたくない!」

 

 父への怒り。

 

「父さんがっ 父さんだって! ボクを……ボクをいつも見ないで」

 

 愛されない悲しみ。

 

「女だからいけないの? ボクじゃダメ?」

 

 焦点を失い赤く染まる視界。

 

「うあぁ……あぁぁ……あぁぁぁ……見えない、ミエナイ……ミエナイ!」

 

 全身を打つ鼓動。

 

「違う……ボクは……ボクはぁぁ……!」

 

 次第に麻痺していく意識の中で、それは告げられた。

 

「───私はお前の親だぞ!!?」

 

 

 それはカミーユの中で、何かが弾ける音だった。

 

 

親が……

 

 巨大なダムの壁面が破れ瀑布の如き感情が押し寄せる。一個の黒いエゴに支配された少女は遠く離れたクワトロすら感知してしまう強い脳波を電波塔のように宇宙へ放った。

 

 もはや、彼女を止めるものは存在しない。

 

 

 

 

 

 

親が! 子供を撃って良いのかよォォ────!! 

 

 

 

 

 

 

 ────慟哭。

 

 カミーユは無意識の内にその手に握る死の兵器を力の限り引き絞る。パイロットの絶望が乗り移ったように迫るビーム群を気に止めずフランクリンの乗るリック・ディアスのコックピットをライフルが正確に撃ち抜いた。

 

 フランクリンは眩い白い光に包まれ目を閉じると一瞬だけ熱さを知覚した後、その意識を失った。それが娘の与えた死だと最後まで知らずに。

 

 爆炎と共に光球に包まれたリック・ディアスは程なくして何もかもが屑となり生命の反応は何処にもありはしない。

 

 爆発の光で彩られたガンダムMk-IIはその間銃口を向けたままの姿勢から一切動かず制止していた。出撃時から呼び掛けられているアーガマからの応答にも無反応。

 一人の娘は父親が確かにいたはずの場所を静かに見続け、そしてゆっくりと反転するとアーガマへの帰路を辿った。




SANが減少。でもまだ発狂してないよ(やったぜ)
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